星の処刑編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
肩には燕、右手は犬の頭を撫で、膝には転がる子猫に左手はじゃれつく仔ライオンを撫で続ける。
「良かったな〜ナッツ」
「次郎と小次郎も嬉しそうだな」
「なんでだ…瓜…」
「ちょっと手が忙しいけど、みんな可愛いわね」
その内撫でられたくなったのか瓜がずっと撫でられてる次郎ではなくナッツにちょっかいを出し始めた。
臆病なナッツは瓜の牙を見せながら「シャア!」と鳴く声にビクッと体を震わせ
ツナの元に急いで逃げてそのままガタガタと震え始めた。
獄寺くんは顔を青ざめさせ慌てて瓜を抱き上げると
「てめっ瓜!10代目のナッツになんてこと!」
「シャアアアア!!」
「いでででで!引っ掻くな!!」
「ほらナッツ。怖くないって」
「ガウウ…」
あたしは次郎を撫でていた手を止め、その手をナッツに差し出し
「ナッツ、おいで。ほら瓜もおいで」
ナッツは恐る恐ると、瓜は獄寺くんの顔面を蹴ってあたしの左手にじゃれつき頭を撫でてあげるとゴロゴロと喉を鳴らす。
近付いたナッツは抱っこしてあげた。
次郎と小次郎は穏やかに肩や傍らで眠り始めた。
「なんか和む光景だな」
「癒し要素しかねぇからな」
と、山本くんがテーブルに頬杖をついて笑いながらあたしを眺め
そんな山本くんの肩に乗っていたリボーンくんもニッと笑う。
「この子達が兵器ってなんだか考えられないわね」
「そういえば美香は未来での戦いを知らないんだったよね」
「?未来…?」
「うん。オレ達みんな10年後の未来に行ってたんだ」
「懐かしいなぁもう随分昔のように感じるぜ」
「未来だったり異世界だったり…この星って一体どうなってんのかしら…」
「テメーが一番不可解なんだよ。でもオレはUMAとは認めねぇ」
「良かったら聞かせてくれる?未来でのこと」
「うん、いいよ。きっかけはランボの10年バズーカで…」
それから彼等は思い出を語るように未来での戦いを教えてくれた。
かなり追い詰められた状況ではあったらしいけど、それでも楽しい思い出もあったようで語る彼等の表情はキラキラと輝いている。
「10年後のみんなかぁ…あたしも会ってみたかったわ。
獄寺くんなんて10年も経てばかなり落ち着いてそうだし」
「ンだとこのアマ!オレのどこが落ち着いてねーっつーんだ!!」
「逆に自分は落ち着いてると思ってるの?」
「な……」
「ハハハ!こいつは一本取られたな獄寺!」
「うるっせー野球バカ!ケンカ売ってんのか!!」
賑やかな二人にあたしは笑う。
そんな穏やかな光景が眩しく見えて、胸の奥を何かが爪先で軽く引っ掻いたように少しだけ痛んだ。
そしてつい…
「10年後……か。
あたしは果たしたそこまで生きてるのかしら…」
「な…何言ってるんだよ。生きてるに決まってるだろ!?
未来で起きた並盛のような事、オレ達が絶対させない!」
「ツナはやると言ったらやる男だぜ美香さん」
「10代目がこう言ってるんだ。テメーが生きてるのは確定なんだよ」
「あ……うーん……そ、そうよね」
「………また何か余計なこと考えてる?隠さないで教えてよ」
「よ…余計なことって。
ちょっと…ちょっとだけ気になっただけよ」
「何が?」
「……崖から落ちた原因、滑って転げ落ちたからって説明したわよね」
「え?うん…」
「本当はね、ギリギリ助かってたのよ」
「えっ」
「本当にギリギリ…崖スレスレの所で転がってた体が止まってくれて
あたしはそのままほふく前進で崖から離れようとしてたの。
でも、何かがあたしの足を掴んで崖下に引きずり込んだ」
『!?』
「怖くて下を見れなかったから何か分からなかったけど、おそらく星の修正による現象だと思うわ。
これはあたしが感じてるだけなんだけど
なんだか…あたしへの攻撃が過激化してる気がするのよ。
いつまで経っても消えないバグにしびれを切らして集中的に取り除き始めたような印象。
もしかしたら…そこまでして消えないなら前の状態に戻すしかないと、あたしとツナが出会う前に時間を巻き戻される可能性もあるんじゃないかって思えて…」
「そ…そんな…」
「でも…まったく有り得ねぇ話でもねーな。
獄寺と山本にも見せただろ。
美香と一緒に写った写真なのに、美香だけが綺麗に消えていたのを」
「あ…ああ…」
「まるで最初からそうだったような写真に変わってたっスね…」
「あれがもしかしたら、美香と出会わなかった場合の写真かもしれねーぞ」
「な…そんな、ことって…」
「時間を巻き戻し、一部だけを変えた。
その結果があの写真だとしたら…いつまでも消えない美香を完全に取り除く為にやむ無しと時間を巻き戻すかもしれねぇな。
星としてはミスったから修正したいのになんで邪魔したり抗うんだって意識だろーからな。
なんですぐ全部巻き戻さねぇのかは分からねぇが…」
「じゃあ、どんなにオレ達が美香を守る為に戦っても
いずれは全部無かった事にされてしまうって事か…?!」
「オイオイ…それはさすがに勘弁して欲しいぜ…」
「それだけじゃない。
エンマ達や獄寺くんや山本達と出会った事も、これまでの戦いも…!
全部全部消されて、無かった事にされちゃうのかよ!
そんなの絶対にイヤだ!!」
「星だか何だか知らねーがなんでそこまでされなきゃなんねーんだ!」
「あ…あたしが…」
「美香のせいじゃない!絶対に!!」
「っ………」
「だが今のところ回避する方法や美香を星から解放する方法は何も見つかってねぇ
やっぱり星を守る者ってやつを探さねぇとな…
美香はそれがどんな奴なのか覚えてねぇか?」
「名前は分からないわ。
特徴は…ええっと、白い髪で…丸眼鏡をかけた和服の…
まだ若い20代か30代の男性って感じだったわ」
「なんか川平のおじさんみたいな人だな」
と、ツナ。
その『川平のおじさん』という人がどんな人なのか分からないのであたしは何とも言えない。
10年後のイーピンちゃんがよく口にしていた名前のような気がするが…
「もしかしたら関係あるかもしれねぇな」
「でも…何処に……」
「分からねぇが、とりあえず目星はついた。
ディーノや家光にも連絡して探してもらうぞ」
「えー!?父さんにもー!?」
「娘を助ける為ならそのくらい引き受けるだろ」
「そうだけど…なんつーか……あんまり借りを作りたくないっていうか……」
「反抗期ね」
「お年頃だな」
「ちげーって!!
つーかこのやり取り前もした気がするんだけど!?」
というわけで、その川平のおじさんという人を探し出し何か知らないかを聞き出すことが当面の目標となった。
だが…その目標が達成困難な事態になるなど、この時のあたし達は知る由もなかった…
・NEXT
