短編集『二次創作小説』
この世界は『第二の性』と呼ばれる、性別が存在する。
男と女、そして、アルファ、ベータ、オメガと分類される三種類だ。
その中で最も数が少なく、最も希少価値が高いのが、アルファである。
そして『獣人』と呼ばれるアルファは『雄』しか生まれず、『雌』のアルファは存在をしない、、、、、、、。
ーのはずだった!ー
「妹さんは『アルファ』ですね」
「ア、、、『アルファ』ぁあ、、、!?」
オレ、、、『狼族獣人』で『錬金術師』の修行中の身であるアルファの『エドワード.エルリック』は双子の妹『サクラ.エルリック』が『アルファ』と言われ驚いた。
オレの家系は『オメガ』に生まれやすく、、、、。
長男であるアルファのオレが珍しいくらいに、、。
一個年下の弟、、『アルフォンス.エルリック』も『オメガ』だったので妹のサクラも『オメガ』だと勝手に思っていたのだ。
「はい、間違いありません。この検査器にはアルファと表示されます、、、(汗)」
町医者であるヤギ獣人は戸惑いながらオレに告げた。
「サクラは『オメガ』じゃないのかよ?」
「ええ、私も驚きました。まさか『アルファ』が生まれるなんて、、、!」
「で、、でもよ、、、?サクラは『オメガ特有』の『巣作り』をするぜ?な、何かの間違いなんじゃ、、、、?」
そう、サクラは小さい頃から服やら何やらを集めて、、匂いに包まれて過ごす癖がある。
だから、てっきり『オメガ』なのだと思っていたのだが、、。
しかし、、オレの隣りに座っている犬族の『ピナコばっちゃん』がこう言った。
「そう言えば、、、何故かアルやウィンリィ(オメガ)の服ばかりに集めてたねぃ、、」
「え、、!?」
オレは驚いて、サクラを見つめた。
すると、、恥ずかしそうに顔を赤くしたサクラはモジモジしながら話し出した。
「だって、、、兄さんよりオメガの『匂い』がすごいんだもん、、。なんか落ち着くもの、、、、、」
「、、、、、、(汗)」
あっこれは慣れさせないと危ないなあと発情期に耐性があるオレは思った。
下手したら発情期になった弟やウェンリィまで襲うかも、、?
なんせ雌の『アルファ』なんて初めてだし、、。
「さすがに前例がないので『国家錬金術師』の『軍医』に相談して下さい。私が連絡しておきますので、、」
そう言ってヤギ獣人の医者は帰っていった。
「じゃあ、アタシらは帰るよ、、」
「ああ、ありがとう、、」
ピナコばっちゃんはオレ達兄妹の世話を焼いてくれている人だ。
「何かあったらすぐに呼ぶんだよ?」
「うん、わかった、、」
ピナコばっちゃんが出ていって二人きりになると、、
「ねえ、、もしかして私ってすごいことしちゃったのかな?」
「うーん、、どうだろ、、?」
とりあえず、オレとサクラは今後の事を話し合うことにした。
オレとサクラは戦争でオレの左足が失い、サクラは左腕を失った。
現在は『機械鎧』と言う義足と義手を身に付けている。
母さんは流行病で亡くなり、父親は行方不明。
おかげでオレ達は貧乏だ。
けど、この町、、、『リゼンブール』の村人達はオレ達を可愛がってくれたし、生活費などは村人達からの援助もあってなんとかなっている。
理由はオレがこの村で唯一のアルファだからだ。
リゼンブールの村人の大半は『オメガ』だけど、見た目に反して筋肉がすごいのだ。例えば、、『熊族獣人』とか、、。
まあ、こんな荒くれみたいな『オメガ』の村なんて見たことないけどな、、。
それでオレは錬金術師になって『発情期抑制材』を発明して、、村のみんなの生活を助けたいんだ。
その為に勉強したり、修行をしたりしているんだけど、、。
まさかサクラが『アルファ』だったとは、、。
「アルになんて言えば良いんだろう、、」
「さあな、、オレもビックリしてるよ、、」
とりあえずサクラを観察して『日記』でも書いてみるか、、。
こうして双子の兄妹の秘密ができたのだった。
ー二年後『セントラルシティ』ー
「サクラァアアアアアア(ブチギレ)!!」
国家錬金術師になり『軍部』で働いていたオレは『生体錬成研究部』の部屋の扉を蹴破った。
「サクラてめえ!!また『オメガ雌風俗店』に入り浸りやがって!しかも、この勘定
書はなんだぁ!?」
「え?」
サクラは呑気に『アリのキメラ』を作っていた。
「お前なぁ!?なんでわざわざそんないかがわしい店の代金をオレが払う必要があるんだよ!?」
「だってぇ、、お金ないんだもん(テヘペロ)」
(こいつはぁぁああーー(怒)!!!)
オレは怒りのあまり血管が切れそうだった。
いやもうキレてるけどね?
ここはセントラルシティにある軍の施設の一つ。
オレとサクラはここで働いているのだ。
そして、オレとサクラは国家錬金術師としての研究の為なら金に糸目をつけない生活をしていた。
本来なら国家錬金術師と無縁のオレならもっと質素な生活をするはずだったのだが、、、
セントラルシティから来たドーベルマン系の犬族の軍人、、、『ロイ.マスタング』からスカウトされて現在に至った。
その理由はオレが錬金術の才が優れている事とサクラが『アルファ』であるからだ。
獣人の雌のアルファは奇跡がない限り生まれることはないと言われる。
いるとしたらゴリラ族の名家『アームストロング一族』である『オリヴィエ.ミラ.アームストロング』のような突然変異種くらいだと言われているらしい。
そんな貴重な存在がリゼンブールにいるのだから是非とも協力して欲しいと言われたので、渋々引き受ける事にしたのだ。
もちろん最初は断ったさ!
だけどこいつ、、、、、自分がアルファと自覚したとたん、『雌のオメガ』にモテたいが為に『国家錬金術師になりたい!』と言い出したんだよ!
もう本当に呆れるしかなかったよ、、。
もちろん、サクラはアルファだったせいか?
錬金術の才も優れていて、、体術も得意だったからあっさりと試験には合格したけどさ、、。
その所為ですっかり『女好き』『遊び人』になってしまったよ、、。
お陰でオレまで巻き添えだ。
「だいたい何でお前は毎回娼館に行く度にオレに請求するんだ!」
「だって『生体錬成研究費』を使いたくないだもん」
「お前が勝手に使ったんだろぉおおおおーーー!!!」
ああ、思い出しただけでイライラしてきたぞ!?
「ま、、まあ良い、、!とりあえず『検査』をするから『鉄』の材料を用意しろ!あと血液採取な?」
「えー?今日は忙しいんだけど、、」
「だったら仕事しろやぁあああー!!」
ーしばらくお待ち下さいー
「それじゃあ、この鉄を錬成するね」
サクラはそう言うと右手に嵌めた手袋を外して両手を合わせて地面に手をつけた。
すると、、地面からみるみる大きな塊が現れた。
さしずめ『テディベア』と言ったところだろうか、、。
、、、、、問題はここからだ、、、、。
「どお?『容量』合っている?」
「、、、、いや、、やはり『容量』がオーバーしている、、」
そう、サクラは錬成すると何故かいつも『等価交換の法則』を無視して錬成が成功するのだ。
『等価交換』とは、、物質の価値に見合った価値のある物を錬成することなのだが、、。
しかし、サクラの場合は違う。
何故か物質が足りないのに出来上がるのだ。
つまり、、『リバウンド(反動)』なしで錬金術が使えるのだ。
何故、サクラだけなのかはわからない。
ロイ.マスタングも大総領も原因は分からないだそうだ。
なので当初は『リバウンド』の心配があったそうだが、本人はピンピンしているので放置しているらしい。
ただ、あまりに威力が強い場合などは一応注意してもらっているが、、。
「これも『アルファ』のせいだろうか?だとしてもここまで凄い才能だと逆に恐ろしいんだが、、」
オレはどちらかと言うと『嫉妬』よりサクラの『身体』が心配だった。
『リバウンド』で死ぬ可能性がゼロではないからだ。
だからオレはサクラに無理強いさせないように気を付けている。
「大丈夫だよ、、私、こう見えて頑丈だし、、」
そう言ってサクラは笑ってみせた。
確かにこいつは昔から風邪一つ引かなかったけど、、。
、、、唯一の欠点はこう見えてサクラはメチャクチャ凶暴なのだ(汗)。
サクラを怒らせた者は例外なく病院送りになったとかないとか、、。
ま、まあオレの妹でもあるけどな!
双子そろって『トラブルメーカー』だなんて勘弁して欲しいだがな!
仕方ないけどな!
だってオレもブチギレると暴れるし!!
「それよりテロ事件の方はどう?」
「ん?ああ、なんとかなりそうだよ、、今のところはな、、」
最近この国では各地で大規模なテロ事件が発生していた。
それは『セントラルシティ』だけでなく他国でも発生しているのだ。
幸い死者は出ていないものの、負傷者はかなり出ていた。
それもこれもテロリストの仕業だ。
なんでも彼らは『オメガ狩り』を行っているらしい。
理由は『オメガは魔女』と言う迷信がある為だとか、、。
そんな訳あるか!
そんな根拠のない理由で無差別に罪もない人々を傷つけてんじゃねえよ!!
非科学的だぞ!!
全く、、、、。
「、、、、私の『カン』ではこの近くにテロ組織が潜んでいるはずなんだけど、、」
、、、サクラのカンがめちゃくちゃ当たるんだよなぁ、、。
アルファのおかげでもあるが、、。
「、、、、お前の勘が当たってるならヤバいかもな、、よし、少し警戒を強めるか、、」
「うん、、」
こうしてオレ達はテロ組織の捜索に当たったのだった。
ー数時間後『セントラルシティ』の路地裏ー オレとサクラは怪しい人物がいないか捜していた。
するとガラの悪い獣人達が『なにか』を囲んでいた。
(あれは!?)
オレとサクラはガラの悪い獣人共を包囲、すぐにボコボコにした。
、、やはりこいつらはテロ組織の一味だった。
どうやらオレ達の推測は正しかったようだ。
さてと一体『なに』を囲んでいたんだ?
そう思って見てみるとそこには『人間族の男』が倒れていた。
珍しいなあ?『人間族』は弱くて臆病な種族だから
こんな所にいるはずはいないんだが、、、。
「おい、大丈夫か?しっかりしろ!」
オレとサクラはその男を抱き起こした。
男は意識が朦朧としていたが、なんとか意識を取り戻したようだった。
その時、サクラが男の匂いを嗅いたとたんに意識が失いそうになった。
「わっ!?」
サクラは立ちくらみをして危うく倒れそうになったところをオレが受け止めた。
「どうした?具合が悪いのか?」
オレは心配そうに言ったが、サクラは汗を垂らして震えていた。
「だ、、大丈夫、、、。ちょっと、、、『発情期』に当てられて、、、、」
「、、、、『発情期』?」
オレは男の匂いを嗅いだ。
どうやらこの男は『オメガ』ようだな?
しかしおかしいなあ?
サクラは発情期に『耐性』があるのに、、。
「く、、、ふ、、、、、」
男は発情期のせいで苦しそうだった。
オレはあらかじめ持っていた『発情期抑制剤』を男に飲ませた。
まだ未完成だが、少しくらいマシになるだろう。
それにあまり長時間ここにいるわけにはいかないからな、、。
「とりあえずこいつを連れて一旦帰るぞ?」
「う、、うん、、」
サクラはまだ体調が良くなかったが、なんとか歩ける状態だったので男を背負う事にした。
男が気を失っていたので楽に運べたが、もし起きていたら暴れられたかもしれない。
そしてオレはサクラと一緒に急いで『軍部』に帰ったのだった。
ー軍部ー
「ん、、、、、、」
オレは『医務室』のベッドですやすや眠る男の看病をしていた。
あれから一時間ほど経つが一向に目を覚ます気配がなかった。
「、ここは?」
「おっ!ようやく目が覚めたか!」
やっと目を覚ましたか、、よかったなあ、、。
「気分はどうだ?どこか痛いところはないかい?」
「はい、、大丈夫です、、えっと、、貴方達は誰ですか?俺はどうしてここに?」
男は不思議そうな顔をした。
「ここはセントラルシティの軍施設だよ。お前はテロ集団に襲われていたから助けたんだ」
「テロ集団に、、そうか、、あの連中はやっぱりテロ組織だったのか、、」
そう言うと男は悔しそうな顔をした。
「お前の名前はなんて言うんだ?」
「、、俺の名前は『リ.シャオラン』、、、、シン国から来ました」
「『シン国』?お前、、、もしかして『不法入国者』なのか?だったらすぐに本国へ帰れ!でないと逮捕するぞ!」
まさかテロリストの仲間か?だとしたら危険だな!
「ち、違います!俺はただ人を探しているだけで決してテロリストではありません!!」
「じゃあなんでこんなところに来たんだ!目的を言え!場合によっては拘束するぞ!」
オレは思わず怒鳴り付けた。
「す、すいません、、!でも、どうしても『運命の番』を探さないといけなくて、、!」
「、、、、『運命の番』?」
はて?何処かで聞いたような?、、、確か『迷信』に近い話だったな、、。
「そ、そうです!俺はその為にわざわざ危険を犯してまでここに来たんです!」
なんか必死だな?
「、、、理由はわからないが事情はわかった。だが一応軍の機密事項に関わることだから口外するなよ?それとお前の処遇についてはオレとサクラが決める。それまで大人しくしろよ?」
「、、、『サクラ』?」
「オレの妹だ。ちょっと変わった奴だけどな」
オレの妹が『アルファ』と知ったら驚くだろうな、、、。まあ、こいつの種族の場合はオレ達(獣人)と違ってかなり弱いみたいだから大丈夫だろうけど。
ー数時間後ー
オレはサクラと共にシャオランの事情聴取を行なった。
「、、、で、、、お前の一族の『しきたり』では『運命の番』を見つけないと一族が『滅ぶ』と言い伝えられているんだな?」
「はい、、その通りです。俺が『オメガ』なのはそのためなんです。オレが『次期当主』だったので、、、、、」
、、、次期当主が『オメガ』とは難儀だなあ、、。
「でも、、、、『運命の番』なんてそんな迷信みたいなしきたりで捜索方法が分かるの?」
「それが、、、オレにも分からないです、、、ただ、母上が『会えば分かる』と言っていたので、、、、」
「ふむ、、」
確かにその方法なら見つかるかもしれないが、、どうやって見つけるんだ? 仮に見つかったとしてその後はどうするんだ? そもそも本当に存在するのか? そんな疑問ばかり浮かんできた。
「なあ、一つ聞きたいんだが、、なんでそんなしきたりがあるんだ?」
「それは俺達の一族には古くから伝わる掟があって、、男の『オメガ』が生まれた場合、、『運命の番』を見つけて結婚することになっているんです」
「なるほどねえ〜、、つまりあなたは結婚相手を探すためにわざわざ来たわけね、、はぁ〜」
サクラは呆れ顔でため息をついた。
無理もないだろう、、いくらなんでもバカげているからな。
「あ、あくまで言い伝えなので実際にはそんな事ないと思いますけどね、、あはは、、」
シャオランは苦笑いした。
「でもよ、、、もし、相手が『獣人』だった場合はどうするんだよ?人間のオメガ場合は優先的に『獣人』が生まれる可能性が高いだろ?それともまさか人間同士でも『運命の番』とやらが生まれると思っているのか?」
オレは素朴な疑問を投げかけた。
するとシャオランは顔を曇らせた。
「え、ええ、、もちろん思っていますよ、、だって俺達は『獣混じり』ですから、、」
シャオランは悲しそうに言った。
それを聞いてオレはハッとした。
(しまった!ついうっかり余計な事を言ってしまった!)
実は人間族の中には差別意識を持つ奴もいるんだよなあ、、特に貴族階級とかだと顕著に表れるらしいし。
「俺の家系では『血筋』より『魔力』重視なので、、、基本は人間相手なくても大丈夫なので、、、、、、」
「、、、『マリョク』?」
聞いたこともないなあ、、どういう意味だ?
「あ、そうか!『術士』の事だよ!魔法を使う人達のこと!」
はあ?『魔法』??
錬金術と同じだろ?なに言ってるんだコイツ?
「えっ!?ご存じないのですか!?」
シャオランは驚いた顔をした。
「ああ、、悪いが知らないな、、」
「私も初耳だけど、、」
どうやらオレ達の反応を見てシャオランはかなり驚いているようだった。
そんなに驚く事なのか?
「うーん、、じゃあ俺が『術』を見せますので、、、、」
そう言って、シャオランは懐から『紙』を取り出した。
「危ないので離れてください」
そしてシャオランは気合いを込めて発した。
「『雷帝招来』!」
バリバリバリバリ!
ズドーン!!
突然凄まじい音と共に部屋中が光り輝いた!
「うわっ!」
「きゃっ!」
オレ達はあまりの眩しさに目が眩んでしまいしばらく動けなかった。
しばらくしてようやく視力が回復した時には
地面に焦げた跡が残っていただけだった。
「な、なんだ今のは、、??」
「び、びっくりしたわ、、」
オレ達が呆然としているとシャオランが慌てて駆け寄ってきた。
「すすすすみません!大丈夫ですか!?」
「あ、ああ大丈夫だけど、、今何をしたんだ?」
オレは動揺しながらも尋ねた。
「えっとですね、、これは『符呪』という魔法でして、、」
シャオランは恥ずかしそうに答えた。
見たこともない『錬金術』だ。しかも『等価交換の法則』を無視している、、、、、。
「なあ?どうやって錬成、、、『魔法』を使ったかよ、、、?『等価交換の法則』を無視するなんて、、」
オレは恐る恐る尋ねてみた。
「それは、、、俺の『魔力』を使って発動させたからです。普通は体内の魔力を練って具現化させるのです。基本、『錬金術』と『魔法』は『同じ原理』ですよ。魔力を消費すれば必ず『等価交換の法則』に従って発動するんですよ」
なるほど、、、要するに体内の『気』を使って『身体強化』をするのと一緒か、、。
それなら納得できるな、、。
「、、あれ?」
「どうしたサクラ?」
「、、これ、、、、私の『錬金術』と似ている、、、、?」
「ええっ!?」
まさかそんなバカな!
あんな超常現象を起こすのをこの目で見たのに!?
だが、サクラの錬金術は心当たりがあった。
たしか『等価交換の法則』を無視して錬成出来るんだったな?、、これはもしかして、、、。
「なあ、シャオラン」
「はい」
「実はな、、、こいつなんだけど、、、、何故か『等価交換の法則』を無視して『錬成』が出来るんだよ、、、、。どうして出来るのか分からないから『リバウンド』の心配で困っているんだ」
オレは正直に話した。嘘ついてもどうせバレるだろうし。
「、、、見せてくれませんか?妹さんの錬成術を」
「わかったわ」
サクラはそう言って立ち上がり手合わせ錬金をして地面から鉄のぬいぐるみを錬成をした。
「、、、ああなるほど、、、どうやら妹さんの『魔力』を消費して錬成しているようですね」
シャオランは納得したように言った。
「やっぱりそうだったのか、、」
オレも薄々そう思っていたけど、、まさか本当にそうだったとは、、。
「じゃあ私は『魔法使い』ってことなのね?」
サクラは少し嬉しそうに言った。
「いや、そういうわけではないです。あくまで『魔力』を消費することで『錬成術』を発動させているだけですから、、。自身の『魔力』の理解をしないと必ずリバウンドに起こる危険性もありますから、、、、」
、、なるほど、ようするにサクラの魔力の『量』で理解をしないといけないんだな?
しかし、困ったな、、、『魔力』なんて目に見えないものだからどうすれば理解できるのかわからんぞ?
その時、オレは閃いた。
「、、、なあ、シャオラン、、」
「なんですか?」
「お前の『不法入国』を黙ってやるから、サクラの錬成術を見て教えてくれないか?、、、、ついでに『運命の番』やらをオレ達も探してやるよ」
オレの提案にシャオランは驚いた。
「え!?本当ですか!?」
「ああ、大佐にも秘密にしてくれと頼むからサクラの錬成術を見てやってくれよ」
オレはニヤリと笑った。
「ありがとうございます!」
どうやらオレの意図を察したらしくシャオランは頭を下げた。
それからシャオランはサクラの錬金術の手伝いをするようになった。
オレは『運命の番』のメカニズムやらを調べる事にした。
「何?『運命の番』を見つける方法だって?」
大佐であるロイ.マスタングは怪訝そうな顔をした。
「ええ、ちょっと気になることがありまして、、」
「ふむ、、まあ構わんが、、あまり期待をするなよ、、?、、なんでも『遭遇率』が低い上に探す方法が不明だからな、、まあヒューズ中佐の『体験話』ならあるが、、参考になるかどうか、、」
「え?ヒューズ中佐が、、、?」
「ああ、なんでも奥さんである『グレイシア』を見て『俺の運命の番だあああ♡』と猛烈にアプローチしたらしいからな、、」
おいおいマジか?あのオッサンそんな事をしたのか??ある意味尊敬するぜ、、。
「たしか、、、、『発情期中』のオメガを見つけると『ビジョン』が視えるらしい」
「、、、『ビジョン』?」
「例えば、、、目の前のオメガが『エロ〜い裸体』に視えるとか、、、」
げえっ!?マジかよ!なんか想像したくないんだけど!
「他にも様々なパターンがあるみたいだが、、ハッキリとした事はわからないそうだ。なにせ実際に見た人数が少ないし、そもそも出会える確率が少ないからな、、とにかく『運命の番』に出会えたら必ず分かるそうだ。それに『運命』には逆らえないだろうしね、、」
なるほどな、、たしかにそうかもな、、。
「ああそうそう、大総領も『大総領夫人』のこと『運命の番』と思っているらしいよ?』
「え?キング.ブラッドレイ大総領もですか!?」
「ああ、なんとなくだそうだ。こちらの方が参考になるがあいにく大総領は仕事で海外へ出掛けていて不在でね、、いつ帰ってくるか分からないのだ、、だから今回の話は聞かなかったことにしておくよ」
「わかりました、、お忙しいところ失礼しました、、では失礼します」
そう言ってオレは執務室を出た。
(うーん、、なかなか見つからないなあ、、)
あれから2ヶ月経過したが未だに見つかっていない。
シャオランはとても良いやつでオレが謝っても『大丈夫!』と言って許してくれた。
そしてサクラもシャオランの事を気に入り最近ではよく二人で行動している。
そしてサクラは自身の『魔力』を理解し始めたのか?
『錬金術』だけではなく『符呪』の使い方も覚えたようだ。しかも威力もかなり上がっているらしい。
これならもう大丈夫だろう。
、、、一つ気になることがあるとすれば、、、、。
「サクラ?」
オレはとある『行為中』のサクラに声をかけた。
サクラはビクッとして何故か落ち着かない、、、、。
「な、、、なに!?」
サクラは慌てて『シャオランの服』を隠した。
、、、、どうやらオメガの『匂い』を嗅いていたらしい。
「お前な、、、、いくらオメガの匂いが好きだって言ってもそれはどうかと思うぞ?」
オレは呆れながら言うとサクラは顔を真っ赤にさせた。
「ちっ、違うわよっ!!これはその、、えっと、、そ、そう!洗濯を手伝っているのよ!!」
いや、どう見ても言い訳下手だなおい、、。まあいいけど、、。
それにしても、、、サクラは『娼館』へ行かなくなったな、、、、。
珍しいことだ。
だがまあ良いことだよな。
うん。
こうしてオレ達は日々平和に過ごしていた。
しかしある日突然事件が起こったのである、、。
「エド、大変よ!テロリストがシャランを誘拐したわ!」
「はあ!?なんだって!?」
鳥人族であるタカのホークアイ中尉が突然の知らせにオレ達は驚愕した。
「なんでまたそんなことになったんだ!?」
「どうやら、、、、シャオランが『軍部』の重要人物だと勘違いされたみたいなの!」
「なんだと!?それでそいつらはどこに向かっているんだ!?」
「それが、、」
「まさか、、軍本部か!?」
「ええそうよ!」
嘘だろ!?
なんでそんなことになっているんだよ!? クソッ!
とにかく早く行かないとまずいよな!
それよりサクラに知らせないと、、、!
「そんなことよりサクラちゃんは!?」
「アイツは確か、、買い物へ行くって、、、!」
その時だった、、、、、。
「、、、中尉、、、その話は本当かしら、、、、?」
突然、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴと擬音語が聞こえてきそうな程迫力のある雰囲気を纏ったサクラが現れた。
「さ、サクラちゃん!?」
「今の話の続きを聞かせて頂戴」
「いや、あの、、」
「さあ、話してちょうだい」
「え、ええっと、、」
あまりの迫力にホークアイ中尉はタジタジになった。
こわっ!
怖すぎるだろコイツ!!
というかなんだこの威圧感はっ!?
まるで魔王のようだぜ!?
オレもビビりまくってるよ。
「、、、クソテロ集団の場所は?」
「軍本部です」
「わかったわ、、」
サクラは怒りをあらわにしながら外へ出た。
おいおいマジで行く気かよ!?
オレ達も急いで後を追った。
ー軍本部ー
「今すぐ、我々の要求を飲め!さもなくばこのオメガの命は無いぞ!」
テロリストのリーダーらしき男が銃を構えて叫んだ。
「くっ、、」
リーダーの隣にはシャオランがいた。
両手を縛られていて身動きが取れないよう拘束されている。
(しまったな、、油断してしまった、、)
実は先日から妙な視線を感じていたのだ。
恐らく、以前エドワードが言っていた『過激派』だろう。
警戒していたはずなのに不覚にも捕まってしまった。
(くそっ、、エド達を巻き込みたくなかったのに、、、、、!)
シャオランは自分の不甲斐なさに悔しくて涙が出そうになった。
(すまないみんな、、俺が捕まったばかりに迷惑をかけてしまって、、)
シャオランがそう思った時だった。
「あ、、、兄貴!?」
「どうした!」
部下らしき男は慌てて窓の外を見ろと指差した。
すると獣人らしき女が怒り狂いながらリーダーの仲間達をボコボコして『軍本部』へ向かっているではないか!?
「ぐおおおおおお(ブチギレ)!!」
「ひいぃぃいぃいぃぃぃいぃ(泣)!?」
仲間は銃で撃つが女はなんかバリアらしき結界を張っているので効かないようだ。
「な、、なんだコイツ!?」
「こ、、こわ!?」
そしてあっという間に全員倒してしまった。
(さ、、、サクラ!?)
シャオランは女の正体がサクラと分かり驚きのあまり固まってしまった。
そして『軍本部』の壁を破壊した!
ドカアアアアアアアン!!!
パラパラ、、、、、、。
「てめえ、、、、、。よくも『オレ』のオメガに手を出したな、、、、、(ブチギレ)」
、、、なんか口調も変わっている、、、、。
あと、何故かシャオランを自分のモノだと言ってるし、、。
いや、今はそれどころではない!
テロ組織のリーダーはあまりにも怖すぎるサクラの気迫にガタガタ震えているからだ。
「く、、来るなあああ!!??」
ズガン!!
銃声と共に部下は倒れた。
どうやら気絶しているようだ。
しかしサクラはそんなことにはお構い無しに銃を撃ったリーダーを睨みつけた。
「ひっ!?」
そして怯えるリーダーに近づくと胸ぐらを掴んで持ち上げた。
「てめえら、、よくもオレのオメガを傷つけてくれたな、、?」
リーダーの足は完全に宙に浮いている状態だ。
「ひいいいっ!?」
「安心しろ、、殺しはしない、、ただし、、お前らに地獄を見せてやるだけだ」
サクラは牙を覗かせてニヤリと笑う。
ゾクッ!!
その場にいた全員が恐怖に震えた。
「や、、やめろっ、、やめてくれっ、、」
「却下」
(自主規制)
『ギャアアアアアアアア!?』
『あはははははははははは!!』
『ひいいいいいい!?』
『ぎゃあ!』
『ゆ、、許してくださいいいいいっ(号泣)!!』
、、、、、、その後テロリスト達は一人の犠牲者も出さず壊滅したのだった。
ー数分後ー
「う、、、うわ、、、、な、なんかえらいことになったな、、、、(汗)」
オレは目の前の惨状を見て思わず呟いた。
地面に倒れているテロリスト達は完全に気を失っているようだ。
もちろん生きている。
だが顔は涙やら鼻水やら涎やら何やらでグチャグチャだ。
まあ自業自得だな、、同情する気はまったくないが。
ちなみに今回の騒動の原因となったサクラはというと、、。
「もう大丈夫よ?怖い思いをさせてごめんね?」
すっかり元の優しい感じに戻っていて、シャオランをなだめるがシャオランは硬直をしたまま動かない。
それどころか若干顔が青ざめているように見えるのだが気のせいだろうか?
「あ、、ああ、大丈夫だ、、、(汗)」
、、、どうやらサクラの恐ろしい一面を見たことでショックを受けているようだな、、。
しかし、そこまで怖かっただろうか?
確かにいつもののサクラじゃなかったから、
ちょっと驚いたけど、、、、。
「これで全員だな?」
「そうですね、、、まさかサクラちゃん一人でやっつけちゃうなんて思いませんでした」
大佐と中尉は感心したように頷いた。
「しかし、、、お前らしくないぞ『銀の(サクラのこと)』、、、。なにもここまでしなくても良かったんじゃないか?」
大佐は不思議そうに尋ねた。
そういえばそうだな、、いつもならもっと穏便に済ませるのに今日はやけに過激だったよな、、。
まあ、確かに怒らせると危ないのは分かっているけど、ここまではさすがにやりすぎだと思うぜ?
するとサクラは気まずそうに話した。
「、、、分からない、、、」
「は?」
「分からないのです、、、、シャオランの危険が迫っていると分かった途端に頭が真っ白になって、、気がついた時にはすでにこうなっていました、、(汗)」
んん?どう言うことだ??
「、、あ、、あの、、、たしか貴女は、、、『オレのオメガに手を出したら地獄行きだ!』と怒り散らして叫びましたよね?」
シャオランは恐る恐るとサクラに尋ねた。
「え、、、?わ、、私!そんなことを言ったの!?」
サクラはかなり動揺している様子だ。
え!?
女たらしのサクラがそんなことを言ったのか!?
ちょっと待て!?
流石におかしいぞ!
だってサクラは雌のオメガしか興味がないんだぞ!
オレがそう思っていると、、、、、?
「何かね、、、?やけに騒がしいと思ったらこれは一体どういうことだ??」
突然後ろから声をかけられたので振り向くとそこにはピットブルのキング.ブラッドレイ大総領がいた。
「だ、、大総領!?」
「ど、どうもこんにちは、、(汗)」
オレ達はとりあえず挨拶をした。
それにしてもなんでこんなところにいるんだ?
しかもなんかボロボロだし、、。
するとサクラは慌てて頭を下げた。
「ご、ごめんなさい!私がやったんです!」
「む、そうか、、まあいいだろう、、」
「えっ!?」
予想外の返答にオレ達は驚く。
「それにしても、、、オメガの為にここまでするとは、、、、、もしかして君はこの男を『運命の番』じゃないかね?」
大総領は穏やかな表情で尋ねた。
(ええっ!!??)
な、なんだってえええぇぇえぇ!!!??? オレ達全員が驚愕した。
「女たらしの君が『娼館』へ行かなくなったと聞いて『さては運命の番でも見つけたのかな?』と思って戻ってきたのだよ、、、。『運命の番』を見つけたアルファは他のオメガの発情期に全く『興味』がなくなるんだよ。、、、、つまり今の君はまさしくその状態というわけだ」
、、、そ、、そう言えば、たしか『娼館』へ行かなくなったし、、どちらかと言うとシャオランと一緒にいる時間が長かった、、、。
シャオランの服を嗅いでいたし、、、、。
つまり、、、シャオランの『運命の番』はすでに見つかっていたということか、、、。
ん?、、ちょっと待ってよ?
お、、オレの妹が、、、『運命の番』だとしたら、、、、(汗)。
「あ、、、あの、、、!も、、もし良かったら俺と、、、、!」
シャオランは顔を真っ赤になってサクラに告白した。
「う、、うん、、!シャ、、シャオラン君ならいいよ!」
シャオランの言葉にはずかしそうに頷くサクラ、、、、。
雌を口説く余裕のはずのサクラが、、今は完全に乙女の顔になっている、、。
ま、、マジかよ、、(汗)。
サクラが付き合うだとぉ!?
そんなぁ〜(号泣)!!
オレはまだウィンリィに告白していないのにぃ〜(泣)!
い、、いやね!
女癖の悪いサクラだからこれで良かったと思うけどね!
いやマジで!
だ、、だけどさ〜!
やっぱり悲しいよおおおおぉぉぉ(号泣)!!!
「そ、、それは困る!!彼女は『貴重なアルファ』だから手放せないんだ!!」
おい!くそ大佐!?
なにさらっととんでもないこと言ってるんだよ!?
ふざけんなっつうの!!
本当は雌にモテたことがないんだから嫉妬してるんだろ!?
このスケベ野郎め!
と、、その時、、、ホークアイ中尉は気になったことを口にした。
「そう言えば、、、獣人の雌のアルファはどうやって『子作り』するの?」
、、、、サクラとシャオラン以外、全員固まった。
「た、、確かに獣人の雌のアルファはどうやって『子作り』を、、、、?」
「それも『研究』として『記録』するべきじゃないかね?」
「うむ、、」
そして3人はなにやら考え込んでしまった。
あ、あれ?なんか変な雰囲気になってきたぞ?
「サクラちゃん、、、、どうやって雌と『交尾』するの?」
「えっと、、、たしか『勃起』すると『おマメ』さんが大きく、、、、」
「ストップーーーーー!?」
なに話そうとしてるんだよお前は!?
あと中尉!?
メモを取るんじゃない!!
大佐も真面目な顔で聞くなあああぁぁ!!!
「ふむ、、やはり興味深いですな、、」
何がだよ!?
なんで興奮してるの!?
変態かよ!?
誰か止めてくれぇぇぇ!!
、、、それからしばらくして、『運命の番』のメカニズムがだんだんと分かってきた。
どうやら『運命の番』であるシャオランの『発情期』を嗅いだサクラのフェロモンが変化したらしい。
それにより『運命の番』以外の他のオメガの匂いが分からなくなったそうだ。
あの時、初めてシャオランの発情期で耐性に強いはずのサクラは目眩を起こして汗だくになったのはそれが原因だったということだ。
しかし、まさかこんなことになるとはな、、
まだ不明な点があるからこれからの研究次第だが、もしかしたら将来的にサクラの子も『雌のアルファ』が生まれるかもしれない。
、、、、、そしてオレは軍の『記録係』としてシン国へ飛ばされるはめになるとはまた別の話だ。
完
男と女、そして、アルファ、ベータ、オメガと分類される三種類だ。
その中で最も数が少なく、最も希少価値が高いのが、アルファである。
そして『獣人』と呼ばれるアルファは『雄』しか生まれず、『雌』のアルファは存在をしない、、、、、、、。
ーのはずだった!ー
「妹さんは『アルファ』ですね」
「ア、、、『アルファ』ぁあ、、、!?」
オレ、、、『狼族獣人』で『錬金術師』の修行中の身であるアルファの『エドワード.エルリック』は双子の妹『サクラ.エルリック』が『アルファ』と言われ驚いた。
オレの家系は『オメガ』に生まれやすく、、、、。
長男であるアルファのオレが珍しいくらいに、、。
一個年下の弟、、『アルフォンス.エルリック』も『オメガ』だったので妹のサクラも『オメガ』だと勝手に思っていたのだ。
「はい、間違いありません。この検査器にはアルファと表示されます、、、(汗)」
町医者であるヤギ獣人は戸惑いながらオレに告げた。
「サクラは『オメガ』じゃないのかよ?」
「ええ、私も驚きました。まさか『アルファ』が生まれるなんて、、、!」
「で、、でもよ、、、?サクラは『オメガ特有』の『巣作り』をするぜ?な、何かの間違いなんじゃ、、、、?」
そう、サクラは小さい頃から服やら何やらを集めて、、匂いに包まれて過ごす癖がある。
だから、てっきり『オメガ』なのだと思っていたのだが、、。
しかし、、オレの隣りに座っている犬族の『ピナコばっちゃん』がこう言った。
「そう言えば、、、何故かアルやウィンリィ(オメガ)の服ばかりに集めてたねぃ、、」
「え、、!?」
オレは驚いて、サクラを見つめた。
すると、、恥ずかしそうに顔を赤くしたサクラはモジモジしながら話し出した。
「だって、、、兄さんよりオメガの『匂い』がすごいんだもん、、。なんか落ち着くもの、、、、、」
「、、、、、、(汗)」
あっこれは慣れさせないと危ないなあと発情期に耐性があるオレは思った。
下手したら発情期になった弟やウェンリィまで襲うかも、、?
なんせ雌の『アルファ』なんて初めてだし、、。
「さすがに前例がないので『国家錬金術師』の『軍医』に相談して下さい。私が連絡しておきますので、、」
そう言ってヤギ獣人の医者は帰っていった。
「じゃあ、アタシらは帰るよ、、」
「ああ、ありがとう、、」
ピナコばっちゃんはオレ達兄妹の世話を焼いてくれている人だ。
「何かあったらすぐに呼ぶんだよ?」
「うん、わかった、、」
ピナコばっちゃんが出ていって二人きりになると、、
「ねえ、、もしかして私ってすごいことしちゃったのかな?」
「うーん、、どうだろ、、?」
とりあえず、オレとサクラは今後の事を話し合うことにした。
オレとサクラは戦争でオレの左足が失い、サクラは左腕を失った。
現在は『機械鎧』と言う義足と義手を身に付けている。
母さんは流行病で亡くなり、父親は行方不明。
おかげでオレ達は貧乏だ。
けど、この町、、、『リゼンブール』の村人達はオレ達を可愛がってくれたし、生活費などは村人達からの援助もあってなんとかなっている。
理由はオレがこの村で唯一のアルファだからだ。
リゼンブールの村人の大半は『オメガ』だけど、見た目に反して筋肉がすごいのだ。例えば、、『熊族獣人』とか、、。
まあ、こんな荒くれみたいな『オメガ』の村なんて見たことないけどな、、。
それでオレは錬金術師になって『発情期抑制材』を発明して、、村のみんなの生活を助けたいんだ。
その為に勉強したり、修行をしたりしているんだけど、、。
まさかサクラが『アルファ』だったとは、、。
「アルになんて言えば良いんだろう、、」
「さあな、、オレもビックリしてるよ、、」
とりあえずサクラを観察して『日記』でも書いてみるか、、。
こうして双子の兄妹の秘密ができたのだった。
ー二年後『セントラルシティ』ー
「サクラァアアアアアア(ブチギレ)!!」
国家錬金術師になり『軍部』で働いていたオレは『生体錬成研究部』の部屋の扉を蹴破った。
「サクラてめえ!!また『オメガ雌風俗店』に入り浸りやがって!しかも、この勘定
書はなんだぁ!?」
「え?」
サクラは呑気に『アリのキメラ』を作っていた。
「お前なぁ!?なんでわざわざそんないかがわしい店の代金をオレが払う必要があるんだよ!?」
「だってぇ、、お金ないんだもん(テヘペロ)」
(こいつはぁぁああーー(怒)!!!)
オレは怒りのあまり血管が切れそうだった。
いやもうキレてるけどね?
ここはセントラルシティにある軍の施設の一つ。
オレとサクラはここで働いているのだ。
そして、オレとサクラは国家錬金術師としての研究の為なら金に糸目をつけない生活をしていた。
本来なら国家錬金術師と無縁のオレならもっと質素な生活をするはずだったのだが、、、
セントラルシティから来たドーベルマン系の犬族の軍人、、、『ロイ.マスタング』からスカウトされて現在に至った。
その理由はオレが錬金術の才が優れている事とサクラが『アルファ』であるからだ。
獣人の雌のアルファは奇跡がない限り生まれることはないと言われる。
いるとしたらゴリラ族の名家『アームストロング一族』である『オリヴィエ.ミラ.アームストロング』のような突然変異種くらいだと言われているらしい。
そんな貴重な存在がリゼンブールにいるのだから是非とも協力して欲しいと言われたので、渋々引き受ける事にしたのだ。
もちろん最初は断ったさ!
だけどこいつ、、、、、自分がアルファと自覚したとたん、『雌のオメガ』にモテたいが為に『国家錬金術師になりたい!』と言い出したんだよ!
もう本当に呆れるしかなかったよ、、。
もちろん、サクラはアルファだったせいか?
錬金術の才も優れていて、、体術も得意だったからあっさりと試験には合格したけどさ、、。
その所為ですっかり『女好き』『遊び人』になってしまったよ、、。
お陰でオレまで巻き添えだ。
「だいたい何でお前は毎回娼館に行く度にオレに請求するんだ!」
「だって『生体錬成研究費』を使いたくないだもん」
「お前が勝手に使ったんだろぉおおおおーーー!!!」
ああ、思い出しただけでイライラしてきたぞ!?
「ま、、まあ良い、、!とりあえず『検査』をするから『鉄』の材料を用意しろ!あと血液採取な?」
「えー?今日は忙しいんだけど、、」
「だったら仕事しろやぁあああー!!」
ーしばらくお待ち下さいー
「それじゃあ、この鉄を錬成するね」
サクラはそう言うと右手に嵌めた手袋を外して両手を合わせて地面に手をつけた。
すると、、地面からみるみる大きな塊が現れた。
さしずめ『テディベア』と言ったところだろうか、、。
、、、、、問題はここからだ、、、、。
「どお?『容量』合っている?」
「、、、、いや、、やはり『容量』がオーバーしている、、」
そう、サクラは錬成すると何故かいつも『等価交換の法則』を無視して錬成が成功するのだ。
『等価交換』とは、、物質の価値に見合った価値のある物を錬成することなのだが、、。
しかし、サクラの場合は違う。
何故か物質が足りないのに出来上がるのだ。
つまり、、『リバウンド(反動)』なしで錬金術が使えるのだ。
何故、サクラだけなのかはわからない。
ロイ.マスタングも大総領も原因は分からないだそうだ。
なので当初は『リバウンド』の心配があったそうだが、本人はピンピンしているので放置しているらしい。
ただ、あまりに威力が強い場合などは一応注意してもらっているが、、。
「これも『アルファ』のせいだろうか?だとしてもここまで凄い才能だと逆に恐ろしいんだが、、」
オレはどちらかと言うと『嫉妬』よりサクラの『身体』が心配だった。
『リバウンド』で死ぬ可能性がゼロではないからだ。
だからオレはサクラに無理強いさせないように気を付けている。
「大丈夫だよ、、私、こう見えて頑丈だし、、」
そう言ってサクラは笑ってみせた。
確かにこいつは昔から風邪一つ引かなかったけど、、。
、、、唯一の欠点はこう見えてサクラはメチャクチャ凶暴なのだ(汗)。
サクラを怒らせた者は例外なく病院送りになったとかないとか、、。
ま、まあオレの妹でもあるけどな!
双子そろって『トラブルメーカー』だなんて勘弁して欲しいだがな!
仕方ないけどな!
だってオレもブチギレると暴れるし!!
「それよりテロ事件の方はどう?」
「ん?ああ、なんとかなりそうだよ、、今のところはな、、」
最近この国では各地で大規模なテロ事件が発生していた。
それは『セントラルシティ』だけでなく他国でも発生しているのだ。
幸い死者は出ていないものの、負傷者はかなり出ていた。
それもこれもテロリストの仕業だ。
なんでも彼らは『オメガ狩り』を行っているらしい。
理由は『オメガは魔女』と言う迷信がある為だとか、、。
そんな訳あるか!
そんな根拠のない理由で無差別に罪もない人々を傷つけてんじゃねえよ!!
非科学的だぞ!!
全く、、、、。
「、、、、私の『カン』ではこの近くにテロ組織が潜んでいるはずなんだけど、、」
、、、サクラのカンがめちゃくちゃ当たるんだよなぁ、、。
アルファのおかげでもあるが、、。
「、、、、お前の勘が当たってるならヤバいかもな、、よし、少し警戒を強めるか、、」
「うん、、」
こうしてオレ達はテロ組織の捜索に当たったのだった。
ー数時間後『セントラルシティ』の路地裏ー オレとサクラは怪しい人物がいないか捜していた。
するとガラの悪い獣人達が『なにか』を囲んでいた。
(あれは!?)
オレとサクラはガラの悪い獣人共を包囲、すぐにボコボコにした。
、、やはりこいつらはテロ組織の一味だった。
どうやらオレ達の推測は正しかったようだ。
さてと一体『なに』を囲んでいたんだ?
そう思って見てみるとそこには『人間族の男』が倒れていた。
珍しいなあ?『人間族』は弱くて臆病な種族だから
こんな所にいるはずはいないんだが、、、。
「おい、大丈夫か?しっかりしろ!」
オレとサクラはその男を抱き起こした。
男は意識が朦朧としていたが、なんとか意識を取り戻したようだった。
その時、サクラが男の匂いを嗅いたとたんに意識が失いそうになった。
「わっ!?」
サクラは立ちくらみをして危うく倒れそうになったところをオレが受け止めた。
「どうした?具合が悪いのか?」
オレは心配そうに言ったが、サクラは汗を垂らして震えていた。
「だ、、大丈夫、、、。ちょっと、、、『発情期』に当てられて、、、、」
「、、、、『発情期』?」
オレは男の匂いを嗅いだ。
どうやらこの男は『オメガ』ようだな?
しかしおかしいなあ?
サクラは発情期に『耐性』があるのに、、。
「く、、、ふ、、、、、」
男は発情期のせいで苦しそうだった。
オレはあらかじめ持っていた『発情期抑制剤』を男に飲ませた。
まだ未完成だが、少しくらいマシになるだろう。
それにあまり長時間ここにいるわけにはいかないからな、、。
「とりあえずこいつを連れて一旦帰るぞ?」
「う、、うん、、」
サクラはまだ体調が良くなかったが、なんとか歩ける状態だったので男を背負う事にした。
男が気を失っていたので楽に運べたが、もし起きていたら暴れられたかもしれない。
そしてオレはサクラと一緒に急いで『軍部』に帰ったのだった。
ー軍部ー
「ん、、、、、、」
オレは『医務室』のベッドですやすや眠る男の看病をしていた。
あれから一時間ほど経つが一向に目を覚ます気配がなかった。
「、ここは?」
「おっ!ようやく目が覚めたか!」
やっと目を覚ましたか、、よかったなあ、、。
「気分はどうだ?どこか痛いところはないかい?」
「はい、、大丈夫です、、えっと、、貴方達は誰ですか?俺はどうしてここに?」
男は不思議そうな顔をした。
「ここはセントラルシティの軍施設だよ。お前はテロ集団に襲われていたから助けたんだ」
「テロ集団に、、そうか、、あの連中はやっぱりテロ組織だったのか、、」
そう言うと男は悔しそうな顔をした。
「お前の名前はなんて言うんだ?」
「、、俺の名前は『リ.シャオラン』、、、、シン国から来ました」
「『シン国』?お前、、、もしかして『不法入国者』なのか?だったらすぐに本国へ帰れ!でないと逮捕するぞ!」
まさかテロリストの仲間か?だとしたら危険だな!
「ち、違います!俺はただ人を探しているだけで決してテロリストではありません!!」
「じゃあなんでこんなところに来たんだ!目的を言え!場合によっては拘束するぞ!」
オレは思わず怒鳴り付けた。
「す、すいません、、!でも、どうしても『運命の番』を探さないといけなくて、、!」
「、、、、『運命の番』?」
はて?何処かで聞いたような?、、、確か『迷信』に近い話だったな、、。
「そ、そうです!俺はその為にわざわざ危険を犯してまでここに来たんです!」
なんか必死だな?
「、、、理由はわからないが事情はわかった。だが一応軍の機密事項に関わることだから口外するなよ?それとお前の処遇についてはオレとサクラが決める。それまで大人しくしろよ?」
「、、、『サクラ』?」
「オレの妹だ。ちょっと変わった奴だけどな」
オレの妹が『アルファ』と知ったら驚くだろうな、、、。まあ、こいつの種族の場合はオレ達(獣人)と違ってかなり弱いみたいだから大丈夫だろうけど。
ー数時間後ー
オレはサクラと共にシャオランの事情聴取を行なった。
「、、、で、、、お前の一族の『しきたり』では『運命の番』を見つけないと一族が『滅ぶ』と言い伝えられているんだな?」
「はい、、その通りです。俺が『オメガ』なのはそのためなんです。オレが『次期当主』だったので、、、、、」
、、、次期当主が『オメガ』とは難儀だなあ、、。
「でも、、、、『運命の番』なんてそんな迷信みたいなしきたりで捜索方法が分かるの?」
「それが、、、オレにも分からないです、、、ただ、母上が『会えば分かる』と言っていたので、、、、」
「ふむ、、」
確かにその方法なら見つかるかもしれないが、、どうやって見つけるんだ? 仮に見つかったとしてその後はどうするんだ? そもそも本当に存在するのか? そんな疑問ばかり浮かんできた。
「なあ、一つ聞きたいんだが、、なんでそんなしきたりがあるんだ?」
「それは俺達の一族には古くから伝わる掟があって、、男の『オメガ』が生まれた場合、、『運命の番』を見つけて結婚することになっているんです」
「なるほどねえ〜、、つまりあなたは結婚相手を探すためにわざわざ来たわけね、、はぁ〜」
サクラは呆れ顔でため息をついた。
無理もないだろう、、いくらなんでもバカげているからな。
「あ、あくまで言い伝えなので実際にはそんな事ないと思いますけどね、、あはは、、」
シャオランは苦笑いした。
「でもよ、、、もし、相手が『獣人』だった場合はどうするんだよ?人間のオメガ場合は優先的に『獣人』が生まれる可能性が高いだろ?それともまさか人間同士でも『運命の番』とやらが生まれると思っているのか?」
オレは素朴な疑問を投げかけた。
するとシャオランは顔を曇らせた。
「え、ええ、、もちろん思っていますよ、、だって俺達は『獣混じり』ですから、、」
シャオランは悲しそうに言った。
それを聞いてオレはハッとした。
(しまった!ついうっかり余計な事を言ってしまった!)
実は人間族の中には差別意識を持つ奴もいるんだよなあ、、特に貴族階級とかだと顕著に表れるらしいし。
「俺の家系では『血筋』より『魔力』重視なので、、、基本は人間相手なくても大丈夫なので、、、、、、」
「、、、『マリョク』?」
聞いたこともないなあ、、どういう意味だ?
「あ、そうか!『術士』の事だよ!魔法を使う人達のこと!」
はあ?『魔法』??
錬金術と同じだろ?なに言ってるんだコイツ?
「えっ!?ご存じないのですか!?」
シャオランは驚いた顔をした。
「ああ、、悪いが知らないな、、」
「私も初耳だけど、、」
どうやらオレ達の反応を見てシャオランはかなり驚いているようだった。
そんなに驚く事なのか?
「うーん、、じゃあ俺が『術』を見せますので、、、、」
そう言って、シャオランは懐から『紙』を取り出した。
「危ないので離れてください」
そしてシャオランは気合いを込めて発した。
「『雷帝招来』!」
バリバリバリバリ!
ズドーン!!
突然凄まじい音と共に部屋中が光り輝いた!
「うわっ!」
「きゃっ!」
オレ達はあまりの眩しさに目が眩んでしまいしばらく動けなかった。
しばらくしてようやく視力が回復した時には
地面に焦げた跡が残っていただけだった。
「な、なんだ今のは、、??」
「び、びっくりしたわ、、」
オレ達が呆然としているとシャオランが慌てて駆け寄ってきた。
「すすすすみません!大丈夫ですか!?」
「あ、ああ大丈夫だけど、、今何をしたんだ?」
オレは動揺しながらも尋ねた。
「えっとですね、、これは『符呪』という魔法でして、、」
シャオランは恥ずかしそうに答えた。
見たこともない『錬金術』だ。しかも『等価交換の法則』を無視している、、、、、。
「なあ?どうやって錬成、、、『魔法』を使ったかよ、、、?『等価交換の法則』を無視するなんて、、」
オレは恐る恐る尋ねてみた。
「それは、、、俺の『魔力』を使って発動させたからです。普通は体内の魔力を練って具現化させるのです。基本、『錬金術』と『魔法』は『同じ原理』ですよ。魔力を消費すれば必ず『等価交換の法則』に従って発動するんですよ」
なるほど、、、要するに体内の『気』を使って『身体強化』をするのと一緒か、、。
それなら納得できるな、、。
「、、あれ?」
「どうしたサクラ?」
「、、これ、、、、私の『錬金術』と似ている、、、、?」
「ええっ!?」
まさかそんなバカな!
あんな超常現象を起こすのをこの目で見たのに!?
だが、サクラの錬金術は心当たりがあった。
たしか『等価交換の法則』を無視して錬成出来るんだったな?、、これはもしかして、、、。
「なあ、シャオラン」
「はい」
「実はな、、、こいつなんだけど、、、、何故か『等価交換の法則』を無視して『錬成』が出来るんだよ、、、、。どうして出来るのか分からないから『リバウンド』の心配で困っているんだ」
オレは正直に話した。嘘ついてもどうせバレるだろうし。
「、、、見せてくれませんか?妹さんの錬成術を」
「わかったわ」
サクラはそう言って立ち上がり手合わせ錬金をして地面から鉄のぬいぐるみを錬成をした。
「、、、ああなるほど、、、どうやら妹さんの『魔力』を消費して錬成しているようですね」
シャオランは納得したように言った。
「やっぱりそうだったのか、、」
オレも薄々そう思っていたけど、、まさか本当にそうだったとは、、。
「じゃあ私は『魔法使い』ってことなのね?」
サクラは少し嬉しそうに言った。
「いや、そういうわけではないです。あくまで『魔力』を消費することで『錬成術』を発動させているだけですから、、。自身の『魔力』の理解をしないと必ずリバウンドに起こる危険性もありますから、、、、」
、、なるほど、ようするにサクラの魔力の『量』で理解をしないといけないんだな?
しかし、困ったな、、、『魔力』なんて目に見えないものだからどうすれば理解できるのかわからんぞ?
その時、オレは閃いた。
「、、、なあ、シャオラン、、」
「なんですか?」
「お前の『不法入国』を黙ってやるから、サクラの錬成術を見て教えてくれないか?、、、、ついでに『運命の番』やらをオレ達も探してやるよ」
オレの提案にシャオランは驚いた。
「え!?本当ですか!?」
「ああ、大佐にも秘密にしてくれと頼むからサクラの錬成術を見てやってくれよ」
オレはニヤリと笑った。
「ありがとうございます!」
どうやらオレの意図を察したらしくシャオランは頭を下げた。
それからシャオランはサクラの錬金術の手伝いをするようになった。
オレは『運命の番』のメカニズムやらを調べる事にした。
「何?『運命の番』を見つける方法だって?」
大佐であるロイ.マスタングは怪訝そうな顔をした。
「ええ、ちょっと気になることがありまして、、」
「ふむ、、まあ構わんが、、あまり期待をするなよ、、?、、なんでも『遭遇率』が低い上に探す方法が不明だからな、、まあヒューズ中佐の『体験話』ならあるが、、参考になるかどうか、、」
「え?ヒューズ中佐が、、、?」
「ああ、なんでも奥さんである『グレイシア』を見て『俺の運命の番だあああ♡』と猛烈にアプローチしたらしいからな、、」
おいおいマジか?あのオッサンそんな事をしたのか??ある意味尊敬するぜ、、。
「たしか、、、、『発情期中』のオメガを見つけると『ビジョン』が視えるらしい」
「、、、『ビジョン』?」
「例えば、、、目の前のオメガが『エロ〜い裸体』に視えるとか、、、」
げえっ!?マジかよ!なんか想像したくないんだけど!
「他にも様々なパターンがあるみたいだが、、ハッキリとした事はわからないそうだ。なにせ実際に見た人数が少ないし、そもそも出会える確率が少ないからな、、とにかく『運命の番』に出会えたら必ず分かるそうだ。それに『運命』には逆らえないだろうしね、、」
なるほどな、、たしかにそうかもな、、。
「ああそうそう、大総領も『大総領夫人』のこと『運命の番』と思っているらしいよ?』
「え?キング.ブラッドレイ大総領もですか!?」
「ああ、なんとなくだそうだ。こちらの方が参考になるがあいにく大総領は仕事で海外へ出掛けていて不在でね、、いつ帰ってくるか分からないのだ、、だから今回の話は聞かなかったことにしておくよ」
「わかりました、、お忙しいところ失礼しました、、では失礼します」
そう言ってオレは執務室を出た。
(うーん、、なかなか見つからないなあ、、)
あれから2ヶ月経過したが未だに見つかっていない。
シャオランはとても良いやつでオレが謝っても『大丈夫!』と言って許してくれた。
そしてサクラもシャオランの事を気に入り最近ではよく二人で行動している。
そしてサクラは自身の『魔力』を理解し始めたのか?
『錬金術』だけではなく『符呪』の使い方も覚えたようだ。しかも威力もかなり上がっているらしい。
これならもう大丈夫だろう。
、、、一つ気になることがあるとすれば、、、、。
「サクラ?」
オレはとある『行為中』のサクラに声をかけた。
サクラはビクッとして何故か落ち着かない、、、、。
「な、、、なに!?」
サクラは慌てて『シャオランの服』を隠した。
、、、、どうやらオメガの『匂い』を嗅いていたらしい。
「お前な、、、、いくらオメガの匂いが好きだって言ってもそれはどうかと思うぞ?」
オレは呆れながら言うとサクラは顔を真っ赤にさせた。
「ちっ、違うわよっ!!これはその、、えっと、、そ、そう!洗濯を手伝っているのよ!!」
いや、どう見ても言い訳下手だなおい、、。まあいいけど、、。
それにしても、、、サクラは『娼館』へ行かなくなったな、、、、。
珍しいことだ。
だがまあ良いことだよな。
うん。
こうしてオレ達は日々平和に過ごしていた。
しかしある日突然事件が起こったのである、、。
「エド、大変よ!テロリストがシャランを誘拐したわ!」
「はあ!?なんだって!?」
鳥人族であるタカのホークアイ中尉が突然の知らせにオレ達は驚愕した。
「なんでまたそんなことになったんだ!?」
「どうやら、、、、シャオランが『軍部』の重要人物だと勘違いされたみたいなの!」
「なんだと!?それでそいつらはどこに向かっているんだ!?」
「それが、、」
「まさか、、軍本部か!?」
「ええそうよ!」
嘘だろ!?
なんでそんなことになっているんだよ!? クソッ!
とにかく早く行かないとまずいよな!
それよりサクラに知らせないと、、、!
「そんなことよりサクラちゃんは!?」
「アイツは確か、、買い物へ行くって、、、!」
その時だった、、、、、。
「、、、中尉、、、その話は本当かしら、、、、?」
突然、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴと擬音語が聞こえてきそうな程迫力のある雰囲気を纏ったサクラが現れた。
「さ、サクラちゃん!?」
「今の話の続きを聞かせて頂戴」
「いや、あの、、」
「さあ、話してちょうだい」
「え、ええっと、、」
あまりの迫力にホークアイ中尉はタジタジになった。
こわっ!
怖すぎるだろコイツ!!
というかなんだこの威圧感はっ!?
まるで魔王のようだぜ!?
オレもビビりまくってるよ。
「、、、クソテロ集団の場所は?」
「軍本部です」
「わかったわ、、」
サクラは怒りをあらわにしながら外へ出た。
おいおいマジで行く気かよ!?
オレ達も急いで後を追った。
ー軍本部ー
「今すぐ、我々の要求を飲め!さもなくばこのオメガの命は無いぞ!」
テロリストのリーダーらしき男が銃を構えて叫んだ。
「くっ、、」
リーダーの隣にはシャオランがいた。
両手を縛られていて身動きが取れないよう拘束されている。
(しまったな、、油断してしまった、、)
実は先日から妙な視線を感じていたのだ。
恐らく、以前エドワードが言っていた『過激派』だろう。
警戒していたはずなのに不覚にも捕まってしまった。
(くそっ、、エド達を巻き込みたくなかったのに、、、、、!)
シャオランは自分の不甲斐なさに悔しくて涙が出そうになった。
(すまないみんな、、俺が捕まったばかりに迷惑をかけてしまって、、)
シャオランがそう思った時だった。
「あ、、、兄貴!?」
「どうした!」
部下らしき男は慌てて窓の外を見ろと指差した。
すると獣人らしき女が怒り狂いながらリーダーの仲間達をボコボコして『軍本部』へ向かっているではないか!?
「ぐおおおおおお(ブチギレ)!!」
「ひいぃぃいぃいぃぃぃいぃ(泣)!?」
仲間は銃で撃つが女はなんかバリアらしき結界を張っているので効かないようだ。
「な、、なんだコイツ!?」
「こ、、こわ!?」
そしてあっという間に全員倒してしまった。
(さ、、、サクラ!?)
シャオランは女の正体がサクラと分かり驚きのあまり固まってしまった。
そして『軍本部』の壁を破壊した!
ドカアアアアアアアン!!!
パラパラ、、、、、、。
「てめえ、、、、、。よくも『オレ』のオメガに手を出したな、、、、、(ブチギレ)」
、、、なんか口調も変わっている、、、、。
あと、何故かシャオランを自分のモノだと言ってるし、、。
いや、今はそれどころではない!
テロ組織のリーダーはあまりにも怖すぎるサクラの気迫にガタガタ震えているからだ。
「く、、来るなあああ!!??」
ズガン!!
銃声と共に部下は倒れた。
どうやら気絶しているようだ。
しかしサクラはそんなことにはお構い無しに銃を撃ったリーダーを睨みつけた。
「ひっ!?」
そして怯えるリーダーに近づくと胸ぐらを掴んで持ち上げた。
「てめえら、、よくもオレのオメガを傷つけてくれたな、、?」
リーダーの足は完全に宙に浮いている状態だ。
「ひいいいっ!?」
「安心しろ、、殺しはしない、、ただし、、お前らに地獄を見せてやるだけだ」
サクラは牙を覗かせてニヤリと笑う。
ゾクッ!!
その場にいた全員が恐怖に震えた。
「や、、やめろっ、、やめてくれっ、、」
「却下」
(自主規制)
『ギャアアアアアアアア!?』
『あはははははははははは!!』
『ひいいいいいい!?』
『ぎゃあ!』
『ゆ、、許してくださいいいいいっ(号泣)!!』
、、、、、、その後テロリスト達は一人の犠牲者も出さず壊滅したのだった。
ー数分後ー
「う、、、うわ、、、、な、なんかえらいことになったな、、、、(汗)」
オレは目の前の惨状を見て思わず呟いた。
地面に倒れているテロリスト達は完全に気を失っているようだ。
もちろん生きている。
だが顔は涙やら鼻水やら涎やら何やらでグチャグチャだ。
まあ自業自得だな、、同情する気はまったくないが。
ちなみに今回の騒動の原因となったサクラはというと、、。
「もう大丈夫よ?怖い思いをさせてごめんね?」
すっかり元の優しい感じに戻っていて、シャオランをなだめるがシャオランは硬直をしたまま動かない。
それどころか若干顔が青ざめているように見えるのだが気のせいだろうか?
「あ、、ああ、大丈夫だ、、、(汗)」
、、、どうやらサクラの恐ろしい一面を見たことでショックを受けているようだな、、。
しかし、そこまで怖かっただろうか?
確かにいつもののサクラじゃなかったから、
ちょっと驚いたけど、、、、。
「これで全員だな?」
「そうですね、、、まさかサクラちゃん一人でやっつけちゃうなんて思いませんでした」
大佐と中尉は感心したように頷いた。
「しかし、、、お前らしくないぞ『銀の(サクラのこと)』、、、。なにもここまでしなくても良かったんじゃないか?」
大佐は不思議そうに尋ねた。
そういえばそうだな、、いつもならもっと穏便に済ませるのに今日はやけに過激だったよな、、。
まあ、確かに怒らせると危ないのは分かっているけど、ここまではさすがにやりすぎだと思うぜ?
するとサクラは気まずそうに話した。
「、、、分からない、、、」
「は?」
「分からないのです、、、、シャオランの危険が迫っていると分かった途端に頭が真っ白になって、、気がついた時にはすでにこうなっていました、、(汗)」
んん?どう言うことだ??
「、、あ、、あの、、、たしか貴女は、、、『オレのオメガに手を出したら地獄行きだ!』と怒り散らして叫びましたよね?」
シャオランは恐る恐るとサクラに尋ねた。
「え、、、?わ、、私!そんなことを言ったの!?」
サクラはかなり動揺している様子だ。
え!?
女たらしのサクラがそんなことを言ったのか!?
ちょっと待て!?
流石におかしいぞ!
だってサクラは雌のオメガしか興味がないんだぞ!
オレがそう思っていると、、、、、?
「何かね、、、?やけに騒がしいと思ったらこれは一体どういうことだ??」
突然後ろから声をかけられたので振り向くとそこにはピットブルのキング.ブラッドレイ大総領がいた。
「だ、、大総領!?」
「ど、どうもこんにちは、、(汗)」
オレ達はとりあえず挨拶をした。
それにしてもなんでこんなところにいるんだ?
しかもなんかボロボロだし、、。
するとサクラは慌てて頭を下げた。
「ご、ごめんなさい!私がやったんです!」
「む、そうか、、まあいいだろう、、」
「えっ!?」
予想外の返答にオレ達は驚く。
「それにしても、、、オメガの為にここまでするとは、、、、、もしかして君はこの男を『運命の番』じゃないかね?」
大総領は穏やかな表情で尋ねた。
(ええっ!!??)
な、なんだってえええぇぇえぇ!!!??? オレ達全員が驚愕した。
「女たらしの君が『娼館』へ行かなくなったと聞いて『さては運命の番でも見つけたのかな?』と思って戻ってきたのだよ、、、。『運命の番』を見つけたアルファは他のオメガの発情期に全く『興味』がなくなるんだよ。、、、、つまり今の君はまさしくその状態というわけだ」
、、、そ、、そう言えば、たしか『娼館』へ行かなくなったし、、どちらかと言うとシャオランと一緒にいる時間が長かった、、、。
シャオランの服を嗅いでいたし、、、、。
つまり、、、シャオランの『運命の番』はすでに見つかっていたということか、、、。
ん?、、ちょっと待ってよ?
お、、オレの妹が、、、『運命の番』だとしたら、、、、(汗)。
「あ、、、あの、、、!も、、もし良かったら俺と、、、、!」
シャオランは顔を真っ赤になってサクラに告白した。
「う、、うん、、!シャ、、シャオラン君ならいいよ!」
シャオランの言葉にはずかしそうに頷くサクラ、、、、。
雌を口説く余裕のはずのサクラが、、今は完全に乙女の顔になっている、、。
ま、、マジかよ、、(汗)。
サクラが付き合うだとぉ!?
そんなぁ〜(号泣)!!
オレはまだウィンリィに告白していないのにぃ〜(泣)!
い、、いやね!
女癖の悪いサクラだからこれで良かったと思うけどね!
いやマジで!
だ、、だけどさ〜!
やっぱり悲しいよおおおおぉぉぉ(号泣)!!!
「そ、、それは困る!!彼女は『貴重なアルファ』だから手放せないんだ!!」
おい!くそ大佐!?
なにさらっととんでもないこと言ってるんだよ!?
ふざけんなっつうの!!
本当は雌にモテたことがないんだから嫉妬してるんだろ!?
このスケベ野郎め!
と、、その時、、、ホークアイ中尉は気になったことを口にした。
「そう言えば、、、獣人の雌のアルファはどうやって『子作り』するの?」
、、、、サクラとシャオラン以外、全員固まった。
「た、、確かに獣人の雌のアルファはどうやって『子作り』を、、、、?」
「それも『研究』として『記録』するべきじゃないかね?」
「うむ、、」
そして3人はなにやら考え込んでしまった。
あ、あれ?なんか変な雰囲気になってきたぞ?
「サクラちゃん、、、、どうやって雌と『交尾』するの?」
「えっと、、、たしか『勃起』すると『おマメ』さんが大きく、、、、」
「ストップーーーーー!?」
なに話そうとしてるんだよお前は!?
あと中尉!?
メモを取るんじゃない!!
大佐も真面目な顔で聞くなあああぁぁ!!!
「ふむ、、やはり興味深いですな、、」
何がだよ!?
なんで興奮してるの!?
変態かよ!?
誰か止めてくれぇぇぇ!!
、、、それからしばらくして、『運命の番』のメカニズムがだんだんと分かってきた。
どうやら『運命の番』であるシャオランの『発情期』を嗅いだサクラのフェロモンが変化したらしい。
それにより『運命の番』以外の他のオメガの匂いが分からなくなったそうだ。
あの時、初めてシャオランの発情期で耐性に強いはずのサクラは目眩を起こして汗だくになったのはそれが原因だったということだ。
しかし、まさかこんなことになるとはな、、
まだ不明な点があるからこれからの研究次第だが、もしかしたら将来的にサクラの子も『雌のアルファ』が生まれるかもしれない。
、、、、、そしてオレは軍の『記録係』としてシン国へ飛ばされるはめになるとはまた別の話だ。
完
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