アストライア・ノヴァ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
リボーン達は走ってツナの後を追っていた。
そんな中山本が走りながら
「でもよ。美香さんってマインドコントロール?ってやつが効かないんじゃなかったのか?」
「確かに骸のマインドコントロールもDのマインドコントロールも美香には効かなかった」
と、山本の肩に乗ったリボーンが言う。
そこに骸が
「彼女はマインドコントロールが効かないわけではありませんよ。
彼女にマインドコントロールが出来なかったのは、彼女の中にいたもう一人の魂が弾いていたからです」
「なるほどな…」
「えーっと…もう一人の魂っつーと…御先祖さんのことか?」
「そうだぞ。
美香の中に宿っていた美香の御先祖。
彼女がいたから美香はマインドコントロールから身を守る事が出来ていたんだ」
「だがその守護霊はもう居ない。
おまけに御守りの役目も果たしていたであろうボンゴレI世と初代シモンの炎が宿る指輪も無い。
もう彼女はただの普通の少女と考えて良いでしょう。
それはつまり、いつでもまた僕が彼女を捕らえて人質にし
沢田綱吉にその身を譲るよう要求出来るわけです」
「テメー骸!まだそんな事言ってんのか!」
先頭を走っていた獄寺が走り続けながらも顔だけ振り返り骸を睨んだ。
「クフフ。『まだ』も何も僕は一度も彼の体を乗っ取ることを諦めた事はありませんよ」
「やっぱりテメーは仲間じゃねぇ!」
「まーまー落ち着けって獄寺。
ツナなら美香さんを取り返しつつ、また撃退する方法を思い付くって!」
「そんな事とっくに分かってんだよ!」
「何にせよ彼女は一度僕と契約したにも関わらず特殊な立場と体だったせいか、守護霊が居なくなっても体を乗っ取ることが出来ません。
沢田綱吉の最大の弱点且つ、彼への奥の手として利用出来る大切な女性です。
僕のクロームをいじめたお返しもあります。
彼女をぽっと出の人物に奪われるわけにはいきません」
「男の体を狙い続けるなんて変態ですねししょー」
「黙りなさいフラン」
横を走る自分の弟子の頭に自分の槍をグサッと刺す。
しかしその槍はフランの頭に被られたリンゴを突き刺しただけだった。
あたしは並盛民宿に帰り着いたのだが、すぐケータイにティティからのメールが届いた。
『ちょっと急ぎで会いたい』
いつもなら世間話のひとつでも添えてメールを送ってくる子が
余程急ぎの用があるのか珍しく要件だけの内容だった。
何かあったのかもしれない。
そう心配したあたしはすぐ会いに行く旨を伝えると、またすぐ返事が返って来て場所を指定してきた。
『公園で待ってて』
公園…あたしが知ってる公園は秋元くんと一緒に話しをする為に立ち寄る所しか知らない。
「お帰り美香。玄関で立ち尽くしてどうしたの?」
茶の間から炎真が顔を覗かせた。
あたしは荷物をその場に置くとケータイだけ持って
「ごめんっまたちょっと行って来るわ!」
「えっ…美香!?」
なんだかティティの様子がおかしい気がして、胸騒ぎがして…
早く彼女に会って無事である事を確認したくてあたしは民宿を飛び出し走った。
民宿と公園までの距離はさほど遠くない。
なのであたしはすぐに辿り着く事が出来た。
ハァハァと息を切らしながら辺りを確認するが、まだティティは到着していないようだ。
待っている間に乱れた息を整え…そうしている内に
「美香」
後ろからティティの声が聞こえ、振り返る。
振り返って見た彼女の表情はいつもと変わらない笑顔だった。
「ティティ…?」
「ごめんねぇ待った?」
「ぁ…ううん、平気。
それよりどうしたの?なんだからしくないメールだったから
なにかあったのかと思って急いで来たのに」
「そんなにらしくなかった?
たまには簡潔にっていうのも良いかなぁって思っただけなんだけど…
まぁいいや。美香に聞きたい事があってさ〜」
「ん?なに?」
いつものようにニコニコと笑っているティティ。
彼女はあたしに近付くと顔を覗き込み目を合わせてくる。
「秋元くんに告白した?」
「…え?」
「告白したの?」
「なに…急に…」
「やっぱまだかぁ〜
美香って恋愛はとことん奥手だよねぇ
告白しちゃいなよぉ!」
「な…ええ!?なんなのよっもう!」
「私ね〜秋元くんも満更じゃないと思うんだぁ」
「ええ…?」
なんだか…頭がぼうっとする…
「今からでも遅くないよ。告白しに行こう?」
「でも…」
何故だろう?思考しようとする気力すらも湧かない。
「きっと成功する。そしたら、貴女も幸せになれる」
「………」
「貴女の居場所は無くならない」
「………」
「私のようにはならない。
これは、私なりの貴女への配慮よ」
「………」
「でも、貴女が今までいた居場所は諦めて。
沢田綱吉は諦めて。
古里炎真も諦めて。
ボンゴレもシモンも、遥か過去から関わってきた全てのものを諦めて」
「………」
「これから貴女が作り出すものは、許してあげる。
だから…ほら。告白しに行こう?美香」
「……うん…今から…行って…」
「美香から離れろ!!」
誰かの声がしてティティとあたしの体が引き離される。
そこでぼうっとしていた頭がハッと覚醒して、あたしとティティの間に割り込むように入ってきた人物を見る。
「炎真…?」
「大丈夫!?美香!」
「どうして…ここに…」
「イヤな予感がして…!
美香が飛び出した後僕も追いかけたんだ。
相変わらず足が速いよね美香って。
見つかって本当に良かったよ…!」
「イヤな予感って…あたし、別に誰かに狙われてるとかじゃないわ。
友達のティティに呼び出されただけで…」
「…本当に友達なの?」
「え?」
「僕の目の前にいるあの人は、とても友達に向ける目じゃないよ?」
炎真の背で隠れてしまっている為ティティの様子が見えない。
あたしは少し頭を傾けて彼女の顔を見ると、そこには驚く程冷たい視線をあたしと炎真に向けていた。
いつも底無しの笑顔を浮かべる彼女があんな顔をするだなんて…
「ティティ…?」
「エンマ!美香!」
そこへ驚くことに空から声が聞こえた。
見上げると昨日民宿に遊びに来ていた炎真の友達の綱吉くんだ。
でも、炎真のように額に炎がある。
彼は空から地面に降り立つとすぐにあたし達の元に駆け寄り
「ツナくん!」
「エンマが美香を守ってくれてたんだな!ありがとう!」
そう言って今度はあたしを見る。
オレンジ色に光る鋭い目は、何故だか既視感があった。
彼はしばらくあたしを眺めてから近付くと
「首に掛けてる指輪を見せてもらえないか?」
「え…?」
「首に下げてるよな?大事な指輪を…」
「どうして知って…」
「見せてくれっ」
「う…うん」
手を首の後ろに回しチェーンの留め具を外すと胸元にある指輪を引きずり出す。
チェーンにはふたつの指輪がかけられている。
ひとつはおばあちゃんの形見の山桜の指輪。
そしてもうひとつが、ティティがくれたお守りの指輪。
「っこれだ!」
綱吉くんが指輪をひったくるように取り上げた。
「えっちょっと!?なにすんのよ!返して!!」
それを慌てて取り返そうと手を伸ばすが
「待って美香!ツナくんの好きなようにさせて!」
と、炎真が駆け付けあたしの両肩を押さえた。
「でもっあの指輪は…!」
「大丈夫。ツナくんなら悪いようには絶対しないから」
「……………」
優しく微笑む炎真にあたしは信じてみることにして体を落ち着かせた。
綱吉くんはチェーンから指輪を引き抜く。
その指輪は山桜の指輪ではなく、ティティがくれたお守りの指輪。
彼はその指輪を炎が灯った手で握りしめた。
すると彼の手からパキィ!と何かが割れるような音が聞こえ
次に手を開くと指輪はまるで炭のようにボロボロと崩れ落ちていった。
あたしはギョッとする。
指輪を壊されたのだ。
しかも、ティティが大切にしている指輪。
それを…っそれを…!
「ティティの指輪になにしてんのよ!ツナ!!」
・NEXT