星の処刑編
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炎真達が暮らす並盛民宿。
夕食は今日の歓迎会で終わらせてしまったのであとはお風呂に入って布団を敷き、寝るだけ。
茶の間でお風呂上がりの炎真が薄手の長袖とジャージの格好で肩にタオルをかけ、冷えたお茶の入ったコップを持った姿であたしの話を聞き驚いた顔をした。
「えっ…ボンゴレⅠ世に会えたの…!?」
「うん。あたしの指輪とツナのリングの炎に反応してくれたのか…どういう原理なのかはちょっと分からないんだけど
ツナのリングからⅠ世が出てきて、あたしの中の人と話す事が出来たわ」
「そっか…御先祖さん喜んでたんじゃない?」
「会えて嬉しそうにはしてたけど…
もっと話したかったってちょっと落ち込んでて今は拗ねて大人しくなってる」
「そうなんだ。でも確かに何百年も会いたいって想ってた人と会った時間が、数秒や数分じゃ全然足りないよね」
「そういえば炎真のリングだと初代シモンに会えるのかな?」
「え…どう、かな」
と、炎真が自分の指にあるリングを見る。
その時に彼のまだ濡れている髪からポタリと雫が落ちた。
そして持っていたコップをちゃぶ台に置くとあたしに手の平を向け
「試してみる?
シモンのリングも特別なものだけど、ボンゴレリング程ではないから会えるか分からない。
僕も会ったことないし…」
「う、うん。じゃあ…一応……」
あたしはもう一度チェーンから指輪を取って指につけて炎真の手をギュッと握った。
炎真は握り返すとリングに炎をボッと灯し
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「………出てこないね」
「そうみたいね…」
「ごめん…」
「なんで謝るのよ。何も悪くないのに」
「会わせてあげたかったから…」
「気持ちだけでも嬉しいわ」
その時、茶の間の入口から「ヒュー」という口笛が聞こえた。
振り返るとそこにはジュリーくんが立っていて
「手を握り合うなんてお熱いなぁお二人さん!」
「なっジュリー!」
「あ、これは違うのよ…!」
途端に意識しだしてあたしと炎真は慌てて手を離した。
ジュリーくんはケタケタ笑いながらあたし達の傍にやってくるとあたしと炎真二人の肩をポンポン叩いて
「まーまー。今夜はお二人さんの為にオレちんが特別な部屋を用意したから行ってみようぜ!」
「え…!?」
「ほら行くぞ炎真っ」
「まっ待ってよ!イヤな予感しかしないんだけど…!?」
無理矢理立たせられる炎真と渋々立ち上がるあたし。
楽しそうなジュリーくんに背を押されながらやって来た二階の部屋。
「あたしお風呂まだなんだけど…」
「後で入りゃいいじゃねーか。どうせ汗かくんだし♪」
「え?」
「んじゃお二人さんごゆっくり♡」
とある一室の前まで連れてこられるとジュリーくんはあたし達を置いてけぼりに去って行った。
「……イヤな予感しかしないけど、とりあえず開けてみようか…」
と、炎真がおそるおそる目の前の襖を開いた。
部屋の中は特に何の変哲もない和室。
普段使われてないのか物が殆ど置かれていない。
そんな部屋の中心に布団がひとつだけ敷かれてあり、その布団には枕がふたつ。
枕元にはティッシュとゴミ箱が置かれていた。
「……………やっぱり」
頭を抱える炎真。
「……なんでティッシュ?」
「え!?そこなの!?
て、あっ…なんでだろうネ!僕も分からない…!
ええっと、とりあえず美香は今夜はここで寝るといいよ!
僕は下でみんなと寝るから…!!」
「え…でもあたしが贅沢に一部屋なんて」
「良いんだよっお客さんなんだから。お風呂も入っておいでよ。
荷物なら僕が運んでおくから」
「そう?ありがとう炎真」
「気にしないで」
「じゃあ入ってくるわね」
炎真にそう言ってあたしは階段から下りた。
荷物を置いていた茶の間に戻るとジュリーくんがいて「気に入ってくれたか?」と笑っていたが
「?一部屋貸してくれるって事よね?」
「あれ〜勘違いしてる。にっぶいなー」
「え?」
「よし分かった。オレちんが炎真にしっかりするよう言ってきてやるよ」
「???」
よく分からない内にジュリーくんは床の間を出て二階に行ってしまった。
その数秒後二階から炎真とジュリーくんの賑やかな声が聞こえてきたけど、とりあえず気にせずあたしはお風呂へと向かったのだった。
「ごめん美香…なんか、僕の布団無いみたい」
部屋に戻ってくると炎真が部屋でちょこんと正座していた。
髪は乾いているようで肩にかけられてるタオルは無くなっている。
「え?どういうこと?」
「元々お客さん用の布団が無かったみたいなんだ。
ジュリーが何とかするって言ってたから任せてたんだけど、最初から僕と美香を同じ布団に寝かせるのが目的だったみたいで…」
「ええ」
「仕方ないから僕、下で毛布だけで寝るよ」
「ダメよ。風邪ひいちゃうわ。
明日も学校なんでしょ?」
「そうだけど…」
「……………」
「……………?」
「………炎真なら、別に良いけど…」
「……え?」
「い…一緒に、寝るの……」
「!?………」
「ひ、一晩だけだし…!
炎真なら、変な事とかしないだろうし…!」
「っ…………でっでも」
「風邪ひかれるより、良い…」
「………………」
炎真の顔は赤いし、あたしの顔も赤い。
風呂上がりの熱い体が更に熱さを増してそれこそ風邪ひいてるみたい。
「えっと…なら……お、お邪魔しま……す?」
「ふふっお邪魔しますって」
「ほっ他に言い方思いつかなくて!」
「分かってる。
なら、もう寝ちゃう?時間も遅いし…」
「そうだね。じゃあ…えっと、美香が先にどうぞ…」
と、布団をポンポンと叩く炎真が少し可愛く見えた。
お言葉に甘えて先に布団に入る。炎真が入りやすいように横のスペースを開けて。
そして炎真がおそるおそるといった感じで横に入ってきた。
元々一人用の布団に二人は狭くて、寝返りなんてうてそうにない。
一枚しかない毛布も面積が足りず
「美香、毛布もっと持ってっていいよ」
「それじゃ一緒に寝た意味ないじゃない。
せっかく炎真が風邪ひかないようにって思ったのに」
「でも……じゃあ、こうする…?」
「ん?…っ」
炎真がぎゅっとあたしを抱きしめた。
「ぇ…………」
「こうすれば…毛布も取り合いにならなくて済むし…」
「そう、だけど…!」
炎真の胸板にあたしの頬があたる。
あれ?そういえば炎真もいつの間にこんなに背が伸びて…!?
初めて会った時は身長なんて気にしなかったのに。
視線は同じくらいだったのに…!
ドキドキと高鳴る音が炎真に聞こえてしまわないか心配で視線を下に落とす。
なのに、彼はあたしの頬に触れるとそっと指を顎下に滑らせてクイッと視線を合わせてきた。
あたしを見下ろしてくる赤い目がなんだか色っぽく光って見えてあたしの心臓が更に早く動く。
「え……えん、ま……」
「………美香…顔、赤い」
「だって…!」
「可愛いね」
「ちょ」
これがさっきまで一緒に寝ることを躊躇しまくってた古里炎真くんですか!?
「ツナくんとキスした…?」
「しっ…してないけど…」
「なら…まだ僕にもチャンスがありそうだね」
炎真の顔が近付いてきてあたしはぎゅっと彼の服を握る。
それに気付いた炎真はニコリと優しく笑うと近付ける顔を止めて額にちゅっとキスをした。
「おやすみ美香」
「なんか性格が違う…」
「え゛…そうかな…?」
「炎真もツナみたいに人格変わるの!?」
「変わらないしツナくんも二重人格じゃないからね!?」
「もー!炎真のバカ!!おやすみ!!」
「ええー!?」
恥ずかしくて炎真の胸に顔を押し付ける。
炎真はそんなあたしを見てフッと息をもらすとあたしを抱き直し、寝付きよく数分後には寝息をたて始めた。
夜の暗い布団の中、あたし一人だけいつまでも熱い顔と胸の鼓動を鎮める事が出来ずにいた……
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