アストライア・ノヴァ
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「見つけたぞ!裏切り者のボンゴレ10代目!」
「今日こそ息の根を止めてくれる!」
「急いでるっつーのにしゃしゃり出てくんな!」
「すまねぇ!ちょっと通してくれ!」
「ああもうっこんな時に!」
学校が終わると綱吉と獄寺、そして山本とリボーンは急いで並高に向かっていた。
その途中でボンゴレの解体を阻止しようとする守護者達が行く手を阻んだ。
立ち塞がった守護者達を見て山本の肩に乗っていたリボーンが淡々と
「こいつらは元同盟ファミリーの奴らだな。
ボンゴレの解体を考え直すよう9代目に親書を送ったが9代目の意思は変わらず
力ずくで意思を変えせようと襲撃した結果返り討ちされ、同盟を破棄された連中だ」
「どっ同盟ファミリー!?」
「『元』だぞ」
「つーかボンゴレの同盟ファミリーまでオレの敵に回ってんの!?」
「それが普通だぞ。
同盟ファミリーなんてボンゴレの恩恵を受けて成り立っていたファミリーが殆どだ。
それが無くなろうとしてるんだ。阻止に必死になるのは当たり前だ。
同盟ファミリーでありながら腰を据えて見守るだけでなく、寧ろ協力関係になってくれる同盟ファミリーなんてキャバッローネぐれーだぞ」
「ヒィィ…ディーノさん本当にありがとうございます…!」
「ディーノもディーノでボンゴレ解体に加担してると裏切り者扱いされ、イタリアで色々襲撃されてるみてーだがな」
「ええーーー!?」
「いいからお前は目の前の戦闘に集中しやがれ」
「ちょっタンマ!」
ズガン!という銃声。
綱吉は額に炎を灯し、既に交戦中だった獄寺と山本の前に立つと
「さっさと終わらせるぞ。遊んでいる暇はない」
『おう!』
ハイパーモードの死ぬ気になった綱吉、そして数々の死線を共に潜り抜けてきた山本と獄寺に対して弱小の同盟ファミリーの守護者では歯が立たず
戦闘の決着は呆気ないほど簡単に着いたのだった。
綱吉達は敵を退けた後並高の校門に辿り着き
下校中の生徒何人かに美香の事を聞くと、美香のクラスメイトだと言う女生徒が知っていた。
「あー沢田さん?
結構前に帰ってたよ。六組の男子と一緒だったから多分デートじゃない?」
それを聞いて獄寺が
「初代!おそらくオレのバイト先の近くの公園っスよ!」
「う…うんっ行こう!」
リボーンは山本の肩に乗り、三人はまたバタバタと走りだす。
程なくして美香がいるだろう公園に辿り着いた。
だが、辺りをどんなに見回しても美香の姿が見当たらない。
「そんな…美香っ…一体どこに…!」
広い公園ではない為グルリと見回せば簡単に見つけられるはず。
しかしやはり美香の姿どころか、居る気配すら感じなかった。
「ったく!ジッとしてらんねぇのかあのバカ女!」
「まぁまぁ。狙われてるって分かってねーなら仕方ないだろ」
「案外もう帰ってるかもしれねぇな」
「だとしたらエンマ達がいる民宿かな?」
「かもな」
「行ってみよう!」
綱吉の声に山本と獄寺は同時に頷き、また走りだす。
民宿に着くと綱吉はインターホンが無いのに気付き、立て付けの悪い古びたドアをノックした。
程なくしてガラガラとドアを硬そうに開けて出てきたのは炎真だった。
「ツナくん?」
「エンマっ美香は帰ってる?!」
「え?うん…
今二階にいて紅葉達の宿題見てるけど…」
「会わせてほしいんだ!」
炎真は必死な様子の綱吉とただ事では無い様子の山本と獄寺、そしていつも通りのリボーンを見て何かを察し
「…何かあったの?」
「美香が…誰かに狙われてるかもしれないんだ…」
「!?……とにかく入って」
促され玄関から民宿の中に入る綱吉達。
靴を脱ぐとすぐ近くの茶の間に通される。
茶の間と隣接する台所から夕飯の支度をしていたアーデルハイトが異変に気付き顔を出した。
「沢田綱吉…」
「あ…お邪魔してます」
「ごめんアーデル。お茶出してあげてくれる?」
いつもなら「自分でしなさい」と言う所だが、異様な雰囲気を察して言われた通り台所に戻ってお茶の準備をする。
人数分のお茶を準備し終わると茶の間にいるそれぞれの前にお茶を差し出した。
「ありがとうございます…」
「アーデル、スカルは?」
「二階でみんなと騒いでるわ」
「あいつがいるとうるせーから居なくていいぞ」
山本の肩から座布団に飛び降りたリボーンが言った。
アーデルハイトが炎真の横に座ると早速炎真が話をきりだした。
「美香が狙われてるってどういうこと?」
初見の内容にアーデルハイトだけ静かに驚く。
綱吉はこれまでの事を、まだあくまで推測だがと付け足して説明した。
雲雀の追跡を振り切れ、尚且つ潜伏先の張り込みにもシッポを掴ませない実力者の事。
そんな実力者がわざわざ並高生になりすましている事。
そして、ボンゴレの自分達と潜伏先が遠い事から美香か、事件に巻き込まれた美香の友人であるティティが狙われている可能性がある事。
「なるほど…それで狙われてる対象で可能性が高いのが美香さんって事なんですね?」
話を聞いていたアーデルがそう言った。
「そうなんです…」
「確かに美香は既に襲われてるもんね」
「炎真が霧の守護者と交戦したと言っていたわね」
「もしかしてあの時の霧の守護者が…?」
「でもよ、まだ狙われてるかもしれないってだけで敵の事はよく分からねぇんだろ?」
「うん…分からない…
でもオレ、相手は霧のような気がする。
なんていうか…本当に言葉通り実態を掴ませないっていうか…
上手く言葉に出来ないんだけど他の守護者の力とは違う気がするんだ」
「初代が言うなら間違いないっスよ」
「でも美香を狙う目的が分からないんだ。
『初代ボンゴレの秘宝』関連かもしれないけど
そこまでの実力者なら正体が分かって、その情報も発表されてるのに
それをフェイクかどうかを見抜けないのもおかしい気がして。
だとすれば美香自身が狙いになるけど、美香を狙う理由が人質ぐらいしか思い付かない」
「だが人質として狙うにしても並高生になりすまし、更に潜伏までするなんてやり方が回りくどすぎる。
美香なら人気の無い所で一人になった所をサッと簡単に連れ去れるだろうしな」
リボーンがお茶を飲みながらそう言った。
「相手の事や狙いがまるで分からないからひとまず美香の様子を見て、保護する為に迎えに来たんだ。
今は喧嘩なんて言ってられない。美香を守るのが最優先なんだ!」
綱吉の眼差しに炎真は過去に対峙した時の強い決意の眼を思い出した。
大切な人を守る。大切な人を助ける。
仲間、ファミリー、友達。
それが 沢田綱吉の誇り。
その為なら無限に力を引き出せる男。
「…分かったよツナくん。僕も協力する」
「え、でも…」
「美香は僕達にとっても大切な人だ。
ボンゴレファミリーの一員で、シモンファミリーの一員でもあるんだからね」
「エンマ…」
炎真は立ち上がると綱吉を見下ろし
「ちょっと待ってて。
美香とみんなを呼んでくる。
みんなにも事情を説明して今後の事を一緒に考えよう」
「あ…ありがとう!」
パッと明るい笑顔を浮かべた綱吉に炎真もニコリと微笑んだ。
そして茶の間から出て二階へと足音が消えていった。
「良かったなツナ!
シモンの連中も一緒ならすぐ解決するな!」
「うっ…うんっ心強いよ!」
「まだ協力すると決まったわけじゃねーだろ野球バカ!
あの古里が仲間の意見も聞かずに独断するような奴じゃねぇ!」
「いえ。間違いなく協力関係になります。
我々シモンファミリーは美香さんにはいつも世話になっていますから」
階段の方からガヤガヤと賑やかな声が聞こえてきた。
「結局公式が分からんのでは話にならんではないか!」
「逆を言えば公式さえ分かれば簡単ってことなんだけど、それがなかなか難しいのよねぇ」
その声の中に美香の声もあって綱吉はドキッとする。
「美香ちゃん後で宿題教えてほしいナ☆」
「あれ!?しとぴっちゃん宿題してたんじゃないの!?」
「しとぴっちゃんならノートに見た事ない記号をひたすら書いてたよぉ」
「だりーからオレちんの宿題も頼むわしとぴっちゃん。
薫でもいいぜ?」
「………自分でしろ」
「誰でもいいからスカル様の話を聞けぇえええ!!」
全員分の賑やかな声はやがて一階に辿り着き、全員が入るには狭すぎる茶の間の前にやってきた。
炎真を先頭に次々茶の間に入っていき、山本は薫に「よぉ!」と挨拶をして
最後に美香が茶の間に姿を現した。
綱吉と美香はすぐに目が合った。
久しぶりに顔を見れた大好きな人に綱吉は思わず立ち上がり
「美香…」
美香はニコリと微笑んでこう言った。
「あら、炎真の友達?いらっしゃい!」
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