継承式編
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炎真はブツブツと何かを呟きながらリングを使い、自身の周りに球体を生み出した。
それは炎真へと向かうツナの周りに浮くと惑星のように大きくなり
「が!」
ツナはその内のひとつに吸い込まれ勢いよく叩きつけられた。
もう一度飛んでみるがまた別の球体に叩き付けられる。
「くっ…真っ直ぐ飛べない!」
それでもツナは飛び続けた。
「吸い寄せられてんのか?」
「重力だな。エンマの能力はおそらく重力を自在に操るんだ。
あの球体は星のように重力を持ってるんだろーな」
「ツナ…」
手から放出させている炎の噴出力に強弱を付けることでツナはなんとかコツを掴み球体に叩き付けられないように飛んでいた。
しかしそれも束の間。球体が次々ヒビ割れ始め、あっという間に球体が潰れる。
その球体が潰れた場所には黒い丸い空間が幾つも出来ており
「星の重力…崩壊…っまさかブラックホール!?」
「だろーな。吸い込まれるとやべーぞ」
案の定ツナはブラックホールのひとつに吸い込まれかけていた。
炎の出力はおそらく最大。それでも着実に、少しずつブラックホールに引き寄せられていってるのが分かる。
あたしは不安で不安で…自分の胸元に拳を作り、その手をもう片方の手でぎゅっと握って固唾を呑む。
「なめるなよエンマ。この前のオレ達とは違うんだ。
ナッツ!!形態変化!!」
ナッツが部屋中に響くほど大きく吼える。
そしてツナのグローブに宿るように消えると、グローブの形が変わり炎圧が変わった。
ツナを吸い込もうとしていたブラックホールを引き離している。
「覚悟しろエンマ!!」
その出力のままブラックホールが浮かぶ空間を通り過ぎ、椅子に座っている炎真へと一直線に向かう。
だが炎真はそんなツナを妨害しようと辺りに散らばる細かな瓦礫を集め、団子のように丸めるとそれをツナ目掛けてものすごいスピードで飛ばす。
ツナはそれをガードしたが、次の攻撃は何かに気を取られたのか直撃してしまった。
ガードしたり、直撃したり、時には自分から当たりに行ったりと繰り返し
「エンマ!!」
炎真のすぐ近くまでやっと迫ると「うおお!!」と手を伸ばして胸ぐら掴んだ。
「オレだ!!目を覚ませエンマ!!」
バキ!とこちらにまで音が聞こえるほど炎真の頬を殴るツナ。
けれど炎真はまだ目が覚めないのかツナの頭上で瓦礫をまた集め始め
「ぐあ!!」
ツナはそれに気付いていたはずなのに避けること無く押し潰された。
「ツナ…!」
「な…なぜっス!」
「なぜ避けなかったんだツナ!」
ツナには何か考えがあるのか、押し潰されてもそこから脱出しようとはしない。
「聞こえるかエンマ!!
オレがいる!!ここにいるぞ!!」
叫び声のような、ツナの呼びかけ。
炎真はその声が聞こえてないのかツナを押し潰し続ける。
「(炎真…お願い…!)」
その時だった。
「………!!ツナくん!!」
久しぶりに聞いたような、炎真の声があたしの耳にも届いた。
炎真は頭を押さえしばらく何かを思い出すように呆然としてから
「……そんな。ツナくん…僕は…」
ツナを押さえつける瓦礫が消え、ツナは立ち上がる。
「エンマ!!正気に戻ったんだな!?」
「ぼ…僕は…」
「もういいんだ。…助けに来た」
「…ツナくんも…ボンゴレⅠ世のように裏切らなかったんだね…」
遠くから聞こえるツナと炎真の穏やかな声。
あたしは炎真が助かったのだと嬉しくなり
「えん…」
「待て!様子が変だっ」
身を乗り出したあたしを山本くんが制した。
「ツナくん…みんな…逃げて!!」
炎真はみるみる姿が変わり、まるでSFファンタジーに出てくる化け物のような姿になる。
それは炎真自身がブラックホールになったかのようで彼の中心には大きく黒い空間が出来上がって目の前のツナを吸い込もうとしていた。
「どうして…なに、あれ…!」
「力の制御が出来なくなっちまったのか…」
「ツナっ炎真!!」
ツナはなんとか吸い込まれないよう堪えている。
「逃げるんだ!!みんな殺してしまう!!」
「いいや助ける!!必ず!!」
ツナは両手を前に出した。
それを見て獄寺くんが驚き
「今までのX BURNERと構えが違う!
ま…まさか、両手撃ち!?」
「いくす…ばーなー…?」
ツナの新しい技だろうか?
あたしが知ってるのはリング争奪戦の時、XANXUSさんに使った零地点突破 改までだ。
装備が新調されていたり、新たな武器が追加されていたり…
当たり前だけど、あたしがいない所で彼等も時間が進んでいたのだと実感する。
ーーー感傷に浸ってる場合ではありませんよ。美香
「(分かってるわ)」
ちょっとだけ寂しく感じたけど、今はそれは置いておく。
「待ってろエンマ!!はああっ!!!」
巨大な炎の塊がツナから発射され、それは全てエンマのブラックホールに呑まれていく。
「うわああ!!」
悲鳴を上げて炎の塊に包まれていく炎真。
発射された巨大な炎の衝撃はあたし達がいる場所まで影響を及ぼし、山本くんがあたしの肩を抱き胸板に押し付けて吹き飛ばされないよう支えてくれる。
「なんつう凄まじさ!」
「エンマは耐えられるのか!?」
「絶対に助ける!!誇りに懸けて!!」
「目を閉じろ!爆発するぞ!!」
リボーンくんが叫び、あたし達は咄嗟に目を閉じた。
その瞬間瞼の向こうがカッ!と明るくなり
「山本っ獄寺!」
『おう!!』
山本くんのあたしの体を抱く力がより一層の入った。
「きゃああ!」
とてつもない爆風があたしの体に叩き付けられる。
山本くんに支えられているのにそれでも足が片足浮いてしまい、靴が飛ばされそうだ。
それでも彼がしっかり抱いてくれていたおかげで飛ばされずに済み、何とか浮いた足も地面に着地できた。
おそるおそる目を開けると山本くんと獄寺くんが炎でシールドを作っていたようだ。
そのおかげで爆風はいくらか和らぎ、細かな破片の雨を浴びることがなかった。
爆風が落ち着くと山本くんはあたしの体を離して
「大丈夫か?悪ィな…思ったより激しかったから力加減出来てなかったかもしれねぇ…痛かったか?」
「ううん。平気…ありがとう」
「そりゃ良かった」
「そんな事より10代目!!」
もうもうと立ち込める煙の中に人影が見えてあたし達はそこを目指して走る。
その人影はもぞりと動き
「いつつつっ…」
「ガウッ」
ひっくり返ってハイパーモードも解けているツナとナッツ。
「大丈夫かツナ!」
「う…うん。それよりエンマは?」
まだ白い煙に室内は覆われており炎真の姿が見えない。
それでも目を凝らして辺りを探す。
もう少し煙が落ち着いた頃、少し遠くでガラ…と瓦礫の音がし、人影も見えた。
その人影はゴホゴホとむせていて、煙が晴れると髪が逆立ってぐしゃぐしゃに乱れている炎真がいた。
「ガハハハ!エンマ寝癖だもんね!!」
と、ランボくんが指差して笑っている。
「え…?」
まだ状況が分かっておらず、髪がぐしゃぐしゃの炎真にツナはプッと吹き出した。
そして山本くんが「たしかに見事だな!」と笑う。
ナッツが嬉しそうに炎真に駆け寄って膝に甘え、ツナ達も炎真に駆け寄る。あたしもそれに続いて炎真の傍に行った。
「…ツナくん…
ごめん。僕達の勘違いで、こんなことに……」
「……いいんだ。エンマ達のせいじゃないよ」
「ああ」
「わりーのはD・スペードだ」
山本くんと獄寺くんがツナに同意した。
「……………ひとつ聞いていいかなツナくん」
「ん?」
「『誇りに懸けて』って言ってたけど、ツナくんの誇りって何なの?」
「ああ、なんだ。そのことか。
オレの誇り。それは…君だよ」
「!!」
「本当のこと言うとここに来てからもずっと分からなかったんだ。
誇りなんて今まで考えたことなかったし…
そんな立派なものを持ってる自信がなかったよ…
でもヒバリさんが譲れないものが誇りだって教えてくれて…
それだったら迷うことなく答えられるよ。
オレの誇りは仲間だし、友達だって!!」
「ツナくん……」
炎真は呆然とツナを見つめた後
「ありがとう…!」
そう、彼らしい優しい笑みでツナに笑いかけたのだった。
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