TFADVネタ

·数年後。
馬鹿ップルの延長線。


部屋に満ちるピリピリとした空気。
無言で相手が謝るのを待つ夫婦に、資料を届けに来た部下は用件のみを伝えて足早に立ち去る。
そしてまた満ちるピリピリとした空気に先に白旗を掲げたのはサンダーフーフだった。

「……分かった、俺が悪かった。だから、んなトコで拗ねんな、部下がリアクションに困ってっだろが」

机に資料を放って、膝の上に触れる。
正確に言うならば、サンダーフーフの膝の上で自身の膝を抱えて座っているストロングアームに触れる。

「……拗ねてないわ。ただ貴方の顔も見たくないし、貴方と話もしたくない気分だっただけよ」

そう言いながらも背中は『寂しい、構って』と語っていて、サンダーフーフが全身を囲い込むように抱き寄せると、無意識に安堵の溜め息を吐いた。

「……次は無いと思いなさい」

わざと高飛車に言い放つところが相変わらず子供っぽい。

「ん。二度としねぇから、いい加減顔コッチ向けろ。キスできねぇだろが」


·逃がすとでも?
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擬人化。
恋人設定で。
刑期を全うして帰って来る話。



◇◇◇◇◇
サンダーフーフが刑期を終える日を指折り数えて待っていたが、いざ釈放の日を迎えるとストの胸に不安が押し寄せて来た。

「……ああぁぁぁ…どうしよう…。…うぅぅ…、刑期が長いあの人が悪いのよ…!」

仕事熱心なストは最後にサンダーフーフと会った時よりも出世しており、その地位を得る為には相当な努力が要った。
曲がった事が嫌いなストが取れる方法は実績を積み重ねるしか無く、どんな犯罪者も逃がさないように身体を鍛えまくるしか無い。
つまり、今のストはあの頃よりも筋肉質なのだ。

「や、やっぱり男の人は、綺麗な人とか可愛い人の方が好きよねぇ?きっと…。 ……はぁ…」

女性型でありながら並大抵の男性型よりも強いストへの妬みも有り、陰で『あれは女ではない』と言われている。
他人に何を言われようが気にしないが、サンダーフーフにまでそう思われるのは怖かった。

ゲートを物陰から窺う。
どこから知ったのか、部下だったと思われる男性数人と愛人だったと思われる女性がサンダーフーフを囲んでいた。

「…ぁ……、そう…だったわ…、可愛い部下達が待っているんだったわね…」

チラリと顔を見て元気そうな事を確認すると、コッソリその場を離れる。
身心共に鍛えたつもりでいたが、長く想い続けたからか胸が痛い。
家に帰ったら泣こうと思い先を急ぐ。

家に着くと、目の縁に溜まった涙で視界が霞んで鍵がなかなか開けられず手間取ったが、漸くドアを開けるとボタボタと大粒の涙が溢れた。

「……ふ…うぅぅぅ……っ」

「―――テメェで逃げといて泣くのかよ」

腰に太い腕が巻き付き、抱えられてドアを潜る。

「っ……!? サンダーフーフ!!」

「一人暮らしか? にしちゃあ広ぇ気がするが、まさか野郎と暮らしてたりはしねぇだろなぁ?」

どうやら尾行されていたらしい。
予想外の事態に思考が空回っているストを、向かい合うように抱え直す。

「まぁ、居たところで追い出すがなぁ。俺から逃げられっと思うなよ?ストロングアーム。オメェは俺の物でぃ」

ガブリと噛み付くようなキスにストの思考は更に混乱して、反論も制止も出来ない。

「…ふ…ぅ……っ、んん……はぁ…ぁ…」

苦しいくらいに抱き締められて、それが何とも言えず幸せでストはまた泣く。

「…は……、泣く前に言う事が有んだろが。暫く動けねぇほど啼かすつもりなんでぃ、早く言え」

唇が触れるほど近くで、獰猛な獣が咽を鳴らしながら待つ。
ゾクゾク…と震える背筋から押し出されるように、ストの口から躊躇っていた言葉が滑り出た。

「………お帰りなさい…」

ストの指先が、目の前の存在を確かめるように顔の輪郭を辿る。

「おぅ、ただいま」

言えたご褒美とばかりに先程よりも深いキスで翻弄され、クタリとなったところで抱え上げて運ばれる。

「会えねぇ間不安だったのぁオメェだけだと思うなよ。身を以て分からせてやっから覚悟しろよ?馬鹿娘」



◇◇◇◇◇
途中端折った部分の解説。
部下達と愛人さんには「今は別な奴が頭やってんだろ? なら俺ぁ必要無ぇ」とか言って蹴散らした。
ヒモ(鹿さん/笑)を飼う為に大きめの戸建てを購入。
筋肉質にはなったけど胸は減ってないし、尻に弾力が有って触り心地が増したとご満悦。(笑)


·スト「……………えいっ!」
フラクチャーの腰に抱き付く。
フラ「うおっ!? あ、危ねぇだろ嬢ちゃん! 反射的に包丁振り下ろすとこだったぜぃ!」
スト「え? あ、ごめんなさい。つい……」
ダイ「つい、ボスの尻に頬擦りしたくなっちまったのか?」
スト「お尻じゃなくて腰だし、頬擦りはしてないわよ」
フラ「料理終わったら好きにしてくれて構わねぇから、今は一旦離れて欲しいんだぜぃ」
スト「あら? そ、そうよね、重ね重ねごめんなさい…」
腰から腕を離す。
エア「疲れてんのか? 後で好きなだけボスを貸してやるから、今は良い子にして待ってろよ?」


·見た目ほど脆くない 

友人の骨折一家が可愛かったので、こっちも可愛く。

アン「―――ってぇ事で、頼んだぜ!」
バシッ!(肩を叩く)
フラ「っ……」
ダイ「おい!! お前は馬鹿力なんだから加減しろ!!」
エア「ボスは繊細なんだからな!!」
アン「へぇへぇ、次まで覚えてたらな」(立ち去る)
スト「大丈夫!? 折れてない!?フラクチャー!」(焦り)
フラ「いつも言ってるがそこまで脆くは……。
いや、何か痛ぇ気がするぜぃ、もしかして折れてるかもなぁ」(嘘)
ダイエアスト「「「!!?」」」
ダイ「ボス!!リペアするんで腕見せて下せぇ!!」(オロオロ)
エア「いつも俺達を肩に収めてるんで疲労骨折しちまったとか!?」(オロオロ)
スト「普段、遠慮無く抱き付いてた所為で疲労骨折しちゃったとか…」(オロオロ)
ダイエアスト「「「うっ……!」」」(涙)
フラ「っ!? ―――悪ぃ!!嘘だぜぃ!! どこも折れてねぇし痛くもねぇ!! だからほら、泣くな!」
抱き寄せる。
ダイエアスト「「「だってぇ……」」」(泣)
フラ「はいはい、折れそうなほど細い俺が悪ぃんだぜぃ」


·ストちゃん専用の裏方。 

フラ「嬢ちゃん、疲れてねぇか? 水饅頭有るぜぃ、緑茶と一緒にどうだ?」
スト「食べる。有難うフラクチャー、貴方達は今回、その…、お休み…なのに気を使って貰って」
ダイ「ストこそ気を使わなくて良いぜ?」
エア「俺達はストに悪い虫が付かねぇように牽制してるだけだからな」
狼「ついでに、スタッフ達にも差し入れで好印象を植え付けて次のシーズンの出演権を取りたいっていう打算も有るんじゃないのか?」
フラ「そんな事は無ぇですぜぃ? 傍でずっと嬢ちゃんを見ていられる裏方って立場はオイシイですので」


·スト「フラクチャー、武器を使用した稽古に付き合ってくれないかしら?」
フラ「良いぜぃ。けど、珍しいな、武器使用でなんて。双剣使い対策か?」
スト「そうなのよ。攻防一体型の綺麗な剣技で、悔しいけど強過ぎて私じゃ手も足も出ないの」
フラ「へぇ? で、俺と稽古して双剣使いに少しでも慣れようってか?」
スト「ええ。目が慣れれば反撃する隙も見付け出せるかもしれないから」
フラ「分かった、いくらでも付き合うぜぃ。
その代わり、お礼は奮発して貰うぜぃ?嬢ちゃん」


·目眩がするほど
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「!! っフラクチャー!!」

「グッ!? っ~~~!!」

先に行ったダイブボム・エアレイザーと再会の挨拶をしていた嬢ちゃんは、俺を見付けると全力疾走から全身のバネを使った跳躍で俺に飛び掛かった。……否、抱き付いた。
後にダイブボムとエアレイザーが『大型自動車に撥ね飛ばされたバイクみてぇでしたぜ』と言うほどの勢いで地面を転がり、嬢ちゃんを上にして止まる。

「~~~~~……っ!!」

常日頃から冷静を心掛けている嬢ちゃんが声にならない喜声を上げ、周囲の状況も頭から吹っ飛ぶほど我を忘れて俺の胸にグリグリと頬を擦り寄せる。
柔らかな嬢ちゃんの感触が、目眩がするほど愛おしい。

「あー…、ただいま」

頭を撫でると、嬢ちゃんは花が綻ぶような笑顔を浮かべて「お帰りなさい!」と額に、頬に、顎にと啄むようなキスを落とす。

「貴方達が帰って来たらあげようと思っていた物が有るんだけど…」

馬乗りになったままウエストポーチをゴソゴソと漁る。その間、職業柄か逃がさないように太股でガッチリと俺の脇腹を締め付けて。
……俺達が居ない間、誰も男心について教えていないらしい。良いような悪いような…。


「有った! ……ぁ、でも…、もしかすると嬉くないかも…」

「嬢ちゃんがくれるなら、たぶん何でも嬉しいと思うぜぃ?」

急に萎れる嬢ちゃんの頬を撫でて励ます。ここで『やっぱり止めるわ』と言われたら何をくれるつもりだったのか気になる。

「……あの…ね、貴方達の艦、壊してしまったでしょう? だから、似たような大きさの艦を用意したんだけど…」

「ぇ…? それで何で嬉しくねぇと思うんだぜぃ? 喜ぶどころか、嬢ちゃんに頭が上がらなくなる位だぜぃ」

「そ…んなに良い話じゃないのよ…。その…、内装業者が勘違いして……私の部屋も造っちゃったの!!」

「……………」

顔を両手で覆って恥ずかしがっている姿が可愛い。どうにかしたい程に可愛い、外で会ってしまった事が悔やまれる。

「……元々、嬢ちゃんの部屋も造るつもりだったんだ、渡りに舟だぜぃ。大切にするから俺達にその艦くれねぇか?嬢ちゃんごと」

顔が熱い。きっと嬢ちゃんが赤面しているから伝染したんだろう、たぶん。

「はい。……私も貴方達が欲しいです」

「はっ!?」

「「はい!! 喜んで!!」」

一瞬固まった隙にダイブボムとエアレイザーが返事をしてしまった。一拍遅れて「……は…ぃ…」と小さく応える。

「っ、待てスト! 続きは艦に移動してからだ!」

「いつまでボスを路に押し倒しとくつもりだ!?」

また抱き付こうとした嬢ちゃんをダイブボムとエアレイザーが掴んで引き止めた。

「そ…いえばそうだわ!! ごめんなさいフラクチャー!!」

バッと立ち退いた嬢ちゃんが俺を物凄い勢いで引き起こす。
もう少しだけ浸っていたかったが、まぁ、ダイブボム・エアレイザーが言う通り艦に移動してからにする。

「嬢ちゃんに押し倒されて悪い気はしねぇんだぜぃ。けど、今度は周りに誰も居ない時に、な」


·スト「フラクチャー…」
フラ「もう直ぐ飯が出来るから待―――っ!?痛ぁいっ!!」
エア「ボス!? 大丈夫ッスか!?」
フラ「指、結構深く切ったぜぃ…」
スト「えっ!? 貸して!…パクッ…」
フラ「嬢ちゃん!? な、なな…、舐め…て…」(赤面)
スト「…チュゥ~……。…チウチウ…」
ダイ「スト、舐めるより消毒した方が良いぜ?」
スト「ん~…、もうしゅこしらけ……アグアグ…」
フラ「……~~~っ!? …嬢…ちゃ…んっ…!」
スト「……プハッ…。ご馳走様、美味しかったわ」
フラ「……嬢ちゃん、大人しく待てねぇのなら飯抜きにするぜぃ?」
スト「ご飯抜きだけは嫌です、ごめんなさい…」
ダイ「ストはやっぱ食欲には勝てねぇか…」
エア「ってか、ボスを物理的に食っちまいそうだな…」


·スト「……アニメが終わったみたいね…」
ダイ「そうだなぁ…」
エア「これでもう…」
ダイエアスト「「「遠慮無くイチャ出来る!!」」」(喜)
狼「これで遠慮無くお嬢さんに手が出せる」
ビー「出すな!!」
フラ「ボスは引続き遠慮してて下せぇ」
狼「過保護が過ぎてヤンデレ化し掛けている保護者達に俺を止める資格は無い!!」
ビー「ぅぐっ!?」
フラ「……し掛けてねぇですぜぃ」
スト「そうよ! 隊長もフラクチャーも貴方と違って良い人なんだからヤンデレ化する筈が無いでしょ!?」
ビー「ぅぐっ!!」
フラ「……良い人…」
狼「そうか、お嬢さんがそう言うなら撤回しよう。悪かったな『良い人』達」(ニヤニヤ
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