アストライア・ノヴァ
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「貴女はもう十分すぎる程満たされているのに…!
これ以上更に求めるのですか!」
「違うわティティ。
あたしを満たしてくれた人達だから手放したくないのよ!
ツナやみんながいなかったら、あたしはとっくに孤独に死んでたわ!
それを助けてくれた人達だから…支えてくれた大切な友達だからっ
あたしは手放したくないしみんなの力になりたいの!
ティティ!貴女だってあたしの大切な」
「私は一度だって貴女を友達だと思った事はありません。
思えるはずがないでしょう?自分の存在を否定した相手に…
良いでしょう。ならば私も否定させてもらいます。
美香!貴女を殺して自分の居場所を取り戻す!
貴女が今生きているその『存在』は元々私のものよ!!」
「ティティ…!」
あたしに向けられたティティの目は完全に恨みが込められた憎悪の視線だった。
「どうやら話し合いは無理みてーだな」
リボーンくんの言葉に獄寺くんがVGを発動させ
「だったらやる事はひとつですよ!」
「力尽く…だね。でも…」
チラリと炎真が隣に佇むツナを見る。
彼はハイパーモードの状態のままティティを見つめ立ち尽くしていた。
眉間に皺を寄せ、やりきれないような表情で唇を噛んでいる。
「ティティさん…本当にもう方法が無いんですか…?
ティティさんは美香の友達で、オレとも友達だと思ってます。
そんな人をオレは殴れない…!」
「ええ。殴る必要なんてありません」
ティティが持っていた星の杖の末端でトンッと地面を突いた。
途端に公園にいるその場の全員が地面に倒れた。
まるで上から容赦なく体を地面に押し潰されるような感覚。
でも、地面に吸引されているようにも感じる。
なんだろう…ずっと以前に感じた事があるような…
「な…!これは…!」
炎真が戸惑いの声を上げる。
「大地の重力…!?」
と、ツナも炎真と同じく戸惑いながら呟いた。
「大地の重力って…炎真の力じゃ…」
あたしはそう聞きながら体を起こそうとするけど全く動けない。
指の先すら、まるで地面に接着剤でくっ付けられているようにピクリとも動かなかった。
体と一緒に肺も押し潰されているみたいで…うまく呼吸が出来ず息が苦しい…!
「そうだよ美香…!
でも、どうして…!僕以外に大地の力を使える人なんて見た事がない…!
シモンリングを持ってるわけでも、シモンファミリーでもないのに…っ」
「ぐ…っVGを装着してるのに…!」
ツナも炎真もあたしのように起き上がれない様子だった。
公園の入り口にいた他のみんなも…あの雲雀くんすらも起き上がれないでいる。
ティティ一人だけ涼しい顔で立っており、やがて歩きだした。
「私が用があるのは美香だけです。
他の方々に用はありません」
地面に押しつ潰されたツナと炎真の横を通り過ぎ
その先で地面に押し潰されているあたしの前にティティは立ち止まった。
頭すら動かせないあたしは視線だけでも上げて彼女を見る。
「ティティ…」
あたしを見下ろすティティの目は変わらず冷たかった。
「お願い…ティティ…」
ティティは持っていた杖を両手で握り、杖の末端を突き刺せるように振り上げる。
「やめろ!やめてくれ!」
「ティティさん!お願いだ!」
炎真とツナが叫ぶけれど彼女の表情はもちろん、行動が変わる事はない。
「お願いティティ…殺さないで…」
「ーーさようなら 美香」
「ティティ…!」
走馬灯のように楽しかったティティとの日々、そして…あんなに優しくて頼り甲斐のあったティティの優しい笑顔が思い浮かぶ。
あのティティは一体誰だったの?
あの優しくて頼もしい…あたしの親友のティティはなんだったの?
ティティ……ティティ…!
「いやぁ!死にたくない!!」
泣きながら懇願するあたしにティティの杖の先が容赦なく振り下ろされる。
それを確かに目で捉え、あたしは成すすべなく…ただただ絶望した。
「そうはさせない」
その時、その言葉と共にあたしの目の前に立っていたティティの体が吹き飛んだ。
「あう!」
ダァン!と聞いただけで痛そうな大きな音を立てて近くの遊具に体を叩き付けられるティティ。
途端に体が軽くなる感じがして、あたしは慌てて体を起こした。
見ればツナも炎真も…他のみんなもあたし同様今起き上がれたようだ。
じゃあ…誰がティティを?
「まったく…随分と手間をかけさせてくれたね。
おかげですっかり遅くなってしまった。
まぁ、ギリギリ間に合ったようだけど」
ジャリ、と土を踏む音。
ツナ達の中の誰かの声では無いけれど、聞いたことのある男性の声。
その声の主は丸眼鏡を指でクイッと上げるとレンズの反射が無くなって目がはっきりと見えるようになる。
「星を…守る者」
「チェッカーフェイス!」
そう。あの和装に丸眼鏡をかけた…かつてあたしに『星を守る者』と名乗り
ツナ達に虹の代理戦争の主催者として『チェッカーフェイス』と名乗った男性だった。
「な…何故ここに…!」
「やぁ久しぶりだね綱吉くん。そして美香ちゃん。
私はもうあのお面は捨てたんだ。
これからは川平のおじさんと呼んでくれ」
「え…は、はぁ…」
「事情を詳しく話したいところだけど、まずはあの子の相手をさせておくれ。
私の不始末だ。私が回収させてもらうよ」
「っ…あともう少しだったのに…!」
ティティが苦しそうに咳き込みながらフラフラと立ち上がる。
そして星を守る者を睨みつけると
「今更何しに来たんですか…!
ずっと私の事放っておいて…!」
「久しぶりだなユースティティア。
それは君が一人前になったから私は必要ないと判断したからだよ」
「だったらどうして邪魔をするのです!」
「間違った判断をしているから止めた。それだけだ。
…ティティア。君も本当は分かっているのだろう?
美香ちゃんを殺したところで、君の居場所は取り戻せない」
「っ…!」
「どうしていきなり…君は一度は自分の運命を受け入れたはずだ。
それなのに何故こんな事をしだしたんだ。
ましてや美香ちゃんは星に存在を認めてもらった存在。
人の命を犠牲にして星を守る方法は私の代で終わったんだ。
一度だって私は命を奪うやり方を教えた事ないはずだよ。
…答えるんだティティア。何故いきなり居場所を求めるようになったんだ」
「寂しいからに決まってるじゃない!!」
「ティティア…」
「師匠である貴方ですら私の気持ちを理解してくれなかった!
唯一分かってくれた人はあの人だけ…!
でも…でもっ私は……!」
やけくそのように叫んでからティティが泣き始めた。
杖を握る手がぶるぶると震え、歯を食いしばって今にも爆発しそうな感情を必死に抑えているよう。
とめどなく涙を流しながらも自分を奮い立たせるその姿は痛々しく感じた。
「邪魔はさせない!絶対に美香を殺してみせる!」
そう呪いのように吐き捨ててティティの姿がサラリと霧散した。
「霧に…大地の力…?!」
「そう。ティティアはふたつの属性を持っているんだ綱吉くん。
霧…そして大地。
彼女の力は強力だよ。なにせこの私の…『星を守る者』の後継者として育てたからね」
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