氷帝学園
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今日は氷帝学園で文化祭。
『助けて、樺地!!』
樺「………。」
何かから逃げるように走ってくるユエ。
樺地はおもわず目をそらした。
『お願い、せめて私がこっち来なかったって言ってね、お願いね!!』
そういうとユエは物陰に隠れる。
景「おい、樺地!ユエがこっちに来ただろ!どっちへ行った!?」
『(ひ、ひぃぃぃ…。)』
樺「あ……上の階。」
景「でかした!」
そういうと跡部は上の階へ行った。
『…行った?』
樺「ウス。」
『ありがとう、樺地!…はあ、文化祭なんか来るんじゃなかった…。』
樺「………。」
『ああ、ごめんね。楽しくない訳じゃないの。せっかくの文化祭なのになんで運動部みたいに走り回らなきゃいけないんだと思ってね…。』
樺「なら…いいんですが…。」
『是非樺地と回りたいって思ったんだけど…。』
樺「遠慮…します…。」
『レギュラー陣全員怖いもんね。樺地、助けてくれてありがとう。今度ピザの美味しい店連れてってあげるからね!』
樺「!……ウス。」
ユエは手を振って樺地と別れる。
『(はあ…一人で文化祭回ることほど悲しい物はないけどさ…。)』
あの子他校生?
可愛いー
など、声があがってる。
『(今一番会いたくないのは跡部…次に会いたくないのは…ジローちゃんと向日かな…。)』
慈「ああー!!ユエちゃんじゃん!!会いたかった~~!」
『げっ…。』
岳「なんで一人でいんだよ。」
『いや…たまたま?』
慈「ねぇねぇ、ユエちゃん!一緒に回ろうよ!!」
というと、芥川はユエの右腕にぎゅっと抱きつく。
『えっ、ジローちゃんと岳人一緒に回ってたんじゃないの?(ああああ、女子の視線が痛い!これだから氷帝メンツと一緒に回るのはいやだったんだ!)』
岳「人数多い方が楽しいじゃねぇか。」
というと、向日はユエと腕を組む。
『あ、はは…そうよね。』
氷帝の女子、氷帝のテニス部のレギュラー陣が好きな他校生がユエを睨みまくっていた。
慈「ねぇねぇ!ユエちゃんどこ行きたい?何食べたい?」
岳「甘い物か?」
『ああー…唐揚げ、かな。』
岳「!ユエ、俺の好きな食べ物知ってるのか?」
『あはは…マネージャーだからね。』
岳「わざわざ俺の好きな物に合わせなくていいぜ。ありがとな。」
そういうとユエの頬に口付けをする。
『が、ががが岳人!?』
慈「え、なになに?がっくんがどうしたの?」
岳「なんもねーよ。」
反対側にいた慈郎は何をしていたのか見えていなかったようだ。
『(こいつら…可愛すぎるからやめてくれよ…。)』
慈「ねぇねぇ!あっちの屋台行こうよ!!」
ぐいっとユエの腕を軽く引っ張る。
岳「唐揚げ食いにいくって話だっただろ?こっちだ。」
反対側からぐいっと引っ張られる。
『あの…ちょっと痛いかな。』
慈「がっくん!ユエちゃんは俺と行くんだ!」
岳「違うだろ、ジロー。」
『……テニスで勝った方についてく。』
向日と芥川はユエを見つめる。
岳「ジロー、デート券かけて勝負だ。」
慈「もち!!やろうやろう!」
『いや、デートて。文化祭回るだけじゃん。』
慈「負けないよ!!」
『私の話聞いて?』
2人はユエから離れてグラウンドの方へかけていった。
『デート券…まぁいいや、切り抜けれたし。テニスやってれば暫く来ないだろ…。』
亮「よう、寂しそうだな。」
ふう、とため息ついてテニスコートを眺めていると頭にぽんと手を載せられる。
『あ、亮。(いやだから、テニスレギュラー陣に会いたくねぇんだってばぁぁ!!)』
長「俺もいるよ。」
『あ、ああ…チョタも。』
長「迷惑そうな顔…してますね。」
『えっ、迷惑ではあるけど。』
亮「周りの目なんて気にしなくていいじゃねぇか。」
というと、宍戸はユエの手をとって近くのベンチに座らせた。
『あの、私が亮と長太郎の真ん中である必要なくない?』
亮「で、なんか食いたい物あるか?」
『ねぇ、氷帝の人たち耳悪いの?私の話ちゃんと聞いて?』
長「じゃあ、俺は飲み物を買ってきますね。」
『長太郎にまで話聞いてもらえなかったら、誰が私の話聞いてくれるんだよ。』
宍戸と鳳はそれぞれ別の屋台へ向かった。
『(ったく…私この世界の女の子に嫌われるんだから、あんな見せつけた後でどっか行かないでよね…。)』
「ねぇ、そこのあなた。」
『はいー!!(ほら絡まれたー!!!)』
「宍戸様と鳳様の間に挟まれるだなんてどういう関係?」
『あー…テニス繋がりで…。』
「あなた立海のマネージャーでしょう!?スパイでもやってるの!?」
『めっちゃ私のこと知ってんじゃん!つか、私につっかかるのはいいけどお前の嘘で立海の名を傷つけるのだけはやめろ。』
そういい、ユエは相手の女を本気で睨む。
「な、なによ…!」
侑「今のはお嬢ちゃんが悪いなぁ。」
『あ、侑士?』
ベンチの後ろから忍足がユエを緩く抱きしめる。
侑「この子は俺らが呼んだ子や。なぁ、ユエ。」
『ああ、文化祭の招待状送ってくれたのは侑士だったね。』
「忍足様が…そんなに人に近づくなんて…。」
侑「失せや。お嬢ちゃんみたいな子は俺のタイプやない。」
『!』
女の子は泣きながらさっていった。
『侑士、言い過ぎじゃない?』
侑「好きな女が理不尽に絡まれてる姿見たら誰でも切れるやろ。」
侑士は後ろから抱きしめる力を強める。
『侑士が離れたらまた絡まれるからやめてくれる?』
侑「じゃあもうずっと離れなかったらええやん。」
『いや、だって私立海のマネージャーなんだって。』
侑「へぇ。」
『いや、へぇじゃなくて話聞いてって。』
亮「忍足?何してんだよ。」
侑「可愛い子おったからついナンパしてしもうたんや。」
長「あはは、そうだったんですね。」
『ねぇ、モテてる事に文句は言わないんだけどなんで誰ひとりとして私の話聞こえてないの?』
侑「そうやなぁ、ユエはモテモテでライバル多すぎやわ。」
『ねぇ、なんで話聞こえてない事だけスルーしたの?今のは完全に悪意だよね?』
4人で食事を嗜む事になった。
『さっき景吾が私のことめっちゃ探してて何か怖かったんだよね。』
侑「跡部が?」
『うん。樺地がかくまってくれたから助かったけど。』
亮「樺地が!?跡部裏切る事あったんだな。」
と、宍戸は平気でユエにあーん、をさせようとしている。
『むぐ。』
そして食べる。
『(そういえば今日、日吉を見てないな。)』
そんな事を思いながら鳳から飲み物を受け取り1口飲む。
侑「ユエ、デザート…やのうて、甘い物いらへんか?」
『デザート?』
侑「キス。」
『付き合ってもないのに!?侑士の事は好きだけどいらないよ!』
長「えっ。」
亮「えっ。」
侑「…ほんまか?」
『本当だけど、長太郎も亮も同じぐらい好き。』
侑「なんや。期待させるの上手やなぁ。」
そういうと忍足は、ユエを真上に顔を向けさせ、額にキスをする。
『ゆ…侑士…!!』
亮「おい、忍足!」
長「ずるいですよ!」
『ねぇ、全員に言えるんだけど、特に長太郎はだんだん隠す気なくなってるよね?』
侑「ま、いつか俺の物にしたるわ。」
『…はあ、岳人も侑士も…いきなりちゅーなんてしないでよ。照れるし、私他校のマネージャーだし、氷帝女子の目線が怖いって。』
長「向日さんにもされたの?」
『うん。今、私とのデート券かけてテニス勝負してるそうだよ。』
亮「…長太郎。」
長「俺も同じ事考えてると思います。」
亮「デート券かけて勝負だな。」
長「ですね!」
『待て待て。私亮と長太郎とデートするとは一言も言ってないぞ。』
長「じゃあ行ってきますね!」
『長太郎そろそろマジで話聞かない?』
ユエの言葉を聞かず鳳と宍戸はテニスコートへ向かっていった。
『ねえ、侑士。』
侑「なんや?」
忍足はユエの隣へ座る。
『2つ悩みがあるんだけど。』
侑「1つ目は?」
『誰も私の話の一部を聞かない。』
侑「不思議やなぁ。俺も聞こえへんのや。」
『聞こえないフリでしょ。』
侑「2つ目は?」
『亮が買ってきた食べ物が多すぎて私だけじゃ食べきれなさそう。』
侑「…宍戸アホやなぁ、女の子一人じゃこんな食いきれる訳ないやろ。」
ベンチの周りに広がった食べ物達を見て、2人は、はあ…とため息をついた。
若「忍足さんにユエ、何やってるんですか。」
2人を発見した日吉が近づいてきた。
『若!お腹すいてない?』
若「すいてるけど。」
『亮が買ってきてくれたんだけど、亮も長太郎も対して食べないでどっか行っちゃうから助けてくれない?』
若「何やってんだよ。ま、無駄にするのも勿体無いしな。」
日吉はユエの隣に腰掛ける。
日吉は本当にお腹すいていたらしく、ガツガツと食べている。
若「忍足さん。今日は文化祭だから部活は流石に休みにするって話じゃなかったですか?」
侑「ん?そうやけど。」
『ああ、4人ぐらいアホがテニスしてた?』
若「ああ。」
『まぁ…本当にアホみたいな理由が色々あってね…。』
若「へえ。」
そういうと鳳の買ってきた飲み物を飲む。
侑「日吉、それユエが口つけた奴やで。」
むせる日吉。
『大丈夫?』
若「大丈夫だ。」
顔をユエと反対の方に向けた。
侑「なんや、わざとやないんか。」
若「わざとそんな事しませんよ。」
『ぴよしは可愛いなぁ。』
若「もう食べないぞ、これ。」
『ごめんうそ、助けて。』
会話をしながら食べ物を消化していると、忍足はクラスの出し物の交代時間だそうでクラスの方へ向かっていった。
『若って意外と食べるんだね。』
若「男ならこれぐらい普通だ。」
『無理してない?』
若「してねぇよ。」
『後で亮には文句言おう。はい、これラストのたこ焼き。』
ユエは日吉にあーんをさせようとしている。
若「な、なんだよ。」
『たこ焼きもう食えない?』
若「そうじゃねぇ。」
『じゃあ、はい。あーん。』
若「……。」
日吉が口をあけ、ユエはあーんで食べさせる。
ユエはキャバクラで慣れていたので何も照れなかったが、日吉は目をそらし食べた。
『ありがとう、若。すっごい助かった。』
若「いい迷惑だ。」
飲み物を飲みながらいう。
『若は、当番とかないの?』
若「もう終わった所だ。」
『そっか。じゃあ、私はこれで。』
若「帰んのか?」
『うん。氷帝のテニス部レギュラーと一緒にいると氷帝の女子が怖いから帰りたい。』
若「ふうん。」
景「誰が帰すと思った?」
『げぇ!』
ユエの隣に足をくんで座る跡部。
景「げ、とはなんだよ。」
『会ったら絶対帰してくれないと思ったから、げって言ったんだよ。』
景「可愛くねぇ事言うじゃねぇか。おい、若。席を外せ。」
若「……。……デート券。」
『はい?』
若「俺もデート券貰えるなら席外します。」
景「あーん?随分生意気な事言うようになったじゃねぇか。」
『おい、デート券の話知ってるんじゃないか。なんで侑士の前で知らないふりしたんだよ。』
景「仕方ねぇな。おい、樺地!」
樺「ウス。」
『樺地もいたのね…吃驚した。』
景「若と試合してこい。樺地が勝ったらデート券は無しだ。」
『いや、なんで景吾が決めるの?』
若「分かりました。行くぞ、樺地。」
『ねぇ、私の決定権は?』
樺「ウス。」
景「いいか、樺地。俺様を騙した罰だ。絶対勝て。」
樺「ウ……ウス。」
『樺地、嘘バラしたの!?隠しきれないなんて、なんて不器用な奴なんだ!』
若「負けねぇ…!」
『ねぇ、若は私の話聞いてる?決定権ないの?ねぇ?』
樺地と日吉はテニスコートへ向かった。
『はあ…誰も話聞いてくれないし、景吾の近くにいたら余計に女子に睨まれるじゃん。だから会いたくなかったんだよ。』
景「俺様にそんな事言えるの、お前ぐらいだぜ?」
『とりあえず周り見てくれない?助けてよ。』
いつも跡部の周りにいるだろう女子たちが案の定睨んでいる。
景「言わせておけ。今の俺様は“目の前の惚れた女しか”興味ない。」
そういうと跡部はファンの女の子を邪魔だと言いたそうに軽く睨み、しっしと手で払うジェスチャーをした。
『…そんなファンを捨てるような事言えるんだ。』
景「あーん?当たり前だろ。ユエに対しては本気だからな。」
『はあ…。雅治…仁王みたいな詐欺師なオーラを感じるよ。』
景「俺様があのペテン師と同じオーラだと?」
『嘘くさい、って事だよ。』
景「ほお。言うじゃねぇか。やっぱお前は面白い。」
『嘘なんかい。』
ユエがふーっとため息をつこうとした瞬間、跡部はユエの顎を軽く持ち上げ唇にキスをした。
『……!!?け、景吾…!?』
景「嘘とは言ってねぇだろ?」
『…ファンが泣いちゃうよ。(やば、本気で惚れそう。…中学生の癖になぁ…いや、中学生っぽくないんだけどさ。)』
景「いいつってんだろ。」
『…そこまで言うなら、嘘じゃないって分かったよ。今日、贅沢なことに色んな人に告白だのデートだの言われたけど、景吾の言葉が一番嬉しかったよ。』
暫くして、文化祭の終わりを告げるチャイムが鳴る。ユエはにっと笑って立ち上がる。
『文化祭の片付け、あるんでしょ?』
景「ああ。」
『じゃあ、私帰るね。ばいばい。』
立ち去ろうと校門の方へ向かう途中。
景「おい、ユエ!」
『ん?』
人が割と多い所でユエを呼び止めた。
『どうしたの、景吾?』
景「俺様の女になれ!」
『ばっ……。』
いやと叫ぶ女、おおー!と盛り上がる男、色んな声が入り混じっていた。何故かユエの返事を聞きたいという男が周りの歓声を沈めていた。
『……ま、いっか。付き合おうか。』
景「よし。……いいか、お前ら聞け!」
『ちょ、ちょっと。』
跡部はユエの肩を抱き周りに聞こえるような声を出す。
景「今日から此奴、ユエは俺様の彼女だ!手を出したり、嫌がらせをしたりしてみろ!俺様が潰す!」
『うわ、こわ。氷帝の部長兼生徒会長こわ。』
景「祝福しろ、てめぇら!」
悲しんでいる女の子も多数いたが、暫くすると祝福をする女子も増えていった。男たちは大盛り上がりをしていた。
途中先生が来て、片付けをしろと怒られ全員は解散になった。
景「…これで安心だろ?」
『うん。まさか公開告白するとは思わなかったけど。』
景「じゃ、俺様も行くぜ。」
『景吾、待って。』
景「あ?なんだ?」
『樺地に騙させてごめん。』
景「…まあいい。」
『最初はファンが怖いからって避けてたけど、私、景吾のこと好きだよ。』
景「ふん、当然だろ。愛してるぜ。」
跡部はユエの頭をぽんぽんとなでてから、校舎の方へいったしまった。
.
↓おまけ。
『…あ。岳人とジローちゃんと、亮と長太郎と、若に謝らなきゃ…。デート券全部無しになったんだもんね。』
ユエは試合が長引いてることを考え、ジュースを自販機で買ってテニスコートへ向かう。
慈「ぜー……ぜー……。」
岳「そろそろ……終わりにしようぜ……。」
亮「…長太郎、お前って…こんなスタミナがあったんだな……。」
長「はは……今日は…調子がいいみたいです…。」
若「ちっ……樺地…邪魔すんなよ…。」
樺「……はあ……。」
『あー…みんな?』
慈「あ…ユエちゃんじゃん!!今タイブレーク中だよ!!俺が勝つから、見てて見てて!!」
岳「は?勝つのは俺だっつの!ユエ、見とけ!ジロー、28:28からだ!」
『タイブレークなっが!?(申し訳なくなってきた!!)』
全員はフラフラとしていた。
『あの、本当にごめんなんだけど。みんな聞いてくれる?』
若「…ちっ、なんだ?」
『………私、景吾と付き合うことになった。』
全「「は??」」
『ごめん。』
樺地以外の全員が地面に膝を立てて崩れ落ちる。
『あの…ごめんね?』
慈「なんでだろう……すごく力が抜けちゃった。がっくんの勝ちでいいよ。」
岳「今頃俺が勝ちって言われても…価値ねぇよ…。」
『岳人が天根ヒカルみたいになっちゃった…。』
ユエは慈郎と岳人に飲み物を渡す。
亮「跡部のやろう…。」
長「俺たちなんの為に戦ってたんでしょう…。」
『ああ…今度、美味しい和食の店連れてけはしないけど…紹介するよ。』
飲み物を宍戸と鳳に渡す。
若「あー、バカバカしい。腹苦しいし。」
樺「……ウス。」
『やっぱ無理して食べてくれてたんだ!?樺地も無駄骨だったし…ごめんね。』
日吉と樺地にも飲み物を渡した。
そしてふと気付く。
『みんな、やっと私の声聞こえたんだね。』
.
『助けて、樺地!!』
樺「………。」
何かから逃げるように走ってくるユエ。
樺地はおもわず目をそらした。
『お願い、せめて私がこっち来なかったって言ってね、お願いね!!』
そういうとユエは物陰に隠れる。
景「おい、樺地!ユエがこっちに来ただろ!どっちへ行った!?」
『(ひ、ひぃぃぃ…。)』
樺「あ……上の階。」
景「でかした!」
そういうと跡部は上の階へ行った。
『…行った?』
樺「ウス。」
『ありがとう、樺地!…はあ、文化祭なんか来るんじゃなかった…。』
樺「………。」
『ああ、ごめんね。楽しくない訳じゃないの。せっかくの文化祭なのになんで運動部みたいに走り回らなきゃいけないんだと思ってね…。』
樺「なら…いいんですが…。」
『是非樺地と回りたいって思ったんだけど…。』
樺「遠慮…します…。」
『レギュラー陣全員怖いもんね。樺地、助けてくれてありがとう。今度ピザの美味しい店連れてってあげるからね!』
樺「!……ウス。」
ユエは手を振って樺地と別れる。
『(はあ…一人で文化祭回ることほど悲しい物はないけどさ…。)』
あの子他校生?
可愛いー
など、声があがってる。
『(今一番会いたくないのは跡部…次に会いたくないのは…ジローちゃんと向日かな…。)』
慈「ああー!!ユエちゃんじゃん!!会いたかった~~!」
『げっ…。』
岳「なんで一人でいんだよ。」
『いや…たまたま?』
慈「ねぇねぇ、ユエちゃん!一緒に回ろうよ!!」
というと、芥川はユエの右腕にぎゅっと抱きつく。
『えっ、ジローちゃんと岳人一緒に回ってたんじゃないの?(ああああ、女子の視線が痛い!これだから氷帝メンツと一緒に回るのはいやだったんだ!)』
岳「人数多い方が楽しいじゃねぇか。」
というと、向日はユエと腕を組む。
『あ、はは…そうよね。』
氷帝の女子、氷帝のテニス部のレギュラー陣が好きな他校生がユエを睨みまくっていた。
慈「ねぇねぇ!ユエちゃんどこ行きたい?何食べたい?」
岳「甘い物か?」
『ああー…唐揚げ、かな。』
岳「!ユエ、俺の好きな食べ物知ってるのか?」
『あはは…マネージャーだからね。』
岳「わざわざ俺の好きな物に合わせなくていいぜ。ありがとな。」
そういうとユエの頬に口付けをする。
『が、ががが岳人!?』
慈「え、なになに?がっくんがどうしたの?」
岳「なんもねーよ。」
反対側にいた慈郎は何をしていたのか見えていなかったようだ。
『(こいつら…可愛すぎるからやめてくれよ…。)』
慈「ねぇねぇ!あっちの屋台行こうよ!!」
ぐいっとユエの腕を軽く引っ張る。
岳「唐揚げ食いにいくって話だっただろ?こっちだ。」
反対側からぐいっと引っ張られる。
『あの…ちょっと痛いかな。』
慈「がっくん!ユエちゃんは俺と行くんだ!」
岳「違うだろ、ジロー。」
『……テニスで勝った方についてく。』
向日と芥川はユエを見つめる。
岳「ジロー、デート券かけて勝負だ。」
慈「もち!!やろうやろう!」
『いや、デートて。文化祭回るだけじゃん。』
慈「負けないよ!!」
『私の話聞いて?』
2人はユエから離れてグラウンドの方へかけていった。
『デート券…まぁいいや、切り抜けれたし。テニスやってれば暫く来ないだろ…。』
亮「よう、寂しそうだな。」
ふう、とため息ついてテニスコートを眺めていると頭にぽんと手を載せられる。
『あ、亮。(いやだから、テニスレギュラー陣に会いたくねぇんだってばぁぁ!!)』
長「俺もいるよ。」
『あ、ああ…チョタも。』
長「迷惑そうな顔…してますね。」
『えっ、迷惑ではあるけど。』
亮「周りの目なんて気にしなくていいじゃねぇか。」
というと、宍戸はユエの手をとって近くのベンチに座らせた。
『あの、私が亮と長太郎の真ん中である必要なくない?』
亮「で、なんか食いたい物あるか?」
『ねぇ、氷帝の人たち耳悪いの?私の話ちゃんと聞いて?』
長「じゃあ、俺は飲み物を買ってきますね。」
『長太郎にまで話聞いてもらえなかったら、誰が私の話聞いてくれるんだよ。』
宍戸と鳳はそれぞれ別の屋台へ向かった。
『(ったく…私この世界の女の子に嫌われるんだから、あんな見せつけた後でどっか行かないでよね…。)』
「ねぇ、そこのあなた。」
『はいー!!(ほら絡まれたー!!!)』
「宍戸様と鳳様の間に挟まれるだなんてどういう関係?」
『あー…テニス繋がりで…。』
「あなた立海のマネージャーでしょう!?スパイでもやってるの!?」
『めっちゃ私のこと知ってんじゃん!つか、私につっかかるのはいいけどお前の嘘で立海の名を傷つけるのだけはやめろ。』
そういい、ユエは相手の女を本気で睨む。
「な、なによ…!」
侑「今のはお嬢ちゃんが悪いなぁ。」
『あ、侑士?』
ベンチの後ろから忍足がユエを緩く抱きしめる。
侑「この子は俺らが呼んだ子や。なぁ、ユエ。」
『ああ、文化祭の招待状送ってくれたのは侑士だったね。』
「忍足様が…そんなに人に近づくなんて…。」
侑「失せや。お嬢ちゃんみたいな子は俺のタイプやない。」
『!』
女の子は泣きながらさっていった。
『侑士、言い過ぎじゃない?』
侑「好きな女が理不尽に絡まれてる姿見たら誰でも切れるやろ。」
侑士は後ろから抱きしめる力を強める。
『侑士が離れたらまた絡まれるからやめてくれる?』
侑「じゃあもうずっと離れなかったらええやん。」
『いや、だって私立海のマネージャーなんだって。』
侑「へぇ。」
『いや、へぇじゃなくて話聞いてって。』
亮「忍足?何してんだよ。」
侑「可愛い子おったからついナンパしてしもうたんや。」
長「あはは、そうだったんですね。」
『ねぇ、モテてる事に文句は言わないんだけどなんで誰ひとりとして私の話聞こえてないの?』
侑「そうやなぁ、ユエはモテモテでライバル多すぎやわ。」
『ねぇ、なんで話聞こえてない事だけスルーしたの?今のは完全に悪意だよね?』
4人で食事を嗜む事になった。
『さっき景吾が私のことめっちゃ探してて何か怖かったんだよね。』
侑「跡部が?」
『うん。樺地がかくまってくれたから助かったけど。』
亮「樺地が!?跡部裏切る事あったんだな。」
と、宍戸は平気でユエにあーん、をさせようとしている。
『むぐ。』
そして食べる。
『(そういえば今日、日吉を見てないな。)』
そんな事を思いながら鳳から飲み物を受け取り1口飲む。
侑「ユエ、デザート…やのうて、甘い物いらへんか?」
『デザート?』
侑「キス。」
『付き合ってもないのに!?侑士の事は好きだけどいらないよ!』
長「えっ。」
亮「えっ。」
侑「…ほんまか?」
『本当だけど、長太郎も亮も同じぐらい好き。』
侑「なんや。期待させるの上手やなぁ。」
そういうと忍足は、ユエを真上に顔を向けさせ、額にキスをする。
『ゆ…侑士…!!』
亮「おい、忍足!」
長「ずるいですよ!」
『ねぇ、全員に言えるんだけど、特に長太郎はだんだん隠す気なくなってるよね?』
侑「ま、いつか俺の物にしたるわ。」
『…はあ、岳人も侑士も…いきなりちゅーなんてしないでよ。照れるし、私他校のマネージャーだし、氷帝女子の目線が怖いって。』
長「向日さんにもされたの?」
『うん。今、私とのデート券かけてテニス勝負してるそうだよ。』
亮「…長太郎。」
長「俺も同じ事考えてると思います。」
亮「デート券かけて勝負だな。」
長「ですね!」
『待て待て。私亮と長太郎とデートするとは一言も言ってないぞ。』
長「じゃあ行ってきますね!」
『長太郎そろそろマジで話聞かない?』
ユエの言葉を聞かず鳳と宍戸はテニスコートへ向かっていった。
『ねえ、侑士。』
侑「なんや?」
忍足はユエの隣へ座る。
『2つ悩みがあるんだけど。』
侑「1つ目は?」
『誰も私の話の一部を聞かない。』
侑「不思議やなぁ。俺も聞こえへんのや。」
『聞こえないフリでしょ。』
侑「2つ目は?」
『亮が買ってきた食べ物が多すぎて私だけじゃ食べきれなさそう。』
侑「…宍戸アホやなぁ、女の子一人じゃこんな食いきれる訳ないやろ。」
ベンチの周りに広がった食べ物達を見て、2人は、はあ…とため息をついた。
若「忍足さんにユエ、何やってるんですか。」
2人を発見した日吉が近づいてきた。
『若!お腹すいてない?』
若「すいてるけど。」
『亮が買ってきてくれたんだけど、亮も長太郎も対して食べないでどっか行っちゃうから助けてくれない?』
若「何やってんだよ。ま、無駄にするのも勿体無いしな。」
日吉はユエの隣に腰掛ける。
日吉は本当にお腹すいていたらしく、ガツガツと食べている。
若「忍足さん。今日は文化祭だから部活は流石に休みにするって話じゃなかったですか?」
侑「ん?そうやけど。」
『ああ、4人ぐらいアホがテニスしてた?』
若「ああ。」
『まぁ…本当にアホみたいな理由が色々あってね…。』
若「へえ。」
そういうと鳳の買ってきた飲み物を飲む。
侑「日吉、それユエが口つけた奴やで。」
むせる日吉。
『大丈夫?』
若「大丈夫だ。」
顔をユエと反対の方に向けた。
侑「なんや、わざとやないんか。」
若「わざとそんな事しませんよ。」
『ぴよしは可愛いなぁ。』
若「もう食べないぞ、これ。」
『ごめんうそ、助けて。』
会話をしながら食べ物を消化していると、忍足はクラスの出し物の交代時間だそうでクラスの方へ向かっていった。
『若って意外と食べるんだね。』
若「男ならこれぐらい普通だ。」
『無理してない?』
若「してねぇよ。」
『後で亮には文句言おう。はい、これラストのたこ焼き。』
ユエは日吉にあーんをさせようとしている。
若「な、なんだよ。」
『たこ焼きもう食えない?』
若「そうじゃねぇ。」
『じゃあ、はい。あーん。』
若「……。」
日吉が口をあけ、ユエはあーんで食べさせる。
ユエはキャバクラで慣れていたので何も照れなかったが、日吉は目をそらし食べた。
『ありがとう、若。すっごい助かった。』
若「いい迷惑だ。」
飲み物を飲みながらいう。
『若は、当番とかないの?』
若「もう終わった所だ。」
『そっか。じゃあ、私はこれで。』
若「帰んのか?」
『うん。氷帝のテニス部レギュラーと一緒にいると氷帝の女子が怖いから帰りたい。』
若「ふうん。」
景「誰が帰すと思った?」
『げぇ!』
ユエの隣に足をくんで座る跡部。
景「げ、とはなんだよ。」
『会ったら絶対帰してくれないと思ったから、げって言ったんだよ。』
景「可愛くねぇ事言うじゃねぇか。おい、若。席を外せ。」
若「……。……デート券。」
『はい?』
若「俺もデート券貰えるなら席外します。」
景「あーん?随分生意気な事言うようになったじゃねぇか。」
『おい、デート券の話知ってるんじゃないか。なんで侑士の前で知らないふりしたんだよ。』
景「仕方ねぇな。おい、樺地!」
樺「ウス。」
『樺地もいたのね…吃驚した。』
景「若と試合してこい。樺地が勝ったらデート券は無しだ。」
『いや、なんで景吾が決めるの?』
若「分かりました。行くぞ、樺地。」
『ねぇ、私の決定権は?』
樺「ウス。」
景「いいか、樺地。俺様を騙した罰だ。絶対勝て。」
樺「ウ……ウス。」
『樺地、嘘バラしたの!?隠しきれないなんて、なんて不器用な奴なんだ!』
若「負けねぇ…!」
『ねぇ、若は私の話聞いてる?決定権ないの?ねぇ?』
樺地と日吉はテニスコートへ向かった。
『はあ…誰も話聞いてくれないし、景吾の近くにいたら余計に女子に睨まれるじゃん。だから会いたくなかったんだよ。』
景「俺様にそんな事言えるの、お前ぐらいだぜ?」
『とりあえず周り見てくれない?助けてよ。』
いつも跡部の周りにいるだろう女子たちが案の定睨んでいる。
景「言わせておけ。今の俺様は“目の前の惚れた女しか”興味ない。」
そういうと跡部はファンの女の子を邪魔だと言いたそうに軽く睨み、しっしと手で払うジェスチャーをした。
『…そんなファンを捨てるような事言えるんだ。』
景「あーん?当たり前だろ。ユエに対しては本気だからな。」
『はあ…。雅治…仁王みたいな詐欺師なオーラを感じるよ。』
景「俺様があのペテン師と同じオーラだと?」
『嘘くさい、って事だよ。』
景「ほお。言うじゃねぇか。やっぱお前は面白い。」
『嘘なんかい。』
ユエがふーっとため息をつこうとした瞬間、跡部はユエの顎を軽く持ち上げ唇にキスをした。
『……!!?け、景吾…!?』
景「嘘とは言ってねぇだろ?」
『…ファンが泣いちゃうよ。(やば、本気で惚れそう。…中学生の癖になぁ…いや、中学生っぽくないんだけどさ。)』
景「いいつってんだろ。」
『…そこまで言うなら、嘘じゃないって分かったよ。今日、贅沢なことに色んな人に告白だのデートだの言われたけど、景吾の言葉が一番嬉しかったよ。』
暫くして、文化祭の終わりを告げるチャイムが鳴る。ユエはにっと笑って立ち上がる。
『文化祭の片付け、あるんでしょ?』
景「ああ。」
『じゃあ、私帰るね。ばいばい。』
立ち去ろうと校門の方へ向かう途中。
景「おい、ユエ!」
『ん?』
人が割と多い所でユエを呼び止めた。
『どうしたの、景吾?』
景「俺様の女になれ!」
『ばっ……。』
いやと叫ぶ女、おおー!と盛り上がる男、色んな声が入り混じっていた。何故かユエの返事を聞きたいという男が周りの歓声を沈めていた。
『……ま、いっか。付き合おうか。』
景「よし。……いいか、お前ら聞け!」
『ちょ、ちょっと。』
跡部はユエの肩を抱き周りに聞こえるような声を出す。
景「今日から此奴、ユエは俺様の彼女だ!手を出したり、嫌がらせをしたりしてみろ!俺様が潰す!」
『うわ、こわ。氷帝の部長兼生徒会長こわ。』
景「祝福しろ、てめぇら!」
悲しんでいる女の子も多数いたが、暫くすると祝福をする女子も増えていった。男たちは大盛り上がりをしていた。
途中先生が来て、片付けをしろと怒られ全員は解散になった。
景「…これで安心だろ?」
『うん。まさか公開告白するとは思わなかったけど。』
景「じゃ、俺様も行くぜ。」
『景吾、待って。』
景「あ?なんだ?」
『樺地に騙させてごめん。』
景「…まあいい。」
『最初はファンが怖いからって避けてたけど、私、景吾のこと好きだよ。』
景「ふん、当然だろ。愛してるぜ。」
跡部はユエの頭をぽんぽんとなでてから、校舎の方へいったしまった。
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↓おまけ。
『…あ。岳人とジローちゃんと、亮と長太郎と、若に謝らなきゃ…。デート券全部無しになったんだもんね。』
ユエは試合が長引いてることを考え、ジュースを自販機で買ってテニスコートへ向かう。
慈「ぜー……ぜー……。」
岳「そろそろ……終わりにしようぜ……。」
亮「…長太郎、お前って…こんなスタミナがあったんだな……。」
長「はは……今日は…調子がいいみたいです…。」
若「ちっ……樺地…邪魔すんなよ…。」
樺「……はあ……。」
『あー…みんな?』
慈「あ…ユエちゃんじゃん!!今タイブレーク中だよ!!俺が勝つから、見てて見てて!!」
岳「は?勝つのは俺だっつの!ユエ、見とけ!ジロー、28:28からだ!」
『タイブレークなっが!?(申し訳なくなってきた!!)』
全員はフラフラとしていた。
『あの、本当にごめんなんだけど。みんな聞いてくれる?』
若「…ちっ、なんだ?」
『………私、景吾と付き合うことになった。』
全「「は??」」
『ごめん。』
樺地以外の全員が地面に膝を立てて崩れ落ちる。
『あの…ごめんね?』
慈「なんでだろう……すごく力が抜けちゃった。がっくんの勝ちでいいよ。」
岳「今頃俺が勝ちって言われても…価値ねぇよ…。」
『岳人が天根ヒカルみたいになっちゃった…。』
ユエは慈郎と岳人に飲み物を渡す。
亮「跡部のやろう…。」
長「俺たちなんの為に戦ってたんでしょう…。」
『ああ…今度、美味しい和食の店連れてけはしないけど…紹介するよ。』
飲み物を宍戸と鳳に渡す。
若「あー、バカバカしい。腹苦しいし。」
樺「……ウス。」
『やっぱ無理して食べてくれてたんだ!?樺地も無駄骨だったし…ごめんね。』
日吉と樺地にも飲み物を渡した。
そしてふと気付く。
『みんな、やっと私の声聞こえたんだね。』
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