継承式編
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勝負はしとぴっちゃんが獄寺くんの風船をひとつ割って優勢。
それからしばらく戦闘が続いたかと思えば、急にしとぴっちゃんによるツナのダメダメ暴露大会が始まった。
どうやらしとぴっちゃんは、獄寺くんはツナの良い所…つまり一部ばかりを見て他の短所から目を逸らして崇拝してるのだと思っているらしい。
「目を覚まして獄寺くん」と言いながら
ツナのテストの点数が悪い事。
ツナが京子ちゃんを(事情があるようだが)ストーカーした上に、風で巡れたスカートをしっかり直視していた事。
運動は出来ないし、ツナのせいで試合が負けた事。
チワワが苦手な事。
全て洗いざらい暴露した。
「なんか…泣けてきた…」
獄寺くんとしとぴっちゃんの戦いなのに何故かツナが一番ダメージを受けている。
ーーーあははっジョットの子孫なのにそういう所はまるで似てないのですね!
あたしの中の人がおかしそうに笑い転げている。
獄寺くんを見ると、彼は深く深くため息をつきながら髪を掻き上げて
「そんだけか?」
ハッキリと、拍子抜けしたように言い切った。
あたしはそう言うだろうと思っていた為密かにニヤリと笑う。
「え…」
ツナは予想外だったようだ。
「お前の言う10代目のダメなとこってのは全部知ってるに決まってんだろ。
でも…だからどーした?そんなモン10代目のほんの一部にすぎねーよ。
オレが思う10代目がボンゴレの10代目たるすげー所と、何らカンケーねーし」
「ふふふっ」
獄寺くんの言葉、まるまるそのままあたしは同意出来てつい笑ってしまった。
「どういう…こと…?」
まだよく分かってないらしいツナ。
「これはあたしの持論なんだけど」
と、前置きしてから
「本当に好きなら相手の短所なんて些細なことよ。
寧ろ、それすら愛おしいものになるわ」
「え…」
「人間なんだから何かしら短所やダメな所なんて沢山あるわよ。
でも、それを上回る好きな気持ちや尊敬する気持ちがあれば
どんなにその短所やダメな所を並べられようと関係ないの。
だって、
「…………」
「綱吉くんは獄寺くんにとって最高のボスで、友達。
彼はきっとそう言いたいのよ」
照れたようにツナの頬が赤らんだ。
「オ…オレも…獄寺くんは頼りになる、最高の友達です…!」
「そう」
ニコリと笑うとツナも照れくさそうにしつつ笑った。
「貴女にも…いるんですか?そういう人…」
「そうね…正確には『いた』わ」
「いた?」
「事情があってお別れしたの」
「そんな…」
「そしてこれも事情があって『好き』だった気持ちを諦める事にしたの。
その方が相手にとって良いと思ったから」
「っ………」
ツナが京子ちゃんを好きでいて良かった。
それが本来の恋。
本来の、ツナのあるべき姿。
ツナの人生がちゃんと軌道修正されたようで良かった…
「事情は…分かりませんが…」
「ん?」
「オレはそんなの悲しいと思います…!
せっかく『好き』でいてくれたのに、それを諦められてしまうなんて…」
「綱吉くん…」
「出来るなら、好きでいてあげて下さい…!」
「……そうね。人としてはまだ好きよ。
それでも良いかしら?」
「は…はい!いいと思います!」
自分の事を言われてるのだと知らずに嬉しそうに笑うツナにあたしはクスッと笑う。
そして獄寺くんの戦闘を見ると、しとぴっちゃんの風船をひとつ割り佳境を迎えていた。
獄寺くんのまさに嵐のような怒涛の攻撃をしとぴっちゃんは全て交わしているものの、ひとつの要素を意識から欠落させていた。
それは獄寺くんが連れている瓜と呼んでいるネコ。
尻尾が導火線になっているようで、火が体に到達すると爆発するようだ。
しとぴっちゃんの背中に張り付いたその子は既に爆発寸前で
「果てな!」
獄寺くんの台詞と同時にネコは眩しく光って爆発した。
「えっ…ネ、ネコちゃんが!」
さすがに動物の爆発四散なんて冷静に見ていられなくて慌てるが
「あ…瓜なら大丈夫だと思います!多分…」
ツナがそう言うので大人しく見ていると、獄寺くんの肩に小人のように小さな何かが乗っている。
それは先程爆発したネコだった。
「あ…良かった」
「ね!……でもなんか小さいような」
しとぴっちゃんの風船は先程の爆発で割れてしまっていた。
つまり、今回の勝者は獄寺くんだ。
「やったぁ!勝った!凄いよ獄寺くん!!」
荷物とランボくんを持って獄寺くんに駆け寄る。
賞賛を送るツナに獄寺くんは嬉しそうに笑いながら「いえいえこれくらい!」と言っている。
「ちっちゃくなってる。可愛いっ」
獄寺くんの肩に乗りながら、何故か獄寺くんの頬にガリガリ爪立てるネコ。
「瓜大丈夫なの?」
「大丈夫です!
瓜ボムは瓜自らの炎を消費する為やるほどに体が縮小するんです。
3、4日すれば元に戻ると思います」
「へぇ…」
「獄寺くん、瓜ちゃん触って良い?」
「引っ掻かれてもしらねーぞ」
瓜ちゃんは嬉しそうに「にょんにょん」と鳴きながらあたしに撫でられ続けている。
「わぁっ可愛い」
「めっちゃ懐いてるーーー!!」
「なんでだ瓜!!」
そんな和やかな空気は束の間だった。
「勝敗は決した」
復讐者が姿を現し、しとぴっちゃんに多数の鎖を繋げていく。
「しとぴっちゃん…!」
「だ、ダメです!手を出したら貴女も危ないです!」
なんとか助け出せないかしとぴっちゃんに駆け寄ろうとするがツナに肩を掴まれ引き止められてしまった。
「ではこれよりジョットとコザァートより預かった第三の鍵を授ける」
復讐者が取り出したのは一通の手紙だった。
彼等はまた、プリーモとコザァートの過去を見る事になる。
対象外のあたしは彼等が何を見ているのか分からない。
やがて過去を見終わったらしいツナが顔を上げ
「この後シモンが向かう戦いって…
四方を敵に囲まれてシモンファミリーが壊滅するあの戦いのこと…?」
ーーーどうやら私の知らない出来事…つまり私がいなくなった以降の話のようです。
これ以降は綱吉くん達にどんな内容かを聞いた方が良いでしょう。
「(後で聞いてみるわ)」
復讐者に鎖で繋がれたしとぴっちゃんが言う。
「初代シモンはボンゴレⅠ世の為に戦って、裏切られて殺されたでしょ?
だから私は自分の為に生きるって決めたんだよ。
人と違うことをするといっぱいイジメられて最初はつらかったけど
しばらくすると周りは気にならなくなって自分は正しいと確信したの。
だけどボンゴレ10代目の為に戦う獄寺くんに負けちゃった…どうして?
どう考えたらいいのかな?」
「SHITT・P!…」
「SOKKA!!分かった!!
獄寺くんは特別変わった生き物なんだね。
学名"ぬくぬくしたUMA"」
「のわ!?UMAだ!?」
「UMAだと思ってた人にUMA扱いされてるーーー!!」
「でもあながち間違ってないわよ。
UMAからすればこっちがUMAなんだし。
しとぴっちゃんはUMAじゃないけど」
こんな状況なのに少し笑ってしまった。
「もっと私…獄寺くんのこと知りたかったな…
はじめて自分と同じくらい興味のある他人を見つけたのに…
イヤだな。お別れ…もっと早く獄寺くんを発見すれば良かった…」
しとぴっちゃんは泣いていた。
しとぴっちゃんが泣いてる所、あたしは初めて見た。
「いや…しとぴっちゃん…!」
「この戦いが終わったら、お兄さんと一緒に君達も助けにいくよ」
「…………!」
驚いて、そう発言した…ツナを見る。
彼は無意識だったようだ。すぐにハッとし「あっ」と声をもらした後焦りながら付け足すように
「だっ…だって…なんかしっくりこないんだ!
戦えば戦うほど君達がこの戦いの犠牲になることが…!
それにっこの戦いの裏には」
「余計なお世話だ!!」
辺りに響くほどの絶叫。
「つかまれしとぴっちゃん!!」
その声はしとぴっちゃんを救おうとワイヤーのような物を伸ばし、彼女の腕を捉えるが
「何人も投獄の邪魔はさせない」
それを復讐者が容赦なく切り落とした。
「…やっぱり優しいな…
私…シモンファミリーで良かったよ…ボス…バイバイ」
そうしてしとぴっちゃんは投獄され復讐者に連れ去られた。
「しとぴっちゃん……紅葉にらうじ…
そして僕の…大事な…みんなお前達のせいで!!」
ひとつの家屋の屋根に人影が。
それの人は涙を流し、目に憎しみを炎のように宿してツナ達を睨み付けている。
怒りを爆発させるように自身の能力を解放させ、家屋を壊し、その瓦礫を自身の周りに無数に浮かせ叫んだ。
「沢田綱吉!!今ここでお前を倒す!!」
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