アストライア・ノヴァ
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公園でツナとしばらく二人きりの時間を過ごした。
あんなに話題が見つからなかったのに、仲直りすると溢れる湧き水のように次から次へと思いついて会話が止まらなくなる。
そうして気が付けば陽は沈みかけててあたし達は帰る事にした。
ベンチから立ち上がり、あたしはふと思い出して
「ツナ、これだけは言わせて」
「ん?」
「ツナは自分の事…『ダメツナ』なんて言ってるけど」
「………」
「あたしは別にそうは思ってないし、仮にそうだったとしても…そんなツナが大好きなの」
「美香……」
「ツナはツナ。そのままのツナが好き。
周りの評価を気にしないでって言うのは簡単だけど、ツナの性格上それは難しい事だっていうのも分かってるわ。
…だけど、
ダメツナと呼ばれている貴方とキスがしたい。抱きしめてもらいたい」
そして手を差し出し
「手を…繋ぎたい。そう思ってる」
「っ………」
「だからあたしの気持ちなんて心配しないで。
おばあちゃん譲りの気の強さはツナはもうイヤって程知ってるでしょ?」
「……強いなぁ美香は」
そう微笑しながらツナはあたしの手を握ってくれた。
手を繋いであたし達は歩き出す。
「オレも頑張って強くなるよ」
「ツナはもう十分強いわよ。戦いはもちろん、戦闘の時の覚悟だって…
だから普段くらいはヘタレでいいのっ」
「な…なんだよそれー!」
そうして二人で笑い合う。
あんなに話したのに道中でも手を繋いだままたくさん話して、たくさん笑って…
しばらく離れていた分を取り戻すかのように濃密な時間だった。
家に帰り着いた頃には喋って笑いすぎてすっかり喉がカラカラだった。
玄関を開けるといつもフゥ太くんとランボくん、そしてイーピンちゃんが真っ先に出迎えてくれる。
「おかえりツナ兄!…あっ美香姉〜!!やっと帰ってきたー!!」
「美香さんオカエリ!」
「どこに行ってたんだー!ランボさんも一緒に連れてけー!!」
「もう帰ってこないのかと思って心配してたんだよ!?良かったー!!」
ぎゅっと抱きついてくるフゥ太くん。
それに続いてランボくんとイーピンちゃんも抱き付いてきて、あたしはそれを抱き留める。
「ごめんね…ちょっと炎真の所に遊びに行ってたのよ」
「美香だけズルいじょー!
ランボさんも行くー!!らうじに会いにいくー!!」
「今度お菓子持ってお礼を言いに行くから、その時一緒に行きましょランボくん」
「行く行く!」
「イーピンもイク!」
そんな風に玄関で賑わっていたら「あらあら!」とキッチンから久しぶりに聞く奈々さんの声。
エプロンで濡れた手を拭きながらパタパタと小走りでやって来て
「お帰りなさいツナ。美香ちゃん」
「た…ただいま、母さん」
「ただいまです…色々ご心配おかけしてすみません」
「いいのよ。やっと仲直りできたのね?」
「はい…お騒がせしました…」
「二人ともまだ若いんだもの!ケンカのひとつやふたつするのは当たり前よぉ!
ほら、よく言うじゃない?ケンカするほど仲が良いって!
ツっくんと美香ちゃんはすっごく仲良しなんだから仕方ないわ!」
「あ…あはは」
「良かったわ仲直り出来て。ねー?ツーくん!」
「う…うんっ」
「さぁ二人とも着替えてらっしゃい!ご飯もう食べられるわよっ」
「は、はいっ」
「分かった」
奈々さんに促され靴を脱いで家に上がる。
奈々さんはご機嫌そうにキッチンへと戻っていき
フゥ太くん達はその後をバタバタと追っていく。おそらく手伝いに行ったのだろう。
ふと見れば階段の近くに壁に寄りかかるビアンキさんと
そのビアンキさんの腕の中にリボーンくんがいて
彼はニッとあたしに笑いかけると
「良かったな」
「…うん。リボーンくんも…色々心配してくれてありがとう」
「気にすんな」
「愛し合う男女にケンカなんて付き物よ。
それを乗り越えてこそ、真の愛だわ」
「ふふっそうですね。ビアンキさん」
「もう泣かせんなよ。ダメツナ」
「う、うん…オレなりに頑張るよ」
「安心なさい美香。
また今度泣かされた時は私のポイズンクッキングで」
「ヒィ!もう絶対泣かせません!!」
シャキッと背筋を伸ばす、あまりにも必死なツナにあたしは思わずプッと吹き出し、そして笑う。
少しの間だけその場の四人で笑って、やがてツナがあたしを見ると
「美香」
「ん?」
「…おかえり」
「…ただいま!」
あたしはぎゅっと、ツナに抱きついたのだった。
その日の夜。夕食が終わってからあたしは廊下の固定電話で炎真に電話をしていた。
今日からもう沢田家に帰る旨を伝えようと思ったのだが、少々遅かったかなと思いつつ電話をすると
どうやら炎真は既に知っていたようで『今日学校で美香と仲直りして連れて帰るってツナくんから言われてたよ』と言われた。
『仲直り出来たんだね。良かった』
「炎真もごめんね。巻き込んじゃって…」
『気にしないで。シモンのみんなも久しぶりに美香と過ごせて嬉しそうだったし』
「あたしも楽しかった。時々そっちに泊まりに行ってもいい?」
『もちろんだよ。美香ならいつでも歓迎だよ』
「ありがとう…
あ、そうだ。あたしの荷物明日バイト帰りに取りに行くわ」
『荷物持って迎えに行くよ。
…美香やツナくん達を襲った犯人達と、ティティさんの事件は別物なんでしょ?
だから、まだ美香は一人で出歩くのは危ないよ』
「そ…そうだったわね。すっかり忘れてた…
そういえばボンゴレの内部抗争とティティの事件は別物だったんだわ」
『案外ティティさん、それを狙って仕掛けたのかもしれないね。
自分の行動よりもボンゴレの裏切り者の動きの方が目立つし活発だから、自分の動きはその影に隠れやすいって…』
「うん…」
『…ティティさん…今何処にいるんだろうね…』
「うん……」
『……美香はまだ、ティティさんの事友達だと思ってる?』
「私はそう思ってる。これからもそう思い続けたい。
それを…ティティが許してくれるなら。
だってあたしは、彼女から全てを奪ってしまった人だから…
知らなかったとはいえティティの『存在』を、『生』を奪ってしまったんだもの。
あたしに対してどう思うかはティティ次第よ」
『美香……』
「全部終わったと思ったのに。みんな救われてハッピーエンドで終わったと思ったのに。
こんなとんでもない裏の真実を今更持ってくるなんて、この星はほんと意地悪ね…」
『…………』
「ティティ…どうすればあの子は救われるんだろう…
ティティも救われて、今度こそ…みんな幸せになってほしいわ」
『うん…僕も…みんな救われてほしい。
美香と御先祖さんは救われた。
だから今度は…ティティさんの番だよね』
「ティティ、お願い…帰ってきて。
このままお別れなんてあたしはイヤ」
『一人が寂しいなら…一緒に居ればいいのにね。
一人になんてさせないのに…』
「炎真…」
炎真なりにティティを気にしてくれているようだ。
あたしはそれが嬉しくて無意識に微笑み
「ありがとう炎真。
もし…ティティが戻ってきたら、その時は炎真も仲良くしてくれる?」
「もちろん。だってもうティティさんは敵じゃない。
僕も友達になりたいな」
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