その手を掴んで明日へ行く
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静まり返った部屋の中で息を乱し重なり合った熱と外の吹雪の音が遠くで寂しげに鳴り響いていた。
薄いシーツを胸元まで引き上げ、壁側に背を向けたまま、ルイは息を殺すように丸くなっていた。
先ほどまでの狂おしいほどの情熱と涙が嘘のように、ルイの顔はどんどん青ざめ、アメジスト色の瞳が泳ぎ始めていた。
(……あ……れ……? 私……私、何を……?)
頭が冷えるにつれて、怒涛のように押し寄せてくる現実感。
(……私、なんてことを……ッ)
頭の中で、猛烈な後悔と自己嫌悪が渦を巻いていた。
(……やってしまった……。完全に……やってしまったわ……ッ!)
ルイは両手で顔を覆い、毛布の中へズルズルと潜り込んだ。
背徳感と恥ずかしさ、そして年上としての「後ろめたさ」が一気に爆発し、頭の中でぐるぐると渦を巻く。
エドワード君は未来ある男の子だ。これから元の身体を取り戻し、自分の人生を切り拓いていく大切な存在なのに。
そんな彼に、命がつきかけた20歳の女が寂しさに耐えかねて身を委ね、あろうことか「生きたい」なんて身勝手な欲までぶつけてしまった。
(浅ましいわ……本当に、自分が嫌になる……ッ)
エドワードの真っ直ぐで深い愛に救われたのは事実だ。けれど、大人の自分が彼の優しさに甘えて一線を超えてしまったという事実が、重く胸にのしかかる。彼にこんな傷や未練を残してしまったら、自分が死んだあと、彼はどうなってしまうのか。
申し訳なさと愛おしさで胸が潰れそうになり、ルイがそっと目を開けた時——。
背後から、温かく力強い腕がすっとルイの細い腰に回された。
「……っ!?」
ルイの身体が跳ねる。
エドワードが後ろからルイの背中に身体をぴったりと寄せ、彼女の首筋にゆっくりと顔をうずめてきたのだ。
「……なに一人で『やってしまった』みたいな顔してんだよ」
背中越しに響く、少し低く落ち着いたエドワードの声。
「え……っ、あ……いや、私は……ッ」
「分かりやすいんだよ、お前は」
エドワードは回した腕にギュッと力を込め、逃げようとするルイの身体を自分の方へと引き寄せた。
「どうせ『年下の俺を巻き込んだ』とか『浅ましいことした』とか思って悶々としてんだろ。顔見なくてもわかる」
「〜〜〜〜っ! べ、別にそんな……ッ!」
図星を突かれ、耳まで真っ赤にして狼狽えるルイ。
エドワードは少しだけ身を起こすと、半ば強引にルイの身体をこちらに向かせ、逃げ場をなくすように上からじっと見下ろした。その金色の瞳には、迷いも後悔も微塵もなかった。
「言ったろ。俺がお前を好きだから抱いたんだって」
ルイの乱れた髪を指先で優しく整えながら、エドワードはふっと口元を緩めた。
「お前に一人で後悔させるつもりも、置いていかれるつもりもねぇよ。……腹括れよ、ルイ。俺の人生に首突っ込んだのはお前なんだからさ」
「……エドワード君……」
年上ぶって一人で自己嫌悪に陥っていた自分が、どこまでも恥ずかしくなる。
目の前にいるのは、自分を「守るべき子供」扱いさせず、どこまでも対等に、一人の女として愛し抜く覚悟を決めた「一人の男」だった。
ルイは降参したように目元を緩めると、小さく溜息をついて、彼の胸にそっとおでこを預けた。
エドワードは少し照れくさそうにルイを強く抱きしめ返した。
迷いは完全に消えた。
二人は互いの温もりを確かめ合いながら、セントラルで待つ「約束の日」——すべての決着をつける最終決戦へ向けて、共に歩み出すのだった。
静まり返った部屋の中で息を乱し重なり合った熱と外の吹雪の音が遠くで寂しげに鳴り響いていた。
薄いシーツを胸元まで引き上げ、壁側に背を向けたまま、ルイは息を殺すように丸くなっていた。
先ほどまでの狂おしいほどの情熱と涙が嘘のように、ルイの顔はどんどん青ざめ、アメジスト色の瞳が泳ぎ始めていた。
(……あ……れ……? 私……私、何を……?)
頭が冷えるにつれて、怒涛のように押し寄せてくる現実感。
(……私、なんてことを……ッ)
頭の中で、猛烈な後悔と自己嫌悪が渦を巻いていた。
(……やってしまった……。完全に……やってしまったわ……ッ!)
ルイは両手で顔を覆い、毛布の中へズルズルと潜り込んだ。
背徳感と恥ずかしさ、そして年上としての「後ろめたさ」が一気に爆発し、頭の中でぐるぐると渦を巻く。
エドワード君は未来ある男の子だ。これから元の身体を取り戻し、自分の人生を切り拓いていく大切な存在なのに。
そんな彼に、命がつきかけた20歳の女が寂しさに耐えかねて身を委ね、あろうことか「生きたい」なんて身勝手な欲までぶつけてしまった。
(浅ましいわ……本当に、自分が嫌になる……ッ)
エドワードの真っ直ぐで深い愛に救われたのは事実だ。けれど、大人の自分が彼の優しさに甘えて一線を超えてしまったという事実が、重く胸にのしかかる。彼にこんな傷や未練を残してしまったら、自分が死んだあと、彼はどうなってしまうのか。
申し訳なさと愛おしさで胸が潰れそうになり、ルイがそっと目を開けた時——。
背後から、温かく力強い腕がすっとルイの細い腰に回された。
「……っ!?」
ルイの身体が跳ねる。
エドワードが後ろからルイの背中に身体をぴったりと寄せ、彼女の首筋にゆっくりと顔をうずめてきたのだ。
「……なに一人で『やってしまった』みたいな顔してんだよ」
背中越しに響く、少し低く落ち着いたエドワードの声。
「え……っ、あ……いや、私は……ッ」
「分かりやすいんだよ、お前は」
エドワードは回した腕にギュッと力を込め、逃げようとするルイの身体を自分の方へと引き寄せた。
「どうせ『年下の俺を巻き込んだ』とか『浅ましいことした』とか思って悶々としてんだろ。顔見なくてもわかる」
「〜〜〜〜っ! べ、別にそんな……ッ!」
図星を突かれ、耳まで真っ赤にして狼狽えるルイ。
エドワードは少しだけ身を起こすと、半ば強引にルイの身体をこちらに向かせ、逃げ場をなくすように上からじっと見下ろした。その金色の瞳には、迷いも後悔も微塵もなかった。
「言ったろ。俺がお前を好きだから抱いたんだって」
ルイの乱れた髪を指先で優しく整えながら、エドワードはふっと口元を緩めた。
「お前に一人で後悔させるつもりも、置いていかれるつもりもねぇよ。……腹括れよ、ルイ。俺の人生に首突っ込んだのはお前なんだからさ」
「……エドワード君……」
年上ぶって一人で自己嫌悪に陥っていた自分が、どこまでも恥ずかしくなる。
目の前にいるのは、自分を「守るべき子供」扱いさせず、どこまでも対等に、一人の女として愛し抜く覚悟を決めた「一人の男」だった。
ルイは降参したように目元を緩めると、小さく溜息をついて、彼の胸にそっとおでこを預けた。
エドワードは少し照れくさそうにルイを強く抱きしめ返した。
迷いは完全に消えた。
二人は互いの温もりを確かめ合いながら、セントラルで待つ「約束の日」——すべての決着をつける最終決戦へ向けて、共に歩み出すのだった。
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