継承式編
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「よくもオレ達を騙しやがって!よくも紅葉を、らうじを…しとぴっちゃんを…アーデルを…!」
「薫くん…」
「その結果オレ達は…新しい仲間まで傷付けて…!」
「盗み聞きとは感心しませんねぇ
山本武を瀕死に追いやる以外にもお前にはまだ使い道があったというのに」
「!!山本をやったのって!」
「こいつだったのか!!」
綱吉くんと獄寺くんがそう叫んだ。
「黙れ!!オレ達シモンはてめぇのオモチャじゃねぇ!!」
「薫くん気を付けて下さい!!D様は幻覚…」
「ほう」
言い切る前に、D様は薫くんの背後に現れ腹部を槍で貫いた。
「ぐああ!!」
「私は大空の7属性の霧の能力だけでなく
大地の7属性、砂漠の能力も自由自在だ。
お前とは格が違うのですよ水野薫」
そう言いながら薫くんの背中を足で蹴って槍を引き抜いた。
薫くんはそのままうつ伏せで地面に倒れ、槍で貫かれたお腹から血を大量に流して地面を汚していく。
「薫くん!!」
私は彼に駆け寄り、怪我の様子を見て私の手には負えない出血の多さに絶望した。
「ダメ…このままじゃ」
「近付いてはなりません姫。
シモンの薄汚い血で貴女が汚れては大変です。
それよりも貴女も私に狙われている事を自覚した方が良い。
さぁ此方へ。私の知らない、Ⅰ世が遺したという後悔の秘宝の鍵を私の為に使って頂こう。
秘宝は丁度…沢田綱吉が持っているようですからね」
私に向かって手を伸ばしてくるD様に私は胸元に隠れている指輪を服の上から握りしめる。
綱吉くん達が駆け寄ろうとしたが、クロームちゃんが立ち塞がり、自身の命を人質に足止めしている。
「いや…D様やめて下さい…!」
「ヌフフ…Ⅰ世のものであった貴女を…今度は私が好きに出来る。
動いてはいけませんよ。逃げればそこにいる水野薫にトドメを刺します」
「だめ…」
「ぐぅ…デイモン!!」
薫くんが身を起こし、もう一度自身の武器をD様の体に突き刺した。
そして私を守るように腕を引いてD様から遠ざけてくれる。
「うるさい蝿だ」
「がは!ぐああ!!」
「いやぁ!」
今度は胸元を切り裂かれた。
「逃げて薫!!」
アーデルちゃんがそう叫ぶが彼は仰向けに倒れ、もう逃げられる余裕が無いことは私が一番分かっている。
D様は槍から鎌に変えてゆっくりと薫くんに歩み寄る。
「沢田綱吉の雨の守護者を楽に消すことが出来たのは感謝していますよ水野薫」
「く…くそぉ…」
「おやめくださいD様!!もう彼は動けません!!
これ以上の追撃は必要ないはずですっ」
D様と薫くんの間に割り込んで立ち塞がる。
そんな私にD様はフゥとため息をついて、肩をヒョイッと上げた後困った顔をし
「おやおや。困ったお転婆姫です。
貴女まで殺すわけにはいかないのですよ。
さぁ下がって。ボンゴレの姫がそのように声を荒らげるものではないですよ」
「あっ…!」
気付けば私の真後ろにもう一人のD様が立っており、私を後ろから羽交い締めするように体を拘束するとその場から無理やり立ち退かせた。
「ヌフフフ…Ⅰ世は今どんな気持ちでしょうね。
彼が心から大切にし、愛していた人を…今は私が好きにしている」
私の背後のD様がそう耳元で囁いて私の顎を掴むと顔の輪郭をなぞる様に撫でた。
「お楽しみはまた後で。まずは水野薫…」
鎌を持っているD様が薫くんの前に立った。
「オ…オレは…なんてことをしちまったんだ……」
山本くんへの後悔だろう。
そう呟く薫くんに
「さらばだ!!」
遂に鎌を振り下ろした!
「薫くん!!!」
ガキィッ!!
上がったのは薫くんの悲鳴ではなく、金属音。
そしてD様の前に一人の人影。
誰もが一瞬、言葉を失った。
「や…山本ォ!?」
「すまねぇツナ!出遅れちまった!!」
そう。D様が振り下ろした鎌を防いだのは山本くんだった。
「これは驚きましたねぇ。貴方は瀕死の重症を負ったはず」
「ハハハッオレの取り柄は元気だからな……よっ!」
ガキッと鎌を弾くとD様が退く。
その勢いで此方を見ると
「頭を下げてくれ!」
「っ!」
言われた通り頭を下げるとD様の顔に刀を突き入れた。
D様の体がサラサラと消えていき私の体が自由になる。
「カオル!それからあんたも大丈夫か!?」
「は…はいっ」
「な…なぜだ…なぜオレを助けた!?
オレはお前を殺そうとしたんだ!!なぜ助けた山本!!」
「……………何言ってんだよ。
本当に困ってる時に助けてやれるから友達なんじゃねーか」
山本くんの眩しい程の笑顔。
それを見て薫くんは涙を流した。
「山本……すまねぇ……!!」
「ハハッまかせとけって」
ーーー山本くんらしいわ。
「(本当に…)」
二人の様子を微笑ましく見守っていると、次に山本くんは私を見た。
「下がっててくれ。危ないからな。
カオルはオレがしっかり護るから安心してくれ」
「分かりました」
言われた通り私は薫くんよりも更に後ろに下がる。
守護者同士の戦いで影響が出る範囲は広いと知っているからだ。
「まったくもって信じられません。
まさか重症を負ったはずの山本武が目の前に立っているとは」
「とっくの昔に死んでるはずの、亡霊みたいなあんたが言えることかよ」
「幻覚というわけでもなさそうだ…」
「助けられたのさ。知り合いにな」
「…心当たりは見つかりませんが…まぁいいでしょう。
お前達を消す計画が少々狂いましたが、狂った計算はまた戻せばいい。自らの手で…!」
「面白ぇ!そうこなくっちゃな!!
ひさびさの実戦でワクワクしてるぜ!!
…丁度試したい物もあるしな」
彼はそういって上着のジッパーを下ろす。
首に掛けられていたのは刀の形をしたネックレスだった。
おそらく彼のVGだ。
「いくぜ次郎、小次郎!!」
一匹の犬と一羽の燕が現れる。
「形態変化」という言葉のあと、一羽と一匹は山本くんに宿った。
それは山本くんに戦いやすい服装と武器に変化させる。
「(二刀流と袴…!)」
「見掛け倒しでないことを願いますよ!!」
突っ込んできたD様に迎え撃つ山本くん。
しばらく武器の迫り合いをしていると
「後ろだ!!」
獄寺くんの声に山本くんがハッとする。
山本くんの背後に先程の槍の先端が地面から飛び出してきたのだ。
だが、それを山本くんが反応する前に…
「え……」
薫くんが身を呈して庇い、負傷している体にその槍を受けた。
「カオル!!」
「武…お前なら…避けられたかもしれねぇが…
オレ…お前によぉ…借りを返してぇんだ!!」
「バカヤロ!!」
そこに思わぬ横槍が入る。
「勝敗が決した」
それはまさかの復讐者だった。
鎖は薫くんに繋がれて、姿を現した復讐者へと引きずられていく。
「何をする復讐者!!薫はまだ何の誇りも懸けて戦っていない!!」
アーデルちゃんの言う通り、薫くんは山本くんと誇りを懸けた戦いをしていない。
「しかしこの男の『誇り』は折れている。
よって水野薫を敗者と認める」
「(なるほど…確かにもう、薫くんは山本くんと戦う気力は起こらないでしょう)」
「すまない…アーデル…」
薫くんは泣き続けながら
「オレはシモンを誇りに思い、シモンの為なら何でもする覚悟だった。
だがよぉ…優しくしてくれた友達を…
裏切るのは…もう、たくさんだ…
心がズキズキ痛てぇんだ…オレは犯した罪を償いてぇ…!
もうオレにボンゴレと戦う資格はない…許してくれ…」
「ヌフフ…どこまでもお荷物の約立たずでしたね水野薫。
ただ一つ救いなのはお前が負けたおかげで素晴らしいショーが見れる」
復讐者の手には破かれた書類があった。
「いよいよ次の記憶で何が見えるかはお分かりですよね?
私に嵌められて八つ裂きにされる…シモン=コザァートの最期だ!!」
そうして彼等は、再び過去へと誘われた。
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