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立海大付属

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たまたま早起きした日だった。


『んん~…たまには皆の役にでもたとうかなぁ。テニスコートの準備でもしてよーっと。ふあぁ…。』


あくびをしながら、テニスコートの整備をする。


『ボールをもうちょっと追加して…。えーっと、これで完璧かな。』

 「あのー。」

『はい?あ、立海のテニス部の見学ですか?』

 「そうですけど。」

『(愛想のない女だな…。)』

 「ねぇ、貴女…立海のレギュラー陣の方たちとどういう関係なの?」

『え。私はただのマネージャーですよ。まだまだ未熟ですけど。』

 「なんで転校生の貴女が、此処のマネージャーなんか出来るのよ!」

『テニスが好きだから…かなぁ。』

 「私だって好きよ、なのにアンタなんかに…!!」

『あのさ、まずテニスコートに部外者が入る事禁止されてるって事を分かってから会話してくれる?ルールも知らないからマネージャーになれないの理解しなさい。』


ユエの煽りに逆上した女はユエに向けて持っていた石を顔面に向け振り下ろす。


『…っ!!!』

 「ふんっ!!」


女はユエを無視し、何処かへ消えていった。


『つ…あの女…。』


石はユエの額に直撃していた。額は切れ、かなりの出血をしている。


『やば…テニスコートが汚れる…。』


テニスコートに垂れてしまった血を後にユエは額を押さえ、自分の部屋に向かう。


『やっば…どうやって隠そう…。』


なんとか額の止血を終え、黒い帽子を被る。


『…買ってて良かった、これなら血が滲んでも少しの間はバレないよね。弦一郎の真似、とか言えば…なんとかなるかな。…でも頭がグラグラする。皆に心配かけたくないんだけどな…。』


外を見ると、止血をしている間に皆が集まってきていた。


『準備が終わったのだけは幸いかな…。』


自分の部屋から出て、テニスコートの方へ向かう。


『おはよー皆。』

雅「おはようさん。」

比「おはようございます、ユエさん。珍しいですね。」

『え?』

比「帽子ですよ、よくお似合いですが。」

『ああ…ちょっと、弦一郎の真似してみたの。似合うなら良かった。』

雅「真田がかぶるとコーチじゃが…ユエがかぶると可愛らしいの。」

『ふふ、ありがとう。』

精「おはよう、ユエ。」

弦「おはよう。」

『おはよー。見てみて、弦一郎。お揃い。』

弦「…気分転換か?」

『そんな所。』

精「弦一郎、素直に褒めてあげなよ。ユエ、似合ってるよ。」

弦「む…すまない。その、似合っていると思うぞ。」

『わーい。ありがとう。』

ブ「おー、ユエ。おはよーさん。良い格好してんじゃねぇの。」

桑「おはよう。本当だ。真田程じゃないが、ユエにも合うな。」

『あはは。弦一郎はもう似合いすぎるよね。』

ブ「分かる分かる。帽子被ってないとむしろ違和感だよな。」

桑「なんだ、全員思ってたのか。」

『ふふっ、分かる。』

蓮「ふ…、小さな弦一郎がいると思ったが、ユエか。」

『おはよう、蓮二。変だったかな?』

蓮「いいと思うぞ。よく似合っているじゃないか。」


柳はユエの頭をぽんぽんと撫でる。ユエは痛みに顔をおもわずしかめるが、柳の角度からはよく見えていなかったらしい。


『っ……。』

蓮「ユエ、どうした?」

『ううん、なんでもない。いきなり頭撫でてくるからちょっと照れたんだよ。』

蓮「ふ…そうか。」

赤「ユエちゃん、おっはよ~!!」

『おはよう、赤也。やっぱり来るの一番最後だったね。』

赤「ちょ、俺も早起き頑張ったんだから、そんな事言わないでよ!」

『ふふ、ごめんごめん。ちゃんと時間通りに来てるから偉いよ。』

赤「へへ…そうっしょ?」

『(…よし、とりあえず切り抜けれた…。)』

精「ユエ、早起きしてテニスコートの準備してくれたのかい?」

『うん、そうだよ。たまたま早起きしたからね。』

精「ありがとう、助かるよ。」

『どういたしまして。(…やば、垂らしちゃった血拭く事出来なかった…目立たない場所だから、垂れたのだけはバレないかな…。)』


ユエはチラチラと血を垂らしたをつい目で見てしまっていた。


比「ユエさん、なんだか今日は落ち着かない様子ですね?」

『あ…そうかな。弦一郎の真似なんてしてるからかな。』

比「帽子はかぶりなれていませんもんね。」

雅「違和感があるなら取ったらいいじゃろ。」

『やーなの。』



ユエが周りを見ると、観客席の所に石を当てた女がいるのを見つけた。


『(つっかかると皆が心配する…なるべく見ないようにしよう。)』


女は友人も連れてきたのか、クスクスとユエを見て笑っていた。


『(ああ、やな感じ。)』


全員は暫く練習をして、順番に休憩を始める。


赤「ユエちゃーん!」

『赤也、お疲れ様。』


ユエは切原にドリンクを渡す。


『今日の動きいいね、赤也。』

赤「だろ!俺も調子いいって思ってたんだよ。応援してくれてもいいぜ!」

『じゃ、今日の練習試合は赤也を応援しちゃおうかな。』

赤「っしゃ!あんがとな、ユエちゃん!」


切原はユエを帽子の上からぽんぽんと撫でる。


赤「ん?」


切原は手に違和感を覚え、自分の手を見ると血が滲んでいた。


『っ……(痛たた……あれ、そんなに暑くないのに汗が流れ…て…。)』

赤「ちょ、ユエちゃん!?」

『え…?』

赤「どうしたんだよ、それ!?」


ユエの顔面には額から血が流れ、顎からぽたぽたと流れ出ていた。


『!や、ば…。』


それ以上見られないよう、急いで逃げようとするが、切原に腕を掴まれる。
その反動で帽子が落ちる。ガーゼが意味なく血がにじんでいた。


赤「ユエ…ちゃん…!!」

『ちょ、やめて…離して!』

赤「いいから、保健室!!」

『離し、っ…!』


ユエは貧血からか、目眩を起こしその場に座ってしまう。
その様子を見た全員がユエの元へ集まる。


精「ユエ!?何してるんだ!」

『…はあ…はあ…。』

弦「まさか、帽子をかぶっていたのはその怪我を隠す為か!?」

『……っ。』

ブ「なんで言わなかったんだ!?」

『…心配、かけたくなくて…。』

桑「しかも、傷が新しい…朝何をした?」

『……何も…。』

比「かなりの出血量ですよ。体に負担がある程です。」

『…そんな事…。』

雅「…コートの目立たん所に血があったのは関係あるのかのう。」

『……。』

赤「とにかく今は保健室行くぜ!」


切原はユエを姫抱きに抱える。


『あか…や。』

赤「喋んなくていーよ!」


そのまま小走りでユエを保健室に連れて行った。


精「………ちょっと、みんなストップ。」

弦「これは話し合いが必要だな。」

精「仁王、君は何を知ってるんだい?」

雅「テニスコートの端に血がたれた跡があったぜよ。しかも新しい。」


仁王は場所を指差す。


比「昨日にあった物ではない、という事ですね。」

ブ「ユエがおっちょこちょいでつけた物だと思うか?」

桑「それはないだろ。確かにドジな所もあるが。」

蓮「………この跡を見るからに、外部からの損傷があった物と見られる。つまり…。」


柳の目が開き、見学に来ている人たちに目を向けた。


蓮「見学にきている…かつ、ユエに恨みがありそうな者…に絞られるだろう。」

精「さすがの洞察力だね。………。」


幸村は、ユエが血を流した辺りからガヤガヤしていた見学者たちの中で、笑っている人たちを見る。
そして、コートから外へ出て女の子に話しかける。


精「こんにちは、お嬢さん達。」

 「きゃ~!幸村様!こんにちは!」

 「どうしたんですか?休憩ですか?」

精「そんな訳ないだろう!今の状況を見ていなかったのかい?」

 「あーマネージャーが怪我してたって事ですか?」

 「あんな大怪我したなら、練習参加しなきゃいいのに。」

 「そうだよねー、皆に心配かけたくないとか言うなら、最初っからさー。」

精「どうしてこんな事言うのかなぁ。」

 「だって、実際そうじゃないですか~?」

 「ねー、いい子ちゃんぶって朝から整備なんてしちゃって。だから練習前に怪我なんてするのよー。」

弦「!」
蓮「!」

精「……。そっか、やっぱり君たちのせいだったんだね。」


幸村はにこりと笑った。


その頃ユエと切原。


『あ、赤也…それだと前見えないよ…。』

赤「わ、悪ぃ!手当なんか数えるぐらいにしかやった事なくてさ!」


包帯を目の上に巻かれ、困惑していた。


『ふう……水飲んだりしたら、目眩とかはなくなったよ。ありがとう、赤也。』

赤「全然良いんだけどさ…、ユエちゃん、その怪我どうしたのさ?」

『あー…ちょっと転んじゃってさ。』

赤「転んだぐらいの擦り傷に見えないんだけど…。」

『ふふ、不器用だったんだよ。』



切原は全く納得いってなさそうにしていた。


赤「ねぇ、それ…誰かに怪我させられたんじゃねぇの?」

『そんな事ないよ。ほら、もう平気だから戻ろうよ。弦一郎に赤也が怒られちゃうよ。』

赤「う、それは嫌だけどよ…。」


すると、保健室のドアが開く。


『えっ。』


それはユエに怪我を負わせた女の子とその仲間。


赤「なんスか、あんたら。」


すると、その後ろから幸村と真田、様子を見に来た他のレギュラー陣全員。


 「あの…ごめんなさい。」

『え、な、なに?』

 「怪我…その…させてしまって…。」

赤「はぁ!?やっぱりユエちゃんが怪我したんじゃないんじゃん!」

『あ、ああ…なんで急に謝る気になったの?』

 「………。」

精「まあまあ、それはいいじゃないか。」


幸村はにこにこと笑っている。


『(五感を奪ったのか…!?)』

 「その…本当にすみませんでした。2度とやりません。親に言って慰謝料も払います…。」

『い、いや…そこまでしなくてもいいよ。私のサポートがあっての立海のテニス部だーとか、そんな風に思ってくれたら。』


レギュラー陣の全員がうんうん、と頷く。


 「はい…分かりました。」

『これからも、立海を応援してね。』


女の子達は何も言わずに、さっていった。


精「これでよし。」

赤「ユエちゃん、なんで嘘ついたんだよ!?」


切原は少し怒っている様子だった。


『…ごめん、皆が…特に赤也はすごく心配しちゃうと思ったから…。』

赤「そうだけどさ!」

弦「赤也!ユエはお前を思っての行動だったのだぞ!」

赤「う…でも、それでもさ!」

弦「黙っていた事は俺も含め全員が怒っている事だ!」

精「そうだよ。もし俺達が気付けなかったらユエはもっと嫌がらせを受けていたかもしれないんだ。」

『…ご、ごめん…。』

弦「だが、俺達を思っての事だと分かっている。そこは感謝してもいい。」

『う、うん。』

弦「次からはそんな事があったら遠慮なく言え。俺達は仲間だろう。」

『うん、ごめんね…ありがとう。』

赤「………絶対だぜ。」

『うん。赤也、ごめんね。』


ぞろぞろと、他の立海メンバーが保健室へ入ってくる。


『あ、皆…。』

桑「心配したぜ。頭はもう大丈夫か?」

『うん、平気。』

ブ「ったく、血を見た時は吃驚したぜぃ。」

『ごめんって。…そういえば、聞いていいのかな。』

雅「なんぜよ?」

『精市、あの子達に何したの?』

比「…私の口からは何も言えません。」

『比呂士が黙るなんて事ある!?ね、ねぇ蓮二!?』

蓮「俺はよく覚えていないな。」


冷や汗を流しながら全員は目を逸らした。幸村はにこにこと笑っていた。


『精市って本当に怒らすと怖いよね…。』

精「あはは、そんな事ないよ。」

弦「ユエ、無理はしていないな?」

『うん。』

弦「全員、部活に戻るぞ!」

赤「へーい…。」

弦「ユエ、無理だけはするな。傷が痛むようなら必ず言え。」

『分かった。これ以上は流石に迷惑かけれないからね。』

精「ふふ…弦一郎がお父さんのように過保護になっているね。」


全員はテニスコートへ戻る。先程の女の子達はもういなかった。


『えーっと…練習メニュー何処まで終わったっけ。』

精「後は練習試合をするだけだよ。」

赤「よっしゃ!ユエちゃん、応援してくれるって約束だよね?」

『ふふ、そうだったね。赤也、頑張って。』

弦「赤也、かかってこい。」

赤「げ、副部長が俺の相手だったんスか!?」


他の人たちも練習試合でコートへ向かった。残ったのはユエと柳生。


比「ユエさん、包帯がズレていますね。巻き直しましょうか。」

『あはは…赤也が最初目隠ししてくるぐらい不器用な巻き方だったからね、お願いしていい?』

比「はい。失礼します。」


柳生はユエが痛がらないよう、優しく包帯を巻きなおす。


精「ユエ。」

『うん?』

精「俺達は皆、ユエの事を大切に思ってるんだよ。」

『え、な、何突然。』

精「ふふ…ユエがもっと俺達に心を許すようになるおまじない。」

比「素敵なおまじないですね。」

『おまじない…かぁ。ふふ、そっか。』

精「俺達と一緒に勝っていこう。」

『うん。今年も、勝とうね。』

比「よし、出来ました。」

『ありがとう、比呂士。』

比「良いんですよ。」

『……私、立海のみんなの事好き。』

精「ふふ…良かった。俺…達も、皆ユエの事が好きだよ。」












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