星の処刑編
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ーーーわ〜ボンゴレとシモン勢揃いですね!
「(嬉しそうだし楽しそうね)」
奈々さんが留守の時間を利用して、沢田家のリビングに集まったのはリボーンくんとボンゴレの(集まれる)ファミリーとシモンのファミリー。
両ファミリーの視線を一身に受けるのはテーブルの上座に座るあたしだった。
「い…居心地悪い…」
「ごめん美香…
本当はディーノさんとかも呼びたかったんだけど、やっぱり美香の居心地が悪いだろうって事で
とりあえず呼ぶのは獄寺くん達とシモンのみんなだけにしたんだけど」
「僕も最初は行くのは僕だけにしようかと思ったんだけど…」
「良いのよ。仕方ないわよ。
だって初代ボンゴレと初代シモンに深く関わりのある人だものね」
「じゃあ、お願いしていい?」
「分かったわ」
ツナにそう言ってあたしは目を閉じ彼女を意識した。
まるでバトンを渡されるように意識が入れ替わると私は目を開けて、まずは両ファミリーを見回し
「えーっと…改めて初めまして。
ジョットの子孫とコザァートの子孫の皆さん。
D様の件は本当にお疲れ様でした。
というか、なんか足を引っ張っちゃって本当に申し訳ありません…あはは…」
「貴女がⅠ世の婚約者の方ですね?」
「そうです綱吉くん。
婚約者と言っても口約束で終わってしまったのですが…
他に名乗り方がなかったもので、こんな大袈裟な名乗り方になってしまいました。
おそらく私に関する記憶、記録はこの世界には消されてしまっているでしょうから」
「10代目…本当に中身変わってるんスか?」
「う、うん。やっぱり美香と違う気がするよ」
「あ、もしかして疑ってます?
ですよね〜私も信じらんないですよ。
いきなり目の前の知り合いが過去の重要人物の婚約者で知り合いですって言い出したら真っ先にオススメの病院を紹介するレベルです。
証拠になるかは分かりませんが、過去の思い出話としてジョットが野良猫や野良犬に囲まれて夕方まで延々撫で続けた話と
雪合戦しててコザァートの雪玉がタイミング悪くジョットの顔面に直撃した話とかします?
あ、それとも雨月様と山桜の話で盛り上がって山桜を見たことないジョットが話に入れなくてちょっと拗ねた話とか!」
「こ…個人的にめっちゃ気になりますけど!
つか、Ⅰ世のイメージが良い意味で崩れていく!」
「子孫の前だからってめっちゃかっこつけてるんですねジョットったら…
まぁかっこいいんですけど。かっこよすぎてムカつくな〜くそー…っ」
「ハハッ
オレ、ツナみたいに美香さんの中身が変わったって分からないけど
ここまでキャラ違うとさすがのオレも分かるな」
「極限にオレも分かるぞ」
「この感じ…私達も言葉を交わした事があるわね」
「そうだねアーデル。
一時期美香の雰囲気がちょっと変わってたよね」
「うう…気付かれてる。なんでかなー結構頑張ったんだけど…
そうです。炎真達の所にいた時…一時的に美香と意識を交換して、彼女には休んでもらっていました。
でなければ美香は『死にたい』と願ってしまっていましたから…」
『!?』
「それが何を意味するのか…事情を知る皆さんなら分かるはずです。
私と美香は一時の感情で『死にたい』と思うことすら出来ないのです。
その場の感情で、本当に死ぬ事になるのが私達なのですから」
『…………』
「ええっと、話が逸れてしまいましたね。
それで…私に聞きたいことが色々あるのでしょう。
何からお話しましょうか?」
「まず貴女の事が知りたいです。
何処から来て、どうやってⅠ世達と知り合って、そしてどうして別れたのか…
美香と、どう関係あるのか」
「分かりました。綱吉くんの質問全てお答えしましょう。
話が長くなると思いますので、お茶でも飲みつつ!」
そうニッコリと笑いかけ、私は少しずつ…自分の事を語り始めた。
私は両親をその時代の流行病で亡くし、病弱な弟を持つ孤児でした。
まだ10にもならない子供でしたので私はお金を稼ぐ術を知りません。
病気がちな弟の薬代や食事代…自分も生きる為に、私は周りの大人から教えてもらった方法…文字通り体を使ってお金を稼いでいました。
そんなある日、私は急に見知らぬ風景の場所にいました。
言葉も分からない…文字も読めない場所。
そこはイタリアだったのです。
呆然とする私を奴隷の売買を生業とする男に捕まり体を売る仕事を強いられていたのですが、そんな私を助けてくれたのがコザァートなのです。
言葉が通じない私達でしたが、何とか身振り手振りでやり取りをしコザァートの元にお世話になっていました。
やがてコザァートは知り合ったというジョットとジョットの相棒である、後の初代嵐の守護者であるGを引き合わせてくれたのです。
その頃には私も何とか彼等の言っている言葉を単語程度ですが理解出来ていました。
ジョットとG、そしてコザァート三人が自主的に行っている町と弱い民を守るという活動は
元々弱い立場であったからこそ輝いて見えました。
力になりたくて、私も自分で出来る範囲で彼らの手伝いをしたのです。
……私は…酷い女で…病気がちな弟の事はすっかり忘れていました。
もっと言えば弟を恨んですらいました。
あの子のせいで私が辛い思いをしながら、汚い男に汚されながらお金を稼がなきゃいけない。
なんで私だけが。なんで私ばかり。
あの子さえ居なければ。
だから…急にそんな弟という足枷がいなくなった環境が嬉しくて
ジョット達との時間が楽しくて…
私は家に帰りたいという願望を持つことなく何年も一緒に過ごしていました。
もちろんその間にも星からの攻撃はあっていました。
私には別の世界に移動したという概念がなく、急に日本から外国にやってきたという認識で
何故か命の危機に何度も晒されるようになって怖かったですし、ジョット達もそんな私を守ってくれていました。
そして私はある日ジョットに告白され、愛し合う関係になったのです。
その関係を維持したまま私達は一緒に成長していき、今までコザァートの元にいた私をボンゴレの本部が出来たのをきっかけにジョットの元に身を預ける事にしました。
そこで守護者の皆さんとも知り合ってお世話になったものです。
そうして…彼から「いつか結婚しよう」と伝えられ、私達は幸せだったのです。
そんな幸せに満たされた私に、遂にバチが当たる日が来ました。
幸せで満たされたからこそ…私はふと弟の事を思い出してしまいました。
幸せになったからこそ、私は自分がどれだけ酷い事を弟に思っていたのか気付き…反省したのです。
「元気にしているだろうか?」
「ひと目会いたい」
「酷い姉だった。謝りたい」
都合のいい…自分勝手な贖いです。
ずっと忘れていたくせに今更です。
そんな思いが元の世界への未練と星は判断したのでしょう。
願いを叶えるという形で星は私を抹消し始めたのです。
それも…ジョットとコザァートが見ている前で…
消えたくない一心で私はジョットとコザァートに手を伸ばしましたが、もう手を掴むことすら出来ませんでした。
そんな為す術なく消えゆく私にジョットとコザァートはこう言いました。
「指輪だけは手放すな!何があっても手放すな!」
「未来へ繋げるんだ。そうすれば、きっとオレ達はまた会える!」
私が二人から受け取った指輪。
それは今は美香が持つ指輪です。
それはずっと前、ボンゴレリングそしてシモンリングというものが出来た時私には守護者としての適性がなくジョットやコザァートから授けられなかった物でした。
それは私に、私が前々から感じていた『約立たず』という現実を目の前に突きつけるのに丁度いい代物で…激しく落ち込んでいたのです。
どんなに頑張っても、やっぱり私はジョット達の力になれないのだと…
そんな私の気持ちを知ったジョットとコザァートが、形にこだわるバカな私の為に大空のリングに似せた指輪に花と星ふたつの意味を持つ花の刻印を施し、二人の炎を込めて私に贈ってくれたのです。
「ファミリーじゃなくても、炎がなくても、オレ達は仲間で友達だ」
そう言ってくれました。
そしてもう一人、長年の付き合いであるGが見届けてくれたのです。
その大切な指輪だけを持って私は元の世界に帰りました。
元の世界は、ジョット達と過ごした同じ時間が経っていました。
弟はとっくに亡くなっていて、私は弟に謝る事すら許されない状況だったのです。
幸せにしてくれたジョットも取り上げられ、唯一の家族も取り上げられ…
私に残ったのはただひとつの指輪だけ。
その指輪も、私達の元の世界にとっては星に存在しない異物。
故にその指輪を抹消しようと星の修正システムが作動しました。
何もかも失ってしまった私は
後悔と悲しみと寂しさで、ジョットにもう一度会いたいという思いだけで例え何度死にかかっても指輪を未来に繋げる決意をしたのです。
いつかジョットと、また巡り会う為に…
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