沙明
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『沙明。』
「あん?どうした?」
16人で始めたグノーシア対策会議の1日目の夜の時間。
昼の時間にユエは沙明に協力しようと言い、協力関係になっていた。
「つーか、お前平気で俺んとこ来んのな。ちったぁ警戒しろって。」
『…そっか、分かった。』
ユエは真面目に沙明の言葉を受け取る。沙明はにこやかにユエの方を見ずに言葉を続ける。
「ほらよ、親しき中にもンーフ……。」
ユエが部屋から出ようとしたその時、沙明はユエの腕を掴んだ。
「だぁ!居なくなるこたぁねーだろ!」
『…警戒しろって言ったの沙明じゃない。』
「言ったけどよ!」
『その沙明が私の腕を掴むなんて、一番警戒してないんじゃない?』
ユエはふふっと息を漏らし笑った。沙明は少し恥ずかしそうに手を離した。
「ったく、敵わねぇ奴だな。」
『ふふっ。』
「…で、グノーシアか、嘘ついてる奴見つけたのかよ?」
『うん。』
夜、沙明とユエが同じ場所に集まったのは、昼に勘の鋭いユエが全員に人間だと言って欲しいと聞いたからだ。
グノーシアは3体。AC主義者が1人。バグが1人。
エンジニアにはジナ、ジョナス、オトメの3人が名乗り、ドクターにはレムナン、しげみちが名乗り出ていた。
留守番していたのがコメット、ステラ。
『役職を語ってる人で嘘をついていたのがジナ、オトメ、しげみちが分かったよ。後は普通の乗員で、SQ。』
「おいおい、バグもAC主義者もグノーシアも1人以外全員見つけたってのかよ。やべーな。」
『…。疑わないの?』
「疑ってねぇから協力してんだろ?それに俺もしげみちが自分が人間だつった時に俺も気付いたしな。」
『ん。』
ユエは嬉しそうに微笑んだ。
『しげみちとジナはお互いをとてもかばいあってたから、この2人がグノーシアで間違いないと思う。あとはオトメとSQだけど、SQもしげみちの嘘に気付いたとと思うんだ。しげみちの発言の後からSQの探るような目線を見るにAC主義者じゃないかな。あとはオトメがバグ。』
「はー全部お見通しな訳?」
『予想でしかないよ。それに1人は嘘も見抜けもしなかったし、全部お見通しなんて事は…。でも、ジョナスにはエンジニア権限を上手く使ってオトメを見て欲しいね。』
「トラスト・ユゥー、心の底から信じてるぜユエ!」
『うん、私も沙明を信じてる。』
沙明は言葉通りにユエをとても信頼していた。
『…明日、きっと消されるのはコメットかステラだと思う。だから、コメットとステラには本当に悪いけど、また明日沙明と会えると嬉しいね。』
「ハッハー!平気だ!平気に決まってんだろ!」
『上機嫌だね。』
間もなくLeViのアナウンスが入り、空間転移の時間になった。
2日目昼
SQとステラが消失していた。
「(…SQがバグだったのか。ま、ユエも予想でしかないつってたしな。)」
ジョナスはSQをエンジニアとして見て、SQは人間だったと言った。
『……。』
ジナ「次は私の報告、」
レム「SQさんは!!SQさんはきえたんです!ジョナスさんのいう事は正しいです!だから、他の二人は偽物のエンジニアですよ!」
ジナ「落ち着いて。私が調べたのはス…」
レム「はやく、コールドスリープしてください!」
ジナ「レムナン、落ち着いて。」
何度もジナが報告しようとしたが、レムナンの取り乱しようとジョナスの本物っぽさでジナがコールドスリープする事となった。
2日目夜
『間違え、ちゃった…。』
「ま、SQが敵であったのは間違いなかったしいいんじゃね?」
『ん。』
「最終的に排除しなきゃいけねー存在じゃん、んな気負うなよ。」
『うん。ありがとう、沙明。…沙明、どうして私の事そんなに信じて優しくしてくれるの?』
「あ?あー…さーな。」
『…私はね、沙明の事が少し気になってるから協力関係になって近付きたいって思った。』
「な、リアリィ?マジ?本気か?」
『だからね、正直信じるとかではない。けど、……好きだなって。』
「お前、マジかよ。…はやく言えよな。」
沙明はユエの腕を引っ張り、自分の腕の中で抱きしめた。
『しゃ…沙明、…。』
「明日はコメットが消える可能性が高いかもしんねーと言ってもな、後悔はしたくねぇ。ノーマルな奴らだったら、デートとかそういう事を先にすんだろーけどよ、俺らには明日がねーかもしれねぇから…許してくれよな。」
『うん。嬉しいよ、沙明。』
3日、4日、5日……と、日がどんどん経っていく。沙明とユエはまだ生きていた。
残っているメンバーはユエ、沙明、ククルシカ、セツの4人だった。
昼
「おいおい…こんな少なくなってもまだあと1人残ってんのかよ、こえーな!」
『…。』
「ユエ、お得意の鋭さで誰かの嘘見抜けてねーのかよ。」
『うん、誰も嘘ついてるとは思えない。』
「ひゅー、潜伏がうめーなぁ。」
ククルシカはユエを見て微笑んでいる。好意があるようだ。そしてユエの協力関係である沙明も見逃し、セツを疑っているようだ。
セツ「ククルシカ、そんな消去法的なやり方は良くない。バグのSQを調査したジョナスが私の事を人間だと言ってくれたんだよ。」
「ま、確かにそうだったな。」
セツ「ククルシカもジョナスの事は信じているのだろう?ジョナスはククルシカも人間だと言っていたじゃないか。」
『…。』
セツ「つまりだよ、ククルシカ。私達の敵は沙明かユエでしかありえないんだ。」
「(たしかに、ユエの予想でもジョナスが本物のエンジニアだと思うつって…。)」
『もしも沙明がグノーシアなら、私を消すタイミングがいくらでもあったと思う。それにあの時、ジョナスがSQを見たって言ってから誰も有無を言わさずオトメとジナをコールドスリープさせたけどあの2人がステラを見ていたという可能性はあるよ。』
ククルシカはたしかに、ジナは最後どうしても何か言いたそうにしていた所を無理やりコールドスリープさせた気がする。そう伝えたいようだ。
セツ「たしかに、ジナの様子はおかしかったね。あんなに取り乱したジナ、初めて見たよ。」
『つまり、私が疑われるという状況で言うならジョナスが本物だったと断定は出来ないかな。何度も言うけど、沙明は私を消すタイミングなら何度もあった。だから沙明とも考えづらい。』
「おーおー、俺とククルシカにはちょっとハード過ぎるやり取りだな。」
そうだね、とククルシカは頷いた。
セツ「………分からないな、正直。」
『ならば逆に考えてみるのはどうかな。ククルシカ、ジョナスが大切な人だと思って消えた事に関して泣いてみてほしい。』
ククルシカはいいけど、なんでそんな事するの?と言いたげに涙をぽろぽろと零す。
『…演技、上手だね。』
セツ「!」
「もしかして、ユエが嘘見抜けなかったのってククルシカの演技力がたけーからかよ?」
『私は、そう思うかな。』
ククルシカは、ハメたんだね、と言いたそうにユエを睨む。
セツ「私も…今のでククルシカなんじゃないかなって思ってしまった。」
『…ごめん、判断材料がなくて私が考え付くのがこれぐらいしかなくて。』
ククルシカはコールドスリープすることになった。
「…これで、空間転移が終わったら…グノーシア騒動が終わってんだよな。」
セツ「ああ、そう願おう。」
その日の夜。
『沙明。』
「あ?」
『沙明はククルシカが本当にグノーシアだったと思う?』
「ま、ユエが言ったからな。」
『ずっと私を信じてくれてるんだね。』
「ったりめーよ。」
沙明は誇らしげにユエに顔を向けた。
『…ありがとう、沙明。』
次の日、セツが消失した。
『……沙明、2人きりになっちゃったね。』
「……は、…。」
沙明は乾いた笑いを浮かべる。
『ごめん、ずっと騙してて。』
「…全部…。」
『…。』
「…ほ、本当に全部、嘘だったのかよ?」
沙明は震えている。
『分かったでしょ?私は、グノーシアだよ。』
「そ、そこじゃねー…。」
『…どういうこと?』
「……俺の事…好きだつったの……。」
沙明は涙を流しながら震えていた。ユエはその沙明を見て声を震わせる。
『嘘じゃないよ。』
「…本当か?」
『あと1人のグノーシアが私って事を伝えなかった事で騙しはしたけど、私は1度も沙明には嘘をついてない。』
「……。」
『私は…沙明が好き。私はグノーシアで、人をグノースへ送らなきゃいけないって気持ちはあるの。でも、その気持ちより遥かに沙明の事が好きって気持ちが勝ってて。』
「…信じて、いいよな…。」
『むしろ、1度沙明を騙した私を信じてくれるの?』
「…ああ、ユエが俺を好きっつーなら、信じるわ。」
『…沙明、沙明…大好き…。私…グノーシアとして仕事もしたくてしたけど、沙明と長く一緒に居たかっただけなの…。』
沙明は震える手でユエを抱き締めた。
『沙明…怖くないの?』
「全く怖くねぇっつーと…嘘になるな。」
『なのに、抱きしめてくれるんだね。沙明…あったかい。』
ユエもぽろぽろと涙を零し、沙明を抱きしめ返した。その時、沙明の身体はびくりと跳ねる。
が、3秒ほど時間が経ったあと、沙明は抱きしめる腕の力を強めた。
「本当に消す気ねーのな。」
『うん、消してひとりぼっちになるのが辛いから。』
「じゃあ、もうユエはグノーシアなんかじゃなくて、人だな。」
『私を人とも言ってくれるんだね。』
「ったりめーだろ。」
『沙明、私は沙明の事は消さないよ。例え私の事を好きじゃなくなっても。』
「グノーシアでも好きっつってんだろ、この先もずっと好きだっつの。」
『…うん。沙明…ありがとう、信じてくれて。好きだよ。』
その時、沙明はユエの嘘を感じ取った。ゾクリと身体が震えた。
『あはは、嘘ついたのばれた?』
ユエは沙明の腕をほどき、沙明から距離をとった。
『好きじゃなくて、大好きなんだ。』
屈託のない笑顔でユエはそういった。
「ったく、ビビらせんなよな。…俺も、大好きだぜ。」
沙明は嘘をついている。そしてユエの手を取り、
「いや、嘘だな。愛してる。」
『うん。私も。』
二人はまたお互いを抱き締めあった。
.
「あん?どうした?」
16人で始めたグノーシア対策会議の1日目の夜の時間。
昼の時間にユエは沙明に協力しようと言い、協力関係になっていた。
「つーか、お前平気で俺んとこ来んのな。ちったぁ警戒しろって。」
『…そっか、分かった。』
ユエは真面目に沙明の言葉を受け取る。沙明はにこやかにユエの方を見ずに言葉を続ける。
「ほらよ、親しき中にもンーフ……。」
ユエが部屋から出ようとしたその時、沙明はユエの腕を掴んだ。
「だぁ!居なくなるこたぁねーだろ!」
『…警戒しろって言ったの沙明じゃない。』
「言ったけどよ!」
『その沙明が私の腕を掴むなんて、一番警戒してないんじゃない?』
ユエはふふっと息を漏らし笑った。沙明は少し恥ずかしそうに手を離した。
「ったく、敵わねぇ奴だな。」
『ふふっ。』
「…で、グノーシアか、嘘ついてる奴見つけたのかよ?」
『うん。』
夜、沙明とユエが同じ場所に集まったのは、昼に勘の鋭いユエが全員に人間だと言って欲しいと聞いたからだ。
グノーシアは3体。AC主義者が1人。バグが1人。
エンジニアにはジナ、ジョナス、オトメの3人が名乗り、ドクターにはレムナン、しげみちが名乗り出ていた。
留守番していたのがコメット、ステラ。
『役職を語ってる人で嘘をついていたのがジナ、オトメ、しげみちが分かったよ。後は普通の乗員で、SQ。』
「おいおい、バグもAC主義者もグノーシアも1人以外全員見つけたってのかよ。やべーな。」
『…。疑わないの?』
「疑ってねぇから協力してんだろ?それに俺もしげみちが自分が人間だつった時に俺も気付いたしな。」
『ん。』
ユエは嬉しそうに微笑んだ。
『しげみちとジナはお互いをとてもかばいあってたから、この2人がグノーシアで間違いないと思う。あとはオトメとSQだけど、SQもしげみちの嘘に気付いたとと思うんだ。しげみちの発言の後からSQの探るような目線を見るにAC主義者じゃないかな。あとはオトメがバグ。』
「はー全部お見通しな訳?」
『予想でしかないよ。それに1人は嘘も見抜けもしなかったし、全部お見通しなんて事は…。でも、ジョナスにはエンジニア権限を上手く使ってオトメを見て欲しいね。』
「トラスト・ユゥー、心の底から信じてるぜユエ!」
『うん、私も沙明を信じてる。』
沙明は言葉通りにユエをとても信頼していた。
『…明日、きっと消されるのはコメットかステラだと思う。だから、コメットとステラには本当に悪いけど、また明日沙明と会えると嬉しいね。』
「ハッハー!平気だ!平気に決まってんだろ!」
『上機嫌だね。』
間もなくLeViのアナウンスが入り、空間転移の時間になった。
2日目昼
SQとステラが消失していた。
「(…SQがバグだったのか。ま、ユエも予想でしかないつってたしな。)」
ジョナスはSQをエンジニアとして見て、SQは人間だったと言った。
『……。』
ジナ「次は私の報告、」
レム「SQさんは!!SQさんはきえたんです!ジョナスさんのいう事は正しいです!だから、他の二人は偽物のエンジニアですよ!」
ジナ「落ち着いて。私が調べたのはス…」
レム「はやく、コールドスリープしてください!」
ジナ「レムナン、落ち着いて。」
何度もジナが報告しようとしたが、レムナンの取り乱しようとジョナスの本物っぽさでジナがコールドスリープする事となった。
2日目夜
『間違え、ちゃった…。』
「ま、SQが敵であったのは間違いなかったしいいんじゃね?」
『ん。』
「最終的に排除しなきゃいけねー存在じゃん、んな気負うなよ。」
『うん。ありがとう、沙明。…沙明、どうして私の事そんなに信じて優しくしてくれるの?』
「あ?あー…さーな。」
『…私はね、沙明の事が少し気になってるから協力関係になって近付きたいって思った。』
「な、リアリィ?マジ?本気か?」
『だからね、正直信じるとかではない。けど、……好きだなって。』
「お前、マジかよ。…はやく言えよな。」
沙明はユエの腕を引っ張り、自分の腕の中で抱きしめた。
『しゃ…沙明、…。』
「明日はコメットが消える可能性が高いかもしんねーと言ってもな、後悔はしたくねぇ。ノーマルな奴らだったら、デートとかそういう事を先にすんだろーけどよ、俺らには明日がねーかもしれねぇから…許してくれよな。」
『うん。嬉しいよ、沙明。』
3日、4日、5日……と、日がどんどん経っていく。沙明とユエはまだ生きていた。
残っているメンバーはユエ、沙明、ククルシカ、セツの4人だった。
昼
「おいおい…こんな少なくなってもまだあと1人残ってんのかよ、こえーな!」
『…。』
「ユエ、お得意の鋭さで誰かの嘘見抜けてねーのかよ。」
『うん、誰も嘘ついてるとは思えない。』
「ひゅー、潜伏がうめーなぁ。」
ククルシカはユエを見て微笑んでいる。好意があるようだ。そしてユエの協力関係である沙明も見逃し、セツを疑っているようだ。
セツ「ククルシカ、そんな消去法的なやり方は良くない。バグのSQを調査したジョナスが私の事を人間だと言ってくれたんだよ。」
「ま、確かにそうだったな。」
セツ「ククルシカもジョナスの事は信じているのだろう?ジョナスはククルシカも人間だと言っていたじゃないか。」
『…。』
セツ「つまりだよ、ククルシカ。私達の敵は沙明かユエでしかありえないんだ。」
「(たしかに、ユエの予想でもジョナスが本物のエンジニアだと思うつって…。)」
『もしも沙明がグノーシアなら、私を消すタイミングがいくらでもあったと思う。それにあの時、ジョナスがSQを見たって言ってから誰も有無を言わさずオトメとジナをコールドスリープさせたけどあの2人がステラを見ていたという可能性はあるよ。』
ククルシカはたしかに、ジナは最後どうしても何か言いたそうにしていた所を無理やりコールドスリープさせた気がする。そう伝えたいようだ。
セツ「たしかに、ジナの様子はおかしかったね。あんなに取り乱したジナ、初めて見たよ。」
『つまり、私が疑われるという状況で言うならジョナスが本物だったと断定は出来ないかな。何度も言うけど、沙明は私を消すタイミングなら何度もあった。だから沙明とも考えづらい。』
「おーおー、俺とククルシカにはちょっとハード過ぎるやり取りだな。」
そうだね、とククルシカは頷いた。
セツ「………分からないな、正直。」
『ならば逆に考えてみるのはどうかな。ククルシカ、ジョナスが大切な人だと思って消えた事に関して泣いてみてほしい。』
ククルシカはいいけど、なんでそんな事するの?と言いたげに涙をぽろぽろと零す。
『…演技、上手だね。』
セツ「!」
「もしかして、ユエが嘘見抜けなかったのってククルシカの演技力がたけーからかよ?」
『私は、そう思うかな。』
ククルシカは、ハメたんだね、と言いたそうにユエを睨む。
セツ「私も…今のでククルシカなんじゃないかなって思ってしまった。」
『…ごめん、判断材料がなくて私が考え付くのがこれぐらいしかなくて。』
ククルシカはコールドスリープすることになった。
「…これで、空間転移が終わったら…グノーシア騒動が終わってんだよな。」
セツ「ああ、そう願おう。」
その日の夜。
『沙明。』
「あ?」
『沙明はククルシカが本当にグノーシアだったと思う?』
「ま、ユエが言ったからな。」
『ずっと私を信じてくれてるんだね。』
「ったりめーよ。」
沙明は誇らしげにユエに顔を向けた。
『…ありがとう、沙明。』
次の日、セツが消失した。
『……沙明、2人きりになっちゃったね。』
「……は、…。」
沙明は乾いた笑いを浮かべる。
『ごめん、ずっと騙してて。』
「…全部…。」
『…。』
「…ほ、本当に全部、嘘だったのかよ?」
沙明は震えている。
『分かったでしょ?私は、グノーシアだよ。』
「そ、そこじゃねー…。」
『…どういうこと?』
「……俺の事…好きだつったの……。」
沙明は涙を流しながら震えていた。ユエはその沙明を見て声を震わせる。
『嘘じゃないよ。』
「…本当か?」
『あと1人のグノーシアが私って事を伝えなかった事で騙しはしたけど、私は1度も沙明には嘘をついてない。』
「……。」
『私は…沙明が好き。私はグノーシアで、人をグノースへ送らなきゃいけないって気持ちはあるの。でも、その気持ちより遥かに沙明の事が好きって気持ちが勝ってて。』
「…信じて、いいよな…。」
『むしろ、1度沙明を騙した私を信じてくれるの?』
「…ああ、ユエが俺を好きっつーなら、信じるわ。」
『…沙明、沙明…大好き…。私…グノーシアとして仕事もしたくてしたけど、沙明と長く一緒に居たかっただけなの…。』
沙明は震える手でユエを抱き締めた。
『沙明…怖くないの?』
「全く怖くねぇっつーと…嘘になるな。」
『なのに、抱きしめてくれるんだね。沙明…あったかい。』
ユエもぽろぽろと涙を零し、沙明を抱きしめ返した。その時、沙明の身体はびくりと跳ねる。
が、3秒ほど時間が経ったあと、沙明は抱きしめる腕の力を強めた。
「本当に消す気ねーのな。」
『うん、消してひとりぼっちになるのが辛いから。』
「じゃあ、もうユエはグノーシアなんかじゃなくて、人だな。」
『私を人とも言ってくれるんだね。』
「ったりめーだろ。」
『沙明、私は沙明の事は消さないよ。例え私の事を好きじゃなくなっても。』
「グノーシアでも好きっつってんだろ、この先もずっと好きだっつの。」
『…うん。沙明…ありがとう、信じてくれて。好きだよ。』
その時、沙明はユエの嘘を感じ取った。ゾクリと身体が震えた。
『あはは、嘘ついたのばれた?』
ユエは沙明の腕をほどき、沙明から距離をとった。
『好きじゃなくて、大好きなんだ。』
屈託のない笑顔でユエはそういった。
「ったく、ビビらせんなよな。…俺も、大好きだぜ。」
沙明は嘘をついている。そしてユエの手を取り、
「いや、嘘だな。愛してる。」
『うん。私も。』
二人はまたお互いを抱き締めあった。
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