継承式編
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「やめてくれ!ツナくんは…ファミリー以外で初めて出来た友達なんだ!!
大切な人を二人も失いたくない!!」
D様の後ろで倒れている炎真がそう力の限り叫ぶのが見えた。
そしてD様の鎌が振り下ろされる直前、何かが炎真から離れると素早く私とD様を横切って綱吉くんに宿る。
それは眩しく光ってD様の目をくらまし、鎌を振り下ろす手を止めさせた。
「なにぃ!!」
「これは一体…」
綱吉くんが炎に包まれている。
彼の目にも生気が戻りつつあった。
シモンリングは過去へ誘う最後の鍵らしい。
その内容は私には分からないけれど、ジョットとコザァートが綱吉くんと炎真の友情を認めた時大地と大空のリングがひとつになって二人の炎を灯すという。
「ジョットと…コザァートの炎…」
違いは正直分からない。けれど…無性に泣きたくなるほど、懐かしく感じる。
「ふざけた真似を!ジョットにコザァート!!
どんなに小細工しようとこいつらは死ぬのだ!!」
D様の鎌が振り下ろされ、私の目の前にやってきた。
次の瞬間私は炎に包まれて気が付けば綱吉くんに抱かれD様の後ろに立っている。
驚いて綱吉くんを見ていると、彼はジョットによく似たオレンジの瞳で私を見て
「……『死ぬなんて言わないでくれ』」
「え?」
「『どんな形でも、どんな姿も、願うのはただひとつ。君の幸せなんだ』」
「…………」
「Ⅰ世からの伝言…確かに伝えた」
綱吉くんは私から手を離して前に出る。
「君は死なせない。絶対に…!
オレとエンマの友情、そしてⅠ世とコザァートの誓いの炎に懸けて!!」
涙が溢れてポロリと零れる。
彼の背があまりにも…あまりにもジョットに似ていて…
「っ」
慌てて涙を拭い、そして足早にその場から離れる。
彼等の戦いの邪魔にならないように。
二人の戦いの影響はとにかく大きい。自分一人で衝撃を踏ん張る事すら出来ない私はなるべく遠くに…そして綱吉くんが場所を把握しているだろうリボーンくんとムクロウがいる場所の更に後ろの森の入り口に隠れた。
走った為少し息が乱れる。
「綱吉くんが…どうしてジョットからの伝言を…?
彼はもう死んでるし、綱吉くんだって会ったことないはずなのに」
ーーーもしかしたら案外会ってるのかもしれないわね。
「え…」
ーーーだって、あたしと貴女が会えたじゃない。
ツナとプリーモが会ってたって不思議じゃないわ。
「……そっか。そうよね…子孫と先祖だもの」
遠くで復活した綱吉くんとD様が戦い続けている。
大地の能力も得た綱吉くんはその力、そして自分の力を駆使して。
やがてD様は綱吉くんのX BURNERをまともに受けてしまい、生きてはいるものの自分の形を保つのも難しくなっていた。
「こうなれば…見せてやるぞ!私のとっておきを!!」
D様の叫び声が聞こえた。
しかしそんな吠えるようなD様の声に綱吉くんは逆に冷静に、淡々と
「…情けないなD。逃げることがとっておきとは」
「!!」
「かすかだがお前が牢獄からここへ一気にやって来た時と同じ炎を感じる。
大空と大地の七属性にはない復讐者が来る時に放つものと同じ種類の炎をな。
また異空間をつくり、爆風に紛れて逃げるつもりだろう」
「……いい感度だ。
その通りですよ。この偉大なる炎には大空や大地を凌ぐ素晴らしい力がある。
第8の属性の炎にはな」
聞いた事のない属性。
どうやら復讐者が深く関わっているらしく、これ以上の説明は禁じられた。
「まあいいでしょう。今はここから去ることさえできれば」
「D!!」
「私は逃避を恥じてなどいない!
私は進化する。次に会う時は今の何倍も強くなっているだろう。その時がお前達の最期だ。
首を洗って待つがいい」
D様の横に黒い空間が現れた。
けれど綱吉くんがD様に左手を向けると、彼はガクンッと地面に膝をつく。
「逃がすか」
「ヌッまたしても!!大地の重力か!!」
そのまま地面に貼り付けられる。
「言ったはずだ。お前を倒すのはオレと炎真の炎だと。
覚悟しろD!」
綱吉くんは右手の炎の出力を上げ、地面に貼り付けたD様を見つめ続け
「…………やめよう」
その炎の出力を弱めた。
「これ以上お前を殴ったって失くしたものは元には戻らない…
大人しく捕まって罪を償ってもらう」
そう言って拳を収めた。
「……優しい人。けれど、D様にとってそれは屈辱です」
呟いた私の言う通りD様は「ふざけるな!!」と叫ぶと立ち上がって
「私を引き止めたこと…後悔しなさい!!」
「!?大地の重力が効かない!!」
「次こそ奥義だ!」
「分かった…ならばここで倒すまで。加減はしないぞD!」
「調子に乗るな!」
綱吉くんとD様の炎が互いに放出され辺りに熱気が溜まっていく。
「いくぞ!!」
「死ね!!」
同時に飛び始めた。
そして二人は拳を振り上げ
ガキ!
「ヒャ!」
殴られたのはD様…ではなく、彼が抜けた骸くんの体。
「実体に目が眩むとはまだまだ甘いですね!!」
D様はそう笑いながら体から抜け出ていたのだ。
「小さな勝ちなどにこだわるものか!!
六道骸の肉体などくれてやる!!
私は生きる!!」
亡霊のようなD様の手から黒い空間が現れる。
「しまった!」
「ヌハハッ手遅れだ沢田綱吉!
いずれ必ずお前の未来に暗雲をもたらそう!
さらばです!!」
あと少しで黒い空間の中に入られる。
その直前
復讐者がその黒い空間を握り潰した!
「人の肉体を持たぬ者に第8の属性の炎の使用は認めぬ。これは掟」
「な…そんな…」
そして復讐者は消えた。
「今だぞツナ!!」
リボーンくんの掛け声に綱吉くんはハッとし、そしてすぐに構え
「終わりだD!!」
「ぬわあ!待て!やめろ!うっ撃つな!!
まだ死ぬわけ…!!」
強大な綱吉くんの炎が放たれて、D様はそれを受けた。
ドッ!と地面に落ちてカラン…という軽い金属音も聞こえる。
地面に落ちたあれは、私も見覚えがある。
というより…
「懐かしいですね…」
ーーーあれはなに?
綱吉くんが拾って、中を確認しているそれは懐中時計。
「あれはファミリー全員で写った写真が隠された懐中時計。
その写真に私も中に入れてもらいました」
私はファミリーではないから。
何も力もないし、何も力になれないから。
そういった理由で撮影される様子を見守るだけにしていた。
そんな私をジョットは手招いて誘い、それでも遠慮する私をD様がエレナ様に目配せし、彼女がコクリと頷くと笑って駆け寄り私の手を引いて中に入れてくれた。
「もう私は写真から消えているでしょう。
星の消去はそういうものです。
私が…私達がこの世界にいた痕跡、生きた証は全て残さず…跡形もなく消し去ってしまう」
もうあれに写るのは私の姿がないファミリーの写真。
そしてそれが、本来の正しい写真。
異物である私が写っている方が間違いなのだ。
「さようならD様。
貴方はエレナ様を失った後でもボンゴレを愛し、大切にしてくれた。
だって貴方は星の消去で存在が無くなってしまった私ですら、思い出し、たとえ皮肉であっても『姫』と呼んでボンゴレの一人として扱ってくれたのです。
私はやっぱり、貴方を恨むことは出来ないでしょう…」
そうしてD・スペードは綱吉くんにボンゴレの全てを託し、霧となって空へ消えた。
愛する人の待つ…空の彼方へ。
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