継承式編
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ーーー正直、もう炎真達に対する対策は無理でしょう。
綱吉くんと彼等の衝突は避けられません。
「ツナ達はもうあたしの記憶がない。
あたしがツナに真実を告げても信じてくれないか…
信じてくれても、そしてそれをツナが炎真に伝えても、もう炎真達は耳を貸す事はないでしょうね…」
ーーーもういっそ彼等はこのまま喧嘩させましょう。
「喧嘩って…殺し合いなのよ!?」
ーーー男の子ってなんかそういうものです。
急にめちゃくちゃ激しい喧嘩を始めたと思ったら、その後めちゃくちゃ仲良くなってるんです。
心配した気持ちを返してほしいってくらいに、喧嘩なんて無かったと言わんばかりに仲直りしてます。
「はぁ…」
ーーー綱吉くんと炎真はジョットとコザァートの子孫です。
私は彼等を信じます。
なんだかんだ仲直りすると私は思っています。
炎真のわからず屋!もう綱吉くんにボコボコにされちゃえ!ぐらいの気持ちで見守っていましょう。
「そ…そう…」
ーーーそれよりもD様です。
私の予想ですが、炎真と綱吉くん…どっちが勝ってもどちらかはD様に殺されてしまうと思います。
「!?」
ーーーD様の狙いは綱吉くんの命と同時にシモンファミリーの壊滅…つまり共倒れを狙っているのです。
シモンファミリーは綱吉くん達の思想とよく似ています。
考え方が同じですから、D様の望むボンゴレにシモンファミリーは悪影響なのでしょう。
私達が対策すべきは、やはりD様だと思います。
「でもどうやって…相手は初代ボンゴレの守護者の一人なのに」
ーーーそうですね…私達はただの普通の人。戦う以前の問題です。
なのでボンゴレとシモンどちらかに加担し、いずれD様と戦うであろう陣営をサポートしてあげましょう。
「サポートって…何が出来るかしら」
ーーー出来る限り休む時間を多く取れるように立ち回ってあげたり、怪我をしたなら手当てをしてあげたりすることぐらいしかないでしょうね…
それだけでも、ほんの少しだけでも力にはなれるはずです。
「………本当になにも出来ないね。あたし達って」
ーーーそうですね…
私はD様のマインドコントロールに備えます。
何かの行動が煩わしいと思った時、きっと彼なら私達を大人しくさせる為マインドコントロールをしてくるでしょう。
「防ぐ事が出来るの?」
ーーーええ。以前、私は眠ってたのですが…なんか急に窮屈になって鬱陶しかったので弾き飛ばしたら防げました。
「それってまさか骸くんの契約のことじゃ」
ーーーそれで…美香はどちらの陣営につきますか?
ボンゴレ?それとも、シモンですか?
「…………あたしは…」
継承式当日。
ボンゴレの継承式というのもあってそれはそれは壮大だった。
城をひとつ貸し切っての式。
集まっている人達も大勢いて、会場である城の部屋でも埋め尽くされるように感じる。
あたしはシモンファミリーのみんなと一緒にスーツを着て会場に来ていた。
「炎真…ごめん。あたし人混み苦手だから先に会場に入っておくわ」
「分かった。気を付けてね。
一応招待状渡しておくから何か因縁つけられたら見せるといいよ」
と、炎真が持っていた招待状を差し出してきた。
あたしはそれを受け取り
「ありがとう。炎真はツナに挨拶に行くのよね?」
「一応ね…」
「なら会場で待ってるわね。
アーデルちゃん達もまた後で」
「ええ、また後で会いましょう」
そう言ってあたしは炎真達と分かれ先に会場に入った。
会場はまだ人は疎らで殆どの人が外のテーブルで立食を楽しんでいるようだ。
あたしは一人バルコニーに出て眼下に広がる立食パーティーの様子を眺め
ーーー今日の継承式…炎真達は何も教えてくれませんでしたが…絶対何かする気ですね。
「あたしもそう思うわ。だからと言ってあたしは何も出来ないけど」
ーーー何も分からない以上…手を打つことは出来ませんからね…
「もう炎真とツナの戦いはあたし達じゃどうしようも出来ないって諦めたから仕方ないわ。
それよりもあたし達が出来ることをする。
僅かでもDの野望の邪魔が出来たら…それでいい」
立食パーティーにいた人達が城の中へどんどん入っていく。
振り返ると会場も人が増え始めており、炎真達も入ってきた。
炎真はバルコニーにいるあたしに気付くとニコリと笑って手招きをしてくる。
バルコニーから会場に入り炎真に駆け寄ると
「僕から絶対離れないでね、美香」
「え…」
「危ないから」
そして継承式は始まった。
会場の中心にはツナとその守護者達が並んで立っている。
そんなツナ達の前に、おそらく先代であろう高齢の男性が渡されたひとつの箱をツナの前に差し出す。
「受け継いでもらうよ。X世」
箱の蓋が開けられる。中には小瓶が入っていた。
「美香」
「え?」
「耳を塞いで」
「…?」
「早く」
炎真に言われた通り両耳を塞いだ。
キィィイイイィイイイ!!
「うっ………くぅ…!」
突然耳鳴りのような音が会場中に鳴り響く
それは反響するように何度も何度も繰り返し、終わる事はない。
両耳を塞いでいるのに音のせいで立っていられない程頭がクラクラとする。
そして次に会場のあちこちで爆発が起こった。
壁に容赦なく穴を開け、爆風で人々を吹き飛ばす。
更に煙幕が撒かれ煙で視界が悪くなった所をあたしは炎真に抱き抱えられ何処かへ走って連れて行かれた。
連れてこられた部屋は会場のすぐ隣。
頑丈な扉を難無く解錠しておりあっさり中に入ると、既に炎真のファミリー達が集結していた。
床には護衛であったのだろう人達が倒れている。
炎真がまだ先程の耳鳴りで本調子ではないあたしを抱いたまま
「始めるよ」
『はあああああ!!!』
みんなはそれぞれの武器を構え、炎を灯して目の前にある大きな金庫に一斉に攻撃した!
バキィン!!
金庫の一部があっさりと破られる。
そこから更に砕いていき、人が入れる程の大きさになった所で攻撃は止まった。
部屋の外はまだ騒いでいるからか、この部屋の音に気付かれていない。
炎真はあたしを抱いたまま開かれた穴に入って、みんなはそれに続いて入る。
金庫の中にあったのは先程会場で見た箱と同じ箱…ひとつだけ。
アーデルちゃんはその箱を手に取ると、炎真はあたしを下ろしてアーデルちゃんの前に立ち
「炎真…我々シモンファミリーのボス」
「…………」
「これは 貴方のものよ」
箱を開けると中にはひとつの小瓶。
その小瓶には赤い液体が入っていた。
「初代シモンの血…『罪』。
これが無ければシモンリングは覚醒出来ない」
炎真が箱の中の『罪』を手にした時、部屋の中にバタバタと人が集まってくる音がした。
「結局集まってきたな」
「いいよ。今更集まったって遅いから」
炎真は淡々と、興味無さそうに言いながら
それよりもスーツが鬱陶しいと言わんばかりに脱いでいく。
下にはいつもの至門中学の学生服を着ていた。
皆も炎真に倣ってスーツを脱ぎ捨てた。
「そこにいるのは何者だ!!」
外にいる人の叫び声。
「アーデル」
「分かっている」
アーデルちゃんは炎真の合図で武器である金属製の扇子に自身の炎を宿して金庫を全て粉々に壊した。
破壊した故に生じたもうもうとする煙の中で炎真が冷たい口調で声を上げる。
「7属性の炎で守るなど『罪』の場所を教えているようなもの」
煙が晴れて、目の前には高齢の男性とそれを取り囲む男性達。
そしてツナとツナの守護者達。
「『罪』は返してもらうよ。
この血は僕らシモンファミリーのものだから」
そうしてツナ達に見せたのは、先程手にした『罪』と呼ばれる小瓶だった。
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