アストライア・ノヴァ
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沢田家に帰り着くとあたし達はまず夕食を食べた。
夕食が終わると次はお風呂。
あたしと奈々さん、そしてビアンキさんとイーピンちゃんは夕食の片付けの手伝いがある為
男性陣が先にお風呂に入る事になっている。
「ツナー!潜水艦ごっこするぞー!!」
「わっランボ落ち着けって!」
廊下を見ればランボくんに手を引っ張られているツナにその後を続くフゥ太くん。
リボーンくんは今日はビアンキさんと一緒に入るのかな?
ツナと一緒に入る時もあるけれど、ビアンキさんと一緒に入る事も多い。
というかリボーンくんって呪いで小さくなってるわけであって、実年齢は…
いや。深く考えるのは良そう。ビアンキさんとは愛人の関係だって言ってたし(おそらく)一緒にお風呂に入るなんて何も問題ないはず。
奈々さんだって赤ん坊がお姉さんと一緒にお風呂に入ってるだけの感覚だから大丈夫。何も問題はない。
そう考えながらビアンキさんが拭いた食器を棚にしまっていくと
「あらっツナったら!」
と、奈々さんが声を上げた。
「どうしたの?ママン」
食器を拭きながらビアンキさんがテーブルの上を凝視する奈々さんへ振り返る。
「シャンプーの詰め替えお風呂に行く時に持って行ってねってお願いして置いておいたのに、忘れてるみたいなのよ。
もう〜ツナったら仕方ないわねぇ」
「だってツナだもの」
「シャンプーもう中身が空だったはずよ。髪が洗えなくて困ってるんじゃないかしら」
「奈々さん、あたしが届けてきます」
とりあえず持っていた食器を全て棚にしまうとテーブルの上のシャンプーを手に取った。
「ありがとう美香ちゃん。お願いね」
「はい」
シャンプーを手にあたしはお風呂場へ向かう。
「ツナー?ツナ、聞こえるー?」
脱衣所の外から声をかけるが返事はない。
耳を近付けるとランボくんの楽しそうな声が聞こえ、それを諌めるツナの声が聞こえる。
この賑やかさなら此処から声をかけても聞こえないのだろう。
でも脱衣所からならさすがに大丈夫かもしれない。
そう思ってドアを開けると
「ランボさんも行く!!」
「コラ!ランボ!今取ってくるから大人しく」
ガラッ!とお風呂場の引き戸を開け、飛び出してきたランボくんとそれを追いかけるツナにバッタリと鉢合ってしまった。
「え゛」
「あら、ツナ」
ツナは全裸だったが、幸い?モノは見えていない。
「ちょ…なんで美香が!?てか声くらいかけろって!」
叫びながらまるで女の人みたいに両手で自分の体を覆い、体を捻って隠すツナ。
「シャンプー忘れてたでしょ?持ってきてあげたのよ。
声かけたけど聞こえなかったみたいだから…」
「えっ…ごっごめん…ありがとう…
今取りに行こうと思って出たらランボが一緒に行くって飛び出してさ」
「あはは。廊下がビッシャビシャになりそうね」
ランボくんもツナも既に掛け湯をしてしまっているようだ。
体がお湯で濡れており、ツナならともかくランボくんはそのまま飛び出してしまうだろう。
そんな事を考えながらツナにシャンプーを手渡した。
「あっ美香姉だ〜!」
見ればフゥ太くんは既にお湯に浸かっているみたいだ。
沢田家のお風呂は一般的な家庭のお風呂の広さだから、誰か一人は湯船に浸からないとランボくんの髪を洗ってあげたりは出来ないだろう。
「美香もランボさんと一緒にお風呂入ろ!」
「何言ってるんだよ!美香は女の人だから一緒に入れないの!」
「なんで!ママンは一緒に入ってくれるのに!」
「な…なんでって…っ
そりゃ、母さんはその…」
純情なツナが説明出来るはずもなく顔を真っ赤にしている。
ここは助け舟を出す事にした。
あたしはしゃがんでランボくんと視線を合わせると
「ごめんねランボくん。まだ奈々さんのお手伝いが残ってるから一緒には入れないのよ」
「ええーーーー」
なんとか男女の違いというものの説明を回避する事は出来たが、不満そうな表情のランボくん。
それを見てあたしは「うーん」と考えると
「分かった。じゃあ背中流してあげる。それで納得する?」
「はぁ!?」
「する!!」
「するなって!!!」
「仕方ないじゃない。こうしなきゃランボくんぐずりだしちゃうわよ?
お風呂の時間が長くなって自由時間減ってもいいの?この後リボーンくんと受験勉強の時間なのに」
「ぐ…」
さすがのツナも自由時間が減るのは辛いのか言葉を飲み込んだ。
「じゃあランボくん、椅子に座って」
「はーい!」
「あ、ツナはシャンプーの詰め替えよろしくね」
「わ…分かった…」
渋々と浴室に戻るツナとウキウキで浴室に戻っていくランボくん。
椅子に座ったランボくんの背中の前に立ち、そしてしゃがむ。
半袖にハーフパンツだから格好は問題ない。
ツナがちゃぽんとフゥ太くんと並んで湯船に浸かり、あたしに手渡されたシャンプーの容器にシャンプー液を足していた。
湯船に豪快に溢さないか一瞬心配したが大丈夫そうだ。
シャワーでランボくんの体を濡らしてあげるとボディソープで泡立てたボディスポンジで背中をゴシゴシと洗い始めた。
「ランボ様。力加減は如何でしょう?」
「ガハハー!丁度いいぞー!もっとゴシゴシしろー!」
「分かりましたランボ様」
「ランボのやつ調子に乗ってる…」
「ツナ兄が背中洗ってあげる時いつも怒ってるもんね」
「だってランボが暴れるからさぁ」
ツナが普段どんな風に体を洗ってあげているのか分からないけど、あたしが洗ってあげている今のランボくんは比較的大人しかった。
あたしの煽てる演技がよほど心地よかったのか殿様になった気分でノリノリになってくれて
あっという間に背中だけでなく全身、そして髪まで終わってしまった。
「はい。終わったわよランボくん」
「よきにはからいたまえ!」
「それ意味わかってる?」
「ありがとう美香。助かったよ」
「ううん。ランボくん大人しかったから」
「いつもはめちゃくちゃ暴れるしこんな大人しくないんだけどな…」
と、苦笑するツナ。
そして彼はあたしが抱えたランボくんを受け取ってくれて湯船に浸からせる。
「…ねぇツナ」
「ん?」
「ツナもどう?背中♡」
ツナの表情が固まった。とても面白い。
「はぁ!?ちょ…なん!?!?」
「(面白い…)」
「オ…オレは別にいいよ!!」
「ダメ…?」
「いやっダメっていうか!」
「イヤ…?」
「イヤじゃないけど!」
「ねぇツナ…ダメ…?」
「だっ…だから…!」
「ツナ…」
「〜〜〜〜〜っっっ」
顔を真っ赤にしたツナはしばらく言葉を失って
「……………せ……背中だけ、だからな…!」
「もちろんよ♪」
彼はのぼせてるのかと思うくらい全身を真っ赤にさせて湯船から出てきた。
そしてさっきまでランボくんが座っていた椅子にあたしに背を向けて座る。
「いいな〜ツナ兄!美香姉っ僕も〜!」
「もちろん。フゥ太くんも洗ってあげる」
「やったー!」
ツナの背に泡立てたボディスポンジを押し当てる。
ゴシゴシと擦り始め
「ツナ、力加減はどう?」
「ん…大丈夫」
「そう。分かったわ」
後ろからでも分かる。ツナの耳は真っ赤だ。
それを見てあたしはクスッと笑みを零す。
背中を洗いながらツナの背をジッと見つめる。
ツナの背は割と頻繁に見る。もちろん服を着ている背中。
あたしを守ってくれる時。あたしを庇ってくれる時…
あたしやみんなを守る為に、戦いに向かう時。
見た目は細いのに触れればしっかり、ガッチリと引き締まっていて
ツナったらいつの間にこんなに逞しい身体つきになったのかしら。
負傷は晴の活性の炎である程度治癒されるから、緊急性を伴う目立った大きな傷等はすぐに治療されてその跡は流石にないようだけど
致命傷ではない小さな傷は放置される事が多く、晴の活性による治療がされる前に傷が塞がって、それが跡として残っている。
小さな傷跡はもちろん背にも幾つかある。
決して油断によるものだけではないだろう。
超速を誇るツナの速さに追い付き、尚且つ背中を取れる程の強敵と戦ってきた証。
「あの…美香さん…?」
いつの間にか手が止まってしまっていたあたしにツナがおそるおそる声をかけてきた。
「あ…ごめん。その、思ったより…傷があったから」
「傷?…ああ、傷跡?もう痛くないから平気だよ。…っちょお!?」
ぽすっとツナの背にあたしは自分の額を押し付けた。
ツナが緊張してるのかピシッと背筋が伸びる。
「ごめんね…」
「なっ…なんで謝るんだよ!?てか、フゥ太達が見て…」
「痛かったよね」
「もう大丈夫だって!」
「ごめん…いつも守ってくれてありがとう…ツナ…」
「美香…」
「…………」
あたしったら、なんでこんな小さな傷跡にも気付けなかったのかしら。
もしかしたら…ツナが守ってくれる事を嬉しいなんて思っていたけど、痛い思いをさせてるのにそう思うのは…
ツナのこと、何も考えてない安易な考えだったのかもしれない。
「…気にするなって」
「でも…」
「オレは…自分が傷付くより美香が傷付く方が一番痛いんだ」
「…………」
「美香が無事なら、こんな傷くらいどうって事ない。
確かに痛いけど美香や友達、仲間が傷付いた時に比べたら全然平気だよ」
「ツナ…」
「オレはみんなや美香を守れて逆に嬉しいんだ。
だから気にするなって。…な?」
「……うん。ありがとう、ツナ」
顔だけ振り返り、笑いかけてくれるツナ。
そんなツナにあたしも笑い返す。
湯船ではフゥ太くんが顔を赤くしながら呆然と見守り、ランボくんの両目を塞いでくれていた。
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