継承式編
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「なになに〜?どったの美香ちゃん?
二人きりになりたいだなんて〜
遂にオレちんとデートする気になった?
あっそれとも炎真じゃなくてオレに惚れちゃったとか〜?
いやぁーオレって男前だからさぁ〜」
ジュリーくんはあっさりあたしと二人きりになってくれた。
話は誰にも聞かれたくなかった為、みんなが出掛けている時間。
並盛に来てからクロームちゃんのストーカーが日課となった彼を民宿に引き止め時間をもらったのだ。
ーーー変わります。美香
そして私は意識を浮上させた。
私はジッとジュリーくんを見つめると
「お久しぶりですD様」
「………………は?」
「私は貴方を覚えていますが、貴方は私を覚えていないでしょう。
なので手っ取り早く貴方を知ってる者だと分からせる為に良い話を聞かせてあげましょう」
「えっなに?美香ちゃんどうし…」
「懐かしいですねD様。
その昔アラウディ様と喧嘩になって、その喧嘩が他の守護者の皆さんも巻き込む程の規模になりましたね。
会議室がボロボロになって見守っていたジョットが呆然としていたのが印象的でした。
その喧嘩の原因…よーく覚えております。
確か犬派か猫派の多数決で……」
「ヌフフフ…そうか…貴女は……」
案の定D様はジュリーくんの体を変化させ、その姿を現した。
「驚きましたよ。まさか貴女までこの時代に生きているとは」
「死んではいます。生きているのは『この子』です」
「お久しぶりです。ボンゴレの…いえ、プリーモの姫。
再びお会い出来て光栄ですよ」
元貴族である彼は慣れた様子で片膝をつき、私の手を取って甲にキスをした。
「覚えているのですね。私を」
「ヌフフ…肉体的な意味ですが一度は死んだ身。
生きていた頃は貴女の存在はすっかり忘れていましたよ。
急に姿を消したプリーモの姫。
愛する者を突然失い、プリーモがどれだけ嘆き悲しんだか貴女は知る由もないでしょう」
「私の話は良いのです。
それよりも説明して下さい。
D様はジョットとコザァートの仲を…ボンゴレとシモンの仲をご存知だったはずです。
それなのに何故…シモンにはジョットが裏切り者だと伝わっているのですか?
貴方はジョットの考えに共感し、力になってくださった守護者ではありませんか…!
エレナ様もそんな貴方を愛していたはず…!
幸せそうにしていたのに、何故!」
「そうか…貴女は知りませんでしたね。
では聞かせてあげましょう。我が愛しのエレナの悲惨な最期を」
「っ!?」
D様の手が伸びて私の顔をガシッと掴む。
そのままグイッと顎を持ち上げて無理やり目を合わせてきた。
「貴女のジョットに殺されたも同然の…愛しいエレナの最期を!」
「な………」
「貴女のジョットはボンゴレは戦争屋でも独裁者でも無いと言い、まだ敵対勢力がいるにも関わらず戦力を減らして平和路線に切り替えたのです…!」
「く……彼……らしいわ…!」
「ヌフフ…相変わらず気の強い姫だ。
…だがジョットが戦力を減らしたせいで、手薄になった私の管轄の縄張りを攻撃され
その攻撃によりエレナは死んだのです!!」
「!?」
「平和を、民を何よりも愛していたエレナが何故殺されなければならない!!
血迷ったプリーモの考えをしっかり正せなかった私にも責任はある。
だがボンゴレのボスとして誤った判断をし、私からエレナを奪ったのも事実!!」
「D様……っ」
「その時から私は決意したのです。
誰もが名前を聞いただけで震え上がり、誰も逆らえない強大なマフィアにする事を。
それで無駄な争いは無くなり、弱き者が助かる。
『友達の為に戦う』等という軟弱な考えはボンゴレには必要ない!」
「っ!!
おかしいと思ってました。
何故わざわざコザァートの子孫とジョットの子孫を恨み、啀み合わせるよう仕向けているのか。
貴方の狙いはシモンではなく綱吉くんですね!?」
「そうです!沢田綱吉…奴はボンゴレにとって危険な人物!!
プリーモの血を濃く受け継いだ、軟弱な精神をボンゴレに持ち込もうとしている危険因子だ!
ボンゴレは常に強くなくてはならない!!
即刻芽を摘むべきだ!!」
ギリ…と私の顔を掴む手に力が入る。
「貴女には感謝しています姫…
貴女が現れてくれたおかげでコザァートの子孫が貴女に恋をし、より深いボンゴレへの恨みと敵意を刻みつける事が出来ました。
もはやもう彼を止めるすべはありません。
子孫まで貴女に恋をするとは…やはり血は争えませんね」
「彼が恋してるのは私ではありません」
「もちろん知っております。
その体の娘……貴女の子孫なのでしょう?」
「っ」
「コザァートの子孫が貴女の子孫に恋をする。
ほら。血は争えない」
「な…コザァートと私はただの友人で…」
「罪深い方だ。死んでも尚、コザァートの気持ちに気付かれなかったとは…」
D様の手がやっと離れ、私の顔が解放される。
「沢田綱吉を殺した後はお迎えにあがります、姫。
貴女の持つ『初代ボンゴレの秘宝』の鍵とやらを頂きたいので」
「え…」
「プリーモが遺した兵器ならば使わせてもらう。
それでボンゴレはもっと強力な組織となる。
貴女しか使えないのならば、今度は私がプリーモから貴女を奪うまで」
「………………」
「ボンゴレとシモンの衝突を防ぎたいですか?
どうぞご自由にされて下さい。
私は貴女の正体をバラすような事はしません。
結局全て無駄に終わると分かっておりますので。
貴女はいつも守られてばかりの…無力な姫でしたからね」
D様の姿がジュリーくんに戻り、彼は民宿から出て行った。
ーーーツナが…ツナが狙われているなんて!
「シモンは利用されているだけなのです。
これを…どうにか伝えなければ…!!」
ーーーでもどうやって!?何も知らないと思われているあたしが、炎真達に何を言ってもきっと伝わらないわ!
ツナだって!今はあたしの記憶がないから、突然知らない人に変な事を言われたと思われるだけよ!
「言わなければ何も伝わりません。
綱吉くんよりもまず炎真の説得から試しましょう。
貴女に恋をしているなら…貴女の声ならば少しは聞く耳を持ってくれるかもしれません」
ーーー炎真…
「シモンファミリー全員一度に打ち明けるのではなく、まず炎真から説得しましょう。
ボンゴレに対する恨みの気持ちがどこまで溜まっているのかは分かりません。
だから…間に合ってくれると良いのですが……」
・NEXT
