継承式編
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後悔や悩みをかかえながらもツナは前に進んでいた。
了平くんがいなくなってしまった事を自分のせいだと、仲間を助けに来たのにそれを失ってしまって
一体何のために島に来たのか分からなくなってしまったようだ。
でも、リボーンくんのおかげで一時的に迷いは晴れたようだが…
「(了平くんが羨ましいわ…)」
ツナに大切にされてる。仲間として、友達として。
ツナはもうあたしの事は知らないから…
それを望んだのもあたしだから…仕方ない。
「(未練たらしいったらないわ…)」
ーーーボンゴレとシモンの戦いが終わったら、また離れるつもりなのでしょう?
「(そうね。仲直りしてくれたら、あたしはもう一緒にいられない。
何がきっかけでツナがあたしの事思い出すか分からないから…本当は一秒でも早く離れたいんだけど…
そもそも思い出す可能性ってあるのかしら?)」
ーーーどうでしょうか…D様は私の事思い出してましたし…
というか私もボンゴレの皆さんの事を思い出しました。
おそらく、死んだら思い出せるのでしょう。
そうなると死ぬまでは忘れたまま…なのかもしれませんね。
「(という事はツナ達はもうあたしを思い出す事はないのか…
それなら、この島にいる間は大丈夫そうね。
後はなるべく早い内に炎真達の人生がこれ以上変わる前に軌道修正させないと)」
ーーー次は山ですっけ?
この登山はその予行練習のつもりです?
「(そんなつもりは無かったんだけどなぁ…)」
ーーーもうどうせ思い出す事がないのでしたら、せめて名乗ってあげてはどうですか?
綱吉くん見てると声をかけづらそうにしてますし。
「(あたしが辛いから…やだ)」
礼儀正しいツナなら、もう呼び捨てで呼んでくれないって知ってるもの。
「(こんなに辛いならツナ達と出会わなければ良かったわ…)」
ーーー美香…
やがてあたし達は階段を登った先にある少し広い平坦な踊り場に辿り着く。
階段はまだまだ続いてそうだが、振り返ると太陽は海に沈もうとしていた。
リボーンくんも夕日を見てから
「日が暮れそうだな。
今日はここらで野宿するしかねーな」
「えーーーー!?ここで〜!?
めっさ虫が出そうなんだけど!!」
「大丈夫っスよ10代目!!
虫除けドッサリ持ってきました!!」
どうやら彼等はここで野宿をするようだ。
「火を起こすための薪が必要っスね。
オレその辺で拾ってきます!10代目は休んでて下さい!」
「あ…ありがとう獄寺くん。
じゃあオレは…あ、貴女は休んでて下さい!オレ達が色々…」
「あたしは離れた所で休んでます」
「え?」
「あたしは戦えないと知ってても…やっぱり警戒はするでしょう?
それじゃゆっくり休めません。
だから離れてますので、しっかり体を休めて下さい。…それじゃあ」
「え…ちょっ…待って下さい!」
背を向けるあたしの腕をツナがガシッと掴んだ。
「あっごめんなさい!」
そしてすぐに手を離す。
「オレ、別に気にしません!
それにこんな何がいるか分からない山の中に女の子たった一人なんて…
そっちの方が心配でゆっくり出来ませんよ!」
「でも」
「大丈夫です。獄寺くんならオレが何とか言っておきますから…
それより貴女の方がヘロヘロじゃないですか。
座ってゆっくり休んでて下さい。
本当は椅子とかあれば良かったんですが…」
「それこそ気にしないで」
「あの…今だから言えるんですが
オレ、あの時エンマ達に『この戦いは間違ってる』って言ってくれて嬉しかったんです。
オレもずっとこの戦いは何か違う気がして…本当は…戦いたくなくて…
だから、シモンの人の一人でも同じ事を考えてくれてる人がいてなんか安心しました。
だから…ええっと…オレ何を言ってるのか分からなくなってきた…!
そのっだからっオレ、貴女は別に敵とか思ってないのでっ気にせず一緒にいて下さい!!」
「…………」
「そっそれじゃオレ…何か食べられそうなもの探してきます!
携帯食はありますけど節約すべきと思いますので!」
と、ツナは何故か頬を赤らめてダッシュで森の中に入っていった。
その場に残されたのはあたしとリボーンくん。
「…とりあえず座ったらどうだ?
実際この中で誰よりも体力消耗してるだろ?」
「………そうですね」
という訳で、あたしは大人しくその場に座って彼等を待つ事にしたのだった。
「……なんでだ?……なんで……」
綱吉は手近な木の幹に手を置き、俯いてもう片方の手を自分の胸に添えそのままグシャリとシャツを握りしめる。
「なんで…オレ、泣いてるんだ…?
ただ、あの人の背中を見ただけなのに…なんで…」
締め付けられ、そして引き裂かれるような胸の痛み。
大きな何かを失ったような身に覚えのない激しい喪失感。
ただひたすらに苦しくて切なくて悲しくて…
綱吉はその正体が分からないまま、静かに泣いた…
寝袋を忘れていたサバイバルとやらを完全に舐めてるあたしはツナ達の好意で本来なら了平くんが使うはずだった寝袋とそのほかの装備や食料を分けてもらえた。
別に舐めてるんじゃなくて単に考えが足りなくて……
前に炎真達と来た時はこんなに時間掛からなかったから…!
寝袋にくるまって既に休んでいる三人を背にあたしは自己嫌悪に陥っている。
「(うう…あたしのバカ…)」
ーーーまぁまぁ。炎真と喧嘩してシモンから家出したようなものですから…
それにアジトがあるから寝袋があったとも考えにくいですしね。
「(おかげでDの事話すタイミング逃しちゃったわ)」
ーーー朝起きたら話してみましょう。貴女もゆっくり休みなさい。
「(そうね…それじゃあ、おやすみ…)」
そのまま眠りにつこうと目を閉じ、少しうとうととしだした頃だった。
「あっおいランボ?」
遠くなる意識の向こうからツナの声が聞こえた。
そして
「ああ!」
「どうしたんスか10代目!」
「ランボが!」
どうやらなにかあったらしい。
寝袋から出て目を擦りながら振り返るとツナと獄寺くんは草むらの中へと入っていっており、リボーンくんが少し遅れてその後を追っていた。
「……ランボくんがいなくなっちゃったのかしら…」
あたしも追いかけようと立ち上がろうとした時
「っ………!?」
体が動かなかった。
まるで体に重い物を乗せられているかのように座り込んだ状態から体が動かせず、指の一本の地面から離すことが出来ない。
まるで金縛りのようだが
「………え…?」
声は出る。金縛りではないようだ。
ーーー金縛りではなく幽霊が直接…?
「(やめてよちょっと!)」
その時あたしが顔を向けていたツナ達が去っていった方向とは逆の方向からガサリと音がする。
体を何かに押さえつけられたままあたしはガサガサと近付いてくる音に恐怖でドキドキとしながらその方向を凝視した。
そして森の中から現れたのは
「迎えに来たよ。美香」
「………!」
炎真があたしに向かって右手を向けた状態で姿を現した。
・NEXT
