第1章
名前変換
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「…あの、先程はありがとうございました」
「当然のことをしたまでだ」
鶴見中尉の声は柔らかだった。
外での鋭い雰囲気は消え失せて、ゆったりとナマエを見つめる。
「…撃ってきたのは、誰だったのでしょうか…鶴見様の仰るように、遺産を目当てに危害を加えようとしている人達が、本当にいるんでしょうか」
ナマエがぽつんと呟くように言うと、鶴見中尉は思案するような素振りを見せた。
「そうだな…先の件については調査次第だけどね。
しかしあなたを脅かしたい訳じゃないが、今日のようなことは、また起こるかもしれないね」
「…そうですか」
これから一体どうしたら良いのだろう。
そんな大金が本当に舞い込んだとして、それを誰かに狙われるとしたら。
身寄りもなく、女一人でどう行動するべきか…ナマエは考えをまとめようとするが、頭が混乱していて上手くいかない。
そんな彼女の様子にじっと視線を注ぎながら、鶴見中尉は口を開いた。
「…今日のところは、軍にいるのが安全だろう。
ちなみに、ご自宅はどちら?」
「お店には住み込みでお世話になっておりますので、お店の敷地内です」
鶴見中尉は頭を横にフルフルと振った。
「それは尚更危ない。今日は違うところに泊まりなさい。
店のご主人には、部下から説明させて迷惑はかからないように計らおう」
「はい、では…どうぞお願い致します」
銃声が耳から離れず、あの音を思い出すだけで身震いしそうだった。
今日のところは、鶴見中尉の庇護を受けるのが一番安全だろうと考えて、ナマエは頷いた。
「しかしここは軍隊だ。ご婦人が寛げるような部屋は生憎用意していなくてね。
失礼を承知で、今夜のところは私の家に来るのは如何かな」
鶴見中尉は至って自然にさらりと言ったので、ナマエは反射的に「はい」と答えていた。
次の瞬間には、とんでもない事になったと驚く気持ちが湧いて出たが、鶴見中尉は「さあ行こうか」と席を立つ。
半ば押し切られるような形で、ナマエ は彼の後に続いた。
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