門倉家のはなし
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休日の夜、キラウシが酒を持って遊びにやってきた。
門倉と一番仲のいい友達で、三人で会う事も多い。
「しかし、まさか門倉に先を越されるとは思ってなかったよ…」
食事も終わり、飲み続けてすっかり出来上がっているキラウシは、酔った目で恨めしそうに門倉を見る。
門倉はふふんと自慢気だ。
「なんでだよ。順当な結果だろ」
「だってさぁ…なんでお前みたいな冴えないおっさんが、ナマエちゃんみたいな子と結婚できるんだよぉ」
キラウシは自分で持ち寄ったスルメを齧りながら、納得できない様子でブツブツ続けた。
しかし、披露宴の友人席で感極まって一番泣いていたのは彼である。
「もういいっ!俺もいつか可愛い嫁さん見つけるんだっ!」
キラウシはそう言うと、グラスに入った酒をあおってテーブルに突っぷす。
「まったくしょうがねぇやつだな…ナマエさんごめんな。
コイツこんなに酔っちまって」
「いいのいいの。…キラウシくん、タクシー呼んであげようか」
そうだな、と門倉は返事をしてスマホを取り出す。
10分後には、キラウシはタクシーに押し込められて帰っていった。
「やれやれ、やっと静かになったな…」
「そうだね、でも楽しかったよ」
二人でキッチンに立って、食器を片付ける。
最後に門倉が布巾でテーブルを拭くと、ソファに座ってナマエの方を振り向く。
「ちょっと来て」
ちょいちょいと手招きしているのが見えて、ちょうど食器を片付けたナマエは彼の隣に座った。
「ナマエさん」
門倉がナマエの肩に手を回したので、彼女は頭を預けて寄りかかる。
服越しの体温が暖かく、心地よい。
「さっきのキラウシじゃないけどさ…ほんと、俺ラッキーだと思うんだよ」
早苗は門倉の顔を見上げて、続きを待った。
少し髭が生えた顎に、くたびれ気味な印象の横顔。
「知ってると思うけど、俺基本的に運がなくてさ。結婚決める時も、色々やっちゃったし…
なのにナマエさんみたいな人と付き合えて、結婚までできてさ。
多分、俺の運全部使っちゃったと思う」
大真面目な様子で言うので、ナマエは思わず吹き出してしまった。
門倉は恥ずかしくなったのか、なんだよ、と抗議の声を上げる。
「ごめんごめん。…私は、ドジしても一生懸命な門倉さんが好きだから、運がなくても別にいいよ」
門倉は照れ臭そうに頭をかくと、ナマエの顔をのぞき込んでキスをした。
「ありがと、ナマエさん」
そして目を伏せてモゴモゴと、俺も好き、とポツリと言う。
ナマエはにっこり笑うと、門倉の手にそっと掌を重ねる。
ずっとこのままでいられますように、と願いながら、いつもの夜がすぎていく。
終わり
門倉と一番仲のいい友達で、三人で会う事も多い。
「しかし、まさか門倉に先を越されるとは思ってなかったよ…」
食事も終わり、飲み続けてすっかり出来上がっているキラウシは、酔った目で恨めしそうに門倉を見る。
門倉はふふんと自慢気だ。
「なんでだよ。順当な結果だろ」
「だってさぁ…なんでお前みたいな冴えないおっさんが、ナマエちゃんみたいな子と結婚できるんだよぉ」
キラウシは自分で持ち寄ったスルメを齧りながら、納得できない様子でブツブツ続けた。
しかし、披露宴の友人席で感極まって一番泣いていたのは彼である。
「もういいっ!俺もいつか可愛い嫁さん見つけるんだっ!」
キラウシはそう言うと、グラスに入った酒をあおってテーブルに突っぷす。
「まったくしょうがねぇやつだな…ナマエさんごめんな。
コイツこんなに酔っちまって」
「いいのいいの。…キラウシくん、タクシー呼んであげようか」
そうだな、と門倉は返事をしてスマホを取り出す。
10分後には、キラウシはタクシーに押し込められて帰っていった。
「やれやれ、やっと静かになったな…」
「そうだね、でも楽しかったよ」
二人でキッチンに立って、食器を片付ける。
最後に門倉が布巾でテーブルを拭くと、ソファに座ってナマエの方を振り向く。
「ちょっと来て」
ちょいちょいと手招きしているのが見えて、ちょうど食器を片付けたナマエは彼の隣に座った。
「ナマエさん」
門倉がナマエの肩に手を回したので、彼女は頭を預けて寄りかかる。
服越しの体温が暖かく、心地よい。
「さっきのキラウシじゃないけどさ…ほんと、俺ラッキーだと思うんだよ」
早苗は門倉の顔を見上げて、続きを待った。
少し髭が生えた顎に、くたびれ気味な印象の横顔。
「知ってると思うけど、俺基本的に運がなくてさ。結婚決める時も、色々やっちゃったし…
なのにナマエさんみたいな人と付き合えて、結婚までできてさ。
多分、俺の運全部使っちゃったと思う」
大真面目な様子で言うので、ナマエは思わず吹き出してしまった。
門倉は恥ずかしくなったのか、なんだよ、と抗議の声を上げる。
「ごめんごめん。…私は、ドジしても一生懸命な門倉さんが好きだから、運がなくても別にいいよ」
門倉は照れ臭そうに頭をかくと、ナマエの顔をのぞき込んでキスをした。
「ありがと、ナマエさん」
そして目を伏せてモゴモゴと、俺も好き、とポツリと言う。
ナマエはにっこり笑うと、門倉の手にそっと掌を重ねる。
ずっとこのままでいられますように、と願いながら、いつもの夜がすぎていく。
終わり
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