アストライア・ノヴァ
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「そ…そういえば今復讐者って…」
思い出したようにツナがリボーンくんを見る。
リボーンくんはツナの肩に乗ったまま
「確かに代理戦争以降、バミューダ達が装置に付きっきりになってからは掟の番人の役割はずっと空席だな。
トゥリニセッテの維持は片手間で出来るようなものじゃねぇだろうし…
このまま放置すれば元々無法地帯の裏世界が更に荒れちまう」
「も…元々無法地帯…」
と、何かツナは突っ込みたそうだったが空気を読んで堪える。
そんな話を聞いた後バミューダはティティの周りをふわふわと浮きながら吟味し
「チェッカーフェイスの息がかかっているのは少々気に食わないが
師であるチェッカーフェイスはどうやら放任主義のようだし」
「酷いなバミューダ君。私なりに弟子は可愛いんだよ?」
「バカ真面目で自分の仕事に誇りを持ち、出生が不明で口が固くて
実力も沢田綱吉の超直感すら欺く。
ま、戦闘そのものの実力は計れなかったけど」
バツが悪そうにティティは目を背け唇を噛んだ。
「でも合格だよ。惑星を守護する人間に掟や法の番人をさせるだなんてピッタリだと思うな。
君さえ良ければやってみないかい?掟の番人」
「私が…?」
「後継者として君に教える事は山程ある。
長い付き合いになるだろう。…ほら、独りじゃない」
「…………」
「君が各世界でやってる慈善活動は勝手にすればいい」
「ちょ…師匠!彼にどこまで私の情報を開示したのですか!!
ていうかっなんで知ってるの!!」
「本物のティティアを見つける為に色んな時間軸や世界を渡ったからねぇ」
「くっ…こ、こんな事なら私の痕跡も消しておけば良かった…!」
「恥じることないのに」
「ねぇ?」とすぐ近くのツナに同意を求める。
ツナはそれに「ははは…」と苦笑で返した。
「で?どうする?やる?」
バミューダの問いにティティは俯く。
しばらく何か深く考え込んでいた彼女は顔を上げると川平のおじさんを見て
「師匠が…持ち掛けたのですよね?この仕事の話」
「仕事に関しては私じゃないけど、バミューダ君に会ってほしいとお願いしたのはそうだね」
「どうして…?今までずっと私の事放ったらかしにして…気にも留めないで。
なのに、こんな急に…私の事なんてどうでも良いから、ずっと私を放置してたのではないのですか?」
それを聞いた川平のおじさんは申し訳なさそうに苦笑すると、ポンとティティの頭に帽子の上から手を置いた。
「…ごめんよティティア。
私はどうも女心というものが難しくてね。
リボーン君にも言われたよ。『だからユニの先祖とケンカ別れしたんじゃねーのか』ってね。
さっきも言った通りティティアは昔からとてもしっかりしている。
だから教える事を教えたらもう私は必要ないと…一人で大丈夫だと思ったんだよ。
でも…ティティアは確かにしっかりしているが私と出会った頃はその見た目の年齢のまま…まだ10代半ばぐらいだ。
それから私と修行をしたとしても数年…幼いとは言わないが、まだ若い。
その歳で自分の年齢も分からなくなるような過去と未来の行き来を繰り返し、自分の生まれ育った時間軸を忘れそうな程様々な次元を移動し
数多の次元で惑星に害を及ぼす可能性があるものが無いかを、たった一人でパトロールしてきた。
それに最初から星を守る事が使命である古代種の私と違い、ティティアは地球に生まれただけの地球人。普通の女の子。
普通の女の子だった子が相談者も悩みを打ち明ける人もおらずに…辛かっただろう。
それに気付けなかった私は師として失格だ」
「…………」
「ティティアがどれほど心を傷付けてきたのか、苦しい思いをしてきたのか、本物の君を探す過程でよく分かったよ。
だから力になるかならないかはともかく縁を繋いでおこうと思ったんだ。
ティティアと同じように永遠を生きるもうひとりの存在とね。
自分と同じ立場の存在がいる。それを知っているだけでもある程度は気が楽にならないかい?」
「……はい…」
「だからバミューダ君にその話を持ち掛けたら、たまたま復讐者の役割を引き継いでくれる人物を探していたと言われてね。
丁度良いからティティアを面接してもらう事にしたんだ。
これで縁も出来るし、仕事仲間になれると思って」
「師匠…」
川平のおじさんの手がティティの頭から離れ、腕を組む。
「それで…どうかな?やってみる気はあるかな?」
顔を顰めティティは難しそうな表情をする。
そしてまるで反抗期の女の子のようにフイッと横を向き
「少し…考えさせて下さい。
ずっと私を放置していた方から急にそんな事を言われて混乱してるので」
「根に持たれているようだねチェッカーフェイス」
「まいったな。これは手厳しい」
ガリガリと後頭部を掻く川平のおじさん。
「まぁでも、ティティアの好きなようにしなさい」と言って、彼は微笑んだ。
「しかしそれはそれとして、今回の騒動については師として厳罰を与える。
護る立場である者が、感情に振り回されて個人の命と存在を奪うだなんてとんでもない。
ひとまず今後の事を話したいから一緒に来てもらうよ」
「……分かりました。師匠」
抵抗の意思は無いと言うように彼女の武器である杖が彼女の手から急に消えた。
そんなティティの背を川平のおじさんが押し
「さぁまずは迷惑をかけた彼等に、そして美香ちゃんには特に謝るんだ。
それで許してもらえるか否かは彼等と美香ちゃん次第だけどね」
ティティはぎゅっと自分の服を握ると深々とあたし達に頭を下げた。
「ごめんなさい……っ」
「ティティ…」
「特に美香には許してもらえるとは思ってません。
友達なんて言って騙して…傷付けて、殺そうとして…本当にごめんなさい。
もう二度と貴方達の前に姿を現しません。だから、安心して…」
「そんなのイヤよ!」
あたしは走り出し、頭を下げ続けるティティに抱き付いた。
「また一緒にカフェに行ってよ!一緒に商店街に遊びに行ってよ!
相談に乗ってくれたお礼のクレープも、貸してくれた指輪のお礼のアイスコーヒーだって奢れてない!!
二度と会わないだなんて言わないで!!」
「美香…」
「ティティ…貴女はイヤがるかもしれないけど、やっぱりあたしはティティは友達だと思ってる。
あたしが悩んでる時、泣いてる時…いつも一番最初に傍に来てくれたのはティティだった!
ティティのおかげであたしは何度も救われたの!
お願いティティ…ティティさえ良かったら、これからもずっと友達でいて…!!」
「そうだよティティさん!二度と会わないなんてそんなのオレもイヤだっ
友達なのに会えないなんてイヤだよ!
…また一緒に遊びに行こうよ。みんなだって、きっとそう言ってくれる!」
あたしとツナは振り返り、ティティは呆然と前を見る。
あたしとツナの後ろにいたみんなは優しく笑っていた。
ボンゴレのみんなも、シモンのみんなも、まるでさっきまでの戦いなんて無かったかのように温かく迎え入れ歓迎するように微笑んでいた。
「ティティ…ずっと友達だよ?」
彼女は何も答えず、ただ一筋の涙を溢したのだった。
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