アストライア・ノヴァ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
商店街を抜ける前にジュースを飲みきったツナは途中の自販機の横のゴミ箱に空の缶を捨てた。
それからあたしとツナはとりとめのない談笑をしながら商店街を抜け、住宅地に入る前に通る人気の無い道を歩いていた。
無人の神社等もあるけれど大通りからは離れていてなかなか人が通りがからない静かな道。
けれどその道を抜ければ、普段ランボくん達が遊びに来る公園があってやっとあたし達の家がある住宅街に入れる。
「美香って凄いよなー
高三っていう中途半端な学年で転入してきたのにあっさりクラスに馴染んでてさ」
「みんなが優しいだけよ。
どこから広まったのか、あたしが家族を亡くして養子として引き取られたってもうみんな知ってるみたいだし…
きっと気を使ってくれてるのね」
「へぇ…でも、良かったな。
そういやオレもめっちゃ優しい人に会ってさ。
さっきのジュースその人が奢ってくれたんだ。
並盛高校三年って言ってたし美香の同級生じゃないかな」
「どんな人?」
「確か……っ」
ツナがあたしの腕を掴んで思いっきり引き寄せた。
「え?」
ドス!と何かが突き刺さる音が背後で聞こえる。
ツナはそのままあたしを自分の背に隠すよう移動させ、あたしの前に立った。
「なに…?」
「だ…誰ですか!?」
あたしの疑問には答えずにツナは既に何かを見て叫んでいる。
彼の視線の先には宙に浮く一人の男性。
フード付きのマントを羽織っていて顔が分からない。
けれど、彼の両手には小型のナイフがいくつも持たれており足元には赤色の炎が灯っている。
「裏切り者のボンゴレ10代目。殺す」
「嵐属性の炎!?」
「死ね」
言葉短くそれだけ言って明らかに持ってる数よりも多くのナイフを雨のようにこちらに向かって投げてきた。
「ちょっ…ヒィ!」
掴みっぱなしだったあたしの腕を引き
ツナは竹林のある無人の神社へと走った。
もちろん相手は追いかけてくる。
「なに…!?あの人!」
「知らないよ!
オレのこと裏切り者とか言ってたし…なんの事だかさっぱりだよ!
とにかく何とかしなきゃ…このまま逃げてても住宅地に出ちゃったら他の人も巻き込んでしまう。
ああもうっ痛いし怖いから戦いたくなんかないのに!」
制服のポケットから、いつも入れてる毛糸の手袋を取り出し両手に嵌めていく。
そして死ぬ気丸を取り出した所で
「ツナっ上!」
避けきれない程の多くのナイフが降り注いできた。
あたしは思わずギュッと目をつぶって襲いかかる痛みに構えていると、ふわっと浮遊感を感じた。
「……え?」
おそるおそる目を開けるとツナがあたしを抱いていて、先程あたし達がいた場所よりいつの間にかかなり離れた場所にいる。
ナイフは全て地面に突き刺さっておりあたしもツナも怪我はなかった。
「……ツナ…?」
「下がってろ」
少しトーンの低い声。
変わった口調。
オレンジに光る綺麗な目。
ツナはハイパー化していた。
あたしを優しく地面に下ろすと、背を向け相手と対峙する。
言われた通り彼が立っている所から更に後ろに離れた場所にあたしが移動した所で
「いくぜ」
ツナの姿が消えた。
あたしがやっと気付いた時には既に彼は空中で相手と戦っていて、攻防があっているのだろうけどあたしには何が起きているのかさっぱり分からない。
あたしの目で視認出来た時、それはツナが圧倒的優勢の状態で
「終わりだ」
ぐるりと回転し遠心力のついた蹴りで相手を地面に叩き落とした。
相手は地面にめり込んでいてすっかり気を失っている。
でも、呼吸はしてるから生きてはいる。これもいつも通りだ。
ツナがナッツと一緒に地面に降り立つと
「ふ〜…なんとかなって良かったぁ」
死ぬ気の炎が額から消えいつものツナに戻った。
「ツナ…!大丈夫?」
隠れていた場所から飛び出してツナに駆け寄る。
「うん…なんとか。美香も大丈夫か?」
「あたしは何ともないわ」
「そっか。良かった」
「ガウッ」
「ナッツも大丈夫そうで良かったわ」
足元のナッツを抱き上げて撫でてあげるとナッツは嬉しそうにガルガルと喉を鳴らした。
「美香、早く帰ろう!
もう怖いのは懲り懲りだよっ」
毛糸の手袋に姿を変えたグローブをポケットにしまい、ツナはあたしの手を引いてそそくさと無人神社の敷地から脱出しようとする。
あたしはナッツを肩に乗せながら
「相手のこと調べなくていいの?
せっかく気を失ってるのに」
「怖いからイヤだよ!
それに調べてる間に目を覚ましたらどうすんだよっ
もう関わりたくないんだってば!」
グイグイと腕を引っ張るツナに引きずられるようにあたしは彼と神社の敷地から出ていく。
「(こういう所も相変わらずね)」
気が強いんだか弱いんだか。
すりすりと頬擦りをして甘えるナッツに、あたしもすりっと頬擦りをし返してクスッと笑った。
・NEXT