アストライア・ノヴァ
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「やっぱり狙われだしたか」
家に帰りつき、ツナの話を聞いたリボーンくんがそう呟いた。
それを聞き逃さなかったツナが詰め寄るように
「『やっぱり』ってどういう意味だよ。
何か知ってるのかリボーン!」
「簡単なことだぞ。
お前はネオ・ボンゴレⅠ世を目指すことになったんだ」
「目指さないよ!」
「それはつまり今あるボンゴレを一度解体し
新しいボンゴレを作り直すってことだぞ」
「はぁ!?」
「知っての通りボンゴレはマフィアの中で歴史ある由緒正しい格式高いファミリーだ」
「マフィアで由緒正しいも格式高いもあるかよ!」
「今のボンゴレだから支援しているファミリー。
そして同盟に入ってるファミリーもあるだろう。
それが壊されようとしているんだ。当然反対するファミリーもいるはずだぞ」
「えっ…」
細かくつっこみを入れていたツナが押し黙った。
「その上強大なボンゴレが壊されるとなると、派閥争いのきっかけにもなる。
ボンゴレという強力な後ろ盾を失った弱小の同盟ファミリーからまず狙われるだろうな」
「………」
「それを避ける為に、まず壊そうとしている元凶であるお前を殺そうと考えるのは当然のことだぞ」
「オ…オレは別にそんなつもりじゃ…
つか、勝手に決めて勝手に話を纏めてきたのはリボーンだろ!?」
「だってお前、未来で『ボンゴレをぶっ壊してやる』って言ってたじゃねーか」
「言ったけどこうなるとは思わないだろ!」
「なっちまったんだから仕方ねーだろ」
「そ…そんなぁ!
じゃあオレ…これからずっと狙われ続けるのか…!?」
「だろーな」
「冗談じゃないよ!なんとかしろよ!
そもそもオレはマフィアになんかならないって散々言ってるだろ!!」
「ネオ・ボンゴレはマフィアじゃねーぞ」
「え…?」
「お前が目指すのは原点回帰、自警団のボスだ。
無闇な殺しもしねぇし戦いもしねぇ。
けれど大切な人達を守るためなら戦う。
そんな、プリーモが本来の意味で立ち上げた組織に戻るだけだ」
「…けど、前にネオ・ボンゴレⅠ世とボンゴレ10代目は内容は同じって言ってたじゃんか」
「教育内容が同じってだけだ。
マフィアのボスにしろ自警団のボスにしろ
強くねーと成り立たないからな」
「…………」
「今まで以上にビシバシ鍛えるから覚悟しろよ。
何せあの家光も『仕事が無くなるから勘弁してくれ。まだ家のローンが残ってるんだ』とお前と戦う気でいるからな」
と、リボーンくんがニッと笑った。
それを聞いたツナは一気に顔を青ざめさせ
「は…!?父さんが!?」
「当たり前だろ?
緊急時のみとはいえあいつは実質ボンゴレのNo.2だからな」
「はぁああああ!?!?」
その時、階下から奈々さんが「ツっくーん。美香ちゃーん。ご飯出来たわよー」とほのぼのとした声で呼び掛けてきた。
それを好機とツナはぐるりと体を方向転換し
「あー!あー!オレは何も聞かなかった!オレは何も知らない!!」
逃げるように部屋を出て、バタバタと階段を降りていった。
「…家光さんが正式な敵になっちゃうのね」
そんなツナをあたしは見送ったあとポツリとぼやくが、リボーンくんが
「心配すんな。そう言ってるだけだ」
「え?」
「ボンゴレの存続が関わる決定にいくら9代目でも独断は出来ねぇ。
だが既に9代目からの許可は貰ってる。
つまりそれは家光も内容を知っていて、更に許可してるって事だ」
「!……」
「家光はボンゴレを壊す最後の壁としてわざと立ち塞がるだけだ。
自分に辿り着く頃にはどれだけツナが成長してるか楽しみにしてたぞ」
「……そっか。意外と不器用なのね、家光さん」
「そーだな」
そしてあたしとリボーンくんもご飯を食べに階下に降りる事にする。
食事中ツナはリボーンくんに必死に目を合わさないようにしていて、なんだかその光景が可笑しかった。
食事も終わり、お風呂も終わり
お互いに受験生であるあたしとツナは勉強をしていた。
と言っても、夜一時間だけの勉強はリボーンくんがツナにだけ定めたものであたしは関係ないのだが
ついでだからと付き合う形であたしも一緒に勉強していた。
そしてあたしの方で一区切りがつくと、ふと思い
「Ⅰ世はどんな気持ちなのかしら。
せっかく自分が作ったボンゴレが壊されて、新しく作り替えられるって…
自警団と掛け離れたマフィアになってしまったとはいえ、歴史だってあるでしょうに」
あたしのぼやきにツナは手を止めてキョトンとしていた。
そしてフッと笑うと
「Ⅰ世は…寧ろ壊してほしいと思ってるよ」
「え?」
「未来に行った時オレ初めてⅠ世に会ったんだ。
その時に『栄えるも滅びるも好きにせよ』って言ってたんだけど、その時はまだⅠ世がどう思ってるかは分からなくて。
その後エンマ達との戦いの中でⅠ世って人を僅かでも知って…
9代目が言ってたんだ。Ⅰ世はきっと今のボンゴレを壊してほしいって思ってるって」
「………」
「正直、オレもそう思う。
あのⅠ世が…ボンゴレがマフィアとしての組織になるなんて願ってなかったと思う。
でも、なってしまった上に長く続いてしまった。
きっと今のボンゴレを壊してくれる誰かをずっと待ってる気がするんだ」
「ツナ…」
「だからオレは大丈夫だと思う。
…あ、美香の御先祖さんはどう思うか分からないけど…
Ⅰ世のボンゴレ大切にしてたみたいだし」
「Ⅰ世がその考えなら、おばあちゃんもきっと同じ考えね。
『今のボンゴレはボンゴレじゃないです!』って言いそう」
「はははっ分かる。言いそう」
あたし達の会話をエスプレッソを飲みながら聞いていたリボーンくんが
「だったら尚更二人の先祖の意志を継いで今のボンゴレをぶっ壊さないとな」
「なんでそうなるんだよ!!」
どんな時もつっこみは忘れないツナ。
「でも、マフィアのボスはツナらしくないけど
自警団のボスならツナらしいわ」
「えっ…そう、かな」
「うん。なんかイメージがつくわ」
「ええ…どんなイメージだよ…」
「本当にツナならボンゴレを壊せそうな気がする。
そしてⅠ世とおばあちゃん達が愛した真のボンゴレにしてくれる。
そんな気がするわ」
「………」
ツナにつっこまれるかと思ったけど、意外にも彼は押し黙った。
言葉を失ったとかそういう様子ではなく
何かを深く考えるような…そんな様子だった。
彼はまだ進路に迷っている。
進学だけの問題ではなく、自分が進むべき進路が見えないようだ。
けれど自分が見た未来の並盛と、自分のファミリー達の様子が僅かに心に引っかかるようで…
この日からツナはネオ・ボンゴレをむやみやたらに否定し、拒否するような事は若干だがしなくなった。
でも、そんなツナの僅かな心境の変化にあたしが気付けたのはもう少し先の話。
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