リング争奪戦編
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「なんで!どうして美香が!
誰かが守ってるんじゃなかったのかよ!!」
「美香にはヴァリアーが予想より早く来日している事を知らせてなかったみてーだ。
夜も遅いし家にいた。それよりも守護者への伝達と保護を優先にした。
手薄になった所をタイミング悪くフゥ太達とはぐれたという話を聞いて、京子とハルを放置するわけにもいかず
フゥ太達の捜索の効率を上げるのもあって、家光やオレという相談相手もおらずやむを得ず一人で外出したって所か…」
「っ………」
「美香の性格なら、三人一緒に行動するよりも一人を選ぶ。
何か起きた時誰かを巻き込むくらいなら。ってな」
「美香…っ」
自分の部屋で綱吉は頭を抱えていた。
家光から予想よりも早くリングが偽物だという事がバレて、既にヴァリアーが日本に上陸した事を知った綱吉。
自分の父親の正体に突っ込みたい事はいくらでもあったが、ひとまず雷の守護者であるランボの捜索に出る事にした。
そこで綱吉は偶然居合わせた自分の守護者達と同時にヴァリアーと邂逅。
ボンゴレ公式のリングをかけたリング争奪戦が開始される事を聞かされたのだ。
綱吉が納得しないまま話が一方的に纏まった後
「とりあえずこのリングは貰っておくぜぇ!」
綱吉達を最初に襲ったりヴァリアーの一人、スクアーロがチェーンにかかるリングを見せた。
「あっ…あれは!美香の指輪!」
「はい!?10代目どういう事ですか!?
まさか美香が守護者なんて事は」
「その指輪いう事聞いてくれないからこの子も貰っていくわね」
と、サングラスをかけたもう一人のヴァリアーが気を失っている美香を抱いていた。
「な…ヴァリアー!その子に手を出すな!
リング争奪戦以外でリングに手を出すのは許されない!!」
家光はそう叫ぶがスクアーロは鼻で笑い
「う゛お゛ぉい!!
この指輪が守護者のリングとは別物だというのはとっくに調べがついているはずだぁ
だがボンゴレに関係ある指輪を無関係の人間が持っている。
オレ達はボンゴレとして、リング争奪戦とは関係ないがボンゴレに深く関わる重要な指輪を回収しただけだぁ」
「くそっ…」
「でもなんで美香さんが指輪を持ってるんだ?ツナ」
「あ…後で説明するよ山本。獄寺くんも。
だけどなんで…美香は一人で出歩くなって言われてるのに…!」
「フラフラ一人で歩いてたぜ。
誰か探してる感じだったけどそんな事カンケーないしさ。だってオレ王子だし」
「まさか…フゥ太達を探して…」
「『初代ボンゴレの秘宝』はおそらく家光が持ってるんだろうが預けておいてやる。
どうせうちのボスが正式にボンゴレ10代目になれば渡さざるを得ないだろうからなぁ!!」
そしてヴァリアーは身を翻し去っていく。
XANXUSに睨まれ、身動きの取れない綱吉はその光景を黙って見ている事しか出来なかった…
「ん…」
目が覚めるとあたしはベッドにいた。
ふかふかと弾力があって心地良い、天蓋付きのベッドだ。
「ここは…」
体を起こして辺りを見るとまるで中世の貴族が住んでいそうな、とても煌びやかで豪華な室内だった。
部屋のひとつなのだろうが広さが半端なく、恐らく沢田家の一階丸々の広さ以上あるだろう。
足はズキズキと痛むが布団を捲ると包帯が巻かれ治療されている。
「………もしかして、助けられた…?」
胸元に指輪が無い事から指輪は取られたのだろう。
そしてヴァリアーの人に連れ去られている最中に誰かに助けられたとか…?
ヴァリアーの人に捕まってあたしはすぐ気を失わされたからその辺りのことが分からない。
「ちょっと!あんた達の分じゃないのよ!!」
部屋の外で声が聞こえた。
話し方は女性っぽいが、声が低く男性らしい。
コンコンとノックがされてから返事を待たずドアが開けられ
「あらっ目が覚めた〜?」
姿を現したのはサングラスをかけた男性と、あたしに斬りかかってきた王冠の男性。
王冠の男性を見てあたしは別に助かったわけではないのだと知る。
「しししっちょっとぐらいいーじゃん」
「ダメよ!あんた達はさっき食べたでしょ!
これはあの子の分なのよ!!」
様々な料理が乗ったカートをガラガラと押してサングラスの男性は中に入ってきた。
そして近くのテーブルにカートを置いてからベッドに近付き
「食事を持ってきたのよ。歩けそう?」
「あ…は、はい。ありがとうございます…」
「ごめんねぇ〜
私なら傷ひとつ付けずに連れてこれたのに。
足はまだ痛む?女の子なんだから傷跡が残っちゃ大変よ」
「はぁ…多分大丈夫です…」
「指輪は悪いけど預からせてもらってるわ。
あの指輪、やっぱり貴女じゃないと言うこときかないみたい。
だから私達には貴女が必要よ。争奪戦が終わるまでの間はお客様だから大切に持て成してあげる。
他のメンバーも、ボスもそれは知ってるから安心してね」
「…………」
「でも逃げようなんて考えちゃダメ。
そうなったら、せっかく綺麗なお部屋で寛がせてあげたいのにそうはいかなくなっちゃうから」
「…………」
「大人しくしてくれてたらそんな酷いことしないわ!
欲しい物ある?食べたい物ある?デザートも付けちゃう!
食事は貴女だけ別にしてあるわ!うちのハイエナ達に勝てるはずないもの!!」
「よくゆーよヘンタイが」
「なんですってぇえええ!!」
ギャーギャーと賑わう目の前の二人にあたしは呆気に取られた。
基本的に怖い人達であるのに違いは無いんだろう。
現に先程、遠回し且つ率直に大人しくしていないと酷い目に遭うと脅されたのだから。
それに、リングを奪う為にツナ達を殺そうとしている人達である事も忘れてはいけない。
かと言ってあたしに対抗する手段はない。
幸い大人しくしてさえいれば、あたしに危害は与えないと言っているのだから、此処は大人しく従う事にした。
「分かりました。貴方達の言う通りにします」
「んまぁ!賢い子で助かるわぁ〜!
だったら私達も争奪戦が終わるまでの命の保障はしてあげる!」
「あの…そのかわりと言いますか、なんと言いますか。
此処が何処なのかと、その『争奪戦』って何なのか教えてもらえますか?」
「あら、知らなかったのね。
まぁそうね。貴女気を失ってたし。
とりあえず此方にいらっしゃい。お腹空いてるでしょ?
食事しながら話を聞かせてあげる」
と、手を差し出されカートが横付けされたテーブルに移動する。
引かれた椅子に座り、サングラスをかけた男性がカートから料理をあたしの目の前に置いていく。
テレビでしか見た事ないような豪勢な料理は、まだ湯気が立っていて温かそうだ。
「こんな料理初めてです」
「マジ?普段どんな料理食ってんだろ」
「まぁそうなの?これからしばらく食べられるから楽しんでちょうだいねっ」
「普段食べてる料理もとても美味しくて好きなんです。
所謂家庭料理ってやつなんですが…」
「貴女高校生だったわよね?
だったらお母さんが作る料理の方が好きよねぇ」
「あ……確かに高校生ですが、事情があって今は他所の家にお世話になってるんです」
「そうだったの。
ところで貴女、お名前は?」
「あたしは美香です」
「私はルッスーリアよ♪
こっちはベルフェゴールのベル」
「よろしくぅ〜」
「ベルが酷い事してごめんね。
戦えないか弱い女の子なんだから優しくしてあげなさいって言っておいたんだけど」
「オレがそれ守る必要ある?王子なのに?」
「幸い傷は浅いから数日で治るわ。だから安静にしててね」
「分かりました」
「ほらっ遠慮しないで食べて食べて!」
「は、はい。いただきます」
手を合わせ、並べられたナイフとフォークを使って一番前の料理から食べ始めた。
「じゃあまず何から話しましょうかねぇ〜」
ルッスーリアさんがグラスにお水を注ぎながら、ベルフェゴールさんは近くの椅子に適当に座って、これまでの事やこれからの事、そして此処が何処なのかを全て教えてくれた。
全ての話を聞いた頃には食後のデザートも含めた食事も終わり、ルッスーリアさんが淹れてくれたお茶を飲んでいた。
どうやらあたしは日本の高級ホテルのスイートルームにいるらしい。
「そうですか…リング争奪戦…」
「貴女のお友達が殺されちゃうかもしれないけど、ボンゴレというマフィアに関わった以上『子供だから大目に見る』なんて事あり得ないわ」
「…………」
「だから争奪戦後の貴女の命は私達のボス次第。
でもさっき言った通り争奪戦が終わるまではお客様として扱うから安心してちょうだい」
「はぁ…」
なんにせよあたしは依然として命の危機である事に違いは無い。という事なのだろう。
あたしは空になったティーカップをソーサーに置くと
「あの…これは脅しとかじゃなくて
純粋に知っていてほしいから、伝えておいた方が良いと思ったから話すのですが」
「なーに?」
「あたしは昔から不可解な現象に殺されかけています。
それは例えあたしとは無関係な人であっても容赦なく巻き込みます。
容赦なく怪我をさせ、殺します。
だから…どうか気を付けて下さい」
「?不可解な現象って?」
「つーかフツーに脅しじゃね?」
「そう聞こえるかもしれませんが違います。
言葉ではうまく説明出来なくて。
でもあたしと一緒にいればいずれ分かります。あたしが言える事はこれだけです。
本当は言わない方が都合が良かったのかもしれませんが、変に疑われる方が身の危険を感じまして」
『……………』
「巻き込まれたら本当にごめんなさい」
二人はそれ以上何も言ってくる事も、聞いてくる事もなかった。
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