ナイチンゲールに捧ぐ勝利を
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最終決戦、天空の棺にて。
「——ぐあぁぁぁぁぁッッ!!」
宙に浮かぶ要塞「天空の棺」を揺るがす、死柄木(AFO)の凶悪な咆哮。
相澤先生と物間くんが【抹消】の目を見開き、私が【治癒(ドーピング)】で二人の過負荷を極限まで押し下げ続けている中心で、戦況は最悪の悲劇を迎えていた。
前線で跳び回っていた爆豪くんの胸を、死柄木の容赦ない一撃が貫く。
弾け飛んだオールマイトのカード。
そして——力なく、ドサリと冷たい要塞の床へ崩れ落ちる彼の体。
「……爆豪……くん……?」
心拍の共鳴が、プツリと途切れた。
命の灯火が消え失せる感触が、私の【治癒】のラインを通じて脳裏に叩きつけられる。
(うそ……うそよ……爆豪くん……っ!!)
脳裏を駆け巡るのは、神野のアジトで私を守ろうとしてくれた姿、夕暮れのグラウンドで「俺だけがお前を認めてる」と肯定してくれた温もり、そして病室で震える手で私にしがみつき、私を失う恐怖を露わにしたあの男の情熱——。
私にとって、彼はもう「ただの生徒」なんて枠に収まる存在じゃなかった。
「——フローラ!!」
叫んだのは、隣に立つ相澤先生だった。
片目を血走らせ、【抹消】を放ち続ける相澤先生の瞳には、絶望ではなく、私と同じ「あいつ(爆豪)を死なせるわけにはいかない」という激しい意思が宿っていた。
「行けッ!! あいつを……死なせるな!!」
「——はいッ!!」
相澤先生も、私も、爆豪くんを死なせる気なんて微塵もない。
教員としての命ぜられた役割を果たすように、私はその一言と同時に、捕縛布を蹴って前線へと跳び出した。
「待て、Ms.フローレンス!!」
駆け寄ったエッジショットが、鋭い声で制止をかける。
彼は自身の肉体を極限まで細く引き延ばし、今にも爆豪くんの胸の中へと潜り込もうとしていた。
「お前の体細胞はもう限界だ! これ以上【治癒】の過剰使用(オーバーリミット)をやれば、お前自身の心臓が止まる!!」
「ですが……爆豪くんが……ッ!!」
「分かっている! だから頼む……今はお前の命を維持できる『死なせない程度の最小限の治癒』に留めろ! 心臓の外科的補修は私がやる!! お前が死んだら、相澤も……こいつも報われん!!」
「……っ!!」
自分自身には一切バフが掛けられない体構造。
全身の皮膚から血が滲み出そうになるのを歯を食いしばって耐え、私は伸ばした捕縛布から、爆豪くんの冷たくなっていく肉体へ向けて「命の最小ライン」を繋ぎ止めた。
(死なせない……絶対、死なせない……!!)
教員として、副担任として、生徒を守るためにここに立っている。
表向きはそう自分に言い聞かせながらも、溢れ出す涙と震える声からは、一人の男を心から愛しく想う感情が隠しきれずに漏れ出していた。
「このまま終わらせないって言ったじゃない……っ!!」
エッジショットが彼の心臓を補修し、私の【治癒】がその途切れかけた細胞の息吹をぎりぎりで繋ぎ止める。
「死なないで……っ!お願いだから目を覚まして……爆豪くん……っっ!!! 私を……置いて行かないで……っっ!!!」
自身の個性の限界を超え、血ヘドを吐きながらも、フローラは滲み出る愛おしさを全身で叫びながら、冷たい要塞の上で彼の鼓動が戻るその瞬間を信じて命を繋ぎ続けるのだった。
最終決戦、天空の棺にて。
「——ぐあぁぁぁぁぁッッ!!」
宙に浮かぶ要塞「天空の棺」を揺るがす、死柄木(AFO)の凶悪な咆哮。
相澤先生と物間くんが【抹消】の目を見開き、私が【治癒(ドーピング)】で二人の過負荷を極限まで押し下げ続けている中心で、戦況は最悪の悲劇を迎えていた。
前線で跳び回っていた爆豪くんの胸を、死柄木の容赦ない一撃が貫く。
弾け飛んだオールマイトのカード。
そして——力なく、ドサリと冷たい要塞の床へ崩れ落ちる彼の体。
「……爆豪……くん……?」
心拍の共鳴が、プツリと途切れた。
命の灯火が消え失せる感触が、私の【治癒】のラインを通じて脳裏に叩きつけられる。
(うそ……うそよ……爆豪くん……っ!!)
脳裏を駆け巡るのは、神野のアジトで私を守ろうとしてくれた姿、夕暮れのグラウンドで「俺だけがお前を認めてる」と肯定してくれた温もり、そして病室で震える手で私にしがみつき、私を失う恐怖を露わにしたあの男の情熱——。
私にとって、彼はもう「ただの生徒」なんて枠に収まる存在じゃなかった。
「——フローラ!!」
叫んだのは、隣に立つ相澤先生だった。
片目を血走らせ、【抹消】を放ち続ける相澤先生の瞳には、絶望ではなく、私と同じ「あいつ(爆豪)を死なせるわけにはいかない」という激しい意思が宿っていた。
「行けッ!! あいつを……死なせるな!!」
「——はいッ!!」
相澤先生も、私も、爆豪くんを死なせる気なんて微塵もない。
教員としての命ぜられた役割を果たすように、私はその一言と同時に、捕縛布を蹴って前線へと跳び出した。
「待て、Ms.フローレンス!!」
駆け寄ったエッジショットが、鋭い声で制止をかける。
彼は自身の肉体を極限まで細く引き延ばし、今にも爆豪くんの胸の中へと潜り込もうとしていた。
「お前の体細胞はもう限界だ! これ以上【治癒】の過剰使用(オーバーリミット)をやれば、お前自身の心臓が止まる!!」
「ですが……爆豪くんが……ッ!!」
「分かっている! だから頼む……今はお前の命を維持できる『死なせない程度の最小限の治癒』に留めろ! 心臓の外科的補修は私がやる!! お前が死んだら、相澤も……こいつも報われん!!」
「……っ!!」
自分自身には一切バフが掛けられない体構造。
全身の皮膚から血が滲み出そうになるのを歯を食いしばって耐え、私は伸ばした捕縛布から、爆豪くんの冷たくなっていく肉体へ向けて「命の最小ライン」を繋ぎ止めた。
(死なせない……絶対、死なせない……!!)
教員として、副担任として、生徒を守るためにここに立っている。
表向きはそう自分に言い聞かせながらも、溢れ出す涙と震える声からは、一人の男を心から愛しく想う感情が隠しきれずに漏れ出していた。
「このまま終わらせないって言ったじゃない……っ!!」
エッジショットが彼の心臓を補修し、私の【治癒】がその途切れかけた細胞の息吹をぎりぎりで繋ぎ止める。
「死なないで……っ!お願いだから目を覚まして……爆豪くん……っっ!!! 私を……置いて行かないで……っっ!!!」
自身の個性の限界を超え、血ヘドを吐きながらも、フローラは滲み出る愛おしさを全身で叫びながら、冷たい要塞の上で彼の鼓動が戻るその瞬間を信じて命を繋ぎ続けるのだった。
