第1章
名前変換
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突如 遠くでダァン! という音が響き、何が何だか分からないまま、鶴見中尉の腕がナマエを勢いよく畳に伏せさせた。
鶴見中尉の隣には黒く小さな穴が空いていて、ナマエはそれが狙撃によるものだと気がつくのに時間がかかった。
「伏せていなさい。早速気味の悪い生き物のお出ましだ」
鶴見中尉は素早く銃を取り出して、辺りに視線を走らせる。
ナマエは言われるがまま、畳に這いつくばって息を殺した。
恐ろしさで、心臓が早鐘のように打つ。
今度は間近で銃声が響いたと思ったら、障子の外から男性の声が聞こえてきた。
「鶴見中尉殿!裏に馬を待たせておりますのでそちらから」
「うん、そうしよう」
鶴見中尉は落ち着き払った声で返事をすると、呆然としているナマエを抱きかかえるように立たせて足早に座敷を後にする。
「裏口はこちらかな」
「は、はい…そこから出られます」
やっと我にかえると、とにかくここを離れたい一心で、裏口の小さな扉を開けて外に出た。
外はすっかり夜の帳が下りている。
馬が見え、鶴見中尉は素早く乗ると手を伸ばしてナマエを引き上げる。
「私の前に乗りなさい」
乗せられるがままにするや否や、鶴見中尉は馬を走らせた。
「少し揺れるから、しっかり掴まりなさい」
「は、はい」
「第七師団の兵舎に移動する。私の部下が常にいるし、安全だ」
今この状況から逃げられるのは有り難いけれど、鶴見中尉と共に行動することも、同じくらい危ないような気がしてナマエの心はざわめいたが、馬はそんなことは御構い無しに全速力で駆けて行き、とうとう兵舎らしきものが見えてしまった。
入り口に見張りの兵士が立っていて、物々しい雰囲気だ。
それでも、馬を繋いで建物の中に入ってしまうと心底安堵して、ほっと息をつく。
2階の部屋に入ると、机や本棚、丸テーブルが設置されていて、鶴見中尉がよく使っている部屋なのだろうとナマエは思う。
「…顔色が悪いね。お茶でも飲んで一息つきなさい」
そう言うと、鶴見中尉はナマエを椅子に座らせてお茶を出す。
「あ、私がお淹れしますので…」
「今はあなたがお客さんだ。座っていなさい」
ナマエは居心地の悪さを感じつつ、目の前に差し出されたお茶を啜る。
温かいものを飲むと、無条件に心がほぐれるような心地になるのは不思議だ。
鶴見中尉は自分用にも淹れたので、二人はしばらく黙ってお茶を頂いた。
鶴見中尉の隣には黒く小さな穴が空いていて、ナマエはそれが狙撃によるものだと気がつくのに時間がかかった。
「伏せていなさい。早速気味の悪い生き物のお出ましだ」
鶴見中尉は素早く銃を取り出して、辺りに視線を走らせる。
ナマエは言われるがまま、畳に這いつくばって息を殺した。
恐ろしさで、心臓が早鐘のように打つ。
今度は間近で銃声が響いたと思ったら、障子の外から男性の声が聞こえてきた。
「鶴見中尉殿!裏に馬を待たせておりますのでそちらから」
「うん、そうしよう」
鶴見中尉は落ち着き払った声で返事をすると、呆然としているナマエを抱きかかえるように立たせて足早に座敷を後にする。
「裏口はこちらかな」
「は、はい…そこから出られます」
やっと我にかえると、とにかくここを離れたい一心で、裏口の小さな扉を開けて外に出た。
外はすっかり夜の帳が下りている。
馬が見え、鶴見中尉は素早く乗ると手を伸ばしてナマエを引き上げる。
「私の前に乗りなさい」
乗せられるがままにするや否や、鶴見中尉は馬を走らせた。
「少し揺れるから、しっかり掴まりなさい」
「は、はい」
「第七師団の兵舎に移動する。私の部下が常にいるし、安全だ」
今この状況から逃げられるのは有り難いけれど、鶴見中尉と共に行動することも、同じくらい危ないような気がしてナマエの心はざわめいたが、馬はそんなことは御構い無しに全速力で駆けて行き、とうとう兵舎らしきものが見えてしまった。
入り口に見張りの兵士が立っていて、物々しい雰囲気だ。
それでも、馬を繋いで建物の中に入ってしまうと心底安堵して、ほっと息をつく。
2階の部屋に入ると、机や本棚、丸テーブルが設置されていて、鶴見中尉がよく使っている部屋なのだろうとナマエは思う。
「…顔色が悪いね。お茶でも飲んで一息つきなさい」
そう言うと、鶴見中尉はナマエを椅子に座らせてお茶を出す。
「あ、私がお淹れしますので…」
「今はあなたがお客さんだ。座っていなさい」
ナマエは居心地の悪さを感じつつ、目の前に差し出されたお茶を啜る。
温かいものを飲むと、無条件に心がほぐれるような心地になるのは不思議だ。
鶴見中尉は自分用にも淹れたので、二人はしばらく黙ってお茶を頂いた。