継承式編
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「撃てない…オレには撃てない…っ」
覚悟を決めた炎真の前で綱吉くんが躊躇し続ける。
「聞いてツナくん!
僕もツナくんと同じようにファミリーが大事なんだ!!
でもここでDに負けたら僕だけじゃなくアーデルもジュリーも、らうじも紅葉も、しとぴっちゃんもカオルも助からない!
それだけじゃないっ僕の好きな人まで失ってしまう!!
これは僕の願いでもあるんだ!!」
「エンマ……」
「ツナくん!!」
「……っ分かった…」
やっと決断した彼の心を、D様が揺さぶる。
「いいのですか!?
やっとできた親友を殺してしまって!!
同じ立場にあり、同じ悩みを持つ事のできたかけがえのない友ですよ」
「ぐっ……」
「(正直私は賛成出来ません。あれしか倒す方法が無いとはいえ…)」
ーーーあたしもよ。二人はずっと一緒にいて欲しいもの。
けれど他に方法がない。
私と美香も二人を見守る事しか出来なかった。
そこに
「ボス!!」
ずっと観戦していたクロームちゃんが走りだし、槍を構えると炎真の元へ重力の力も借りて飛び上がった。
炎真はそれを「危ない!」と言いつつなんとかクロームちゃんを自分の元へ引き寄せて抱き支える。
「撃ってボス!!古里炎真は私が守る!
防御の霧、全開!!」
彼女は炎真と自分を守るように霧を展開させた。
「クローム!最大出力の沢田綱吉の技はとてもお前の炎では防ぎきれない!」
そこにムクロウに憑依した骸くんが叫ぶ。
「困ったおてんば娘ですね。
どちらにせよ今のままでは沢田は撃てまい」
ムクロウが光り、クロームちゃんの槍にその光が宿る。
すると槍は錫杖のような形に変わって、展開されていた不安定な霧の壁が
まるで今私が閉じ込められているような強固な球体に変わった。
「(あれならきっと…!)」
炎真とクロームちゃんを守りきれるはず…!
「さぁ沢田綱吉!!撃つのです!!」
「ボス!!」
「ツナくん早く!もう炎が持たない!!」
炎真もクロームちゃんも犠牲にならないと分かった綱吉くんはもう迷う様子はなかった。
「……オペレーション XX」
綱吉くんが両腕をXの形に構えた。
「待て!撃つんじゃない!!」
D様の焦りの声が聞こえる。
綱吉くんからは膨大な量の炎が噴出され続け
「くらえ!D!!
XX BURNER!!!」
それは計り知れない規模の炎。
火炎放射なんて生ぬるい、まるで星を滅ぼすビッグ・バンそのもの。
私の頭上で弾け飛び島の一部を壊して、炎は風を巻き起こし突風を呼ぶ。
球体に守られていた私は風に煽られることもなく星の破壊を見ているような気分だった。
「凄い……」
煙が辺りを白く染める。
何も見えない。
私は綱吉くんが飛んでいた所から一時も目を離さず見つめ続け、そして人影は現れた。
綱吉くんは力を出し切ったようで額の炎が消えていた。
フラフラと空中から地面に落ちてくる。
けれど仲間の無事の確認はしたいようだ。
「クローム!!エンマは!?」
「ボス…私は…大丈夫……」
クロームちゃんも地面に落ちてはいるが無事だったようだ。
ーーーあたし達の球体も消えてるわ。
「(!!あ…本当…!)」
術者のD様が消えたからだろうか?私を閉じ込める球体はいつの間にか消えていた。
「エンマ…エンマは!?」
地面に倒れたまま辺りを見回す綱吉くん。
その時煙の中から綱吉くんに近付く人影が咳き込みながら現れ
「やったねツナくん!」
嬉しそうに笑う炎真だった。
「良かった…本当に。二人とも無事で…!」
炎真は綱吉くんの前に来て手を差し出し
「肩貸すよツナくん」
「ごめん…!」
でも…
「(…違う!)」
ーーーえ?
「ツナくんそいつは僕じゃない!!」
煙が更に晴れると離れた場所に炎真が倒れていた。
綱吉くんの前の炎真は骨の音が聞こえるほど彼を蹴り上げた!
綱吉くんは蹴り飛ばされ、地面に仰向けで苦しみもがいている。
「危なかった……実に危ない所でした…」
そして炎真の姿から、D様の姿に変わった。
ダメージは流石にあるようで
その証拠に私を閉じ込めていた球体を作る余裕もない。
それは力は勿論…精神的にも。
「あと少しで取り返しのつかない所だった。
私をここまで疲弊させ追い詰めるとは
たかがボンゴレの異端の分際でよくも…許しませんよ沢田綱吉」
長い髪で綱吉くんの首を掴み、抵抗する力のない彼はぶら下げられる。
「砕けろ!!」
綱吉くんの全身の骨が粉々に砕かれる音が聞こえた。
一瞬で終わらず、念入りに…隅々まで。
リボーンくんがそれを止めようと動くが復讐者に止められ手出しが出来ない。
何故か…復讐者がリボーンくんが介入するのを拒んでいるのだ。
「残念でしたねアルコバレーノ リボーン。
では、ゆっくりご覧になってください。
哀れな10代目ボス候補、沢田綱吉の最期を」
D様の手に鎌が現れる。
そんなD様に炎真が地面を這いずって、足を掴んで止める。
「やめ…ろ…D…!」
「私のボンゴレは以後シモンなどという五流ファミリーに関わるつもりはない。触れるな!」
「ぐあ!」
炎真は蹴り飛ばされてしまった。
「……美香」
ーーーえ?
「……巻き込んでごめんなさい。
貴女をもっと…長生きさせたかったのだけれど」
私は走り出す。
そして鎌を振り上げるD様と、地面に倒れる綱吉くんの間に入って立ち塞がった。
そのまま無言で睨み付ける。
「……邪魔だ姫」
「退きません」
「困った姫だ…ならばこの場で私のものになってもらう。
クロームを操ったマインドコントロールで!」
D様の右目にスペードのマークが浮かび私の目を見つめた。
私はそれを正面から受けて立ち、目から侵入を感じる霧の気配を顔を歪ませつつも意識が奪われないよう自分を保ち
体の中に入ってくる何かを私は思いっきり弾き飛ばした。
「!?…なに…」
「……貴方には私のもの、何ひとつ奪わせない」
「私のマインドコントロールが効かない…?」
「D様、貴方は指輪が目的で…更に私を使ってジョットに復讐をしたいのですよね?」
「だったらどうした」
「いいでしょう。
私は戦えないから貴方に何も出来ません。ですが、命懸けで貴方に一矢報いてみせます。
綱吉くんを殺したら…指輪を捨てて私も死にます!!」
『!?』
「この体の子も理解してくれています。
さぁっ殺すなら私ごと!この場で斬り捨てなさい!!
それで貴方が欲しかったもの、成し遂げたかったもの全てが潰えます!」
「姫!そもそもⅠ世が血迷い始めた原因はお前だ!!
お前が傍にいるからⅠ世はお前や民を守ろうと力を求めていた!
だがお前がⅠ世を捨てたせいで奴は気力を落とし、平和路線などというふざけた道を歩み始めたのだ!!
Ⅰ世が変わってしまったのはお前のせいだ!!
エレナが死んだのはお前達のせいだ!!
何故急に消えた!何故Ⅰ世を捨てた!姫!!」
「ならば貴方が変わってしまったのはエレナ様のせいです!!」
「彼女を愚弄するな!!」
「貴方の理論です!違うとは言わせません!!」
「ぐ…この…!」
「それにジョットは元々私に関係なく平和路線に切り替える事を考えていました。
…捨てただなんて…っ私だってジョットから離れたくなんかなかった!
ずっと一緒にいたかった!ずっと傍にいたかった!
一緒に幸せになりたかった!!」
「そうだ!そうすればⅠ世は」
「許されないのよ!それが出来ないの!!
私と…この体の子はこの世界の人間じゃないっ
この星の人間じゃないから!!」
「……………」
「星に消されてしまう。私達はそういう運命なのよ…!
私は、それを知らなかった!!
知ってさえいれば、ジョットを愛したりなんかしなかった!!
けれどもう…何もかもが遅すぎた…っ」
「……………」
「さぁっ殺しなさい!
私達をこの世界から、そして秘宝の鍵もこの世界から消してあげます!
気にすることはありません。
どうせみんな、忘れるのですから…!!」
「…………良い覚悟です。姫。
その気高さも、Ⅰ世が愛したひとつ。
しかし不安要素でもあったのですよ。
貴女は何かと……自分を犠牲にしすぎる!」
鎌が再び振り上げられる。
「死ね!
Ⅰ世の末裔と、Ⅰ世の姫!!」
・NEXT
