立海大付属
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『(中学1年の勉強ほど退屈な物ってないよね…。中学1年ぐらいの範囲ならついていけちゃうし。)』
元々アラサー近いユエはあくびをする。
『(ま、一番後ろの端っこの席ってのはラッキーだったかな。寝てもバレにくいし。)』
教師「ユエ、ここの問題を答えは?」
『マイナス6だと思いまーす。』
教師「正解。眠たそうだけど、ちゃんと理解できてるんだな。」
教師はクスクスと笑う。
『(これで暫くは当てられないだろう…。寝よ。)』
肘をついてすやすやと睡眠に入る。
授業が終わった頃、男子と女子はそれぞれグループに別れ、ユエの噂をしている。
男子は、普段寝てるのに勉強がちゃんと出来る所が謎めいていて素敵だとモテる。
女子は、自分に自信がある所が嫌い等と、いう人たちがいた。
昼休憩のチャイムがなってもユエは起きる気配がなかった。
すると、教室の外からユエを呼ぶ声が聞こえる。
男子「ユエ、先輩が呼んでるぞ。」
『…ん…?誰…?』
目をこすり教室の外へ目を向けると、テニス部レギュラーの仁王雅治がいた。
『雅治か…ふあぁ…。』
男子「先輩を呼び捨て!?立海入学して間もないのに…彼氏なのか?」
『違うよ…テニスの事で話があるんじゃないかな……。あ、君…ありがとね。』
教えてくれた男子にこっと微笑むと、その男子は顔を真っ赤に染める。
ユエは仁王に近づく。
『なに…?寝てたんだけど…。』
「飯の時間じゃ。俺と一緒に来んしゃい。」
『ん。行く。』
あくびをしながら、あらかじめ買っていたコンビニ飯を持って2人は屋上へ向かった。
『立海は屋上入れるんだね。』
「ま、誰も入らんが。」
屋上へつき、日陰の所にユエは座る。仁王はその隣へ座る。
『なんで私を誘ったの?』
「気分じゃき。」
『ふぅん?(まぁ、クラスのモブより、仁王と2人で飯食べる方が嬉しいけど。)』
話していると、ユエのスマホがなる。
『ん?(おわっ、ジローちゃんだ。)』
「友達か?」
『そう、氷帝の。』
「氷帝ねぇ。」
『最初氷帝のマネージャーになれって誘われてたんだ。』
「初耳ぜよ。」
『言った事ないもん。』
「プリッ。」
ユエはニヤニヤとしながら芥川に返事を打つ。
「氷帝のマネージャーになりたかったか?」
『ううん。氷帝のレギュラーの皆の事は大好きだけどね。』
「ほぉ。ま、立海を選んだ訳じゃな。」
『(ちょっとからかってみよう。)私は雅治を選んだのよ。』
なんて言って微笑んでみた。仁王は特に何も反応しなかった。
『何かリアクションくれてもよくない?』
「…ああ。」
しなかった、ではなく、出来なかったようだ。ユエはおにぎりを一口かじる。
『困惑させてごめんって。』
「やのうて…ユエ、俺と付き合わんか?」
『はい……はい?』
ご飯粒が口の横についた事も気にならないぐらいにユエは驚いている。
「ええんやな?」
『いや待って、私は良いんだけど雅治は私の事まったく知らないでしょ?』
「じゃ、今日から俺の彼女じゃな。」
『待って、強引すぎる。聞いて。』
「聞いちょる。」
『(中学生ってこんなもんだったかな…?)』
「さっき良いって言っとったぜよ。それに氷帝じゃなくて、俺を選んだんじゃろ?」
『言ったけど。』
「なら応えてやっても良いなり。」
『はあ…。(まさかからかった結果がこうなるとは…。)』
中学生は手が早いな、なんて考えていると仁王はユエの口元についたご飯粒をとる。
『ぎゃっ!』
「色気のない声やのう。」
『いや、急に触れてくるから吃驚して…。』
「面白い奴じゃのう、ユエは。」
『そ、そりゃどーも。』
「一目惚れしてたっつたら信じるか?」
『詐欺師。』
「ピヨッ。」
そういうとユエからとったご飯粒を自分の口へ運んだ。
『(こっちがちょっと照れる事をしれっとやるんだな…。)』
「ユエ。」
『ん?』
「おまい、内心照れてるじゃろ。」
『こっちの台詞だよ。』
「プリッ。」
『かけひきが出来るような人がタイプならちょうどよかったんじゃない?』
「よく知っとるんじゃな。」
仁王は満足そうに微笑む。
『ねぇ、勝負しようよ。』
「ほお。」
『校門出るまで勝負。』
「どんな?」
『お互い照れさせるの。』
「勝敗はどう決まるんじゃ?」
『帰り道に報告しよ。何回照れたか。』
「より照れたほうが?」
『負け。勝った方の言う事を1つ聞く。いいでしょ。』
「ええよ。」
と、昼後の5分前のチャイムがなる。
『じゃ、今からね。』
「いいじゃろう。」
ユエは立ち上がり、仁王へ手を伸ばす。
『さ、いこ。』
仁王はユエの手に捕まり、体重をかけないように立ち上がる。
屋上を出て、ユエの教室の前に向かった。
「じゃ、後で部活に会えるのを楽しみにしてんしゃい。」
『うん。』
ユエの頭をぽんぽん、と軽く撫で仁王は自分の教室へ向かっていった。
自分の席に着席すると同時に顔を突っ伏す。
『(………か、かっこよすぎる…!!っていうか、まだ出会ってそんなに経ってないのに…よく付き合ってくれたな…。どうしよう、顔がにやけてしょうがない…。せっかくトリップしたんだ、楽しまなきゃ損よね!!)』
さっそく1回照れさせられたなと思いつつ、ふふ、と笑むと外から紙飛行機が飛んでくる。
『痛っ?誰だよ…。』
飛んできた方向は外から。外を見ると飛ばしたであろう仁王が。
読め、とジェスチャーを送っている。
『……2回目になりそう。』
紙飛行機を広げると、もう2回目じゃろ、と書かれていた。
『(中学生の癖に…。)』
仁王にまた目を向けるが、そこにはもう仁王の姿はなかった。
『神出鬼没か…彼奴は…。』
チャイムがなり、授業が始まる。
『(仁王をどうやって照れさせようかな。)』
授業はそんな事で頭がいっぱいだった。
授業が終わり、HRが終わる。
『(ラッキー、HR早く終わった!仁王の教室の前で待ったろ!)』
と、3年B組の教室へ向かっている途中、声をかける。
「お、ユエちゃん!」
『ん、赤也?』
赤「これから部活来るだろ?」
『もちろん。マネージャーだからね。』
赤「一緒に行こうぜ!」
と、赤也が手を差し延べる。
『是非に、って言いたいんだけど。』
手をとり小さく握手をかわす。
『私、雅治に用事があるの。ちょっとごめんね!』
赤「ちぇー、つまんねぇなぁ。」
『今度焼肉連れてってあげるからさ!』
赤「おっ、ならいいぜ!仁王先輩んとこいってらっしゃい!」
『うん、ありがと。』
ユエは手を離し、仁王の教室へと向かった。
ちょうどHRが終わった所で、生徒が教室からぞろぞろと出て行く。
『雅治ー。』
教室から顔を覗かせて、手を振ると仁王は満足げにユエの方を見て近づいた。
「部活に行くぜよ。」
『うん。』
丸「何、二人、付き合ってんの?」
『あ、ブン太。』
丸「仁王だけ呼んで俺を呼んでくれないなんて寂しいじゃん。同じ部だろぃ?」
『ごめんごめん。付き合う事になった。』
丸「そう……って、は!?マジ!?」
『マジ。』
ユエが仁王の制服の裾を握る。
「マジ。」
丸「サークルクラッシャーって言葉知ってるか?」
『知ってるわ!弦一郎も精市も怖いし、クラッシャーになってたまるもんか。』
丸「…ちぇ、俺もユエの事けっこう気に入ってたのに…。」
「残念やのう。もう俺のじゃき。」
仁王はユエの頭を撫でる。
『(撫でられるのはさっきされたから、照れないよ!照れないんだから!その発言には照れそうだけど。)』
丸「ま、いいや。部活行こうぜ。」
『うん。』
ユエが握っていた裾を離し、丸井とユエが歩き出した所で
「3じゃな。」
と、仁王が呟いた。
部室につき、着替えやミーティングを済ませ、全員は練習を始める。
『(……何かわざわざ照れるような事しなくても、ただ眺めてるだけでかっこいいんだよなぁ…。)』
弦「たるんどる!」
『うわあ!?げ、弦一郎?驚かせないでよ!!』
弦「先程からなんだその浮かれた顔は!」
『げ、バレてた?』
弦「当然だ。聞けば仁王と付き合い始めたんだったな。」
『誰から聞いたの。』
弦「本人だが。」
『雅治め…(どこまでも照れさせにくるな…。)』
弦「グラウンドを走りたそうだな?」
『ごめんなさい、真面目にやるから許して。』
真田から少しガミガミと言われ、その後は真面目にマネージャーとしての役目を果たした。
気付けば時間が終わりを告げる。
更衣室から着替え終わったレギュラー陣がぞくぞくと帰っていく姿が部室から見えた。
赤「ユエちゃーん!焼肉は?」
切原がユエしかいない部室に入る。
『今度って言ったでしょ?』
赤「そうだったっけ?ま、いっか。じゃ、また今度な!」
『うん。お疲れ様、赤也。』
バイバイと手を振りあって赤也は帰っていった。
入れ替わりに仁王が部屋に入る。
『雅治。校門出るまでって言ったけど、もう勝敗発表しない?』
「いいぜ。」
『じゃあ、せーので。せーの!』
「3。」
『4!』
『げ、マジ?』
「負けた方が勝った方の願いを聞く、じゃったかのう。」
『後半弦一郎に怒られて部活に集中しまくったからなぁ…いや、それが普通なんだけど。』
はぁ、とため息つく。
『で、お願いは?』
ユエの隣の椅子に仁王が腰掛ける。
「ユエ。こっち向きんしゃい。」
『ん、うん。』
じーっとお互いが見つめ合う。
『(雅治って本当かっこいいなぁ…。)』
「…色々考えたんじゃが、やっぱキスだな。」
『…え、マジ?』
「マジ。」
というと、仁王はユエの顎を軽く持ち上げ、短く唇同士を重ねた。
『……っ。』
ユエは恥ずかしそうに目をそらす。
「面白い。」
『ばか!早く部誌書くから帰るよ。』
というとユエはデスクに向き直り、部誌を書いていく。
『……。』
「……。」
暇そうな仁王はユエの脇腹をつつく。
『ひゃぅ!』
「良い反応ぜよ。」
仁王がけらけらと笑う。
『ばか。』
暫くして、部誌を書き終わる。
『んん…終わり。さ、雅治、帰ろう。』
「いいぜ。」
と、席を離れ部室の扉の前に来た所で。
『雅治、ちょっと屈んで?』
「?」
屈んでユエの目線の高さぐらいになった瞬間、ユエは仁王に短いキスをする。
「!」
『お願いじゃなくても、これぐらいしていいよ。雅治の事、好きで付き合ったんだから。』
「やるのう。」
えへへ、と笑うユエ。
仁王は手を差し出し、ユエはその手を握った。
「(これで4、じゃな。)」
扉を出ると夕日がとても鮮やかだった。
「ユエ。」
『ん?』
「俺も好きじゃ。」
『うん。』
「必ず幸せにしてやるぜよ。」
『ふふ…うん。』
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元々アラサー近いユエはあくびをする。
『(ま、一番後ろの端っこの席ってのはラッキーだったかな。寝てもバレにくいし。)』
教師「ユエ、ここの問題を答えは?」
『マイナス6だと思いまーす。』
教師「正解。眠たそうだけど、ちゃんと理解できてるんだな。」
教師はクスクスと笑う。
『(これで暫くは当てられないだろう…。寝よ。)』
肘をついてすやすやと睡眠に入る。
授業が終わった頃、男子と女子はそれぞれグループに別れ、ユエの噂をしている。
男子は、普段寝てるのに勉強がちゃんと出来る所が謎めいていて素敵だとモテる。
女子は、自分に自信がある所が嫌い等と、いう人たちがいた。
昼休憩のチャイムがなってもユエは起きる気配がなかった。
すると、教室の外からユエを呼ぶ声が聞こえる。
男子「ユエ、先輩が呼んでるぞ。」
『…ん…?誰…?』
目をこすり教室の外へ目を向けると、テニス部レギュラーの仁王雅治がいた。
『雅治か…ふあぁ…。』
男子「先輩を呼び捨て!?立海入学して間もないのに…彼氏なのか?」
『違うよ…テニスの事で話があるんじゃないかな……。あ、君…ありがとね。』
教えてくれた男子にこっと微笑むと、その男子は顔を真っ赤に染める。
ユエは仁王に近づく。
『なに…?寝てたんだけど…。』
「飯の時間じゃ。俺と一緒に来んしゃい。」
『ん。行く。』
あくびをしながら、あらかじめ買っていたコンビニ飯を持って2人は屋上へ向かった。
『立海は屋上入れるんだね。』
「ま、誰も入らんが。」
屋上へつき、日陰の所にユエは座る。仁王はその隣へ座る。
『なんで私を誘ったの?』
「気分じゃき。」
『ふぅん?(まぁ、クラスのモブより、仁王と2人で飯食べる方が嬉しいけど。)』
話していると、ユエのスマホがなる。
『ん?(おわっ、ジローちゃんだ。)』
「友達か?」
『そう、氷帝の。』
「氷帝ねぇ。」
『最初氷帝のマネージャーになれって誘われてたんだ。』
「初耳ぜよ。」
『言った事ないもん。』
「プリッ。」
ユエはニヤニヤとしながら芥川に返事を打つ。
「氷帝のマネージャーになりたかったか?」
『ううん。氷帝のレギュラーの皆の事は大好きだけどね。』
「ほぉ。ま、立海を選んだ訳じゃな。」
『(ちょっとからかってみよう。)私は雅治を選んだのよ。』
なんて言って微笑んでみた。仁王は特に何も反応しなかった。
『何かリアクションくれてもよくない?』
「…ああ。」
しなかった、ではなく、出来なかったようだ。ユエはおにぎりを一口かじる。
『困惑させてごめんって。』
「やのうて…ユエ、俺と付き合わんか?」
『はい……はい?』
ご飯粒が口の横についた事も気にならないぐらいにユエは驚いている。
「ええんやな?」
『いや待って、私は良いんだけど雅治は私の事まったく知らないでしょ?』
「じゃ、今日から俺の彼女じゃな。」
『待って、強引すぎる。聞いて。』
「聞いちょる。」
『(中学生ってこんなもんだったかな…?)』
「さっき良いって言っとったぜよ。それに氷帝じゃなくて、俺を選んだんじゃろ?」
『言ったけど。』
「なら応えてやっても良いなり。」
『はあ…。(まさかからかった結果がこうなるとは…。)』
中学生は手が早いな、なんて考えていると仁王はユエの口元についたご飯粒をとる。
『ぎゃっ!』
「色気のない声やのう。」
『いや、急に触れてくるから吃驚して…。』
「面白い奴じゃのう、ユエは。」
『そ、そりゃどーも。』
「一目惚れしてたっつたら信じるか?」
『詐欺師。』
「ピヨッ。」
そういうとユエからとったご飯粒を自分の口へ運んだ。
『(こっちがちょっと照れる事をしれっとやるんだな…。)』
「ユエ。」
『ん?』
「おまい、内心照れてるじゃろ。」
『こっちの台詞だよ。』
「プリッ。」
『かけひきが出来るような人がタイプならちょうどよかったんじゃない?』
「よく知っとるんじゃな。」
仁王は満足そうに微笑む。
『ねぇ、勝負しようよ。』
「ほお。」
『校門出るまで勝負。』
「どんな?」
『お互い照れさせるの。』
「勝敗はどう決まるんじゃ?」
『帰り道に報告しよ。何回照れたか。』
「より照れたほうが?」
『負け。勝った方の言う事を1つ聞く。いいでしょ。』
「ええよ。」
と、昼後の5分前のチャイムがなる。
『じゃ、今からね。』
「いいじゃろう。」
ユエは立ち上がり、仁王へ手を伸ばす。
『さ、いこ。』
仁王はユエの手に捕まり、体重をかけないように立ち上がる。
屋上を出て、ユエの教室の前に向かった。
「じゃ、後で部活に会えるのを楽しみにしてんしゃい。」
『うん。』
ユエの頭をぽんぽん、と軽く撫で仁王は自分の教室へ向かっていった。
自分の席に着席すると同時に顔を突っ伏す。
『(………か、かっこよすぎる…!!っていうか、まだ出会ってそんなに経ってないのに…よく付き合ってくれたな…。どうしよう、顔がにやけてしょうがない…。せっかくトリップしたんだ、楽しまなきゃ損よね!!)』
さっそく1回照れさせられたなと思いつつ、ふふ、と笑むと外から紙飛行機が飛んでくる。
『痛っ?誰だよ…。』
飛んできた方向は外から。外を見ると飛ばしたであろう仁王が。
読め、とジェスチャーを送っている。
『……2回目になりそう。』
紙飛行機を広げると、もう2回目じゃろ、と書かれていた。
『(中学生の癖に…。)』
仁王にまた目を向けるが、そこにはもう仁王の姿はなかった。
『神出鬼没か…彼奴は…。』
チャイムがなり、授業が始まる。
『(仁王をどうやって照れさせようかな。)』
授業はそんな事で頭がいっぱいだった。
授業が終わり、HRが終わる。
『(ラッキー、HR早く終わった!仁王の教室の前で待ったろ!)』
と、3年B組の教室へ向かっている途中、声をかける。
「お、ユエちゃん!」
『ん、赤也?』
赤「これから部活来るだろ?」
『もちろん。マネージャーだからね。』
赤「一緒に行こうぜ!」
と、赤也が手を差し延べる。
『是非に、って言いたいんだけど。』
手をとり小さく握手をかわす。
『私、雅治に用事があるの。ちょっとごめんね!』
赤「ちぇー、つまんねぇなぁ。」
『今度焼肉連れてってあげるからさ!』
赤「おっ、ならいいぜ!仁王先輩んとこいってらっしゃい!」
『うん、ありがと。』
ユエは手を離し、仁王の教室へと向かった。
ちょうどHRが終わった所で、生徒が教室からぞろぞろと出て行く。
『雅治ー。』
教室から顔を覗かせて、手を振ると仁王は満足げにユエの方を見て近づいた。
「部活に行くぜよ。」
『うん。』
丸「何、二人、付き合ってんの?」
『あ、ブン太。』
丸「仁王だけ呼んで俺を呼んでくれないなんて寂しいじゃん。同じ部だろぃ?」
『ごめんごめん。付き合う事になった。』
丸「そう……って、は!?マジ!?」
『マジ。』
ユエが仁王の制服の裾を握る。
「マジ。」
丸「サークルクラッシャーって言葉知ってるか?」
『知ってるわ!弦一郎も精市も怖いし、クラッシャーになってたまるもんか。』
丸「…ちぇ、俺もユエの事けっこう気に入ってたのに…。」
「残念やのう。もう俺のじゃき。」
仁王はユエの頭を撫でる。
『(撫でられるのはさっきされたから、照れないよ!照れないんだから!その発言には照れそうだけど。)』
丸「ま、いいや。部活行こうぜ。」
『うん。』
ユエが握っていた裾を離し、丸井とユエが歩き出した所で
「3じゃな。」
と、仁王が呟いた。
部室につき、着替えやミーティングを済ませ、全員は練習を始める。
『(……何かわざわざ照れるような事しなくても、ただ眺めてるだけでかっこいいんだよなぁ…。)』
弦「たるんどる!」
『うわあ!?げ、弦一郎?驚かせないでよ!!』
弦「先程からなんだその浮かれた顔は!」
『げ、バレてた?』
弦「当然だ。聞けば仁王と付き合い始めたんだったな。」
『誰から聞いたの。』
弦「本人だが。」
『雅治め…(どこまでも照れさせにくるな…。)』
弦「グラウンドを走りたそうだな?」
『ごめんなさい、真面目にやるから許して。』
真田から少しガミガミと言われ、その後は真面目にマネージャーとしての役目を果たした。
気付けば時間が終わりを告げる。
更衣室から着替え終わったレギュラー陣がぞくぞくと帰っていく姿が部室から見えた。
赤「ユエちゃーん!焼肉は?」
切原がユエしかいない部室に入る。
『今度って言ったでしょ?』
赤「そうだったっけ?ま、いっか。じゃ、また今度な!」
『うん。お疲れ様、赤也。』
バイバイと手を振りあって赤也は帰っていった。
入れ替わりに仁王が部屋に入る。
『雅治。校門出るまでって言ったけど、もう勝敗発表しない?』
「いいぜ。」
『じゃあ、せーので。せーの!』
「3。」
『4!』
『げ、マジ?』
「負けた方が勝った方の願いを聞く、じゃったかのう。」
『後半弦一郎に怒られて部活に集中しまくったからなぁ…いや、それが普通なんだけど。』
はぁ、とため息つく。
『で、お願いは?』
ユエの隣の椅子に仁王が腰掛ける。
「ユエ。こっち向きんしゃい。」
『ん、うん。』
じーっとお互いが見つめ合う。
『(雅治って本当かっこいいなぁ…。)』
「…色々考えたんじゃが、やっぱキスだな。」
『…え、マジ?』
「マジ。」
というと、仁王はユエの顎を軽く持ち上げ、短く唇同士を重ねた。
『……っ。』
ユエは恥ずかしそうに目をそらす。
「面白い。」
『ばか!早く部誌書くから帰るよ。』
というとユエはデスクに向き直り、部誌を書いていく。
『……。』
「……。」
暇そうな仁王はユエの脇腹をつつく。
『ひゃぅ!』
「良い反応ぜよ。」
仁王がけらけらと笑う。
『ばか。』
暫くして、部誌を書き終わる。
『んん…終わり。さ、雅治、帰ろう。』
「いいぜ。」
と、席を離れ部室の扉の前に来た所で。
『雅治、ちょっと屈んで?』
「?」
屈んでユエの目線の高さぐらいになった瞬間、ユエは仁王に短いキスをする。
「!」
『お願いじゃなくても、これぐらいしていいよ。雅治の事、好きで付き合ったんだから。』
「やるのう。」
えへへ、と笑うユエ。
仁王は手を差し出し、ユエはその手を握った。
「(これで4、じゃな。)」
扉を出ると夕日がとても鮮やかだった。
「ユエ。」
『ん?』
「俺も好きじゃ。」
『うん。』
「必ず幸せにしてやるぜよ。」
『ふふ…うん。』
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