アストライア・ノヴァ
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あたしは何か失言をしてしまったのだろうか?
知らない男の子がいたから、てっきり炎真の友達だと思って挨拶をしたのに…
最初こそぎこちないがにこやかに「美香ってたまに凄い冗談言うよね」と炎真が言ったり
他の人達もからかったりしてきたけど
あたしはなんの事だか本気で分からなくて…
それがみんなに伝わった途端、あたしはちゃぶ台を挟んでその見知らぬ男の子と向き合う形で座らされた。
「美香。今きみがツナくんについて知ってること全部教えて」
と、炎真。
妙に真剣な顔で…ちょっと怖いくらいだ。
「えっと…ツナくんって彼の名前よね?
何も知らないわ。…本当よ」
「ツナくんの両隣にいる人は?」
「獄寺くんと山本くんでしょ?
それからリボーンくん。
二人とも友達で、山本くんは薫くんと友達じゃない。
一緒の野球部でよく早めの朝練をしてるもんね。
リボーンくんは奈々さんの家に住んでる子だよね?」
「なっ…」
「オレ達の事は分かるのか!?美香さん!」
「え…?うん…
というかあたしとも友達だと思ってたんだけど…?」
「オレの事はママンと一緒に住んでる以外でどう認識してる?」
リボーンくんがそう聞いてきたので
「ある日急に来たけど、家光さんの知り合いだったから一緒に住む事になったのよね?
それでビアンキさんがそんなリボーンくんを追ってきて、なんだかいつの間にか居候が増えたって思ってるけど…」
「ママンの事は覚えてるんだな。
ママンの子供の事は覚えてねぇのか?」
「えっ…奈々さんと家光さんの間に子供は居なかったはずじゃ…」
『………………』
全員が無言になる。
何故か数名の視線が俯いている男の子に向けられていた。
異様な雰囲気にあたしは居心地が悪くなって
「…ごめんなさい…あたし、何かまずい事言ったかしら…」
「ううん…美香は悪くないよ…」
炎真が目を伏せながらも優しい口調で言ってくれた。
そして少し考えてからまたあたしを見て
「確かに僕とツナくんは友達なんだ。
でもツナくんと知り合った時、山本くんと獄寺くんも一緒にいた。
どうやって知り合ったのか説明できる?」
「え?確か…その、ええっと…」
チラリと俯いている男の子を見る。
きっと彼は部外者よね?説明して良いのかしら…
「えっと、最初は仲が良くなかったわよね。色んな事情があって。
それで喧嘩になって、だけど仲直りして…友達になったんじゃなかった?」
「出会った場所は?喧嘩した場所は?」
「出会ったのは並盛だけど…喧嘩した場所は炎真達がよく知ってるじゃない」
「……………。
……美香って恋人がいたよね?
その人の名前教えてくれる?」
「恋人!?そんな人いないわよ!炎真ったら何を言うのよ!」
急にとんでもない事を言い出した彼に驚いて思わず顔を赤らめて叫んでしまった。
「た…確かに昔はいたけど…
でも、それは前の世界の話…」
異世界の話なんて知らない男の子が聞いても理解出来ないだろう。
ちょっと気にしながらもあたしは大丈夫だろうという意識でそう言った。
「………僕が美香の事好きだったのは覚えてる?」
「えっ……うん…」
「僕はどうしてフられたの?」
「炎真…やっぱり気にして…」
「違うんだ。でも、今は理由が聞きたい」
「……別の気になる人がいたから…」
「その人は?名前を教えてくれる?」
「その人は……秋元くん」
「っ……」
「この世界の、秋元くん」
また全員が黙り込んでその場がシン…と静かになった。
「………みんな?」
「…ごめん美香。色々聞いて…
これが最後の質問。
今日学校が終わってからこの民宿に帰ってくるまで誰と一緒にいたの?」
「秋元くんよ。いつも公園で話してるから」
さすがに綱吉の事を知らない状態の美香を連れ帰る事は出来ず、そのまま炎真達に任せて帰る事になった四人。
ずっと俯いて無言でいる綱吉に山本と獄寺はかける言葉が見つからず、ただ無言で歩くしかなった。
日が落ちて暗くなり、人が減った川沿いを歩いていると
「…こんな感じなんだ。人に忘れられる感覚って」
綱吉がポツリとそう言った。
「初代…」
「ツナ…」
「美香はこんな思いをずっとしてたんだ。
それもオレだけからじゃない。星の消去で…オレ達全員から忘れられてた。
一人だけでもこんなに辛いのに、オレ達や…母さんからも忘れられて
それなのに美香は笑ってた。
オレに大切な事を教えてくれた。
オレ達を、オレを想って…また忘れられるつもりでオレ達の人生を取り戻そうとしてくれてたんだ」
『……………』
「なんでそんなに強いんだよ…!
美香一人だけに忘れられただけで
オレはもうどうすればいいのか分からなくなったのに…!」
「いつまでもへこたれてる場合じゃねぇぞツナ。
元の美香を取り戻してぇなら次の手を考えるぞ」
「分かってるよリボーン。別にへこんでなんかない。
寧ろ…怒ってる。
美香をあんな風にした犯人を、オレは絶対許さない…!」
俯かせていた顔をやっと上げた綱吉の目には決意の炎が宿っていた。
大切な人の為に戦う決意をした彼の目を見て獄寺と山本はホッと安堵した後、自分達も明るく同意する。
「やってやりましょう初代!
あの軟弱男を分からせてやるんスよ!」
「やっぱその秋元ってやつが犯人なのか?」
山本に肩に乗っていたリボーンが
「今の所犯人というより重要参考人ぐらいの立ち位置だな。
やってない証拠はねぇが、やったという証拠もねぇ。
ひとまず話を聞くぐらいはしねぇとな」
「でもよ、もし美香さんのツナの記憶が無くなったのは
えーっと…なんだ?星のなんとかってヤツかもしれない可能性はないのか?
ずっと前のオレ達みたいにさ」
「『星の消去』だ野球バカ」
「さぁな。ツナはどう思う?」
「…オレは星の消去じゃないと思う。
美香はもうこの世界に認められた人だ。
この世界に、この星に生きて良いと認められたんだ。
それなのに今更記憶を消す理由がないし
仮に消したのだとしても、オレだけの記憶というのも何だか変だ。
だから…違うと思う」
「なるほどぁ…
確かにツナ限定って変だよな」
「でも、逆を言えば美香の記憶は星の消去と違うから
幾らでも取り戻せる可能性があるって事だよ。
星の消去でさえオレ達は美香の事を思い出すことが出来たんだ。
きっと方法はあるはず!」
「だな!」
「そうっスね!」
「それから…犯人探しのことだけど」
『?』
「多分ヒバリさんが見慣れないって言った人が美香の記憶を奪った犯人だと思うんだ。
だからオレ、明日ヒバリさんに協力してもらえないか頼んでみるよ」
「分かりました!
ならオレ達であの軟弱男を引っ張ってきて
ヒバリの前に出せば良いんですね!?」
「ううん。オレにさせてほしい。
相手を警戒させたくないし、それに…気になる事もあるから…」
「じゃあオレ達は何をすれば」
「一緒にいてヒバリさんがどう言うのか見守ってほしいんだ。
もしかしたらヒバリさんが『見たことある』って言うかもしれないしね」
「確かにまだ決まったわけじゃないしな」
「了解しました!」
明日の作戦が決まった。
綱吉は顔を上げ、空に浮かぶ星々を見て思う。
「(春の流星群…やっと分かった。
オレがずっと違和感を感じていた何かを)
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