アストライア・ノヴァ
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綱吉は意を決したように強い視線を雲雀に向ける。
だが、それが返事では無いことを雲雀は察した。
「この人です」
そう言って綱吉が腕を引っ張って雲雀の前に立たせたのは
秋元の後ろ、山本と並んで立っていたティティだった。
『え…?』
それに酷く驚いたのは獄寺と山本だった。
ティティは困惑した様子で
「え?なに、なに?」
「あの…初代?疑っていたのはこの軟弱野郎では」
「秋元先輩じゃないよ獄寺くん。
だから、先輩は離してあげて」
「………」
綱吉に言われてしまっては逆らう事もできず獄寺は素直に秋元の腕を離す。
「秋元先輩、変な事に巻き込んでしまってすみません。
オレの勘違いで引き留めてしまって…」
「え?ううん…別に大丈夫だけど…」
「な!?初代のせいじゃありません!オレが…」
「大丈夫だよ獄寺くん。事前に言っておかなかったオレも悪いんだし」
「えっと…それで、僕に用事は特にないってことかな?」
「はい。本当にすみません」
「分かった。なら僕は帰るね。
急だったから驚いたけど…でも、何か用事があったらいつでも言ってね。
それじゃあね綱吉くん」
そう言って秋元は綱吉に微笑んで手を振りその場から去って行った。
帰宅する並高の生徒は秋元が最後だったようだ。
秋元の姿が消えると並高の校門前は綱吉達だけになる。
雲雀の前にティティを立たせ、その後ろに綱吉と獄寺、そして山本が立つ。
ティティは依然困惑した様子で
「えーっとごめん。どういう状況?」
「ティティさん…オレ、分かったんだ。
『春の流星群』と聞いた時からずっと感じていた違和感」
「うん?急に何の話し?弟くん」
綱吉は構わず話しを続ける。
「それは流星群以降に感じた違和感をずっと忘れていた事。なんだって…
ティティさん、貴女は流星群があった数日後に美香から『高校で出来た友達』だと紹介されました。
実は初めて会った時から、オレは貴女に違和感を感じていました。
普通の人じゃないと…直感ですが思いました。
でも確かにそう感じたのにオレはそれを忘れていました。
いつものオレのうっかりじゃなくて、違和感そのものを消されたように」
「ええっと…ごめん。何の事かサッパリ…
確かに弟くんとは流星群以降に会ったのは覚えてるけど…」
綱吉は今度は視線をティティではなく呆然としている獄寺と山本に向けると
「オレとリボーンは美香から正式に紹介してもらったからティティさんの事は知っている。
でも、獄寺くんと山本って一体いつティティさんと知り合ったの?」
それを聞いて獄寺と山本はハッとした。
「あれ…?そういえば…」
「オレ達…いつこいつと知り合ったんだ…?」
「オレの記憶違いじゃなければ
獄寺くんと山本が初めてティティさんと知り合ったのは
無人の神社で他のマフィアと戦って、敵が偶然居合わせたティティさんを美香と勘違いして狙いだした。
あの日だと思ってるよ」
『!?』
綱吉は更にティティに畳み掛ける。
「それにティティさん…思えば一度も家まで送らせてくれた事ないですよね?
いつも途中までで…家を見たことがないです。
一体どこに住んでるんですか?」
「ちょ…弟くん?私はずっとこの町に住んでるよ…?」
雲雀は言った。
「君、だれ?並盛にも並高にも君のような女子は見た事がないよ」
ティティに向けられた全員の視線が疑いの目に変わる。
それを見て戸惑い続けていたティティはオロオロと周りを見回し
「…あっちゃ〜
なーんかコソコソ動きが怪しいから様子見しとくかーって雲隠れする時期ズラしたのに。
ほんっとタイミング悪いなぁ私って」
笑みを浮かべてそう呟いた。
やれやれ。と言いたそうに腰に手を置いてため息をつき
「やっぱ雲雀くんに見つかったのがまずかったなぁ。
だけどクロームちゃんに痕跡残しちゃったし、時間の問題だったか。
でもまぁ、後は仕上げだけだし…十分間に合うよね」
雲雀が即行動に移した。
目の前にいる少女を取り押さえようとしたが
少女はその動きを予想出来ていたようで、その場で跳び上がると雲雀の頭に手をついてヒラリと回転し
あっという間に雲雀の背後に降り立った。
そして振り返り綱吉達を見る少女の表情は今まで見てきた明るい人物とは別人を疑う程冷たいもの。
「安心して。私は
ニコリと笑うのに微塵も友好さは感じない。
「ティティさん!どうして…!」
「さようなら」
「逃すと思ってるのかい?」
雲雀がもう一度その身を確保しようと雲の手錠を取り出し鎖を伸ばして彼女の手に掛ける。
しかし少女の姿はパッと霧散して消え、掛けられたはずの手錠は地面に落ちた。
少女の姿はもう何処にもなかった。
「あの女が…!」
「ダメだ…!一体何が起こってるのかサッパリわかんねぇ!
詳しく説明してくれツナ!」
「っ…ティティさんは…」
「ボス!」
その時、後ろからクロームの声が聞こえて振り返った。
そこにはクロームの他にも骸とフランもおり、綱吉は更に驚く。
「クロームに…骸とフラン!?」
「早く追いかけて!大切な人が…美香さんが危ないの!」
「え…?」
「美香さん…マインドコントロールされてる!
美香さんの胸元に霧の力を感じたの!
私それを美香さんに伝えそびれたから、ボスに伝えたかったのに…」
「クフフ。クロームにもイタズラをされていたようでしてね。
効果は一時的ですが、その代わり並大抵の術士では解除出来ない強力な封印をクロームの記憶にされていました。
そのおかげで敵は正体がバレるのを先延ばしする事が出来たようですね」
「なんだって!?」
「おや?君は気付きませんでしたか?
クロームの様子がおかしい事に」
「っ…そういえば…昨日みんなの近況を確認していた時…」
「効果がまだ続きそうでしたので僕とフランの手で無理矢理解除させてもらいました。
この僕でも解除するのに丸一日かかりました。
見た目はただの平凡な少女のようですが、油断出来る相手ではありませんよ。沢田綱吉」
「ボス!早く追いかけて!
あの人は美香さんを狙ってる!」
「くっ…!」
綱吉はポケットからいつもの手袋を取り出しそれを手にはめる。
そして一緒に取り出していた死ぬ気丸を飲み込むと瞬時にハイパーモードに変わった。
「初代!美香はおそらく古里達の民宿方向です!
先に帰って行きましたので!」
「分かった!」
空高く飛び上がり、まるで弾丸のようにあっという間に姿を消す。
「オレ達も後を追うぞ!」
「テメーが仕切んな!」
叫ぶ山本に獄寺が怒りながら獄寺が一番に走り出す。
その後を追うように、その場の全員が並盛民宿のある方向へと走り始めた。
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