リング争奪戦編
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夜の少し遅い時間にヴァリアーの皆さんは帰ってきた。
話を聞くと今日の対戦は晴れの守護者でルッスーリアさんと了平くんだったらしい。
勝負は了平くんが勝ち、ルッスーリアさんは大怪我の為病院にいるようだ。
ひとまず誰も死んでいない事にホッとする。
「あいつら一回勝ったぐらいでお前の事すっげー聞いてきててうぜー
姿を見せてほしいだの話だけでもさせてほしいだの」
「ツナ達がですか?」
「だからもう一度勝てたら連れてきてやるっつっておいた。
もうあんなまぐれねぇと思うけど。しししっ」
ルッスーリアさんのお見舞いに行きたかったけどそれは許されなかった。
「あいつは頑丈だから心配ねぇ」とスクアーロさんが言っていた。
その日の夜、あたしは夢を見た。
金の髪の、ツナによく似た男の人…ではなく、今回は男の子だ。
プリーモの少年時代の姿だろうか?
その男の子は此方に手を差し出し何か話しかけてくるが、何を話しているのか分からなかった。
彼の表情はとても柔らかくて優しげ。不安で緊張した心を解きほぐしてくれそうな穏やかな雰囲気。
初めて見るはずなのに何故か既視感があって懐かしさすら感じる。
「まったく。ジョットって一度決めたら頑固なんですから。
これは●●●●●●も●●●●●●も苦労するわ」
あたしの声のようであたしの声じゃない声がそう言った。
まるで呆れたような、諦めたような口調。
それを聞いた目の前の男の子は申し訳なさそうにする様子も、悪びれる様子もなく、ただ笑顔を向けた。
「ジョット……?」
男の子の名前だろうか…?
気が付けばあたしはそう呟きながら目を覚ました。
危険性を考えて天蓋の無くなったベッド。
天蓋の代わりに高い天井とぶら下がったシャンデリアが見える。
カーテンの隙間からは陽の光が入っており、朝というのが分かった。
あたしは頬をなぞる。
泣いていた。
悲しい夢という訳でもなかったのにどうしてだろう?
でも何故か苦しい程胸が締め付けられる。
「う゛お゛ぉい!!飯だぁ!さっさと起きろぉ!!」
スクアーロさんがノックも無くドアを蹴って開けて中に入ってきた。
食事は相変わらず彼等とは別のようだ。
昨日はルッスーリアさんがやってくれていたのを今日はスクアーロさんがカートを押している。
そのカートをテーブルに横付けしてからベッドの上で呆然としているあたしに近付き
「どうしたぁ」
「スクアーロさん、あの…」
「?」
「ジョットって…もしかしてプリーモの名前ですか?」
「!!」
彼は眉を顰め
「何を見た」
「多分ですが、プリーモの幼い頃の記憶です。
まだ少年のような見た目でした。
何か話してる様子だったんですが…声が全然聞こえなくて。
でもあたしのような、あたしでない声の人が彼を『ジョット』と呼んでいたんです」
「………」
「あたしは何も見覚えはありません。
でも、何故か懐かしくて…」
「……ジョットは間違いなくプリーモの名だ」
「!!……」
「もしかしてその指輪に昔の記憶でも封じられてんのかぁ?
そうでなきゃお前にしか扱えねぇ理由が思いつかねぇ」
「でもその記憶をあたしに見せて一体何をさせたいんでしょう。
この指輪は『初代ボンゴレの秘宝』の鍵である可能性が高いんですよね?」
「箱を開けろと言ってるのかもしれねぇ」
「兵器かもしれない箱を…?」
「兵器じゃねぇ可能性もある。
ボスがリングを入手した後、それを解明する為にお前を連れ去ったんだ」
「兵器だったらどうするんですか?」
「ボスが決める事だ。オレは知らねぇ」
服の中にある指輪を取り出し、手に乗せて眺める。
「こんなのがあるからみんな殺気立つんでしょうか」
「ん?」
「兵器の鍵かもしれない、こんな指輪があるから…
あたしの母の形見だけど…いっそ海にでも捨てたほうが」
「う゛お゛ぉい!!余計な事考えるならまた取り上げるぞぉ!!
まだ兵器の鍵だと決まったわけじゃねぇ!!」
「でも兵器だったら欲しいと思ったからあたしの指輪を狙ったんですよね!?」
「オレ達はただ解明してぇだけだぁ!
兵器なら兵器でボスの作るボンゴレに必要か必要無いかを判断しなきゃならねぇ
その為にもまず中身が分からなきゃ話が進まねぇだろうがぁ!!」
「……………」
「オレも最初は噂であっても中身は兵器以外ありえねぇと思っていた。
あの初代ボンゴレが『後悔』として遺したものだからなぁ」
「……………」
「だがなぁ
持ち主であるお前と、指輪の現物、そしてお前自身に起きているプリーモ関連の現象を聞いて
兵器以外も有り得ると考え始めている」
「え……」
「兵器以外なら何なのか。それはオレには想像もつかねぇ。
だが兵器の鍵を握る人間にしてはお前は弱すぎる上に優しすぎる。
だからこそ鍵の隠し場所として選ばれたのかもしれねぇがなぁ」
「…………」
「もしかしたらプリーモは…ここまで話がでかくなるのは望んで無かったのかもしれねぇなぁ…
そもそもボンゴレ内で終わらせるはずだった話がどういう訳か外に漏れてここまででかくなっちまった。
あの9代目が弱小ファミリーにまで機密を抜かれるなんざまず有りえねぇ事だったのに」
「情報が漏れた原因はまだ分かってないんですか?」
「まだ分かってなかったはずだ。
情報が抜かれるだけでなく原因解明も出来てないなんざ一体どうなってやがる」
「そうなんですね…」
「とにかくその指輪は大切に持ってろぉ
今はお前だけでなくオレ達の物でもあるんだ。
余計な事したら叩っ斬るぞぉ!」
「さっさとこっちで飯食え!」とついでのようにスクアーロさんは叫ぶ。
怖い人だけど、なんだかんだ面倒見の良い人なんだと思って私は小さく笑った。
そして指輪を見て
「(もう少しだけ持っていよう)」
海とか、とにかく見つかりにくい所に捨てたほうがいい気がしたけど
もう少しだけ希望をもって持っていよう。
願わくば…希望に繋がる鍵でありますように…
・NEXT
