素直に言えない君への想い
「全く、手を焼いたっスよ、あんたの番には」
「話題のドーナツ店オープン!」のマジカメニュースを見て、私はレオナを引っ張りだした。が、なぜか今、ドーナツを向かい合って食べているのはラギー君だ。レオナとデートじゃなかったのか、私は?
当の本人は横のソファで抜け殻のようになっている。しかもムカつくことにいびき迄かいているのだ。
「なんだか、運動部のキャンプ?ですって?どうだったの」
「この人ね、自分では動かねえんス。まあそれはいいんスよ、部長がガチャガチャ動くと逆効果になることもあるし、レオナさんの采配はいつも的確だから。いや、俺が言ってるのはそうじゃないんス」
ラギー君は余程ドーナツが好きなのか、両手に別々の種類のドーナツを持って、貪り食っている。まあなんという惚れ惚れするほどの食べっぷり。しかもちゃっかり「画面を見せたら1個おまけ」のクーポン画面も使っている。
「何かやらかしたの?」
「いや、やらかす前…っス。バルガスに早々に捕まりやがった」
バルガス先生、というのは飛行術など体力育成系の先生だ。それくらいのことはナイトレイブンカレッジの学園案内に載ってて私でも知っている。なぜか音楽学校である私のカレッジにもこの手の教員はいるから、何となくわかる。
「部長なのに」
「部長なのに」
あきれ顔のラギー君と私は顔を合わせて笑った。
「アンタが留年してる理由が垣間見えたわ、レオナ・キングスカラー」
「…ヴィルみたいな口調で言うのやめてくれよ」
怠惰なライオンは伸びをして起き上がった。
「俺はサボってんじゃねえ。体力温存してるだけだ」
「かっこよく言っても、おさぼりはおさぼりですよ、殿下」
私の皮肉に、レオナは顔をしかめた。付き合いが長くなってくると、こういうやり取りも増えてくる。
「シシシ、レオナさん言われてやんの」
「最近分かったけど、この人はやればできるけどやらないことの天才ですからね」
「シシシシシッ、まさにあれっスね”言いえて妙”」
「自分の手は汚さねえ。王族がそんなにちょこまか動いてたら臣下は気を使って動けねえだろ」
レオナは私に顔を近づけて、悪党面でニヤニヤと笑った。
「ハイハイ、要はめんどくさいことは人任せでしょう」
「そういう俺だって分かってて惚れてんだろ、お姫様」
ニヤニヤ顔で起き上がったレオナが私の方に顔を近づける。
むしゃ!
「なっ、何を」
女子に人気のクリームたっぷりドーナツを口に押し込まれ、レオナは飛び上がった。すかさず私は彼の首根っこにかじりついた。
「ほら~、ドーナツ食べに来たんだからっ!ちゃんとドーナツ食べましょう!美味しいでしょっ」
「ふ、ふがふが」
「レオナさんなに尻に敷かれてんスか」
「うるせえ。お前いきなり口に喰いものを突っ込むな!」
動揺しているレオナなんてレアアイテムだ。私は思いっきり悪い顔をしてレオナを覗き込んだ。
「せっかく頼んだのになかなか手を付けないからでしょうが。それにいつも私の頬っぺた引っ張るからたまにはこっちがイニシアティブ取らないと」
「う…るせえ…何がイニシアティブだ…」
「冗談よ。あなたに食べさせてあげたかっただけ」
すると、レオナの顔が赤くなった。
「な、なんだと…?!クソ、可愛いじゃねえか…」
ラギー君が爆笑した。
「シリルさんにかかっちゃ、お手上げっスね、部長。来月、公開試合があるんスよ。見に来ますか?」
「勿論。マジフトの試合を生で見るのは初めてなの」
「全く…お前にはかなわねえよ。浮かれてディスク頭にぶつけんなよ。助けてやんねえぞ」
「言いながらデレてますよ、レオナさん。シリルさんが来るの嬉しいんでしょ?なんスか、その尻尾バタバタ。子どもっスか」
「うるせえラギー」
「ハイハイ」
「期待してるわ、レオナ」
落ち着きのないライオンの尻尾に、私は自分の尻尾を絡めた。忽ち尻尾が巻き付いて落ち着いた。
「そうだ、シリル。そっちのハンバーグが載ってるパイを俺にくれ」
「これ?レモンパイと交換して」
「ちゃっかりしてやがる。いいぜ、お前の大好物だもんな」
「あんたらいい加減にじゃれるのやめてくださいっス。リア充爆発しろ」
本当にうちのライオンさんはサボり魔で、どうしようもないんだから。
「話題のドーナツ店オープン!」のマジカメニュースを見て、私はレオナを引っ張りだした。が、なぜか今、ドーナツを向かい合って食べているのはラギー君だ。レオナとデートじゃなかったのか、私は?
当の本人は横のソファで抜け殻のようになっている。しかもムカつくことにいびき迄かいているのだ。
「なんだか、運動部のキャンプ?ですって?どうだったの」
「この人ね、自分では動かねえんス。まあそれはいいんスよ、部長がガチャガチャ動くと逆効果になることもあるし、レオナさんの采配はいつも的確だから。いや、俺が言ってるのはそうじゃないんス」
ラギー君は余程ドーナツが好きなのか、両手に別々の種類のドーナツを持って、貪り食っている。まあなんという惚れ惚れするほどの食べっぷり。しかもちゃっかり「画面を見せたら1個おまけ」のクーポン画面も使っている。
「何かやらかしたの?」
「いや、やらかす前…っス。バルガスに早々に捕まりやがった」
バルガス先生、というのは飛行術など体力育成系の先生だ。それくらいのことはナイトレイブンカレッジの学園案内に載ってて私でも知っている。なぜか音楽学校である私のカレッジにもこの手の教員はいるから、何となくわかる。
「部長なのに」
「部長なのに」
あきれ顔のラギー君と私は顔を合わせて笑った。
「アンタが留年してる理由が垣間見えたわ、レオナ・キングスカラー」
「…ヴィルみたいな口調で言うのやめてくれよ」
怠惰なライオンは伸びをして起き上がった。
「俺はサボってんじゃねえ。体力温存してるだけだ」
「かっこよく言っても、おさぼりはおさぼりですよ、殿下」
私の皮肉に、レオナは顔をしかめた。付き合いが長くなってくると、こういうやり取りも増えてくる。
「シシシ、レオナさん言われてやんの」
「最近分かったけど、この人はやればできるけどやらないことの天才ですからね」
「シシシシシッ、まさにあれっスね”言いえて妙”」
「自分の手は汚さねえ。王族がそんなにちょこまか動いてたら臣下は気を使って動けねえだろ」
レオナは私に顔を近づけて、悪党面でニヤニヤと笑った。
「ハイハイ、要はめんどくさいことは人任せでしょう」
「そういう俺だって分かってて惚れてんだろ、お姫様」
ニヤニヤ顔で起き上がったレオナが私の方に顔を近づける。
むしゃ!
「なっ、何を」
女子に人気のクリームたっぷりドーナツを口に押し込まれ、レオナは飛び上がった。すかさず私は彼の首根っこにかじりついた。
「ほら~、ドーナツ食べに来たんだからっ!ちゃんとドーナツ食べましょう!美味しいでしょっ」
「ふ、ふがふが」
「レオナさんなに尻に敷かれてんスか」
「うるせえ。お前いきなり口に喰いものを突っ込むな!」
動揺しているレオナなんてレアアイテムだ。私は思いっきり悪い顔をしてレオナを覗き込んだ。
「せっかく頼んだのになかなか手を付けないからでしょうが。それにいつも私の頬っぺた引っ張るからたまにはこっちがイニシアティブ取らないと」
「う…るせえ…何がイニシアティブだ…」
「冗談よ。あなたに食べさせてあげたかっただけ」
すると、レオナの顔が赤くなった。
「な、なんだと…?!クソ、可愛いじゃねえか…」
ラギー君が爆笑した。
「シリルさんにかかっちゃ、お手上げっスね、部長。来月、公開試合があるんスよ。見に来ますか?」
「勿論。マジフトの試合を生で見るのは初めてなの」
「全く…お前にはかなわねえよ。浮かれてディスク頭にぶつけんなよ。助けてやんねえぞ」
「言いながらデレてますよ、レオナさん。シリルさんが来るの嬉しいんでしょ?なんスか、その尻尾バタバタ。子どもっスか」
「うるせえラギー」
「ハイハイ」
「期待してるわ、レオナ」
落ち着きのないライオンの尻尾に、私は自分の尻尾を絡めた。忽ち尻尾が巻き付いて落ち着いた。
「そうだ、シリル。そっちのハンバーグが載ってるパイを俺にくれ」
「これ?レモンパイと交換して」
「ちゃっかりしてやがる。いいぜ、お前の大好物だもんな」
「あんたらいい加減にじゃれるのやめてくださいっス。リア充爆発しろ」
本当にうちのライオンさんはサボり魔で、どうしようもないんだから。