継承式編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
雲雀くんとアーデルちゃんの戦いは鉄壁の氷の城の中に入った彼女と、それを守る彼女のブリザードロイド500体と戦うという形で進んでいた。
崖の上のから観戦していたのだが、ツナは雲雀くんの「見てて」という言葉に素直に従い
もっとよく観戦する為に崖下に降りたのであたし達もそれに続くことに。
滝の下に流れる川とその周辺の川辺全てを覆い尽くすような数のブリザードロイドを前に、雲雀くんはどこかのびのびと戦っているように見えた。
本当にストレスを発散させる為に、サンドバッグをひたすら殴り続けるかのように。
「この程度でのぼせ上がるな。
ブリザードロイドはあと493体。例え貴様といえど体力と兵器が必ず底をつく。
私に辿り着く事など絶対に不可能だ」
「不可能…?君は相手にしてしまったものの大きさにまだ気付いていないね。
僕の腕章を賭けてしまったことに、もっと覚悟をもった方がいい」
「……何?」
「『風紀』の二文字は何があっても譲らないよ。
でも、誇りだから譲らないんじゃない。
譲れないから…誇りなのさ」
雲雀くんはそう言うと氷の城にいるアーデルちゃんを見上げると
「待ってなよ。すぐに咬み殺してあげる」
その後も雲雀くんはブリザードロイドに対して圧倒的だった。
やっぱり彼は男女平等に容赦のない人に見えて女性にはちょっとだけ優しい人のようで
リボーンくんもあたしと同じ「加減しなくていい分伸び伸び戦ってようにすら見える」と言っていた。
自分の新兵器の使い心地を試すかのように、様々な武器を使用して黙々とブリザードロイドを壊していく。
やがて雲雀くんは「ひーふーみー」と数を数え始めて
「そろそろ頃合かな…」
欠伸すらしながらトンファーからチェーンを繰り出し、それはどんどん伸びていき残りのブリザードロイドを全て破壊した。
「ぜ…全滅…!」
「凄い…雲雀くん…やっぱり強い…」
雲雀くんの周りには破壊され尽くしたブリザードロイドの残骸。
彼は目の前の氷の城を見据え
「後は君とそれを覆う氷の贅肉を噛み砕くだけさ…」
「それは不可能だ。ダイヤモンドキャッスルは絶対に砕けない。
それだけではない!!」
アーデルちゃんの手が光ると、また水の中からブリザードロイド達が姿を現した。
「いいよ別に。戦力にカウントしてないから」
「……何故だ?何故貴様ほどの男が沢田綱吉などにつく」
「ついてなんていないさ。
君こそもう一匹の小動物につく意味あるの?」
「炎真は軟弱な小動物などではない。
シモンの悲しみを背負う強い男だ!」
「いいや小動物さ。
背負うなんて不釣り合いなことをしてるから悲鳴を上げている」
「く…確かに炎真は戦いを好みはしない!
炎真にとって仲間を失うことは何より辛いことだ!
だがあの子は戦わなければシモンに未来がないことを理解している!!
だからこそ自ら修羅の道を選択したのだ!!
私達はその気持ちを汲み、従うまでだ!!」
ブリザードロイド達が再び雲雀くんに向かっていく。
それを彼は適当に処理してから
「フッ…いくよ」
標的をダイヤモンドキャッスルに絞り、その氷面に次々トンファーで攻撃する。
ブリザードロイド達の処理もしつつ…全力で氷面を攻撃し続けるが、僅かに傷が入る程度。
「雲雀くん…息が上がってるわ」
「やべーな。ヒバリの体力が底をついちまう……」
「無駄だと言っはずだ雲雀恭弥。
貴様のトンファーなどではこのダイヤモンドキャッスルは壊せない!」
「いいや。君の氷の城を破壊するのは僕のトンファーではなく、この小動物のロールさ」
と、彼の手には一匹のハリネズミが乗っていた。
ハリネズミは「キュ♪」とご機嫌な様子で鳴く。
「(可愛い。撫でたい)」
「見せてあげるよ。小動物には、小動物の生き延び方があるってことを」
「何?」
「君の自慢のこの城は外からのどんな炎攻撃も弾くようだけど
内側からの攻撃には耐えられるのかな?」
「……なんだ?」
ピキン!と氷の一箇所にヒビが入った。
やがてそのヒビはあちこちに出来て広がり始める。
「球針態」
「クピイイ!!」
ロールが鳴くとヒビの入った所から針のついた球が次々大きくなり、増えていく。
「雲の増殖、膨張だ!」
という獄寺くんの叫びに彼は雲の守護者だった事を思い出す。
球体はどんどん膨らんで、そして増えていき氷の内側から城を破壊していく。
ガラガラと崩れ飛び散っていく氷の中からアーデルちゃんは飛び出し
「終わりだよ」
着地地点に待ち伏せていた雲雀くんがアーデルちゃんの顔にトンファーの先を押し当てていた。
トドメをささない所に、やはり彼の優しさを感じる。
「…そんな…」
アーデルちゃんは愕然としつつも、歯を食いしばって
「だが炎真は必ずやシモンを再興する。
ボンゴレについたことを後悔するだろう」
「僕はどちらにもついていない。僕のやりたいようにやるだけだ」
「まさに何ものにもとらわれることのない浮雲だな…
結局ボンゴレ大空の雲の守護者というわけか…」
「その言われ方嫌いだな…
でも、まぁ確かに…空があると雲は自由に浮いていられるけどね。
でもいずれ大空でさえ、咬み殺す」
そう言ってアーデルちゃんの腕章を破り取った。
「取ったよ」
これで勝敗は決まった。
「勝ったな」
「凄い雲雀くん…!」
「ちっ…なんか面白くねぇ」
雲雀くんは「いらない」とアーデルちゃんの腕章をポイ捨てしてからトコトコとあたしの前に来て
「ねぇ、やっぱり君イライラする」
「ええ…」
「何か勝手に僕のもの弄った記憶とかない?」
「そんな記憶はないけど…
あ、継承式の時はあたし炎真側にいたから無意識に敵視してるとか…?」
「バカにしてる?君なんか眼中に無いよ」
「はぁ…じゃあ…分からないわね…
具体的にどうイライラするのか分からないし…」
「……ある時から町に出ても無意識に何かを探すようになったんだ」
「……?」
「それが何か分からないし、探す理由も無い。
なのに無意識に探してしまっている。
それがどうしてなのか分からなくてイライラしてるんだ。
君を見ているとそれを知ってそうな気がして更にイライラする」
「……………」
「何か知らない?」
まさか……もしかして…………
「……知らないわ…ごめん…」
「………なら、いい」
プイッと彼はあたしから顔を背けた。
ーーー忘れてはいるけど、完全に忘れきってないって感じですね…明らかに…ハハハ
「(どういうこと…!?星はあたしに関する事ちゃんと消してないってこと!?
話を聞く限り、あたしにまた会ったから思い出したっていうより会う前から既に忘れきれてないって感じよ…!?)」
ーーー考えられるとすれば彼の性格でしょう。
アラウディ様と似ておられるし、もし性格も同じなのであれば…
誰からも干渉されたくない強い意志が、星からの自分の記憶の消去を拒んでいるのかもしれません。
誰からも奪わせない。記憶を消す消さないは自分が判断する。
彼ならそう言いそうではありませんか?
「(確かに雲雀くんなら言いそう…)」
ーーーけれどやはり…この星に住む生物として星の干渉からは抗えない。
だから僅かでも違和感という形で自分の中に残して抵抗しているのかもしれませんね。
「(万が一あたしの事を思い出すとしたら雲雀くんが一番最初かもしれないわね。
ツナや獄寺くんはそんな様子無いし…リボーンくんは何か怪しんでるみたいだけど)」
ーーー何にせよ早めに離れた方が良さそうですね。
どういう形で決着するかは分かりませんが…事態が落ち着き次第離れましょう。
まずはD様をなんとか…
「勝敗は決した」
復讐者が現れ、アーデルちゃんに複数の鎖を繋げた。
「戦いが終わったためジョットとコザァートより託された第四の『鍵』を授ける」
取り出されたのはインクの瓶。
それは光を放つと、ツナ達の額に灯って過去へと誘った…
・NEXT
