アストライア・ノヴァ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ユースティティアはイタリアで生まれた普通の女の子だった。
裕福でも、特別貧しくもない平凡な普通の家庭の女の子。
その頃はユースティティアという名前でもなかった。
彼女の今の名前は「元の名前は辛いから」と嘆く彼女に私が付けてあげた名前だから。
ティティアは両親との仲も良かった。
平凡な日常が彼女と両親の幸せだった。
だが、それがある日突然壊れる事になる。
この星のミスが発生し、本来ティティアが存在していた場所に美香ちゃんの先祖が配置されてしまった。
ティティアはその瞬間から誰からも認識されない人間になってしまった。
認識されない。というより、誰の記憶からも彼女の存在は消えてしまっていた。
それは両親でも例外ではなくどんなに彼女が声を上げても、説明しても、両親からは自分が我が子だと認められなかった。
事情を知らないティティアは訳がわからなかった。
一体何が起きたのか全く理解が出来なかった。
その時点で私が彼女に接触し助けてあげれば良かったのだが
いかんせん彼女は美香ちゃんの先祖と違ってこの世界の人間。
異星の者なら侵入者として察知し、即観測する事は可能だが
この世界の人間の異変を察知する力は私には備わっていなかった。
それほど星のミスというものは異常事態だった。
もちろんこの世界の誰かに異変があるはずだと考え、その者を探す努力はした。
しかしそれは広大な砂漠の中から異質を感じる一粒の砂を探し回るようなもの。
探し出すのに年月がかかってしまい、とうとう未来で美香ちゃんが先にその存在を確立させてしまった。
その結果美香ちゃんの先祖が元の世界に帰ったことで
ティティアは再び人々から存在を認識されるはずだった出来事が無かったことにされてしまい
代わりに美香ちゃんの先祖が存在していた過去があったものとして星に書き換えられ
ティティアは永遠に『存在しているのに存在していない者』という立場を強いられる事になってしまった。
そこで初めてティティアは異質な存在に変わり、私が認識出来るようになったんだ。
本当は先にティティアの問題を解決してから美香ちゃんの問題を解決すべきだった。
しかし、星ももう限界が近かったんだ。
あのまま放置していれば星は星の時間をミスする以前に巻き戻してしまっていただろう。
その前兆は君達でも確認が出来ただろう?
小さな物でも何かが巻き戻っていなかったかい?
だから美香ちゃんの問題の解決を急ぐ必要があったんだ。
星がその先の未来を生き続けられるのか確信がないまま、時間を巻き戻す前に…
ティティアは意外にもその運命を受け入れた。
私から話を聞いたばかりの頃はさすがに混乱し、受け入れ難い様子で泣き喚いていた。
しばらく私の付き添いの元彼女は一人で色々な事を考えていたようだが
その結果、ティティアは自分の運命を受け入れて生きていく決心をした。
幸い異質な存在とはなってしまったけれど、異物という判定にはならなかったのか星の修正システムは発動しなかった。
まぁ…彼女は元々この世界の人間だからね。
この世界の人間であるならば少々変わっていようと星にとっては大した問題ではないのかもしれない。
ほら、星って結構仕事雑だし。
異質な存在である事を受け入れ、これまでの人生と繋がりを諦め
それでも彼女は生き続ける事を望んだ。
だから私はそんな彼女の意思を尊重したくて、居場所を作ってあげたくて提案したんだ「私の弟子にならないか?」と…
星を守る者…彼が語るティティの真実にあたしも含めたその場の誰もが絶句した。
「ティティが…そんな…っ
嘘っ嘘よ…!あたしのせいで…!」
「美香…」
頭を抱え今更ながら過去の自分の選択を、そして願いを後悔する。
それをツナが心配そうにあたしの名前を呟いた。
「どうして教えてくれなかったんですか!?そんな存在の子がいるだなんて!
教えてくれたら…あたしは…!あたしは…!!」
「この星に留まる事を諦めてくれたのかい?本当に」
「っ」
公園のベンチで腕を組んでのんびり座る星を守る者はそう言ってあたしを見た。
「命を賭けてでもこの星で生きたい。そう願ったじゃないか。
ティティアの事を打ち明けてもきみが帰る道を選ぶとは私は到底考えられなかったよ」
「………確かに…最初こそこの星から出ていく事も考えたかもしれません。
そして結果的にその選択を選ばなかったかもしれない。
それでも…ティティの事を知った状態で悩みたかった…!
先に話してほしかったです!!」
「そうか。それは…悪い事をしたね。すまなかった」
「あの…I世はティティさんの事は知ってたんですか?
知った上で秘宝を遺したんですか?」
混乱と後悔で泣きじゃくるあたしの肩をツナが支えてくれながらそう彼に問う。
彼は「うーん」と少し悩んでから
「おそらく知らなかったと思うよ。
私も美香ちゃんの先祖が帰ったからティティアも元の存在に戻るから心配ないと思っていた。
けれど未来で美香ちゃんの願いが叶い、過去の出来事が改変されてしまった。
…綱吉くん。君は未来に行って、未来を変える事が出来たよね?」
「え?は…はい…」
「じゃあ過去は変えられると思うかい?」
「え…それ、は…」
「実はね、未来は不確定なものだから頑張れば変える事が出来るんだ。
けれど過去は確定してしまったものだから星の力無くして勝手に変える事が出来ないんだ。
過去を変えてしまったら、何がきっかけで君や君の友達の存在が無くなってしまうか分からない。
未来を生きる人々にどんな影響が出るか分からない。
だから…確定してしまっている過去の出来事を弄れるのは概念から変える事が出来る星だけなんだよ。
…そういう訳だから、美香ちゃんの先祖の出来事があったものとして確定してしまった以上
例えジョットくんにティティアの事を話しても、悩みはするだろうが秘宝が作られるのは確定してしまっている。
どうする事も出来ないんだよ」
「じゃあティティさんは一体何の為に美香の命を狙ってるんですか?
美香を殺して…星に願った『願い』をなかったものにする為ですか?」
「いいや。その願いは星が認めた願いだ。
ティティアがどんなに抗おうとその願いを覆す事は出来ない。
概念の干渉なんて私でさえ不可能なんだ。
多少特殊なぐらいのティティアじゃどうする事も出来ないよ。
かと言って美香ちゃんを殺した所で美香ちゃんの立場と存在を奪えるわけじゃない。
…単純に復讐がしたいんじゃないかな。
自分の存在と立場を奪った美香ちゃんに…」
「だが、おかしいぞ。
ティティは悩み苦しみはしたが最終的に自分の運命を受け入れるという形で納得したはずだ。
それがなんで急に復讐に走ることになったんだ」
山本くんの肩に座るリボーンくんが言う。
「ずっと押し殺していた寂しい思いが爆発する出来事が起きたんだ。
これは過去が改変されて確定された過去の出来事。
私の弟子としての修行を終え、一人星を守護する者の使命を背負って旅をしていたティティアは一人の人間と出会う。
…しかし、その者は時代の戦争に巻き込まれ死んでしまうんだ。
愛し合う関係となっていた、ティティアを残して…」
・NEXT