アストライア・ノヴァ
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「お疲れ様」
「おつかれ、美香」
バイトが終わると、そこにはツナと炎真が立っていた。
「ツナったら…本当に来ちゃうなんて」
「行くって言っただろ?」
「もう…ツナだって狙われてる立場なのよ?危ないじゃない。
でも、ありがとう」
「うん」
「美香の荷物はツナくんに預けてるよ。
ツナくんが一緒なら大丈夫だと思うから僕は帰るね」
「炎真もありがとう。お世話になりました。
みんなにもお礼を言っておいてくれる?」
「分かった。また遊びに来てね。みんな待ってるから」
「もちろん」
「じゃあね。ツナくんも」
そう言って炎真はあたし達に手を振って背を向け反対方向に歩き出した。
ツナも「また明日学校でね」と炎真に返し、二人で炎真の背をしばらく見送ってから沢田家へと歩き出す。
夏に近付いてきているから、辺りは薄暗くはあるけれどまだ十分明るい。
なので商店街で買い物をする人達は多かった。
「そういえば今日帰りにティティさんに会いに行ったんだ」
「えっそうなの?」
「うん。ティティさんが学校生活を続けるならまだ護衛が必要なんじゃないかって思って…
ティティさん、ボンゴレ関係の騒動に一応巻き込まれてるんだし」
「ああ…確かにそうね…」
リボーンくんも言ってた。
これからは本格的にボンゴレの内部抗争に巻き込まれていくと。
ティティの事が終わったのにツナはまだ戦いが控えているんだ…
「それでオレと獄寺くんと山本でティティさんの護衛をしに行ったんだけど…」
「けど?」
「…全然必要なかったみたい」
と、ツナが苦笑する。
「え?」
「ティティさんめちゃくちゃ強かった。
オレ達がティティさんを見つけた時既に襲われててさ
しかも本気を出してきたのか守護者が二人。
オレ達も慌てて助けようと思ったんだけど…手を出す前にもうあっという間に終わってた。
明らかにこの間オレ達と戦った時と全然違ったんだ。戦い方が」
「そうなの?」
「うん。殺さずに、でも完膚なきまでって感じ。
まるで指先でちょちょっと捻るくらいの余裕で。
守護者をだよ?それも二人も。
多分…オレ達が知らないだけでティティさん既に何度も襲われてると思う」
「自分で撃退出来てたならツナ達に相談する必要もないものね…」
「それでオレ達が来ていたのに気付いて
『こういう訳ですので今後護衛は結構です』って言ってどっか行っちゃった。
だからこれからは美香の護衛に集中する事にしたよ。
…なんか、向こうも本気出してきたみたいだからさ…
あーもー…美香も危ない目に遭うしほんと止めてほしいよ…」
「戦いたくないし…」と尚もツナはブツブツと文句を言っている。
「そういえばツナ、ティティってどの方向に行ったか分かる?」
「え?ええっと…オレ達がティティさんを見つけたのは並高から離れて…
ほら、大通りから外れたところに人気のないちょっと寂れた道があっただろ?あの辺で…
そこから…どっちだろ。大通りには行ってなかったはず。…なんで?」
「ティティ…帰る家あるのかしらって気になってて」
「あっ…確かに」
「
「う…それも確かに」
「でもティティの帰る場所がないのも心配で…どうしたらいいのかしら」
「…………」
「それに今のティティなら『うちに来ない?』って提案しても
『関わらないで下さい』って言ってきそうじゃない?」
「うん…」
「大丈夫なのかしら。ご飯だって…」
「うーん…オレも…心配だけど…」
「うん?」
「とりあえずティティさん本人が助けを求めてくるまで何もしない方が良いんじゃないかな?
ティティさんは強い人だし、頭も良い人だし、きっと自分で何とかしてると思う」
「そうかな…」
「うん。心配する気持ちは分かるけどね」
「そっか…なら、ツナの言う通りそうするわ。
今のティティはしつこく心配すると怒ってきそうだし」
「確かに」
と、言ってツナは笑った。
「あ…ツナ、あたしも…」
「ん?」
「実はね…今日秋元くんに告白されたの」
「っ…」
「…断ったわ。
確かに秋元くんは元の世界ではあたしの元カレの『結友』よ。
でも、世界が違うから彼は『彼』じゃない。
結友だけど…『結友』じゃないのよ」
「………」
「前も言った通りあたしは確かに結友に未練があったわ。
去年までは自分に精一杯でそんなつもりはなかったけど
指輪や秘宝の事が全部終わって、不可解な現象も無くなって自分のことを省みる余裕が出来た今だから分かる。
両親に先立たれて、弟を守る強い姉として頑張ってきた一方
そんなあたしを褒めて、慰めて、愛してほしい人がほしかった。
そしてあたしの望みを叶えてくれたのが結友だったの。
だから…自然消滅という終わり方もあって『もしかしたらまだやり直せるんじゃないか』って小さな未練が心の奥にあった。
それが秋元くんに会って爆発しちゃったのね…
ツナと大喧嘩したタイミングでもあったものだから」
「美香……」
「でもっ今回の事でもう綺麗さっぱり吹っ切れた!
秋元くんは本当に良い人よ。優しくて頼り甲斐もあって…照れ屋で。
だけど
ツナとずっと一緒にいたい。ツナを愛したい。ずっとずっと…生まれ変わっても一緒にいたい」
それはおばあちゃんと一世のように。
永遠に引き裂かれ、死んでも尚、お互いを求め続けた二人のように。
あたしの…憧れの二人。
「……ツナ?」
何も返事がないツナが気になって顔を覗き込むと、ツナは顔が真っ赤だった。
照れのあまりか若干うっすらと涙ぐんですらいる。
「ツナったら照れてるの?」
「な…!わっ悪いかよ…!」
「ふふっううん。ツナらしいわ」
「……オレも美香とずっと一緒にいたい」
目を伏せながらもツナは恥ずかしそうに、でもしっかりと言ってくれる。
「ツナ…」
恥ずかしがり屋なツナの精一杯の気持ちがすっごく嬉しい。
胸がドキドキして……ああ、やっぱりあたしツナが好き。
「ねぇツナ。暗いし…手、繋いでもいい?」
「ん…」
まだ恥ずかしいのかあたしを見ないけど、手は差し出してくれる。
あたしはその手をきゅっと握った。
「でも」
「?」
「別に…明るくても、手くらい繋ぐから」
と、そう言うツナの顔は耳まで赤くて…けれど視線は私の方を向いてくれていた。
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