第八の罪、その名は
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第二章:交錯する影と暴かれる真実
2. 賢者の石の研究書と夜の密告
壊れたオートメイルを治すため、そしてスカーの脅威から身を守るため、エドたちはアームストロング少佐の護衛のもと、リゼンブールへと向かう列車に乗っていた。
その途中、少佐の計らいにより立ち寄った小さな村で、元・軍属の研究者であるティム・マルコー博士と出会う。
マルコーは自らの過去を恥じ、多くを語ろうとはしなかったが、エドたちの必死の覚悟に押され、ただ一つだけ「手掛かりの在処」を告げた。
「国立中央図書館の第一分館だ……そこに私の研究書が隠してある。……だが探すな、そこにあるのは絶望だ」
◇
次の列車を待つ寂れた駅の待合室。
少佐がエドとアルをなだめ、飲み物を買いに行っている間、エイミーは一人、待合室を抜け出して駅の隅にある薄暗い公衆電話ボックスへと向かっていた。
全身がガタガタと激しく震えている。
(第一図書館の……研究書……)
もしエドたちがその研究書を手に入れ、解読してしまったら——。
「賢者の石の材料が人間であること」、そして「自分たちの体内に脈打つ石の真実」をすべて知られてしまう。
『エイミー……お前、まさか……っ』
脳裏に浮かぶのは、真実を知ったエドが自分を「化け物」として軽蔑し、激怒し、拒絶する姿だった。
(嫌……っ! 嫌だ!! 知られたくない……っ!!)
【臆病(Cowardice)】という原罪が、エイミーの理性を塗りつぶしていく。
エドに嫌われたくないという身勝手な恐怖から、彼女は暗号ダイヤルを回した。
暗線が繋がり、受話器から聞こえてきたのは——艶やかで、恐ろしく冷ややかな女性の声だった。
『……あら、エイミー。久しぶりね、どうしたの?』
「ラ……ラスト……っ」
息を呑みながら、エイミーは震える声で密告した。
「報告です……っ! マルコー博士の潜伏先を見つけました……この先の村の診療所です! それと……『鋼』たちが、彼の研究書が『国立中央図書館・第一分館』にあると知ってしまいました……っ!」
『ふぅん……第一分館ね。ふふ、でかしたわ、私の可愛い落ちこぼれのエイミー』
「お……お願いです、ラスト……っ! エドワードさんたちが研究書を読む前に……あの場所をどうにかしてください……っ!!」
エドに真実を知られたくない一心で、すがりつくように叫ぶエイミー。
電話の奥で、ラストの冷ややかな微笑みが伝わってきた。
『ええ、分かったわ。研究書もろとも……綺麗に燃やしてあげる。マルコーの件も、こちらで『処理』しておくわ』
ツートン、ツートンと切れる通話音。
受話器を置いたエイミーは、自分のしでかしたことの大きさに、電話ボックスの中でガクガクと膝を折り、嗚咽を漏らした。
(ごめん……ごめんなさいエドワードさん……っ!!)
自分が「真実を知られたくない」という自己保身のためにラストへ電話をした結果、第一分館が全焼し、さらに「余計な報告をしたせいで、マルコー博士が拉致されてしまう」という最悪の引き金を引き下ろしてしまったことを、彼女は後になって知り、激しい悔恨と罪の意識に苛まれることになるのだった。
第二章:交錯する影と暴かれる真実
2. 賢者の石の研究書と夜の密告
壊れたオートメイルを治すため、そしてスカーの脅威から身を守るため、エドたちはアームストロング少佐の護衛のもと、リゼンブールへと向かう列車に乗っていた。
その途中、少佐の計らいにより立ち寄った小さな村で、元・軍属の研究者であるティム・マルコー博士と出会う。
マルコーは自らの過去を恥じ、多くを語ろうとはしなかったが、エドたちの必死の覚悟に押され、ただ一つだけ「手掛かりの在処」を告げた。
「国立中央図書館の第一分館だ……そこに私の研究書が隠してある。……だが探すな、そこにあるのは絶望だ」
◇
次の列車を待つ寂れた駅の待合室。
少佐がエドとアルをなだめ、飲み物を買いに行っている間、エイミーは一人、待合室を抜け出して駅の隅にある薄暗い公衆電話ボックスへと向かっていた。
全身がガタガタと激しく震えている。
(第一図書館の……研究書……)
もしエドたちがその研究書を手に入れ、解読してしまったら——。
「賢者の石の材料が人間であること」、そして「自分たちの体内に脈打つ石の真実」をすべて知られてしまう。
『エイミー……お前、まさか……っ』
脳裏に浮かぶのは、真実を知ったエドが自分を「化け物」として軽蔑し、激怒し、拒絶する姿だった。
(嫌……っ! 嫌だ!! 知られたくない……っ!!)
【臆病(Cowardice)】という原罪が、エイミーの理性を塗りつぶしていく。
エドに嫌われたくないという身勝手な恐怖から、彼女は暗号ダイヤルを回した。
暗線が繋がり、受話器から聞こえてきたのは——艶やかで、恐ろしく冷ややかな女性の声だった。
『……あら、エイミー。久しぶりね、どうしたの?』
「ラ……ラスト……っ」
息を呑みながら、エイミーは震える声で密告した。
「報告です……っ! マルコー博士の潜伏先を見つけました……この先の村の診療所です! それと……『鋼』たちが、彼の研究書が『国立中央図書館・第一分館』にあると知ってしまいました……っ!」
『ふぅん……第一分館ね。ふふ、でかしたわ、私の可愛い落ちこぼれのエイミー』
「お……お願いです、ラスト……っ! エドワードさんたちが研究書を読む前に……あの場所をどうにかしてください……っ!!」
エドに真実を知られたくない一心で、すがりつくように叫ぶエイミー。
電話の奥で、ラストの冷ややかな微笑みが伝わってきた。
『ええ、分かったわ。研究書もろとも……綺麗に燃やしてあげる。マルコーの件も、こちらで『処理』しておくわ』
ツートン、ツートンと切れる通話音。
受話器を置いたエイミーは、自分のしでかしたことの大きさに、電話ボックスの中でガクガクと膝を折り、嗚咽を漏らした。
(ごめん……ごめんなさいエドワードさん……っ!!)
自分が「真実を知られたくない」という自己保身のためにラストへ電話をした結果、第一分館が全焼し、さらに「余計な報告をしたせいで、マルコー博士が拉致されてしまう」という最悪の引き金を引き下ろしてしまったことを、彼女は後になって知り、激しい悔恨と罪の意識に苛まれることになるのだった。
