こちらで名前変換を行えます。
マスカレードを壊したい
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
珍しく騒ぎ声のしないアジトは、任務へ出掛けているナランチャ達が居ないからだろうか。
私は黙々と苛立った手付きでカチャカチャと音を立てて、書類を見ながらキーボードで打ち込んでいく。
何で私が打ち込みしているかって?
任務をくれないアイツのせいよ!!
私は聞いた時に拒否したのだが、彼は"最初は依頼人を把握できる様に"と事務作業を指示してきたのだ。暫くして書類1枚分の情報を打ち込めば、小さく息を漏らして強ばり曲がっていた背筋をぐぐっと伸ばす。
すると、とても香ばしい良い香りが鼻先を掠めた。デスクの上にソッと温かいコーヒーの入ったカップが置かれたのに気付き、顔を上げればもう1つカップを手にするジョルノが立っていたのだ。
「名前お疲れ様です。良かったらどうぞ。」
「ありがとう、ジョルノ!おかえりなさい、帰ってたの?」
「ええ、あなたは真剣に打ち込んでいましたから。…………それにしても、なんだか"おかえり"って良いですね。新婚みたいだ。」
「なっ……!」
ニッコリと爽やかな笑顔で嬉しそうに話すジョルノに、私は驚いて言葉を詰まらせてしまった。
ジョルノはなんとも恥ずかしい台詞を当たり前の様に話すのだろうか。
薄々気付いてはいたのだが、彼は最年少にして護衛チームの中ではブチャラティに次いで冷静に物事を分析でき尚且つ女性に対してスマートだ。
こんな恥ずかしい事、暗殺チームのプロシュートすら言わないわ。
私はジイッと相変わらず微笑むジョルノを見上げながらそんな事を考えていたら、背後から軽く頭を小突かれたのか三つ編みの金髪を揺らした。
「おい!誰が"誰と"、新婚だって?」
「いえ、ぼくはそこまで言ってないですよ?ブチャラティも言ってもらえばいいじゃあないですか。」
「…………名前ただいま。」
「絶対言わないからね。」
任務から帰ってきた彼はジョルノを叩きながら明らかに苛立っていたのだが、言葉を聞けば納得したのだろうか。少し間を置いてから期待した瞳でこちらを見つめ、爽やかな笑みで改めて帰ってきた事を告げる。だが、その様子に呆れた私はピシャリと跳ね退けて断言した。
まったく…。この人は変なとこ抜けてるのよね…私が言う訳無いじゃあない。
「あ!それよりココ!この人の支払い期日が今日までよ。回収しなくっちゃあいけないわ。」
「ああ……この人は結構な歳で忘れやすいんだ。だからオレ等が回収に向かうのさ。」
「なるほどね……じゃあお願い。」
私は思い出したかの様に、今まで打ち込んでいた書類の1枚を彼の前に突き出して期日部分を指差した。
そうか、そう言う場合もあるのね。
納得した私は彼の説明を聞けば書類をテーブルに置き、ジョルノが入れてくれた目が冴えるブラックコーヒーを飲む。
「なあ名前、一緒に回収に行かないか?」
「え……も、もちろん!」
すると頭上から降ってきた彼の問い掛けに、待ってましたとばかりに瞳を輝かせて勢い良く頷いた。
朝から永遠と今日中に終わるのかと途方に暮れる程の打ち込み作業をしていた為、調度体も凝り固まっていた所だ。私は残りのコーヒーを急いで飲み干し、立ち上がれば玄関へ向かうどこか軽快な足取りの彼の後ろ姿を追いかけた。
「ありがとうございます、ガッローネさん。」
彼と訪れた小さな洋菓子店の店主から封筒に入ったお金を受け取れば、一礼して笑顔を向けた。
店主は機嫌が良さそうに私と彼に目線を向けて、店自慢のビスコッティを紙袋いっぱいに入れて手渡してくれた。
「いつの間に、こんなに綺麗な彼女を手に入れたんだい?ブチャラティ。」
「ああ、ようやく手に入れたんだ、羨ましいだろ?」
「ちょ、ちょっと!ち、違いますよっ!!」
紙袋を受け取る彼に小突きながら楽しそうに話す店主。すると私にチラリと目線を向けてから、ウィンクをして笑みを浮かべる彼の姿に思わず否定した。
何を当たり前に言ってるの!?
「そんなに照れなくてもいいさ!ブチャラティなら同じ職場でも恋してしまうのは当たり前だろう。また、いつでも来てくれ!サービスするよっ。」
「Grazie、また2人で寄らせてもらうよ。」
人の話を聞かずに大きな口を開けて息子が彼女を連れて来たかの様に嬉しそうに話す店主に、私は否定する隙も与えられず店を出ざるを得なかった。
先程から然り気無く私の肩を抱いて店を出たので、店主が見えなくなると直ぐ様置いてある手を叩いて声を挙げる。
「変な事言わないでよ!絶対勘違いしたじゃあないっ。」
「良いじゃないか、言わせておけば。」
「なっ……。」
「あら、ブチャラティ彼女かい?」
「まあ!お似合いね!お幸せにっ。」
「今度2人で来てくれたら、サービスするわよ!」
すると店の前の賑やかな大通りを行き交う人々が彼に気付けば皆笑顔で、代わる代わる祝福の声を掛けてくれる。
彼はと言うと、私に寄り添い返事の代わりに笑顔で手を振って答えていく。
この唖然とするしかない祝福の空気に場違いな私は、彼の信頼度の高さを知ると共に直ぐ様この情報が街に広まってしまうと言う事も悟った。
嫌な予感が浮かべば彼ならばやりかねないと確信して、私はゆっくりと顔を上げればのうのうと微笑んでいる彼を睨み付けた。
「…………貴方、私をハメたわね?」
「何の事だ?」
「私を一緒に連れ出して、彼女だって街の人達に知らすつもりだったんでしょう!?」
声は自然と低くなり怒りを表した問い掛けに彼は首を傾げていたが、次いだ言葉に少し考えてから一際柔らかい笑みを浮かべて私の腰を抱き寄せた。
「オレは周りから固めていく主義でな。まさかこんなにも皆が勘違いしてくれるなんて……よっぽどオレ達が良い雰囲気なのかもな?」
今にも鼻先が触れてしまいそうな距離に一瞬怯んでしまう。
彼の纏う上品な香水の香りが、出勤した時よりも強く鼻先を掠めてついうっとりとしてしまった。
香水は体温の変化で香りが変化すると言うが、彼が付けると人を惑わすモノへと変化しているのではないだろうか。
ダメ、名前しっかりしなさい!
「貴方と良い雰囲気なんて、私はお断りよ。金輪際ね!」
私は自身に活を入れ漂う香りを振り払う様に顔の間で、手をパタパタと左右に振り気にしてないとばかりに敢えて距離は離さずに見つめ返してやる。
その様子にクックッと喉の奥を鳴らしながら笑い始めた彼に、逆にこちらが驚き目を丸くしながら様子を伺ってしまった。
こんなに笑っているのは初めて見たかもしれない…。
「金輪際…ね、それが覆るのを楽しみにしているぜ?こっちは何年も待ったんだ、長期戦は得意だ。」
「そ、そう!勝手にしたらっ。」
なんだか諦める所か逆に火をつけたかの様に、自信満々に笑みを浮かべて断言する彼に心臓が跳ねた。
私は熱が帯始めた頬を悟られない様に顔を反らして彼から体を離せば、彼より先に足を歩めてアジトへ向かうのだった。
頬の赤みを人々を照り付ける太陽の暑さのせいにして。
be continued
私は黙々と苛立った手付きでカチャカチャと音を立てて、書類を見ながらキーボードで打ち込んでいく。
何で私が打ち込みしているかって?
任務をくれないアイツのせいよ!!
私は聞いた時に拒否したのだが、彼は"最初は依頼人を把握できる様に"と事務作業を指示してきたのだ。暫くして書類1枚分の情報を打ち込めば、小さく息を漏らして強ばり曲がっていた背筋をぐぐっと伸ばす。
すると、とても香ばしい良い香りが鼻先を掠めた。デスクの上にソッと温かいコーヒーの入ったカップが置かれたのに気付き、顔を上げればもう1つカップを手にするジョルノが立っていたのだ。
「名前お疲れ様です。良かったらどうぞ。」
「ありがとう、ジョルノ!おかえりなさい、帰ってたの?」
「ええ、あなたは真剣に打ち込んでいましたから。…………それにしても、なんだか"おかえり"って良いですね。新婚みたいだ。」
「なっ……!」
ニッコリと爽やかな笑顔で嬉しそうに話すジョルノに、私は驚いて言葉を詰まらせてしまった。
ジョルノはなんとも恥ずかしい台詞を当たり前の様に話すのだろうか。
薄々気付いてはいたのだが、彼は最年少にして護衛チームの中ではブチャラティに次いで冷静に物事を分析でき尚且つ女性に対してスマートだ。
こんな恥ずかしい事、暗殺チームのプロシュートすら言わないわ。
私はジイッと相変わらず微笑むジョルノを見上げながらそんな事を考えていたら、背後から軽く頭を小突かれたのか三つ編みの金髪を揺らした。
「おい!誰が"誰と"、新婚だって?」
「いえ、ぼくはそこまで言ってないですよ?ブチャラティも言ってもらえばいいじゃあないですか。」
「…………名前ただいま。」
「絶対言わないからね。」
任務から帰ってきた彼はジョルノを叩きながら明らかに苛立っていたのだが、言葉を聞けば納得したのだろうか。少し間を置いてから期待した瞳でこちらを見つめ、爽やかな笑みで改めて帰ってきた事を告げる。だが、その様子に呆れた私はピシャリと跳ね退けて断言した。
まったく…。この人は変なとこ抜けてるのよね…私が言う訳無いじゃあない。
「あ!それよりココ!この人の支払い期日が今日までよ。回収しなくっちゃあいけないわ。」
「ああ……この人は結構な歳で忘れやすいんだ。だからオレ等が回収に向かうのさ。」
「なるほどね……じゃあお願い。」
私は思い出したかの様に、今まで打ち込んでいた書類の1枚を彼の前に突き出して期日部分を指差した。
そうか、そう言う場合もあるのね。
納得した私は彼の説明を聞けば書類をテーブルに置き、ジョルノが入れてくれた目が冴えるブラックコーヒーを飲む。
「なあ名前、一緒に回収に行かないか?」
「え……も、もちろん!」
すると頭上から降ってきた彼の問い掛けに、待ってましたとばかりに瞳を輝かせて勢い良く頷いた。
朝から永遠と今日中に終わるのかと途方に暮れる程の打ち込み作業をしていた為、調度体も凝り固まっていた所だ。私は残りのコーヒーを急いで飲み干し、立ち上がれば玄関へ向かうどこか軽快な足取りの彼の後ろ姿を追いかけた。
「ありがとうございます、ガッローネさん。」
彼と訪れた小さな洋菓子店の店主から封筒に入ったお金を受け取れば、一礼して笑顔を向けた。
店主は機嫌が良さそうに私と彼に目線を向けて、店自慢のビスコッティを紙袋いっぱいに入れて手渡してくれた。
「いつの間に、こんなに綺麗な彼女を手に入れたんだい?ブチャラティ。」
「ああ、ようやく手に入れたんだ、羨ましいだろ?」
「ちょ、ちょっと!ち、違いますよっ!!」
紙袋を受け取る彼に小突きながら楽しそうに話す店主。すると私にチラリと目線を向けてから、ウィンクをして笑みを浮かべる彼の姿に思わず否定した。
何を当たり前に言ってるの!?
「そんなに照れなくてもいいさ!ブチャラティなら同じ職場でも恋してしまうのは当たり前だろう。また、いつでも来てくれ!サービスするよっ。」
「Grazie、また2人で寄らせてもらうよ。」
人の話を聞かずに大きな口を開けて息子が彼女を連れて来たかの様に嬉しそうに話す店主に、私は否定する隙も与えられず店を出ざるを得なかった。
先程から然り気無く私の肩を抱いて店を出たので、店主が見えなくなると直ぐ様置いてある手を叩いて声を挙げる。
「変な事言わないでよ!絶対勘違いしたじゃあないっ。」
「良いじゃないか、言わせておけば。」
「なっ……。」
「あら、ブチャラティ彼女かい?」
「まあ!お似合いね!お幸せにっ。」
「今度2人で来てくれたら、サービスするわよ!」
すると店の前の賑やかな大通りを行き交う人々が彼に気付けば皆笑顔で、代わる代わる祝福の声を掛けてくれる。
彼はと言うと、私に寄り添い返事の代わりに笑顔で手を振って答えていく。
この唖然とするしかない祝福の空気に場違いな私は、彼の信頼度の高さを知ると共に直ぐ様この情報が街に広まってしまうと言う事も悟った。
嫌な予感が浮かべば彼ならばやりかねないと確信して、私はゆっくりと顔を上げればのうのうと微笑んでいる彼を睨み付けた。
「…………貴方、私をハメたわね?」
「何の事だ?」
「私を一緒に連れ出して、彼女だって街の人達に知らすつもりだったんでしょう!?」
声は自然と低くなり怒りを表した問い掛けに彼は首を傾げていたが、次いだ言葉に少し考えてから一際柔らかい笑みを浮かべて私の腰を抱き寄せた。
「オレは周りから固めていく主義でな。まさかこんなにも皆が勘違いしてくれるなんて……よっぽどオレ達が良い雰囲気なのかもな?」
今にも鼻先が触れてしまいそうな距離に一瞬怯んでしまう。
彼の纏う上品な香水の香りが、出勤した時よりも強く鼻先を掠めてついうっとりとしてしまった。
香水は体温の変化で香りが変化すると言うが、彼が付けると人を惑わすモノへと変化しているのではないだろうか。
ダメ、名前しっかりしなさい!
「貴方と良い雰囲気なんて、私はお断りよ。金輪際ね!」
私は自身に活を入れ漂う香りを振り払う様に顔の間で、手をパタパタと左右に振り気にしてないとばかりに敢えて距離は離さずに見つめ返してやる。
その様子にクックッと喉の奥を鳴らしながら笑い始めた彼に、逆にこちらが驚き目を丸くしながら様子を伺ってしまった。
こんなに笑っているのは初めて見たかもしれない…。
「金輪際…ね、それが覆るのを楽しみにしているぜ?こっちは何年も待ったんだ、長期戦は得意だ。」
「そ、そう!勝手にしたらっ。」
なんだか諦める所か逆に火をつけたかの様に、自信満々に笑みを浮かべて断言する彼に心臓が跳ねた。
私は熱が帯始めた頬を悟られない様に顔を反らして彼から体を離せば、彼より先に足を歩めてアジトへ向かうのだった。
頬の赤みを人々を照り付ける太陽の暑さのせいにして。
be continued