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食いしん坊万歳~グリム

休憩挟んで第二回戦。今度はミートドリアらしい。

「え、ヴィルサンまた呼ばれたの?」
「あれ、デュースがいないと思ったら」
「バルガス先生がいる!先生も審査員なんだ」

今度は…変な煙は上がらず、メニューが完成したらしい。

「前の消し炭よりはマシね」
「これ…母さんが忙しいときのために買い置きしてた冷凍のミートドリアの味がする」
「これは!満遍なく火が通っているぞ!」

判定は…。
「3点」
「4点」
「5点!」

「ヴィルサンが完食している」
「バルガス点数たっか!」
「デュースの奴、冷凍食品みたいって何なんだ」

 バルガス先生の点数のおかげで、何とかリドル先輩とシルバー先輩の面目は保たれた。

 翌日。
「はよ~。あれ、ジャックいないの?」
「うん、寮の代表で審査員になったんだって」
「ジャックなら大丈夫、かな」
エースとエペルとともに食堂へ向かうと、デュースと、その後ろから大きな声でセベクが喚きながらやってきた。
「おはようセベク。今日も元気だね」
「人間!若様の行方を知らないか」
…若様…というと?ツノ太郎??
「朝からセベクが、ドラコニア先輩を探しているから一緒に探してるんだけど、見つからないんだ」
 あんな立派なツノのある人が見つからないなんて。とにかく喚いているセベクを残し、僕らは食堂へ入った。

 第一回戦はハンバーグ。メニューはシェフゴーストがランダムで決めるから、二回とも同じ時もある(と、トレイ先輩から聞いた)
「お、おいあの黒い毛玉って…」
「ルチウス、じゃないぞ…」
「グリム、かな?そういえば朝からいなかったね」
先に行くと言っていたのに、なぜ審査員席に…。僕は首を捻りながら、観客席に座った。

審査員席には、神妙な顔のジャック、へらへらしているフロイド先輩、そして…グリムがいた。

「いい肉使ってるなこれ。しかも焼き加減もベストだ」
「へ~、旨いじゃんこれ!金魚ちゃんやるじゃん」
「はぐはぐはぐ…う、旨いんだゾ!!」

判定は…。
「10点!」
「10点!」
「10点だゾ」

ファンファーレが鳴り響き、最高得点が出た。その時だった。
「今の判定はやり直しです」
学園長だ。
「グリム君、君がなぜ審査員席に?」
「あ、あわわわっわ」
「ドラコニア君から聞きましたよ。あなた、ドラコニア君の角にロープをひっかけて転ばせておいて自分が代わりに来たんでしょう」
「お、俺様だって食べたいんだゾ!」
 学園長はため息をついた。
「これはイベントですが授業の一環でもあります。今の判定は無効になります。
 ローズハート君、シルバー君。申し訳ありませんが、もう一度ハンバーグを作ってください。材料は予備があります。私優しいので」
「学園長、今ので減点は」
「ありません、シルバー君。私、優しいので」
「ああ…よかった。親父殿に叱られずに済む」

「離せ~!お、オレ様だって審査員をやりたいんだゾ!たくさん美味いもの食いたいんだゾ」
「…グリム。それ以上騒ぐと、首をはねてしまうよ」
リドル先輩のひと睨みに、グリムは仕方なく引き下がった。

 その後。

リドル先輩とシルバー先輩はコロッケで最高得点を出し、マスターシェフは終了した。

「つ、次のマスターシェフはいつなんだゾ?今回は肉料理だったから、つ、次はさ、魚料理で審査員を狙うんだゾ」

 グリム…。
次に審査員に選ばれるかどうか分からないんだけど…。
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