食いしん坊万歳~グリム
「おい、ユウ!ツナ缶がまだ食べたいんだゾ」
もうおなかが膨れて丸いのに、グリムはまだツナ缶を食べたがっている。今日のツナ缶は、スカラビアのジャミル先輩に分けてもらったものなのに。
「もう在庫がないよ。今週の水曜日迄の分を食べちゃったんだから」
「食べたい食べたいんだゾ!」
うるさいなあ。今の時間でツナ缶を売ってるのって…
ひょっとしたらサムさんのお店にあるかもしれない。
オンボロ寮からサムさんの店がある本校舎まで戻るのは寒いし、僕はまだご飯を食べていないからおなかが空いて仕方がない。
「Hey、小鬼ちゃ~ん。こんな時間にこのサムさんの店に何か用かい?」
「あ、実は…」
サムさんにツナ缶の話をした。
「残念~、本日のツナ缶は売り切れちゃったんだよ~。
あ、でも小鬼ちゃん、来週から仕入れる新商品の試供品が来てるから、それでよかったら持っていくかい?」
サムさんが出してきたのは、赤いパウチ袋に入った魚の絵がプリントされた試供品だった。
「ツナ缶じゃないんだゾ」
「いつものツナ缶のメーカーから出た自信作~だよ」
「あ、ありがとうございます…こんなにたくさんいいんですか」
「うん、なんだか大量に送られてきたからね~」
サムさんはパウチ袋を30個も紙袋に入れてくれた。ずっしり重い。
「えっと、おいくらマドルで」
「それは試供品だから~、特別サービスしちゃうよ」
「それはだめです!な、何か代わりに買いますから」
そこで僕は明日の朝ごはんのマフィンを買った。60マドルしか払わなかったんだけど良かったんだろうか。
帰ってきたグリムは早速、ツナ缶代わりの試供品をねだった。
あいにくパウチ袋入りのため、ゴーストに頼んでねこまんま茶碗になるカフェオレボウルを探してきてもらった。
パウチ袋を開けると…
「うまそうな匂いなんだゾ。ツナ缶よりも」
確かに魚のオイル漬けの匂いだ。だが。。。
むしゃむしゃと食べ始めたグリムは、目を白黒させた。
「か、辛いんだゾ~~~~~~~~~~~!!!!!」
一口つつくと、かなり辛い。しかも、魚じゃない何かが入っている。これはまさか…
「ふな~~~~~~ふなふなふなふなふな~~~~」
「ぐ、グリム」
大変なことになってしまった…。このボロボロは一体?
翌日。
「おはようございます」
オクタヴィネル寮のジェイド先輩だ。相変わらず身長が高いから、見下ろされている気分になる。リドル先輩が機嫌を悪くするのもわかるなぁ、なんてのんびりしたことを考えていた。
「どうでした、新商品の味は」
「新商品って、先輩」
「監督生さん、昨晩Mr.サムの店で試供品をいただいて行ったでしょう」
「なんで先輩が知ってるんですか」
「あ、小エビちゃんおはよ~~~」
このダラダラした声はフロイド先輩だ。相変わらずでかい。双子だから、ジェイド先輩と並ぶとものすごい「圧」だ。
「ジェイドに聞いたけど~、あの新商品、小エビちゃん食べたって~?」
「ぼ、僕は食べてません!食べたのはグリムです」
「え~ウニちゃんなの~?つまんね~」
つまんねーじゃねえよほんとに。昨晩はグリムの処遇に困ったんだから。
「ジェイド先輩、あの試供品のこと知ってるんですか」
「知ってるも知ってる、あれはジェイドが売り込んだやつだからさ~」
「なかなかいいお味でしたでしょう」
「いや…めちゃくちゃ辛いって、グリムが火を吹いてました。それはともかく、ジェイド先輩、あの試供品って何が入ってるんですか」
「ふふふ、知りたいですか」
怖い笑みだが、知らないのも怖いので、
「あれは、鯖缶のアレンジメニューなんですよ。青唐辛子とえのきがソテーされて入っているんです」
「鯖?!」
ひょっとしてグリムの体にボロボロが出たのは…
「鯖アレルギーだ」
今朝はでかい人に囲まれる運命なのだろうか。ジャックがそばに来た。
「なんだ、グリムは鯖アレルギーだったってこと?」
「らしいな。俺たちは魚は食わんが、特定の魚に反応する奴がいるらしいことは知っている。だがおかしいな」
ジャックは首を捻っている。
「あいつ、グリム確か一昨日ジャミル先輩から醤油味の鯖缶をもらって食べてたぞ。間違って注文して、カリム先輩が食べないからって」
だとすると一体…。
もうおなかが膨れて丸いのに、グリムはまだツナ缶を食べたがっている。今日のツナ缶は、スカラビアのジャミル先輩に分けてもらったものなのに。
「もう在庫がないよ。今週の水曜日迄の分を食べちゃったんだから」
「食べたい食べたいんだゾ!」
うるさいなあ。今の時間でツナ缶を売ってるのって…
ひょっとしたらサムさんのお店にあるかもしれない。
オンボロ寮からサムさんの店がある本校舎まで戻るのは寒いし、僕はまだご飯を食べていないからおなかが空いて仕方がない。
「Hey、小鬼ちゃ~ん。こんな時間にこのサムさんの店に何か用かい?」
「あ、実は…」
サムさんにツナ缶の話をした。
「残念~、本日のツナ缶は売り切れちゃったんだよ~。
あ、でも小鬼ちゃん、来週から仕入れる新商品の試供品が来てるから、それでよかったら持っていくかい?」
サムさんが出してきたのは、赤いパウチ袋に入った魚の絵がプリントされた試供品だった。
「ツナ缶じゃないんだゾ」
「いつものツナ缶のメーカーから出た自信作~だよ」
「あ、ありがとうございます…こんなにたくさんいいんですか」
「うん、なんだか大量に送られてきたからね~」
サムさんはパウチ袋を30個も紙袋に入れてくれた。ずっしり重い。
「えっと、おいくらマドルで」
「それは試供品だから~、特別サービスしちゃうよ」
「それはだめです!な、何か代わりに買いますから」
そこで僕は明日の朝ごはんのマフィンを買った。60マドルしか払わなかったんだけど良かったんだろうか。
帰ってきたグリムは早速、ツナ缶代わりの試供品をねだった。
あいにくパウチ袋入りのため、ゴーストに頼んでねこまんま茶碗になるカフェオレボウルを探してきてもらった。
パウチ袋を開けると…
「うまそうな匂いなんだゾ。ツナ缶よりも」
確かに魚のオイル漬けの匂いだ。だが。。。
むしゃむしゃと食べ始めたグリムは、目を白黒させた。
「か、辛いんだゾ~~~~~~~~~~~!!!!!」
一口つつくと、かなり辛い。しかも、魚じゃない何かが入っている。これはまさか…
「ふな~~~~~~ふなふなふなふなふな~~~~」
「ぐ、グリム」
大変なことになってしまった…。このボロボロは一体?
翌日。
「おはようございます」
オクタヴィネル寮のジェイド先輩だ。相変わらず身長が高いから、見下ろされている気分になる。リドル先輩が機嫌を悪くするのもわかるなぁ、なんてのんびりしたことを考えていた。
「どうでした、新商品の味は」
「新商品って、先輩」
「監督生さん、昨晩Mr.サムの店で試供品をいただいて行ったでしょう」
「なんで先輩が知ってるんですか」
「あ、小エビちゃんおはよ~~~」
このダラダラした声はフロイド先輩だ。相変わらずでかい。双子だから、ジェイド先輩と並ぶとものすごい「圧」だ。
「ジェイドに聞いたけど~、あの新商品、小エビちゃん食べたって~?」
「ぼ、僕は食べてません!食べたのはグリムです」
「え~ウニちゃんなの~?つまんね~」
つまんねーじゃねえよほんとに。昨晩はグリムの処遇に困ったんだから。
「ジェイド先輩、あの試供品のこと知ってるんですか」
「知ってるも知ってる、あれはジェイドが売り込んだやつだからさ~」
「なかなかいいお味でしたでしょう」
「いや…めちゃくちゃ辛いって、グリムが火を吹いてました。それはともかく、ジェイド先輩、あの試供品って何が入ってるんですか」
「ふふふ、知りたいですか」
怖い笑みだが、知らないのも怖いので、
「あれは、鯖缶のアレンジメニューなんですよ。青唐辛子とえのきがソテーされて入っているんです」
「鯖?!」
ひょっとしてグリムの体にボロボロが出たのは…
「鯖アレルギーだ」
今朝はでかい人に囲まれる運命なのだろうか。ジャックがそばに来た。
「なんだ、グリムは鯖アレルギーだったってこと?」
「らしいな。俺たちは魚は食わんが、特定の魚に反応する奴がいるらしいことは知っている。だがおかしいな」
ジャックは首を捻っている。
「あいつ、グリム確か一昨日ジャミル先輩から醤油味の鯖缶をもらって食べてたぞ。間違って注文して、カリム先輩が食べないからって」
だとすると一体…。
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