アストライア・ノヴァ
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星が…星が、
その星達は炎真が使役していたはずの星。
それが全て落ちてくる。
今から逃げ出せばあの数の星と、この星の衝突の衝撃から逃れられるだろうか?
…いや、無理だ。
「オペレーション XX」
ハッとツナを見る。
ツナは勢いよく真上に飛び上がり、落ちてくる星に向かって行く。
「ツナくん!星は僕に任せて!
今はティティさんの重力の力が強いから縦軸の力は敵わない。でも、横軸なら…!!」
炎真が真上に向かってもう一度手を上げる。
散らばっていた星が徐々に一箇所に集まり始めた。
「ジュリー!近隣への影響を抑える為に砂の結界を!」
「ハァ!?あのXX BURNERの威力をオレだけで抑えるのか!?
無茶言うなってアーデル!!」
「一人だけとは言ってないでしょう!」
チラリとアーデルちゃんが骸くんを見た。
視線に気付いた骸くんがため息をつき
「やれやれ…仕方ありませんね。
僕はどうでも良いのですが、まぁ…一般の者を大勢巻き込むのも沢田綱吉は望まないでしょうし
かと言ってこのまま星の衝突を見守るわけにもいきませんしね。
いきますよクローム、フラン」
「はい!」
「えー」
「フラン!!」
「はっはい…(この女こえー)」
霧と砂が再び周囲にサラリと漂い始める。
骸くんが槍で準備をしながら
「上空への影響は考えなくて良いでしょう。
この近辺の一体を霧と砂で覆い、幻術で通常通りの空を投影し…霧の防御で衝撃と音を防ぎます。
問題は範囲です。何処まで覆えるか…」
「あーそこは心配しなくていいぜ。
地面に砂一粒でもありゃオレちんが霧の力を掴んでみせるからよ」
「クフフ。まったく…あのD・スペードがシモンの力を畏怖した理由が分かった気がしましたよ」
霧と砂が霧散した。あたしが見上げる上空は炎真の力によって束ねられた落ちてくる星達とそれに向かって行くツナという光景と変わらないが
おそらく周辺の人々には何の変哲もないいつもの空と風景が広がっているのだろう。
その証拠に一般人が一人も様子を見に来る気配がない。
しかし…
「かなりの範囲への影響が考えられるせいか結界の完成が遅れてるな。
このままじゃ先に星が落ちちまうぞ」
と、いつの間にかあたしの傍に移動していたリボーンくんが呟いた。
「そんな…あの骸くん達とジュリーくんが手を組んでるのに…」
「星の主導権というより…炎真の言葉から察して重力同士の力比べに炎真が負けた結果、ティティが星を重力の力で操り
この惑星の重力に従わせてるって感じだな。
つまりティティの意識を一瞬だけでも逸らせる事が出来れば時間稼ぎは出来そうだが…」
「ティティ……っあ!」
見れば杖を掲げて空を見上げていたティティに雲雀くんがトンファーを振り上げていた。
ティティが気付き振り下ろされたトンファーをサッと避ける。
「僕を地面に這いつくばらせた罪は重いよ。
君も這いつくばらせてあげるから覚悟しなよ」
「ほんっっとに…!貴方は…!だから私は貴方が苦手よ!
すぐに終わるからそこで待ってて下さい!!」
杖を雲雀くんに向けるとまた雲雀くんが地面に押し潰されるように倒れた。
よく見ればティティの腕にかけられていた手錠が外れている。
分身のティティが外したのだろうか?
雲雀くんはそれでも何とか拘束から抜け出したのだろうが、やっぱり彼でも自分が生きる惑星の重力にはなかなか抗えないのだろう。
だけど、これで一瞬の隙は出来た。
「終わったぜ!」
「今だ沢田綱吉!」
炎真が声を張り上げた。
「ツナくん!撃って!!」
「XX BURNER!!」
「伏せろ美香!」
「っ」
リボーンくんの叫び声にあたしは反射で地面に伏せた。
その直後
ドカアアアアアン!!
まるで鼓膜が破れそうな程の轟音。
空気が震え、地面が揺れる。
周りの木々が今にも折れそうな程ガサガサと枝を激しく揺らして葉音を立てる。
一瞬で視界が真っ白になる程の眩しい光にたまらず目を閉じたけど
瞼の向こう側からも強い光を感じて目が痛い。
見える景色は変わらならかったけど此処だって霧と砂の防御結界が張られてる筈なのに…それでも普段の生活では感じる事がない程の衝撃が伝わってくる。
きっと…何も知らない人達には地震が起きたとしか認識されないだろう…
まさか頭上で落ちてきていた星が破壊されたなんて考えにも至らないはず。
地面にしがみつくように衝撃に耐えて、やがて雨のようにパラパラと砂粒が落ちてくる。
それが落ち着くのを待ってから空を見上げると
上空にはツナだけが浮いていた。
「ツナ…」
「さすが初代!星さえ木っ端微塵にするなんて流石っス!」
「やったなツナ!!」
テンションが高くなる獄寺くんと上空のツナに向かって叫ぶ山本くん。
ツナは緊張とプレッシャーから解き放たれたせいか、少し息を乱れさせながら肩にナッツを乗せてあたし達の所へ戻ってきた。
そんなツナに炎真が笑いかけて
「破片が残ってたら僕が回収するつもりだったけど、塵も残ってないみたい。
さすがだねツナくん。」
「すまない…エンマ」
「謝らないでよ。重力の星なんてすぐにまた創れるから」
安心したようにホッと息をつくツナ。
けれど
「く…」
「うう…」
結界の維持を担当していた骸くん達がその場に倒れたり、膝をついてしまった。
「骸!クローム!フラン!」
「ジュリー!大丈夫!?」
あたしを守るのが重要なのか二人は本来なら駆け付けたいだろうに
あたしの傍から離れずそれぞれに声をかける。
ジュリーくんも息を切らせながらその場に座り込んでいて
「あ…ああ…エンマ。何とかな…
いや〜…それにしてもすげぇ衝撃だったぜ。
緩和するのに精一杯で自分の体力限界まで踏ん張ったから…
ちょっとしばらく休憩させてくれ…」
「う…うん。もちろんだよ。無理しないでジュリー」
「骸とクローム、フランもありがとう。しばらく休んでくれ」
「ありがとう…ボス…」
「ミーはもう動けないですー」
「見くびらないで下さい。僕はまだ…っ」
「無理するな骸」
そう言われ些か不満げに立ちあがろうとしていた体を落ち着かせる骸くん。
「美香、大丈夫か?」
「うん…あたしは全然平気」
あたしはツナに差し出された手を掴み立ち上がった。
「ナッツも…ありがとう」
「ガオ♪」
ツナの肩にいるナッツの頭を撫でてあげるとナッツは嬉しそうに鳴いた。
「あ…あり得ない」
そんなあたし達に目もくれず、長い髪を風に揺らし、杖から下げられた旗をはためかせ
空を呆然と見つめていたティティが声を絞り出すようにそう呟いた。
「いくらこの惑星の生命育成装置である石を持っているとはいえ所詮はただの人。
石の力を全て引き出す事なんて出来ない。
破片だけ私がなんとかすれば。そう思ってたのに…
そんな、こんな…
そんなティティにひとつの影が飛んで近付いた。
呆然としていた彼女はその影に反応するのが一瞬遅れ、杖を振って影に向かって殴りかかろうとする。
杖が影に勢いよく当たる寸前
「っ!?」
彼女はそれを既でのところでビタッと止める。
「ミードーリータナービクー ナーミーモーリーノー」
彼女に向かって飛んでいたのは、何処からか姿を現したヒバードだった。
「と…鳥?」
ティティはヒバードを見て動揺してはいるが、その手を動かそうとはしない。
無力で小さな小鳥を、決して殴ろうとはしない。
「どうして…あ…危な…」
ガチャン!
ティティが言葉を続けヒバードに手を伸ばそうとしたその腕に手錠がかけられた。
ヒバードに気を取られて気づかなかった。
いつの間にか雲雀くんがティティのすぐ近くまで来ていて、手錠をティティの腕にかけたのだ。
「確保」
と、淡々と呟く雲雀くん。
ヒバードは何事も無かったかのようにパタパタとティティと雲雀くんの間を一周飛んでから、ちょこんと彼の頭に乗った。
「雲雀恭弥…!
もうっほんとしつこい!しつこい男は苦手なのよ!!」
「別に君が僕をどう思っているかなんて関係ないよ」
「そういう自分中心的な所も無理!!」
そんなやり取りをしているのを見つめていたあたし達。
けれどあたしは目の端で、炎真がこっそり重力の星をまた創り出しているのを見た。
「いくら私を縛っても無駄です雲雀恭弥」
ティティの敵意のこもった声にハッとし、視線をしっかりと二人に向ける。
「貴方達はこの惑星に生きる存在。
惑星の守護を使命に持つ守護者の私に、決して触れる事は出来ない!」
杖を振り上げその末端をカッ!と地面に押し付ける。
彼女の言葉とその行動にあたしは瞬時に、また彼女の重力による攻撃が繰り出されたのだと察する。
体に襲い来るであろう重みに目をぎゅっと閉じて備えると…
「…………え?」
いつまで経っても、その重みはやってこない。
あたしはおそるおそる目を開けて辺りをキョロキョロと見まわした。
どうやらツナ達も特に問題なく立てているようだ。
しかしツナ達も重力が来ると予想していたらしく、それが外れた事に困惑している。
それは何故かティティもだった。
「な…どうして…!」
カンッカンッと杖の末端を何度も地面に押し付ける。
「無駄だよ」
そう言ってあたし達を驚かせたのは後ろにいた炎真だった。
「星の重力ならティティさんには勝てない。
それはさっき痛い程思い知った。
なら、星以上の重力で惑星の重力を相殺すればいい。
僕なら…それは可能だから!」
炎真が手を頭上に掲げている。
その手の先を辿るように見上げると、上空に黒い空間が幾つも浮かんでいた!
炎真は続ける。
「星が利用されるなら、それを潰せばいい。
ブラックホール…惑星を守護する貴女には司れない、惑星を滅ぼす力!」
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