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マスカレードを壊したい
名前変換
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今日の天気は私の気持ちとは正反対の、爽やかな晴天である。
私は昨日ポストに入っていた地図を右手に握り締め新しい職場でもある、アジトへ向かう為に気持ちと同じく重い足を進めていた。
一体誰が書いたのだろうか……。
線の曲がった手書きのとても解りにくい地図を何度も見直して、漸く入り組んだ路地を抜けた先に目指していた建物があった。
どんな気持ちでアイツに会えば良いのよ……。
私は扉の前でピタリと立ち止まり、様々な色の絵の具を混ぜたかの様な複雑な気持ちを整理する。
だが、バールでの彼とのやり取りが一言一言未だ鮮明に思い出せる。
段々と彼の真剣な表情を思い出す度に気まずい心とは裏腹に、心臓が速まるのがわかった。
「大丈夫……、今までなんとか上手くいってたじゃあない。」
小さく呪文の様に呟けば、よしっと頷き扉を見据えてドアノブに手を伸ばした。
扉を開ければ、ソファに座る者、デスクに座る者、それぞれ違う場所に居るのだが刺す様な視線だけは皆私に注がれる。
「今日からこのチームに配属された、名前です。ブチャラティのアジトはここかしら?」
私はグッと唇を噛んで気合いを入れてから鋭い視線を気にすること無く、堂々と話し跳ね除ける。
すると金髪の前髪がクルンとカールしている、独特な髪型の男性が近付いてきた。
あまりにも綺麗な顔立ちに、不覚にも自然と吸い込まれる様に瞳を見入ってしまった。
「ええ、ここがそうです。新人さん……かな?」
「おいおい、ジョルノ!なぁに知らねぇ奴に教えちゃってるのかなぁあ?」
「何言ってるんですかミスタ、今朝ブチャラティが言っていたじゃあないですか。可愛らしい金髪の新人さんが来るって。」
肩に腕を回し絡んでくる帽子を被った男性を、呆れた様に手で制止ながら嗜めるジョルノと言う彼。
そうだっけ?と首を傾げながら思い出そうとしている男性に呆れつつ、ジョルノは私に視線を向ければニコリと愛想の良い笑みを浮かべて奥の扉を指差した。
「じゃあ、まずはブチャラティに挨拶して下さい。……あそこに居ますから。」
「そう、ありがとう。」
「緊張しなくても大丈夫ですよ、彼は優しいですから。」
いやいや、優しいのはジョルノ、貴方の方だわ。
て言うかブチャラティは私を新人と伝えているの?
なんなのよ……、馬鹿にしているの!?
彼等の言葉に違和感を覚えつつ、ジョルノに礼を言い中へ足を進めれば紹介された扉へ向かう。
手の甲で2回ノックをすると、待っていたかの様に直ぐ様中から小さな返事が帰ってくれば扉を開け中へ入る。
会いたくなかった彼は広いディスクの前に、心地良さそうな椅子に腰掛けていた。
こちらに気付けばふっと笑みを浮かべて立ち上がり、目にしていた書類のファイルを閉じた。
「名前、また会えて嬉しいぜ。道に迷わなくて良かった。」
「私は来たくなかったのだけれど……上の命令だから仕方なく、ね。」
私が腕を組み溜め息混じりに呟くのに対して、彼は相変わらず楽しげに笑みを浮かべながら歓迎しているかの様に手を広げ歩み寄る。
なんで彼は私が素っ気ないのに、こんなにも楽しそうなのだろう……。
「て言うか、なんで私が貴方の所へなんかに?何か聞いてないの?」
「ああ、オレがポルポに掛け合ったんだ。」
「はあ!?」
さらりと、当たり前の様に発した彼に私は目を大きく見開いた。
この人といると、頭が混乱してばかりだ。
「な、なんでよ……何でそんな事するの!?」
「ギャングも辞めない、オレの女にもならないのなら、まずはオレの部下になれ……。だからおまえを移動させたんだ。"スカウトしたい"とな。」
ポルポに気に入られている彼の事だ、きっと何か条件をクリアでもしてお願いを聞いてもらったのだろう。
え……じゃあ、あの日からもう手は回していたの?
バールで彼の告白を逃げる様に断ってから、次の日には移動命令……。
彼の行動力の速さに呆れつつ、私は冷静さを取り戻そうと呼吸を繰り返してしっかりと見据える。今取り乱しては相手の思う壺なのだ。
「なんでも貴方の思い通りになると思ったら、大間違いよ。」
「ああ、名前がすぐに手に入るとは思ってないさ。ただ、ようやくここまで来れたんだ。どんな手を使ってもおまえを手に入れてみせるさ。」
「!?」
自信満々に言うなり、素早く頭に手を回して引き寄せられた。
私の体は彼の筋肉質な腕の中に簡単に包まれる。
そして耳元にわざとらしくチュッとリップ音を立てて口付ければ、意地悪な笑みを浮かべる彼に不覚にも心臓は勝手にドキリと高鳴ってしまった。
私は油断していた自身にも悔しくて鋭く睨み付ければ、彼の胸を押し返して小さな抵抗を示した。
だが私の様子を満足げに見れば、わかったとばかりに両手を上げてこれ以上手は出さないと気持ちを表す。
「今日の夜は歓迎会をやるからな、もちろん強制参加だ。」
「だ、誰が出るもんですか!」
「給料出さないぜ?」
「っ!ひどい!鬼上司!!!」
彼の上司としての立場を利用した脅しに近い言葉に、目を見開いた。
上手く誘導された悔しさに思わず叫び声を上げ、同時に断れない事に腹立たしくなり唇をぎゅっと噛む。
彼ならやりかねない……。
長い付き合いだからこそのやりとりに、私は先が思いやられた。
be continued
私は昨日ポストに入っていた地図を右手に握り締め新しい職場でもある、アジトへ向かう為に気持ちと同じく重い足を進めていた。
一体誰が書いたのだろうか……。
線の曲がった手書きのとても解りにくい地図を何度も見直して、漸く入り組んだ路地を抜けた先に目指していた建物があった。
どんな気持ちでアイツに会えば良いのよ……。
私は扉の前でピタリと立ち止まり、様々な色の絵の具を混ぜたかの様な複雑な気持ちを整理する。
だが、バールでの彼とのやり取りが一言一言未だ鮮明に思い出せる。
段々と彼の真剣な表情を思い出す度に気まずい心とは裏腹に、心臓が速まるのがわかった。
「大丈夫……、今までなんとか上手くいってたじゃあない。」
小さく呪文の様に呟けば、よしっと頷き扉を見据えてドアノブに手を伸ばした。
扉を開ければ、ソファに座る者、デスクに座る者、それぞれ違う場所に居るのだが刺す様な視線だけは皆私に注がれる。
「今日からこのチームに配属された、名前です。ブチャラティのアジトはここかしら?」
私はグッと唇を噛んで気合いを入れてから鋭い視線を気にすること無く、堂々と話し跳ね除ける。
すると金髪の前髪がクルンとカールしている、独特な髪型の男性が近付いてきた。
あまりにも綺麗な顔立ちに、不覚にも自然と吸い込まれる様に瞳を見入ってしまった。
「ええ、ここがそうです。新人さん……かな?」
「おいおい、ジョルノ!なぁに知らねぇ奴に教えちゃってるのかなぁあ?」
「何言ってるんですかミスタ、今朝ブチャラティが言っていたじゃあないですか。可愛らしい金髪の新人さんが来るって。」
肩に腕を回し絡んでくる帽子を被った男性を、呆れた様に手で制止ながら嗜めるジョルノと言う彼。
そうだっけ?と首を傾げながら思い出そうとしている男性に呆れつつ、ジョルノは私に視線を向ければニコリと愛想の良い笑みを浮かべて奥の扉を指差した。
「じゃあ、まずはブチャラティに挨拶して下さい。……あそこに居ますから。」
「そう、ありがとう。」
「緊張しなくても大丈夫ですよ、彼は優しいですから。」
いやいや、優しいのはジョルノ、貴方の方だわ。
て言うかブチャラティは私を新人と伝えているの?
なんなのよ……、馬鹿にしているの!?
彼等の言葉に違和感を覚えつつ、ジョルノに礼を言い中へ足を進めれば紹介された扉へ向かう。
手の甲で2回ノックをすると、待っていたかの様に直ぐ様中から小さな返事が帰ってくれば扉を開け中へ入る。
会いたくなかった彼は広いディスクの前に、心地良さそうな椅子に腰掛けていた。
こちらに気付けばふっと笑みを浮かべて立ち上がり、目にしていた書類のファイルを閉じた。
「名前、また会えて嬉しいぜ。道に迷わなくて良かった。」
「私は来たくなかったのだけれど……上の命令だから仕方なく、ね。」
私が腕を組み溜め息混じりに呟くのに対して、彼は相変わらず楽しげに笑みを浮かべながら歓迎しているかの様に手を広げ歩み寄る。
なんで彼は私が素っ気ないのに、こんなにも楽しそうなのだろう……。
「て言うか、なんで私が貴方の所へなんかに?何か聞いてないの?」
「ああ、オレがポルポに掛け合ったんだ。」
「はあ!?」
さらりと、当たり前の様に発した彼に私は目を大きく見開いた。
この人といると、頭が混乱してばかりだ。
「な、なんでよ……何でそんな事するの!?」
「ギャングも辞めない、オレの女にもならないのなら、まずはオレの部下になれ……。だからおまえを移動させたんだ。"スカウトしたい"とな。」
ポルポに気に入られている彼の事だ、きっと何か条件をクリアでもしてお願いを聞いてもらったのだろう。
え……じゃあ、あの日からもう手は回していたの?
バールで彼の告白を逃げる様に断ってから、次の日には移動命令……。
彼の行動力の速さに呆れつつ、私は冷静さを取り戻そうと呼吸を繰り返してしっかりと見据える。今取り乱しては相手の思う壺なのだ。
「なんでも貴方の思い通りになると思ったら、大間違いよ。」
「ああ、名前がすぐに手に入るとは思ってないさ。ただ、ようやくここまで来れたんだ。どんな手を使ってもおまえを手に入れてみせるさ。」
「!?」
自信満々に言うなり、素早く頭に手を回して引き寄せられた。
私の体は彼の筋肉質な腕の中に簡単に包まれる。
そして耳元にわざとらしくチュッとリップ音を立てて口付ければ、意地悪な笑みを浮かべる彼に不覚にも心臓は勝手にドキリと高鳴ってしまった。
私は油断していた自身にも悔しくて鋭く睨み付ければ、彼の胸を押し返して小さな抵抗を示した。
だが私の様子を満足げに見れば、わかったとばかりに両手を上げてこれ以上手は出さないと気持ちを表す。
「今日の夜は歓迎会をやるからな、もちろん強制参加だ。」
「だ、誰が出るもんですか!」
「給料出さないぜ?」
「っ!ひどい!鬼上司!!!」
彼の上司としての立場を利用した脅しに近い言葉に、目を見開いた。
上手く誘導された悔しさに思わず叫び声を上げ、同時に断れない事に腹立たしくなり唇をぎゅっと噛む。
彼ならやりかねない……。
長い付き合いだからこそのやりとりに、私は先が思いやられた。
be continued