アストライア・ノヴァ
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さすがに休日は人が多い。
幸いうちの店はイートインスペースは無いので買えばお客さんは帰っていく。
予約の誕生日ケーキの受け渡しや注文されたケーキの会計と受け渡し。
目が回るような忙しさだったが何とかピークを乗り越えて、ケーキや焼き菓子の補充等を済ませるとやっと一息つけた。
喉が渇いたので裏で水分補給をしながら時計を見る。休憩まであともう少しだ。
「お店の前、掃除してきますね」
「お願いしまーす」
同じ会計のアルバイトの人にそう伝え、あたしは箒を持ってお店の前に出た。
何処からやってくるのか朝綺麗にしたはずの店の前はまた枯葉やゴミが落ちており
ふぅ、とため息をついてパサパサと箒を掃く。
量は少ないのですぐに終わった。
ちりとりの中にゴミを入れ終わって体を上げると
「あははっえ〜?それほんと?弟くん」
「本当なんですってば!」
「冗談みたいに聞こえるよな!」
「初代が嘘なんかつくかバカ女!」
「でも、信じられない気持ちも分かりますよティティさん。
私も最初聞いた時信じられなくてビックリしました」
「そんなぁ!京子ちゃん!」
「相手がツナじゃ信じられねーよな」
「うるさいよリボーン!」
「ツナさん大丈夫ですよ!ハルはすぐ信じましたので!」
商店街の人混みの中に明るい声が聞こえてきた。
聞き慣れたその声は予想通りツナ達。
護る為かティティを囲んで、7人はぞろぞろと歩き楽しそうだった。
人の往来が多い為かそのまま7人はあたしに気付く事無く店を通り過ぎ、去っていく。
あたしはそんな7人の背を見送りながら
「………楽しそう」
てっきりティティとツナ達とリボーンくんだけの5人だと思ってたのに、京子ちゃんとハルちゃんも誘ったんだ。
ティティもツナ達も…狙われてる危ない状況のはずなのに。
「(ああ…何を考えてるのあたし)」
くらくらと目眩がする。
モヤモヤと胸が苦しい。
切なくて…たまらなくやるせなくて、心寂しい。
去年まであの輪の中にいたのは
「(………………バカじゃないの?)」
一緒に遊べなくて拗ねるなんて、子供じゃないんだから。
この日にバイトを入れたのは先月の自分じゃない。
ほんっと遊びに誘ってもらえなくて拗ねてる小さい子みたい。嫌になる。
ため息をつきお店に入ろうとすると
「あれっ美香さん?」
声掛けられ振り返ると、そこには秋元くんが立っていた。
「秋元くん…」
「ここでバイトしてるのかい?」
「え…うん」
「へ〜そうなんだ!せっかくだから何か買って行こうかな」
「そう?なら、どうぞ」
お店のドアを開け中に促した。
丁度その時店長さんが裏から出て来て
「沢田さんお昼休憩入って良いよ」
「あ、はい」
そして店長さんはまた裏へ戻っていく。
「…今から休憩?」
「そうみたい」
「なら一緒にお昼食べようよ。僕が奢ってあげる」
「でも」
「大丈夫。その後ケーキ買わせてもらうね」
「……ありがとう」
こうしてあたしは秋元くんと一緒にお昼を食べる事になった。
あまり遠出は出来ないので商店街の中にあるカフェに一緒に行くことに。
秋元くんは「彼氏さんに見つかったら誤解されない?コンビニとかの方が…」と心配していたけど、ツナなら今日はバイトだって知ってるしさっき商店街を通り過ぎたのだから大丈夫だろうと思い
彼を安心させる為に「大丈夫」と微笑んだ。
カフェに入り向かい合って席に座るとそれぞれ注文する。
そして数分後には注文の品が来て、あたし達は二人一緒に昼食を始めた。
「そう言えば…あれからどう?彼氏さんとは」
食べ始めて少し経ってから秋元くんがそう聞いてきた。
「……それが…」
「……もしかして、上手くいってない?」
「うん…ケンカになっちゃって…」
「え……
…ごめん。僕が余計な事を言ったばかりに」
「ううんっ違うの!秋元くんは何も悪くないわ!
…タイミングが悪かったのよ。きっと。
実は友達から少し彼氏と距離を置いた方が良いって言われてたの。
今の彼は信用して好きにさせてるのと、無関心で放置するとは別物って分かってないって…
友達の言う事も何となく分かる。
だから同意して離れようとはしてたんだけど、離れ難くて」
「彼氏さんの事大好きなら仕方ないよ」
「でも…良いキッカケになったわ。
今度はちゃんと距離を置いてみる。
お互い頭が冷えた頃に…もう一度寂しいって伝えてみるわ」
「…そっか。僕もそれが良いと思う。
今度こそ上手くいくといいね」
「うん…」
ツナとあたしの為にも今はこれしかないんだ。
「秋元くんもありがとう」
「僕は何もしてないよ。でも、応援してる」
優しい人。
あたしは嬉しくて、そんな彼に微笑んだ。
「そう言えば、今日は美香さん一緒に遊べなくて残念だったね」
と、京子はハルに言った。
「ハルもそう思います〜
美香さんバイト始めちゃったから、なかなか遊べなくなりましたよね〜
なんだか寂しいです。このまま美香さんと縁が切れちゃうんでしょうか…
ハルはそんなのイヤですー!!」
「そういや美香さんとあまり会えなくなったよな。
学校も違うし…バイトでなかなか時間も合わないし」
「ケッ清々したぜ」
「ツナくん…美香さん元気にしてる?
また前みたいに美香さんと一緒に遊びたいな」
京子に話を振られハッとしたツナ。
寂しそうに、心配そうに見つめてくる京子にツナは少したじろぎながら
「大丈夫だよ。
美香なら全然元気だから。
確かにバイトは忙しいみたいだけど…なんか、楽しんでるみたいだし。
でも美香には言っておくよ。
みんな美香に会いたがってるって」
「うん…お願いねツナくん」
「みんな美香の事大好きすぎでしょ」
と、ティティはおかしそうに笑った。
「なら、帰りに何か美香にお土産買って帰る?
学校で渡しておくよ〜」
ティティの提案に京子とハルを筆頭に全員が賛成した。
昨日美香とケンカしたツナだけ、少しモヤモヤとした気持ちを抱えながら。
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