継承式編
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次の日の昼頃、一人美香の見舞いに来ていたリボーンだったが
病室に誰かが入ってきた音に気付いて振り返る。
病室のドアの前にはディーノと家光が立っていた。
「来たか。
早いな家光。仕事はどうしたんだ?」
「家族の一大事に仕事なんかしてられるか」
ツカツカと足早に美香が眠るベッドに近付く家光。
そして美香を見下ろすと家光は目を細め
「ああ…間違いない。オレの娘だ。
可愛い可愛い…オレの娘。
こんな可愛い娘と、息子を遺していく事になった美香の両親の悔しさと悲しさは計り知れない。
だから、うちに来たのならうちが大切にしようと決めたのに…どうして忘れていたんだ」
家光はそう言いながら美香の髪を優しく撫でた。
「オレも昨日リボーンから連絡がくるまですっかり美香の事を忘れていた。
一緒に飯を食ったり、リング争奪戦ではオレ達を助けてくれたのにその記憶全て消えていたんだ。
継承式では遠くからとはいえ実際に会ったのに全く思い出せなかったしな…」
「これでハッキリしたな。
美香の記憶は美香が自ら奪ったんじゃなく
美香以外の何かによって消された」
「それが…まさかオレ達が生きるこの星の仕業だって言いたいのか?
オレは正直信じられないんだが…」
「オレだって未だに信じられねーぞ。
説明してもらいたいが…全てを知ってる美香がこの状態じゃな…」
リボーンの視線の先には眠る美香。
ディーノもその視線を追って美香を見つめた。
「でも今まで美香の命を狙った偶然の事故や事件で人の痕跡が全く無かった事に説明がつくのも確かだ。
星なら、自然現象として起こす事も可能性なんだろうな。
例えそれがボンゴレの機密であろうとも」
「!まさか友よ…
『初代ボンゴレの秘宝』に関する情報漏洩が星の陰謀だと言いたいのか?」
「それしか考えられねーぞ。
ボンゴレの機密情報がどれだけ厳重に守られてるか家光なら十分分かってるはずだ。
それが名前すら知られてない弱小ファミリーにまで情報が筒抜けの上
未だに漏洩原因が分かってないなんておかしいだろ。
それも流れた情報は秘宝と美香の指輪のことのみ。
どちらも美香に深く関係があるものだ」
「星が美香を殺す為に、殺される機会を多く作ろうと自然現象として情報を流した…か」
「そこまでして美香を殺したがるのは…
美香がこの世界の人間じゃないから…
フツーの女子高生にしかオレには見えないが
まさかここまで大規模な真実を抱えていたなんてな。
こんなのツナの手に負えるのか?
可愛い弟分だし、その弟分の好きな人だから協力したいのは山々だが…」
「それだけじゃねーぞ。
美香の中にはもう一人魂が入っていて
その魂はⅠ世の婚約者と名乗っている」
『!?』
「おそらくだが美香と同じ異世界の人間だ。
その婚約者という人も星に存在と記憶を消される事を知っていた。
そして、それが運命だとも言っていたな」
「それで…美香がボンゴレという名に聞き覚えがある気がするって言ってたのか…!」
「Ⅰ世の婚約者に関する情報なんて全く無かった。
だが、それは当たり前。
Ⅰ世もまたオレ達のように星に記憶を消されたから」
「おそらく記憶だけじゃなく記録も無くなっているはずだ。
家に帰って確認したが、ツナ達と遊びに行った際に撮った美香との写真が全て美香だけ消えて元々いなかったように変わっていた。
そして美香がママンに買ってもらった服や雑貨、諸々は全て消えていたんだ」
「奈々は美香の事は思い出したのか?」
「まだ話してねーぞ。
あれだけ美香を可愛がり、大切にしていたんだ。
それを忘れていたなんて知ったら自分を責めて悲しむに決まっている。
その上美香はこの状態だしな。
なんとか誤魔化しつつ美香を思い出してもらう方法を考えている所だ」
「そうか…」
「これからどうするんだ?」
と、ディーノが問う。
「どうもこうも…どうする事もできねーぞ。
まさか一人の女の子の為に星を滅ぼすなんて不可能だろ。
美香はこれからも命を狙われ続けるしかねーのかもな…」
「でも美香の話だと並盛に来る前…
おそらくこの星に来る前から不可解な現象があったと言っていたはずだ。
前の世界でも美香は異世界の人間だったって事なのか?」
「さーな。オレが聞きてぇくらいだ。
目を覚ましてくれない事には何も始まらねぇ」
そう言ってリボーンはまた視線を落とした。
眠り続ける美香へと。
学校が終わった夕方、その帰り道に綱吉達は病院に寄った。
昼間に来ていたディーノと家光は既におらず
しかしまだ病室にいたリボーンから来ていた事を伝えられる。
「ゲッ…父さんも来てたの?」
「家族がこんな状態なら帰ってくるのが当たり前だ。
でも流石に急だったからな…美香もいつ目覚めるか分からない状態だし、もうイタリアに帰ったぞ。
ツナに任せるっつってな」
「オレに任されたって…」
綱吉はそうぼやきながらベッドに近付く。
美香は変わらず眠り続けていた。
山本と獄寺も綱吉に続いてベッドに近付き
「バカ女が…10代目のお傍を離れ一人で無茶するからこんな目にあうんだ…」
「なんで急にいなくなったんだろうな…美香さん」
「…美香……」
「シモンの連中もさっき見舞いに来たぞ」
「エンマ達が?」
「それからヒバリにも美香の容態は伝えてある。
何処かで美香のこと、そして今の状態を知ったみてーだからな」
「……やっぱりヒバリさんも」
「ああ。美香の事忘れてたみてーだな。
自分の記憶を勝手に弄られたと大層怒ってたぞ」
「ヒィィ…こえ〜…!」
「家光から任されたといえば、『初代ボンゴレの秘宝』はちゃんと持ってるか?ツナ」
「え?うん…」
制服のズボンのポケットから箱を取り出してそれをリボーンに見せた。
「そういやツナ、その秘宝開けられたんだってな。
良かったら中身見せてもらえねーか?」
「あ、そっか。
山本には見せてなかったんだっけ。
開けられたと言っても外側の箱だけなんだ。
VGに変わる前のリングで、リングに炎を灯して差し込んだら開いたんだよ。
リングが変わっちゃったからもう開けられなくなってたらどうしようと思ってたんだけど…
なんか一度開けたら後は鍵無しで開くみたい」
説明しながら綱吉が手にある箱の蓋をパカッと開く。
「中は見ての通りもうひとつ一回り小さめの箱が入ってるだけなんだ。
そしてその箱には同じく指輪の差し込み口があるだけ」
「箱に刻まれた刻印は今度は大空ではなく星の刻印だ。
花でもあるんだろーが…
そしてその刻印を持つ指輪を持つ人物は一人だけだ」
リボーンから聞いて山本は眠る美香を見る。
「美香さん、か…」
「オレ…この箱の中身は兵器じゃない気がする。
そして、多分…この箱の中身は…美香か美香の中の人どちらかに向けたものが入ってると思う。
だからオレの勝手な判断で、勝手に指輪を借りて開けたくないんだ」
「やはりⅠ世は秘宝がここまで大事になるのは望んで無かったんだろーな。
だが、星が美香を殺す為に秘宝の存在を利用しちまった」
「え…どういう意味…」
「家光とディーノにも話したが
ボンゴレの機密情報の漏洩は星が自然現象として流した可能性があるんだ。
美香に起こる不可解な現象に人の痕跡がない事を考えると、星が起こした自然現象。
そしてその自然現象を起こしやすく、更に殺す機会を増やす為に『初代ボンゴレの秘宝』と美香の持つ指輪の情報を自然現象として流した。
そう考えると全て辻褄が合うんだ」
「そんな…!そこまでしてなんで…!
異世界の人間だからってなんだよ!そんなの関係ないよ!!
美香は美香だ!!」
「そうですよリボーンさん!こんなマトモなのUMAじゃないです!」
「ご…獄寺くん…?」
「ハハハッ美香さんがUMAかよ」
「UMAじゃねーっつってんだろ野球バカ!!」
「ツナ、そういえば美香の指輪にはシモンも関わってる可能性があると美香が言ってたな」
「え?うん…」
「その中身の箱にも大空と大地の炎は感じるか?」
リボーンに言われ綱吉は箱から一回り小さい箱を取り出して意識を集中する。
「……微かに感じるよ。大空と大地の炎」
「指輪の方はどうだ?
美香の指輪はお前しか触れねーからな」
今度は美香に近付く。
「ごめん」と一言言ってから首元の服の隙間に手を差し込み、指輪のチェーンを取り出すと指輪に触れる。
「こっちも大空と大地の炎を感じる…
大地の炎の事今まで知らなかったから気付かなかったよ。
でも…なんか……炎が弱い、ような……」
「炎が弱い?」
「そうだ…星の殺意がそこまで高いなら、なんで美香やその先祖達は今まで生きてこられたんだ?」
「ツナ?」
「運が良かったのもあるだろうけど、オレ…この指輪が少なからず守ってたとも思えるんだ。
だってⅠ世と、初代シモンの炎を宿した指輪だよ…!?」
綱吉は美香の指輪をぎゅっと握り
「その指輪の炎が弱まってるから、美香がこんな状態になったのだとしたら…?
……オレ、もしかしたら…美香を目覚めさせられるかもしれない…!!」
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