第2章
名前変換
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食事を摂って、身支度を整えると玄関から声がした。
月島、という軍人に違いない。
ナマエは立ち上がると急いで玄関へ向かった。
「お初にお目にかかります、ナマエさん。鶴見中尉殿の命でお迎えに上がりました月島です」
「初めまして、宜しくお願い致します」
月島は真顔を崩さず挨拶を済ませると、ナマエの少し後ろを歩く。
「本日はお勤め先のお店に向かった後、相続関係の手続きまでご一緒します」
「相続、ですか?」
「はい。こういったことは早い方が良いと、鶴見中尉殿が」
「そうですか…現実なんですね、いまの状況は」
月島は「はい」とだけ返事をすると、おしゃべりに付き合うつもりはないようで口をつぐむ。
ナマエはなんだか気詰まりで、足早にお店へ向かった。
……………
「昨日はご苦労様だったね」
「女将さん、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
兵隊さんと一緒だったからだろう、裏ではなく応接間に通されて、ナマエは女将さんに向き合っていた。
月島は周囲を警戒するように、扉付近に立ったままである。
「これから所用があり出なくてはなりませんが、夜はいつも通り働けますので宜しくお願い致します」
頭を下げていうが、女将は渋い顔をする。
「……悪いけどね。お前には暇を取ってもらうよ。兵隊さんから聞いたけどね、いつまた昨日みたいなことが起こるか分からないんだろう?
たまたま鶴見様が軍人さんで、ことなきを得たけれど、そうじゃなかった場合を考えるとね…
お座敷で物騒な事があっては、うちとしては困るんだよ」
ナマエは言葉を飲み込んだ。言われてみれば、その通りだった。
昨日のことで、畳やら傷ついた物は新調しなくてはならないし、ナマエの給料でそれらを賄うのは無理だ。
なにより評判が落ちてしまえば、大勢の人に迷惑がかかる。
ナマエは黙って頷くと、「お世話になりました」と頭を下げた。