TFADVネタ
·ストが狼に唇を押し付けるだけのキスをして離れる。
「こ、子供扱いしないで…」
それだけで真っ赤になって声を震わせる姿は子供以外の何物でもない。
羞恥心に耐え切れずに踵を返して逃げようとするのだから尚更に。
「お嬢さん」
内心の動揺をおくびにも出さずに、狼はストの手を掴むとニッコリと微笑んだ。
「気を付けて帰ると良い。君は時々とんでもないヘマをやらかすから」
「!!!?~~~~~っ!!」
怒りも加わって茹で蛸状態で走り去る背中を、ヒラヒラと手を振って見送る。
あの様子では見えていないだろう。
「…フフッ……」
狼が目元を朱に染め唇を舐めて幸福の余韻に浸っていると、チクチクとした感覚がしてそちらに目を向ける。
「……ムカツク…」
「……嫌われちまえば良いのに…」
自称『ストの一番の仲良し』が刺すような視線で狼を見ていた。
「残念ながら、お嬢さんは俺の事が好きらしい。嫌いになるように仕向けるのは大変そうだが、試してみるかい?」
マイクロン相手に大人気無い挑発をしつつ、次に顔を合わせた時のストの反応を想像する。
「……フフ…、今まで以上に子供扱いしてあげるとしようか」
·君が憎いよ
---------------
友人ネタから。
お見送りの話。
◇◇◇◇◇
「良い? 刑期を終えるまでちゃんと良い子にしてなさいよ?」
ストロングアームの手が優しく頬を撫でる。
抵抗するでなく、寧ろ屈んで頭を差し出し耳を後ろに垂らしながらも、口調は傲慢で不遜で可愛気が無い。
「まるで、地球人の母親というもののような事を言う。子供扱いしないでくれないか。それとも、咬み付き癖の治らない犬扱いかな?
そんなに期待をされたら監獄を乗っ取―――」
「待ってるから」
ストロングアームはスチールジョーの言葉を遮って、彼を引き寄せて視線を合わせる。
ヒタリとスチールジョーを見据える視線の強さに、引き寄せられるようにストロングアームの唇に噛み付いて、直ぐに放す。
唇が切れて血が滲んでも、青く澄んだ眼差しは揺るぎ無くスチールジョーに据えられたままだ。
「良い子にして、定められた刑期を終えて出て来なさい。……それまで、待ってるから」
スチールジョーは両手でソッとストロングアームの首を包む。
力を込めればいとも簡単に折ってしまえるのに力を込める気にならず、指先でヤワヤワと弄ぶ事しか出来無い。
「……君が憎くて仕方が無いよ。君は俺の首輪だ。君さえ居なければ、俺は鎖に繋がれる事も檻に閉じ込められる事も無かっただろうに…」
傷口に舌を這わせて血を舐め取る。
血が止まるまで何度も何度も丁寧に、恭しく。
「……良い子で待っていろ。戻ったら俺を捕まえた責任を取って貰うからな?ストロングアーム」
·◆角の方が自信有るかもしれないが。
艦に入るのに狼さんは泳いだのか?
◇◇◇◇◇
3話、舞台裏。
狼「お嬢さん、お疲れ様」
抱き付いてスリスリ。
スト「んっ…、貴方もお疲れ様。離れて」
耳をモフモフ。
狼「つれない事を言う。俺は今、癒されたい気分なんだ、もう少し付き合ってくれ」
スト「嫌よ、新しく入った共演者にでも癒して貰うとか…」
狼「グロウストライクの事か? あの刺々しい女はお嬢さんのように漬け込み易―――、お嬢さんのように優しくないからな」
スト「誰が漬け込み易いっていうのよ!? もー!離れて!はーなーれーてー!」
兜虫「随分と仲が良いな、二人は恋人同士なのかな?」
狼「そうだ」・ スト「違うわ!」
兜虫「ふむ、成程」(ニコリ)
狼「言っておくが、お嬢さんが好きなのはマイクロンかモフモフか美人だ」(ドヤ顔)
ギュウギュウ抱き締める。
兜虫「忠告は有難く受け取ろう。が、―――お嬢さん、翅を触ってみたくはないかな?」
スト「……………翅……」(キラキラ)
狼「……毟り取るか」
·7話NGシーン
◇◇◇◇◇
スト「ハッ!!」
蹴りが股間を強打。
狼「ゥグッ!? っ……~~~ん゙ん゙ぅぅぅ…」(悶絶)
監督「はいカット! 大丈夫か!?」
狼「……大丈夫…では、ない……な…」
スト「ご、ごめんなさい! 強く蹴り過ぎたわ! 撫でれば治る!?」(オロオロ)
狼「落ち着いてくれお嬢さん。……気持ちは…嬉しいが、…お嬢さんに撫でられると、……撮影どころでは…なくなる…。是非…撮影後に、……誰も居ない所でお願いするよ…」
スト「分か―――」
フィク「あかーん!! そんなん了承したらあきません!! 頭の先から足の先までパクッと喰われてまいますぅ!!」
◇◇◇◇◇
皆の前で撫でて貰おうとして野郎共にボコられる狼さんでも良いです
·ワン!ワン!ワン!の日。
「私の犬に触らないでくれるかしら?」とか、「私の犬は誰の命令にも従わないわ、お願いなら時々聞いてくれるけど」とか、とにかく『私の犬』って呼ばせたい。
……ん? ぁ、他人の真似たわけじゃねぇです。(汗)
◇◇◇◇◇
狼「…スンスン……カプッ!」
スト「痛っ!? ~~~っ、スチールジョーお座り!」
狼「従えないな。君の匂いに混じって知らない匂いがする、君が誰のものか分かり易く示しておかないと。…アグアグ…」
スト「重い! 痛い! いい加減にしないと捨てて来るわよ!?馬鹿犬!」
狼「無駄だよ、君の匂いを辿って戻れるからね。俺の飼い主になったからにはそう易々と離れられると思うなよ?お嬢さん」
·◆俺が君を許す。
お偉いさん?の警護に失敗して処罰されそうなストちゃんを拐いに来た狼さん。
狼「迎えに来たよ、お嬢さん」
スト「私…、私は、何て事を…!」
狼「君の所為じゃないだろう? けど、君が自分自身を許せないのなら俺が君を許してあげる」
スト「私は許しなんて欲しくないわ!」
狼「許すよ、君を含めて全ての人が君を許さなくても、俺は君を許す」
スト「…や…めて……」
狼「君は悪くない。悪いのは、君を許さない世界の方だ」
スト「……スチールジョー…」
狼「罰せられるべきなのは、世界の方だ」
·◆狼の親子
息子「ストロングアーム! あんなヤツよりゼッタイ幸せにしてやるから、オレのヨメになってくれ!」
スト「あら? ふふっ…。どうしようかしら?」
狼「ストロングアームは俺の嫁だ、お前にはあげない。そういう事は俺に勝てるようになってから言え」
娘「パパどころか私にもまだ勝てないんだから、とうぶんは無理ね。それと、パパ以上にママを幸せにしてあげるなんて貴方には無理だから、思い上がらないで」
息子「うっ……!」(泣)
スト「男の子が簡単に泣いたら駄目よ。今はまだ身体が小さいから直ぐに負けるけど、大きくなったらスチールジョーにも5回に1回くらいは勝てるようになるから」
息子「5回に1回だけ…!?」
狼「頑張って強くなれよ、泣き虫息子。素質は十分過ぎるほど有るんだからな」
·身体が重い。
それに反して浮かび上がるような意識の軽さに、スパークが身体から抜けようとしているのだと気付く。
背中に感じる地面がやけに冷たく感じた。
「……残念だ…な…」
打ち立てた望みは叶わず、個人的な淡い夢もここで断ち切られると思えば、寂寥感で胸が冷える。
「……とても、残念だ…」
ガシャッとディセプティコンハンターを取り落とし、傍に崩れ落ちたお嬢さんが涙をボロボロと溢して俺に縋り付いた。
「……生きたい…」
お嬢さんが戦慄く唇で溢した。
「フ……ハ、ハハ…、生きれば良い、……君の傷は、リペアすれば…治る…」
声を出すのも億劫で、それでも笑みを浮かべる。皆が『胡散臭い』と言う笑み、しかし本心からの笑みを。
「……違う。違うのよスチールジョー…。私は、……貴方と生きたいのよ…」
溢れ出る涙を拭う事もせず、俺に致命傷を与えたその手で縋り付いて、お嬢さんは子供のように嗚咽を溢した。
感情に引き摺られずに役割を全うしたお嬢さんが憐れでいじらしく、つい「……良いよ…」と応えてしまった。
「良いよ。……スパークが…散り散りになるまでの間だけで…良ければ…」
その言葉を聞いた瞬間、お嬢さんの目に光が宿ったような気がした。
「……良いのね?」
ディセプティコンのように利己的な色を目に滲ませている。
そんな顔をされたら、撤回なんて出来るわけが無いだろう?
・・・・・・・・・・
「損傷部を見せろ」
スチールジョーはストロングアームの部屋まで彼女を引き摺るようにして連れて行くと、逃げられないように腕を掴んで押さえ付ける。
「……何の事かしら?」
ストロングアームのわざとらしい目の逸らし方に、空いている方の手で顎を掴んで上向かせて視線を合わせた。
「それで誤魔化せると思っているのか? 俺の中の君のスパークが痛むんだ、無理矢理調べられたくなかったら見せろ」
「っ………!」
ストロングアームはグッと唇を噛んで眉間に皺を寄せ、怒るというよりは悲しむような表情を見せた。
もはや風前の灯であったスチールジョーのスパークを身体に繋ぎ留める為にストロングアームに提示された方法は、彼女のスパークを接着剤代わりに少し混ぜるというものだった。
普通に考えて成功するとは思えないような方法だったが、他に手は無く、ただ死なせるくらいなら試す他無かった。
その結果、成功率がかなり低かったらしい試みは奇跡的に成功した。
ただ、幾つかの副作用が有り、その1つはストロングアームが損傷すれば痛みがスチールジョーにも伝わるという事。
「……もう治ってると思うわよ?痛くないもの」
ストロングアームはスチールジョーを睨むように見据えて、尚も無駄な抵抗をする。
「俺に服を引き剥がされるのをお望みかい?」
「っ!?……~~~っ、ああもうっ!!分かったわよ!! これで満足!?」
スチールジョーの手をベシリと叩き落とし、豪快に服を脱ぎ捨て、ストロングアームは彼に背中を向けた。
今日も実用性重視のスポーツブラ。
本当は可愛いキャラクター柄の下着も持っているのだが、そっちを着けているのをスチールジョーは見た事が無い。
『可愛いものは自分に似合わない』とストロングアームは思っているようだが、そういう頭の固いところがスチールジョーはドロドロに甘やかしたくなるほど可愛く思っていて、近いうちに必ずや言いくるめて着けさせて恥ずかしがる顔を見ようと画策していた。
「ああ、傷は塞がっているな。赤く痕が残っている程度か」
「だから言ったでしょう!『もう治っていると思う』って!」
「ああ。だが、自分で見ない限りは安心出来無いんだ、君は我慢強いから」
「……………どこからが『痛い』と言っても良いのか分からないだけよ」
せっかく脱いだので、ついでに部屋着に着替えてしまう。
傍にスチールジョーが居るが、もう気にしなくなった。
助けてから今日に至るまで、スチールジョーは自分に与えられた部屋には殆ど帰らずストロングアームの部屋に入り浸っている。
「今日も自分の部屋に戻らないつもり?」
「ああ。君から離れると動けなくなるからね」
そう、これも副作用の1つで、一定以上の距離が開けば力が抜けるのだ。
スチールジョーの中に有るストロングアームのスパークが、本体から離れ過ぎると力を維持出来無くなるようだった。
ただし、その距離は街の端と端に離れても大丈夫なくらいなので、部屋に留まる必要は無い。
「……それに、君の傍に居たいと思ってしまう」
腕を引かれて、ストロングアームは特に抵抗もせずスチールジョーの腕の中に抱きすくめられる。
胸と胸を合わせると、双方のスパークがざわめいた。
そのざわめきを言葉にするならば、スチールジョーからは『ただいま』と、ストロングアームからは『おかえり』と。
「これは、君のスパークの所為なのか、俺の元来のものなのかもう分からないが、君が俺を堕としたんだ、責任を取ってくれないか?ストロングアーム」
「……飼うならもっと従順な犬が良かったんだけど」
スチールジョーの背中に腕を回して、肩に額を擦り付け、ストロングアームは悲しそうに、嬉しそうに言う。
「しょうがないわね、貴方を選んでしまったのは私だものね」
「ああ。手の掛かる俺なんかに惹かれるなんて、可哀想なお嬢さん」
スチールジョーもストロングアームの頬に頬を擦り寄せて、悲しそうに、嬉しそうに応じた。
·スト「…ぅ…ん…、……また勝手に布団に入って来てるわね…。朝よ、起きてスチール」
狼「んんぅ…、…無理……」
スト「無理でも起きなさい、朝礼に間に合わなくなるじゃない」
狼「…ゔぅー……、俺は朝が苦手なのを知っているだろうに朝勤務にするとは…、姑息な厭がらせを…」
スト「偶々朝勤務が多いだけで、誰も厭がらせなんてしてないと思うわよ?」
狼「分かってないな…。手塩に掛けて育てた君の傍に、いつ咬み付くか分からない野性の獣が居るんだ、…君の上司の苦悩も分からないではないさ…」
スト「う~ん…」首を傾げる
狼「…ふぁぁ…あ…。…ま、俺は君から離れられないし離れる気も無いんだ、せめて殺処分されないように少しでも点数稼ぎをしておかないとな…。行くか、俺のお嬢さん」
スト「ええ、今日も一日頼んだわよ、私の気高い獣」
「こ、子供扱いしないで…」
それだけで真っ赤になって声を震わせる姿は子供以外の何物でもない。
羞恥心に耐え切れずに踵を返して逃げようとするのだから尚更に。
「お嬢さん」
内心の動揺をおくびにも出さずに、狼はストの手を掴むとニッコリと微笑んだ。
「気を付けて帰ると良い。君は時々とんでもないヘマをやらかすから」
「!!!?~~~~~っ!!」
怒りも加わって茹で蛸状態で走り去る背中を、ヒラヒラと手を振って見送る。
あの様子では見えていないだろう。
「…フフッ……」
狼が目元を朱に染め唇を舐めて幸福の余韻に浸っていると、チクチクとした感覚がしてそちらに目を向ける。
「……ムカツク…」
「……嫌われちまえば良いのに…」
自称『ストの一番の仲良し』が刺すような視線で狼を見ていた。
「残念ながら、お嬢さんは俺の事が好きらしい。嫌いになるように仕向けるのは大変そうだが、試してみるかい?」
マイクロン相手に大人気無い挑発をしつつ、次に顔を合わせた時のストの反応を想像する。
「……フフ…、今まで以上に子供扱いしてあげるとしようか」
·君が憎いよ
---------------
友人ネタから。
お見送りの話。
◇◇◇◇◇
「良い? 刑期を終えるまでちゃんと良い子にしてなさいよ?」
ストロングアームの手が優しく頬を撫でる。
抵抗するでなく、寧ろ屈んで頭を差し出し耳を後ろに垂らしながらも、口調は傲慢で不遜で可愛気が無い。
「まるで、地球人の母親というもののような事を言う。子供扱いしないでくれないか。それとも、咬み付き癖の治らない犬扱いかな?
そんなに期待をされたら監獄を乗っ取―――」
「待ってるから」
ストロングアームはスチールジョーの言葉を遮って、彼を引き寄せて視線を合わせる。
ヒタリとスチールジョーを見据える視線の強さに、引き寄せられるようにストロングアームの唇に噛み付いて、直ぐに放す。
唇が切れて血が滲んでも、青く澄んだ眼差しは揺るぎ無くスチールジョーに据えられたままだ。
「良い子にして、定められた刑期を終えて出て来なさい。……それまで、待ってるから」
スチールジョーは両手でソッとストロングアームの首を包む。
力を込めればいとも簡単に折ってしまえるのに力を込める気にならず、指先でヤワヤワと弄ぶ事しか出来無い。
「……君が憎くて仕方が無いよ。君は俺の首輪だ。君さえ居なければ、俺は鎖に繋がれる事も檻に閉じ込められる事も無かっただろうに…」
傷口に舌を這わせて血を舐め取る。
血が止まるまで何度も何度も丁寧に、恭しく。
「……良い子で待っていろ。戻ったら俺を捕まえた責任を取って貰うからな?ストロングアーム」
·◆角の方が自信有るかもしれないが。
艦に入るのに狼さんは泳いだのか?
◇◇◇◇◇
3話、舞台裏。
狼「お嬢さん、お疲れ様」
抱き付いてスリスリ。
スト「んっ…、貴方もお疲れ様。離れて」
耳をモフモフ。
狼「つれない事を言う。俺は今、癒されたい気分なんだ、もう少し付き合ってくれ」
スト「嫌よ、新しく入った共演者にでも癒して貰うとか…」
狼「グロウストライクの事か? あの刺々しい女はお嬢さんのように漬け込み易―――、お嬢さんのように優しくないからな」
スト「誰が漬け込み易いっていうのよ!? もー!離れて!はーなーれーてー!」
兜虫「随分と仲が良いな、二人は恋人同士なのかな?」
狼「そうだ」・ スト「違うわ!」
兜虫「ふむ、成程」(ニコリ)
狼「言っておくが、お嬢さんが好きなのはマイクロンかモフモフか美人だ」(ドヤ顔)
ギュウギュウ抱き締める。
兜虫「忠告は有難く受け取ろう。が、―――お嬢さん、翅を触ってみたくはないかな?」
スト「……………翅……」(キラキラ)
狼「……毟り取るか」
·7話NGシーン
◇◇◇◇◇
スト「ハッ!!」
蹴りが股間を強打。
狼「ゥグッ!? っ……~~~ん゙ん゙ぅぅぅ…」(悶絶)
監督「はいカット! 大丈夫か!?」
狼「……大丈夫…では、ない……な…」
スト「ご、ごめんなさい! 強く蹴り過ぎたわ! 撫でれば治る!?」(オロオロ)
狼「落ち着いてくれお嬢さん。……気持ちは…嬉しいが、…お嬢さんに撫でられると、……撮影どころでは…なくなる…。是非…撮影後に、……誰も居ない所でお願いするよ…」
スト「分か―――」
フィク「あかーん!! そんなん了承したらあきません!! 頭の先から足の先までパクッと喰われてまいますぅ!!」
◇◇◇◇◇
皆の前で撫でて貰おうとして野郎共にボコられる狼さんでも良いです
·ワン!ワン!ワン!の日。
「私の犬に触らないでくれるかしら?」とか、「私の犬は誰の命令にも従わないわ、お願いなら時々聞いてくれるけど」とか、とにかく『私の犬』って呼ばせたい。
……ん? ぁ、他人の真似たわけじゃねぇです。(汗)
◇◇◇◇◇
狼「…スンスン……カプッ!」
スト「痛っ!? ~~~っ、スチールジョーお座り!」
狼「従えないな。君の匂いに混じって知らない匂いがする、君が誰のものか分かり易く示しておかないと。…アグアグ…」
スト「重い! 痛い! いい加減にしないと捨てて来るわよ!?馬鹿犬!」
狼「無駄だよ、君の匂いを辿って戻れるからね。俺の飼い主になったからにはそう易々と離れられると思うなよ?お嬢さん」
·◆俺が君を許す。
お偉いさん?の警護に失敗して処罰されそうなストちゃんを拐いに来た狼さん。
狼「迎えに来たよ、お嬢さん」
スト「私…、私は、何て事を…!」
狼「君の所為じゃないだろう? けど、君が自分自身を許せないのなら俺が君を許してあげる」
スト「私は許しなんて欲しくないわ!」
狼「許すよ、君を含めて全ての人が君を許さなくても、俺は君を許す」
スト「…や…めて……」
狼「君は悪くない。悪いのは、君を許さない世界の方だ」
スト「……スチールジョー…」
狼「罰せられるべきなのは、世界の方だ」
·◆狼の親子
息子「ストロングアーム! あんなヤツよりゼッタイ幸せにしてやるから、オレのヨメになってくれ!」
スト「あら? ふふっ…。どうしようかしら?」
狼「ストロングアームは俺の嫁だ、お前にはあげない。そういう事は俺に勝てるようになってから言え」
娘「パパどころか私にもまだ勝てないんだから、とうぶんは無理ね。それと、パパ以上にママを幸せにしてあげるなんて貴方には無理だから、思い上がらないで」
息子「うっ……!」(泣)
スト「男の子が簡単に泣いたら駄目よ。今はまだ身体が小さいから直ぐに負けるけど、大きくなったらスチールジョーにも5回に1回くらいは勝てるようになるから」
息子「5回に1回だけ…!?」
狼「頑張って強くなれよ、泣き虫息子。素質は十分過ぎるほど有るんだからな」
·身体が重い。
それに反して浮かび上がるような意識の軽さに、スパークが身体から抜けようとしているのだと気付く。
背中に感じる地面がやけに冷たく感じた。
「……残念だ…な…」
打ち立てた望みは叶わず、個人的な淡い夢もここで断ち切られると思えば、寂寥感で胸が冷える。
「……とても、残念だ…」
ガシャッとディセプティコンハンターを取り落とし、傍に崩れ落ちたお嬢さんが涙をボロボロと溢して俺に縋り付いた。
「……生きたい…」
お嬢さんが戦慄く唇で溢した。
「フ……ハ、ハハ…、生きれば良い、……君の傷は、リペアすれば…治る…」
声を出すのも億劫で、それでも笑みを浮かべる。皆が『胡散臭い』と言う笑み、しかし本心からの笑みを。
「……違う。違うのよスチールジョー…。私は、……貴方と生きたいのよ…」
溢れ出る涙を拭う事もせず、俺に致命傷を与えたその手で縋り付いて、お嬢さんは子供のように嗚咽を溢した。
感情に引き摺られずに役割を全うしたお嬢さんが憐れでいじらしく、つい「……良いよ…」と応えてしまった。
「良いよ。……スパークが…散り散りになるまでの間だけで…良ければ…」
その言葉を聞いた瞬間、お嬢さんの目に光が宿ったような気がした。
「……良いのね?」
ディセプティコンのように利己的な色を目に滲ませている。
そんな顔をされたら、撤回なんて出来るわけが無いだろう?
・・・・・・・・・・
「損傷部を見せろ」
スチールジョーはストロングアームの部屋まで彼女を引き摺るようにして連れて行くと、逃げられないように腕を掴んで押さえ付ける。
「……何の事かしら?」
ストロングアームのわざとらしい目の逸らし方に、空いている方の手で顎を掴んで上向かせて視線を合わせた。
「それで誤魔化せると思っているのか? 俺の中の君のスパークが痛むんだ、無理矢理調べられたくなかったら見せろ」
「っ………!」
ストロングアームはグッと唇を噛んで眉間に皺を寄せ、怒るというよりは悲しむような表情を見せた。
もはや風前の灯であったスチールジョーのスパークを身体に繋ぎ留める為にストロングアームに提示された方法は、彼女のスパークを接着剤代わりに少し混ぜるというものだった。
普通に考えて成功するとは思えないような方法だったが、他に手は無く、ただ死なせるくらいなら試す他無かった。
その結果、成功率がかなり低かったらしい試みは奇跡的に成功した。
ただ、幾つかの副作用が有り、その1つはストロングアームが損傷すれば痛みがスチールジョーにも伝わるという事。
「……もう治ってると思うわよ?痛くないもの」
ストロングアームはスチールジョーを睨むように見据えて、尚も無駄な抵抗をする。
「俺に服を引き剥がされるのをお望みかい?」
「っ!?……~~~っ、ああもうっ!!分かったわよ!! これで満足!?」
スチールジョーの手をベシリと叩き落とし、豪快に服を脱ぎ捨て、ストロングアームは彼に背中を向けた。
今日も実用性重視のスポーツブラ。
本当は可愛いキャラクター柄の下着も持っているのだが、そっちを着けているのをスチールジョーは見た事が無い。
『可愛いものは自分に似合わない』とストロングアームは思っているようだが、そういう頭の固いところがスチールジョーはドロドロに甘やかしたくなるほど可愛く思っていて、近いうちに必ずや言いくるめて着けさせて恥ずかしがる顔を見ようと画策していた。
「ああ、傷は塞がっているな。赤く痕が残っている程度か」
「だから言ったでしょう!『もう治っていると思う』って!」
「ああ。だが、自分で見ない限りは安心出来無いんだ、君は我慢強いから」
「……………どこからが『痛い』と言っても良いのか分からないだけよ」
せっかく脱いだので、ついでに部屋着に着替えてしまう。
傍にスチールジョーが居るが、もう気にしなくなった。
助けてから今日に至るまで、スチールジョーは自分に与えられた部屋には殆ど帰らずストロングアームの部屋に入り浸っている。
「今日も自分の部屋に戻らないつもり?」
「ああ。君から離れると動けなくなるからね」
そう、これも副作用の1つで、一定以上の距離が開けば力が抜けるのだ。
スチールジョーの中に有るストロングアームのスパークが、本体から離れ過ぎると力を維持出来無くなるようだった。
ただし、その距離は街の端と端に離れても大丈夫なくらいなので、部屋に留まる必要は無い。
「……それに、君の傍に居たいと思ってしまう」
腕を引かれて、ストロングアームは特に抵抗もせずスチールジョーの腕の中に抱きすくめられる。
胸と胸を合わせると、双方のスパークがざわめいた。
そのざわめきを言葉にするならば、スチールジョーからは『ただいま』と、ストロングアームからは『おかえり』と。
「これは、君のスパークの所為なのか、俺の元来のものなのかもう分からないが、君が俺を堕としたんだ、責任を取ってくれないか?ストロングアーム」
「……飼うならもっと従順な犬が良かったんだけど」
スチールジョーの背中に腕を回して、肩に額を擦り付け、ストロングアームは悲しそうに、嬉しそうに言う。
「しょうがないわね、貴方を選んでしまったのは私だものね」
「ああ。手の掛かる俺なんかに惹かれるなんて、可哀想なお嬢さん」
スチールジョーもストロングアームの頬に頬を擦り寄せて、悲しそうに、嬉しそうに応じた。
·スト「…ぅ…ん…、……また勝手に布団に入って来てるわね…。朝よ、起きてスチール」
狼「んんぅ…、…無理……」
スト「無理でも起きなさい、朝礼に間に合わなくなるじゃない」
狼「…ゔぅー……、俺は朝が苦手なのを知っているだろうに朝勤務にするとは…、姑息な厭がらせを…」
スト「偶々朝勤務が多いだけで、誰も厭がらせなんてしてないと思うわよ?」
狼「分かってないな…。手塩に掛けて育てた君の傍に、いつ咬み付くか分からない野性の獣が居るんだ、…君の上司の苦悩も分からないではないさ…」
スト「う~ん…」首を傾げる
狼「…ふぁぁ…あ…。…ま、俺は君から離れられないし離れる気も無いんだ、せめて殺処分されないように少しでも点数稼ぎをしておかないとな…。行くか、俺のお嬢さん」
スト「ええ、今日も一日頼んだわよ、私の気高い獣」