アストライア・ノヴァ
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「えっ…エンマ達も襲われたの!?」
並盛中三年の教室。
三年になってもエンマと同じクラスになった綱吉は、休み時間にエンマに屋上に呼び出され
獄寺と山本も一緒にお昼を食べながら話していた。
「うん…
なんか、ボンゴレの同盟ファミリーだと勘違いされたみたいで。
継承式の事件の後 僕とツナくんが一緒にいる様子をいろんな人が把握してたみたい。
それで和解して同盟を組んだのではって噂が流れてたんだって」
「そんな噂が…
シモンのみんなは大丈夫だったの?」
「うん。大したことなかった。
僕が戦う前にアーデルが一人で全員倒しちゃったんだ」
「ハハッ相変わらずつえーな!」
「無事なら良かったよ。
なんかごめん…オレのせいで」
「ううん。僕は全然気にしてないよ。
もちろんファミリーのみんなも」
炎真はそう言いながら弁当であるあんぱんを一口食べた。
それを咀嚼し飲み込んでから
「僕達よりツナくんは大丈夫なの?
頻繁に襲われてるみたいだし…
それに、最近…美香と歩いてる所…見てないなって…」
「っ………」
事情を知らない炎真からそう言われるのは仕方ない事だと分かっていても、綱吉にその話題は辛かった。
急に表情が暗くなった綱吉、そして気まずそうな獄寺と山本の様子に炎真はすぐに何かあったのだと察して
「なにかあったの?僕で良ければ話し聞くよ?」
それを聞いた綱吉は少し躊躇してから静かに口を開いた。
「…美香とケンカしたんだ。
それもいつもみたいな、すぐに仲直り出来るケンカじゃなくて…
その上美香…気になる人が出来てるみたいっていうか」
「え…!?」
「初代。実は昨日のバイト中オレのバイト先で美香と例の男が一緒に来たんです」
「え!?」
驚いて獄寺を見る綱吉。
「美香はあの男の事を『友達』と言っていました。
彼氏の事で悩みがあるから…話しを聞いてもらってるだけだと…」
「オレの…こと…」
「その…言いにくいのですが
初代の気持ちが分からないと言っていました。
だからお互い頭を冷やす為に距離を置いているそうです…」
「…………」
「どうしましょうか初代。
初代が望むのでしたら、オレが徹底的に二人の仲の邪魔をしておきますが…」
「…そんなの必要ないよ獄寺くん。
確かにオレと美香は少し距離を置いた方が良いと思う。
今下手に近付いたら、美香まで狙われる事になるから…」
「いいのか?ツナ」
「うん…」
「初代がそう仰るなら…」
「オレは美香を信じるよ。
それに今はそっとしておいてあげたいんだ。
だって美香…去年は色んな事に巻き込まれて、ずっと辛くて悲しい思いをして大変だったと思う。
やっと普通の女子高生に戻れたのに、またマフィア絡みの事件に巻き込まれるなんて可哀想だよ。バイトも学校生活も毎日あんなに楽しそうなのに…
だから、色々落ち着くまでオレも距離を置くよ。
そして落ち着いたら改めて美香と話す。
その方が仲直りに集中出来そうだしね」
にっこりと穏やかに笑うその表情はいつもの綱吉だった。
それを見た獄寺と山本と炎真はホッと安心して胸を撫で下ろす。
綱吉の精神状態ももちろん、大好きな人とまだ関係を続けていく気もあるのだと知って…
「そうだな。オレもツナに賛成だ!」
「さすが初代です!オレもその方がいいと思います!」
「心配すんなってツナ。
美香さんはツナが一番だって!」
「ったりめーだ!
こんな素晴らしいお方他にいるか!
目移りなんか出来るわけねーだろ!」
「その美香が友達って言ってる人、そんなに良い人なの?」
炎真の問いに綱吉が少し気まずそうに
「うん。めちゃくちゃ良い人なんだ。
オレも一度絡まれてた所を助けてもらったことがあって…
本当に純粋にオレの受験の事応援してくれてるし、あれから絡まれてないかとか心配してくれるし。
後輩として、美香の弟として本当に凄く可愛がってくれる優しい人なんだ。…ただ……」
「ただ?」
「…秋元先輩っていうんだけど、その先輩美香の元の世界での元カレみたいなんだよ」
「っぇええ!?」
炎真が驚愕して普段では出せない程の声量で叫ぶ。
獄寺と山本も初耳だった情報に無言で驚愕した。
「も…元カレが出てくるなんて聞いてないよ!」
「オレも…元の世界のことなんだから関係ないって思ってた。
でもよく考えたらこの世界と美香の世界ってパラレルワールドってだけで基本的に同じ世界、同じ星なんだよな。
だから美香は生まれてないけど秋元先輩は生まれてる世界って確かに十分有り得るよなぁ…って…」
「そ…そんな…」
「それに美香…元の世界の秋元先輩とは自然消滅したってだけで、喧嘩別れした訳でも気が合わなくて別れた訳でもないから結構未練があるみたいなんだ。本人もそう言ってたし」
「…………」
「正直心配だし、不安だよ。
秋元先輩は優しい先輩だけど嫉妬だってしてる。
だけどオレは信じるよ。美香が友達だって言うなら…」
綱吉の目はそう言いながらもどこか不安そうに揺れていた。
本当ならすぐにでも彼女の元に駆け付け取り戻したい気持ちでいっぱいなのだろう。
それを察した炎真は少しの間目を伏せて考えると
「なら僕が時々美香の様子を見に行くよ」
「え?」
「僕なら美香に近付いても大丈夫だと思う。
確かに同盟ファミリーだと勘違いされて襲われたけど、ある程度の強さなら僕一人でも美香を守れるし…
それに僕が美香と一緒にいた所で、その光景を見て美香がツナくんの関係者っていう発想はしないと思うし」
「な…なるほど。確かに」
「ツナくんの事で何を悩んでるのかそれとなく聞いておくね」
「あ、ありがとう…エンマ。
ほんとごめん。色々巻き込んでしまってるのに」
「気にしないでよ。
僕はボンゴレには協力しないけど、ツナくんならいつだって協力するよ。友達だから。
それに…」
「?」
「美香にフられてギクシャクしてた僕と美香の関係を支えて、取り持ってくれたそのお礼だよ」
美香と炎真の関係は少しの間だったがギクシャクしていた。
友達だと約束した二人ではあったが美香には申し訳なさが、炎真にはどこか諦めきれないやるせなさが拭えず
お互いに自然なようで不自然な関わり方をしていた。
それを心配し、見かねたのが綱吉だった。
綱吉は自分は選ばれた立場というのもちゃんと自覚した上で、どうにか二人の間を取り持てないかを自分達のファミリーに相談し
時にはシモンファミリーにも相談していた。
そうした綱吉の努力と気遣いがあって、美香と炎真はまた仲の良い友達の関係に戻る事ができたのだ。
炎真をそれを心から感謝していた。
「きっとまた元通りになれるよ。
僕と美香の関係のように」
心強い炎真の笑みと言葉に綱吉は救われる思いだった。
不安で固くなっていた表情が自然と綻び緩んで、小さく笑みが浮かぶ。
「うん…そうだね」
穏やかに笑い合うボス二人。
仲が良いその光景を、山本と獄寺は嬉しそうに見守っていた。
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