継承式編
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「炎真…そっか、動けないのは…炎真の力のせいだったのね」
「ごめん。どうしても二人だけになりたくて」
あたしに向けられていた炎真の右手が下ろされると体に感じていた重さはフッと無くなった。
あたしの傍に来てしゃがむと
「かなり軽く押さえつける感じにしたんだけど…大丈夫?
痛い所とかないかな…?」
「大丈夫よ…」
体を起こして炎真と向き合う。
「それで…何の用?」
「………戻ってきて欲しいんだ。
やっぱり美香がボンゴレ側にいるの納得出来ない。
紅葉がボンゴレのせいで復讐者の牢獄に捕らわれるのを目の前で見たんだよね?
万が一美香まで巻き込まれたら…」
「あたしの話を聞いてくれる気になったってこと?」
「……………」
「ならあたしはツナ達から離れたくないわ」
「………僕はツナくん達の言葉は、確かにもう聞く気は無い。
けど美香は違う。
美香は僕達を傷付けたり、悲しませたり、苦しませたりしなかった。大切な僕達の仲間だ。
…それに…僕の好きな人だから…話は聞きたい。
…ジュリーと何を話したの?」
毎度炎真の『好きな人』という言葉にドキリとする。
それでも気を取り直し
「……そう。炎真がツナ達を信じられないのなら…分かったわ。
過去の積み重ねやきっかけでそうなってしまったのなら仕方ないもの。
…でも、あたしは信じて。あたしは炎真やみんなを傷付けるような事はしない。
それに…あたしは今はツナ達側にいるけど、別にボンゴレ側だけに味方してるってわけじゃないのよ。
ボンゴレとシモン…両方とも分かりあって欲しいだけ」
「…………」
「聞いて炎真。ジュリーくんはDなの。
意識を乗っ取られてるか…もう体全てを乗っ取られてるのよ。
それでシモンを影で操って、温和な思想のツナはボンゴレに必要ないと殺そうとしてる。
Dは貴方達シモンを助ける気はなくて、ただボンゴレの為に…自分が相応しいと思う人をボンゴレのボスにしたいが為に動いてるの!」
「……ジュリーが…Dに…?」
「そう。だからこの戦いは間違ってるのよ。
貴方達の敵はボンゴレじゃない。Dなの!」
「…………分かった。明日ジュリーに話を聞いてみる」
話を聞く。か…
ーーー炎真ぁ!そういうとこだぞ!!
「(決め付けてジュリーくんに強気に出れないってことは、まだ信じきれてはないようね…
やっぱり長年の仲間を急に疑うなんて出来ないわよね)」
ーーー正直そんな悠長な事をしていたらD様に隙を与えるだけだと思うのですが…
「さぁ…帰ろう美香。
これ以上薄汚いボンゴレの傍に居て欲しくないんだ」
「行けない。だって炎真はまだあたしの事完全に信じてくれてないもの。
炎真があたしの事信じてくれたら戻る」
「そんな…」
「あたしは今炎真の恋心を利用するっていう卑怯な手を使ってるんだもの。
幾らでも困らせるわ。信じてくれるまで」
「…………逆に美香はどうしてそこまでツナくんを信じられるの?
僕の助けを求める手をツナくんは無視したの、美香も知ってるじゃないか」
「あたし、それは絶対何か食い違いがあったと思ってるわ」
「…そこまでツナくんを信じてるんだね…
もしかして、ツナくんの事好きなの?」
「っ………え、それは…
ていうかっ今そんな話してる場合じゃ」
「ふぅん…そうなんだ…」
「ツナにはそもそも好きな人が…!」
「否定はしないんだ」
「だからっその…す…好きだったわよ!
好きだったけど、さっき言った通りツナには好きな人がいるから…諦めたの…!
それにツナを信じられる理由は『好き』だけじゃないわ!
あたしの指輪目当てで狙ってくる奴らから何度もツナが助けてくれたし…信じられるって思ってるから…!」
「それこそボンゴレが指輪目当てで助けてるだけかもしれないじゃないか」
「………やっぱり炎真、あたしの事信じてくれてないじゃない」
「あ……違う!僕は美香は信じてるけど…!」
「もう帰って。ジュリーくんとはちゃんと話してね」
「美香……っごめん」
あたしを連れ戻す事は無理だと判断したらしい炎真は顔を俯かせて立ち上がる。
そのまま自分が出てきた森の方へと入っていき、暗闇に姿を消したのだった。
炎真が去っていってすぐツナ達を探したけど見つけられなかった。
仕方ないので大人しく待っているとツナ達が戻って来たので話を聞いた。
どうやらランボくんはらうじくんに誘われる形で落とし穴に落ちて、探していたツナ達も落とし穴に落ちたらしい。
その穴はすぐに塞がれてしまった為出遅れたあたしは見つけられなかったみたいだ。
ランボくんとらうじくんの勝負は10年バズーカに当たったランボくんの勝利で、プリーモと初代シモンの記憶も見れたようだ。
ーーー自警団を創立するきっかけですか。
私もその場にいましたが…やはり私の存在は消されているようですね。
「(そうなんだ…)」
ーーー私は星に存在を消された身ですから。仕方ありません。
「(星に消された…そっか。貴女も…)」
「あの…一人にしてすみませんでした。
それからその…貴女の仲間…も…」
何も悪くないのにツナが心から申し訳無さそうに俯いて謝ってくる。
「…気にしないで。
これが炎真が選んだ事、望んだ事なんだし…
それにきみだって、仲間がやられてるんでしょ?
了平くんだけじゃなくて…」
「……………」
「あと、変に疑われたくないから話しておきます。
きみ達がいなくなった後、炎真が来たわ」
「え!?」
「戻ってきて欲しいって言われた。
でも、彼はもう疑心暗鬼になってしまってて…最近知り合った程度のあたしの言葉じゃすぐに信じられないみたい。
だから『信じてくれないから戻りません』って断ったの」
「最近知り合った…?」
「エンマとの付き合いはそこまで長くねーのか」
「そうよ。事情があってあたしには帰る所がないの。
だから野営して…その結果風邪ひいて動けないでいた所を彼が見つけて助けて
そのままシモンファミリーに迎え入れてくれたのよ」
「野営って…!この時期に無茶するなぁ…!
でも、昨日…エンマは貴女のことが…その…すっ…好きだ…って…」
「そうみたいね。
だけどあたし自身まだ分からないの。
炎真は確かにかっこよくて優しすぎる、とても良い人。
好きだって言われたらドキドキするし…きっと幸せにしてくれるとも思ってる。
気持ちも凄く嬉しいけど、まだ…そんな気にはなれなくて…
なのに信じてほしいからって炎真の気持ちを利用してるのよ。卑怯でしょう?」
「そっそんな事は」
「逆になんでツナの事はそこまで信じられるんだ?」
と、リボーンくんがあたしを見上げながら聞いてきた。
「そうですよ!なんでオレのことは信じてくれたんですか?」
「…知ってるから」
「え?」
「あたしは…今回の黒幕を知ってるの。
この戦いは仕組まれたもので、シモンは利用されてるだけだって…
そして狙われてるのはきみだってことも」
あたしからの視線を受けてツナはキョトンとする。
そして理解したのか
「え゛え゛ーーー!?オレ!?」
「な…どこで入手したんだそんな情報!
10代目が狙われてるだなんて!!」
「詳しい事は話せません」
「ああ!?ふざけんな!
10代目の命の危機だってのに話せねぇだあ!?」
「話せませんが確かなんです!
敵は温和な思想の彼をボンゴレに相応しくないと勝手に決めて、危険因子だと殺そうとしてるんです!
でもシモンはその黒幕に既に仕込まれていてあたしが何を言っても信じてくれない。
だったら、せめてあたしが伝えたくて…!」
「信じられるかそんなの!情報源も話せねー情報なんて」
「っオレは信じるよ!」
身を乗り出してツナはあたしにそう言った。
「オレを信じてくれたように、オレも貴女を信じます!」
「10代目…」
「それに…何故か貴女は信じられる気がして…」
「…………ありがとう。
あたし、シモンからも…きみ達からも信じてもらえない覚悟だったから…嬉しい」
「オレこそ。一人になる覚悟をしてまでオレに伝えてくれてありがとうございます。
絶対にエンマ達を助けてみせます。
だから教えてくれませんか?その黒幕の名前を」
「……あまりにも突拍子も無くて信じられないと思うけど…」
「大丈夫。信じます」
「……敵の名前はD・スペード。
初代ボンゴレファミリーの霧の守護者よ」
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